「看護師であっても転職はできれば35歳まで」「できるだけ若いうちに転職しなければいけない」などという意見があります。すなわち「看護師はできるだけ若いうちに転職したほうが有利」という考えが転職では一般的でした。しかし、いまでは状況が少しずつ変わっています。

結論からいわせていただくと、30代後半、40代、50代でも看護師として転職成功のチャンスは広がってきています。たとえ40代・50代でも未経験の部署に受け入れられたり、キャリアアップや年収アップを果たしたりするケースは決して珍しいことではありません。

「もう40代だから転職は難しい。たとえ転職できたとしても、条件はいまより悪くなる」「50代になると転職できない。この病院で定年まで我慢するしかない」と勝手に考えて、転職を諦めてしまうのは実に勿体ないことなのです。

そこで今回は「40代・50代の看護師で、転職を成功させる人が増えている5つの理由」についてお話したいと思います。人生は一度きりです。自分で自分の限界を決めてしまうのは、時期尚早なのではないでしょうか。

現在の日本における40代・50代の看護師の転職事情を知っておいて損はありません。現状で妥協しなくても、あなたらしく働ける環境に身を置ける可能性があることを知っておくことが大切です。

40代・50代で転職に成功する看護師が増えている5つの理由

40代・50代でも転職に成功する看護師が増えている理由について一つずつ述べていきたいと思います。

理由1:中高年層でも積極的に転職できる環境になった

そもそも「終身雇用」が当たり前だったひと昔前ですと、いくら人材不足の看護業界だからといって、転職を決意する看護師は「40代前半くらいまでが一般的」とされ、転職する人は若い層に限られていました。

当時の中高年層の看護師は、転職自体に抵抗感をもち「転職を決意する」となると特異な目でみられることもあったそうです。

しかし看護業界の動向を踏まえてみると、看護師全体での離職率は依然として高く、需要に対して供給が追い付いていない状況が続いています。そのため、戦後から現在に至るまで日本では常に看護師不足が叫ばれているのが現状です。

需要に対して供給が追い付いていかない具体例としては、「2006年の診療報酬改定による、地方の中小病院でのさらなる看護師不足の加速化」があげられます。

この改定で、患者数7人に対して看護師1人の勤務体制をとる「7対1の入院基本料制度」が導入されました。入院施設のある病院では看護師をこの規定数だけ配置しなければ、診療報酬が大幅にカットされることになりました。

そのため、大きな病院と比較すると待遇面などで見劣る地方の中小病院では看護師の人材確保は困難を極め、多くの中小病院では閉鎖や縮小を余儀なくされました。

また看護師の離職率が高いといわれる要因の一つとして、毎年行なわれる看護師国家試験で4万5千人近くの看護師が新しく輩出されているにも関わらず、その年に離職する看護師のほうが多いことが挙げられます。

看護師になる人よりも、看護師を辞める人数のほうが高いのです。

厚生労働省のデータによると、2011年から2015年にかけて1万5000人から5万6000人の看護師の人材不足が起こっているとも発表されています。

看護師は女性が多く、結婚や出産、育児といったライフイベントを機に看護師を辞めてしまう人が多くいます。激務といわれている看護師業界ですので、いったん離職してしまうと復職することも難しいとされています。

看護師免許をもちながら看護職についていない潜在看護師は、日本全国で約55万人もいるといわれています。それほど、看護師として復職していない人が多く存在するということになります。

それならば、「出産や育児が控えている20~30代の看護師」を雇用するよりは、「経験豊富で、育児をほとんど終えた看護経験豊かな40代や50代の看護師」を雇用したほうが、病院にとってはライフイベントで突然休まれることも少なく、長く安定して働いてもらえる存在といえます。

そのため、転職市場では40~50代の看護師を積極的に採用する病院や施設、クリニックが増えてきています。そのため、転職に抵抗感をもつ40~50代の看護師は少なくなり、転職のハードルは以前と比べて大変低くなりました。

私の知り合いの50代後半の看護師の方が転職を決意し、60歳を機に転職に成功した例を下記に紹介します。

その方は新卒から40年近く大手の病院に勤めており、急性期病棟で夜勤を若い看護師と同じようにこなしていました。

その方が勤める大手の病院では、看護師能力が高く一線でまだまだ活躍できる方であっても、60歳を機に誰しも役職から外れ、新人の教育係などに回されるケースが多いとのことでした。この病院では役職から外れてしまうと夜勤手当が入らなくなるため、60代を過ぎると収入が大幅に減ることが予想されていました。

