退職をするときに、健康保険証は一旦返却しなければなりません。保険証を返すと、勤め先で加入していた