そこでその方は、50代後半から転職を考え始めました。転職サイトなどを利用し、情報を集め、60歳を機に「新規で開設された高齢者介護施設の看護師兼施設長」として転職しました。

いままで培ってきた看護師経験を活かして、その施設で夜勤の利用者さんの急変にもテキパキと対応できる頼もしいリーダーとなりました。

しかもそれだけではありません。もともと彼女の趣味である料理好きが講じて、料理レクレーションの際には、完成したサラダにレンコンチップスをのせるといった、ひと手間を加えた「愛情あるアイディア」を多く出して利用者さんを喜ばせるなど、多才に活躍しました。

このように彼女は大手の病院とは違い「自分の裁量で様々なことができるようになった」と満足した職場を手に入れることができました。彼女がリーダーとなったこの施設では利用者さんが飽きずに元気になるような企画が豊富に行われるため、地元では高齢者に人気の介護施設となっています。

彼女を採用したことに施設のオーナーは大変喜び、大手の病院に勤めていたときより、やりがいも収入も増えたそうです。

さらに、この施設では「定年は特に定めていない」との雇用条件があります。そのため、その方は「元気でいるかぎり看護師をしていたい。そして利用者さんと元気を分かち合いたい」とおっしゃっていました。

このように、いまの職場では「やりがいや収入が大幅に減る」という将来を見越して転職に踏み切る40代・50代が多くいます。

大手の病院に見切りをつけて、「定年が明確に設けられておらず、出来る限り現役として活躍して、長く収入を確保できる施設」などに転職を果たす40代・50代が増えてきています。実際、利用者さんとさらに年の近い60代が第一線で活躍している施設も多数あります。

看護師の転職市場に40代・50代の求人が増えてきていています。40代・50代では辞める転機となるライフイベントが少なく、「転職に成功する40代・50代の経験豊富で優秀な看護師がこれまで以上に増加してくる」ことにつながります。

理由2:看護師としての「活躍期間」が延長された

採用する病院や施設、クリニック側としては「採用するのであれば10年くらいは働いてほしい」という思いがありあす。

ひと昔前ですと60歳での定年退職が一般的でしたので、求人の対象となる年齢は50歳くらいまででした。しかし現在では定年が65歳に、そしてさらに雇用延長や再雇用、定年の定めのない看護師の求人などもあります

現役で活躍できる期間が時代の流れとともに延長されてきています。それにより40代どころか50代でも、最低10年は働いてもらえるため、雇用を希望する求人が多くなってきました。そのため、50歳以上でも転職に成功する方が増えてきました。

理由3:看護師の人材不足により、シニア層の活用が期待されている

日本では少子高齢化に伴い、看護師だけでなく労働人口そのものが徐々に減少する傾向にあります。昔から人材不足だった看護業界はさらに深刻な状況に立たされているといえます。

看護師の労働力不足を補うために、日本政府は経済連携協定(EPA)で、インドネシアやフィリピン、ベトナムといった外国人の看護師・介護福祉士を受け入れてきました。

しかし現状として10年余りで4,000人近くの看護師・介護福祉士候補者が来日したものの、日本語の難しさなどから看護師国家試験に合格するものは全体の10%という低さでした。また合格したとしても、自国の日系企業で働くほうが日本語を使った条件が整った看護の仕事が存在するため、合格者の3割の外国人労働者は自国に帰国することを選んでいます。

このようなことから、なかなか外国人の看護師は人材不足の日本で、労働力として定着しませんでした。

この看護師の労働力不足を補う方法として、シニア世代の看護師の活用が課題となっています。特に高齢者施設などでは、高齢者の気持ちに共感できるシニア層の看護師の人材活用に人気が出てきています

看護が必要な高齢者の立場で考えてみても、若い外国人看護師に相談をするより、ある程度近い世代の日本人の看護師に自分の気持ちを共感してもらったり、看護を受けたりするほうが安心できます。そのため、シニア層の看護師の求人が増えているのです。

理由4:中高年に対する世間の見方が変化してきた

看護師を採用する対象年齢が底上げされています。また、看護師における各年代に対する病院の見方が変遷してきました。

従来であれば、20代の看護師は下積みの時期、30代は中堅看護師となって独り立ちが行える時期、40代はいままでの経験を活かしてアウトプットする時期、という捉え方が一般的でした。

しかし昨今では、能力があれば「30代での師長」など若手をトップポジションに引き上げる職場がある一方、40代・50代の中途転職者を新たに迎え入れて、職場に新しい看護の考え方を取り入れたり、未経験の分野の仕事を任せ、50代で第一線の活躍を期待したりする職場などもあります

このように、40代・50代までが幅広く採用対象になることで、30代後半や40代といった年齢層は「経験が十分ではない」と捉えることができます。まだまだ新しい看護の知識や技術をインプットでき、経験をさらに深く豊かに積んでいく時期といえるのです。

そして看護師として脂が乗りきった50代・60代になると初めて「蓄えた経験やスキル、知識をアウトプットして大きな花を咲かせることができる」というふうに、40代・50代からの看護師への期待は変化してきているのです。

つまり、これまでいわれてきた「看護師として転職するのであれば35歳くらいまで」といった説は、現代の日本社会ではそぐわないものとなってきているといえるのです。

それにもかかわらず40代・50代で、「もはや新しい職場に就職できないかもしれない」「次の職場に決まったとしても、条件が悪いかもしれない」と漠然とした不安を抱いて動かないでいるのはもったいない話です。

やる気や情熱があるのにもかかわらず、「年齢が上だから、転職できないかもしれない」と思っているのはあなただけなのかも知れません。

転職に関する情報を収集してみると、思いがけない大きなチャンスが転がっている可能性があるのが、40代・50代の看護師の転職事情ともいえるのです。

理由5:病院から在宅へ医療現場がシフトしており、看護師の経験が重要になった

いま、医療現場は病院から在宅へシフトしてきています。自宅での療養ということになれば、患者さんの個別性がさらに重要視されるようになります。患者さんのちょっとした変化を敏感に察知できる能力を必要とするのです。

このようなときに現場で必要とされる看護師とは、新卒の経験の浅い看護師ではなく、やはり経験豊かな看護師ということになります。とくに訪問看護師などで活躍しようとする場合、ある程度看護師としての経験を積んでいることが大切です。

看護師の経験が少なければ、患者さんの容態が変わったことに気づかない恐れが出てきます。いままでのあなたのキャリアの集大成として、これからの看護の現場で活躍の場が広がってきているのです。

40代・50代の転職は転職のプロと二人三脚で

いかがでしたでしょうか。実は40代・50代の看護師には、転職して成功できる可能性が多く残されているのです。転職を諦めるのはまだ早いのです。

いままであなたが培ってきたキャリアによっては、活躍できる職場が異なってきます。特に40代・50代の転職となると、看護師転職サイトなどを上手に活用するほうが、転職に成功する確率が高くなります

ただ単に転職したいだけなら、一人で転職活動しても、いま在籍している病院から他の職場に代わることは可能でしょう。しかし、わたしがここで強調したいのは「成功する転職」です。

あなたが「転職して自分らしく働くことができている」「条件を満たしていて、前より随分働きやすくなった」「もちろん給与や休日にも満足している」と思うような転職を実現してもらいたいのです。

看護師転職サイトに登録すると、転職のプロであるエージェントがあなたのことをサポートしてくれます。エージェントは、あなたの希望や条件に合った職場を探す手助けをしてくれるため、あなたにとって満足いく転職となる可能性が高まります。

さらに転職プロを介しているため、巷に出ていない非公開の転職情報も集まりやすくなります。

このような転職情報では、「新しい施設が開設される」「施設長が退任する予定になっているため、新しい施設長を募集している」「キャリアのある看護師を募集している」といった看護師間だけでは決して集まらない、あなたが欲しい最新の非公開求人情報を手に入れることができます。

「ハローワークなどでも、そのうち求人として出てくるだろう」と思われる方もいるでしょう。しかし非公開求人は条件が良いことが多く、人気があって応募者が殺到してしまう恐れがあることから、公開する前に求人が決まってしまうことがほとんどです。

非公開の条件のよい求人を抱えているのが、看護師転職サイトなのです。できれば2~3社といった複数の転職サイトに登録すれば、それだけ、より多くの非公開求人の転職情報を手に入れることができます。さらに、あなたに合う転職エージェントもみつけやすくなります。

40代・50代では、あなたの大切な履歴書に転職での失敗によるキズをつけないことが重要になります。そのため、冷静で客観的に失敗のない転職を行なっていくと、さらに転職で成功する可能性が高まります。

満足のいく転職になるよう、転職のプロに頼り情報収集をするなど、できる限りの準備をして臨むように心掛けましょう。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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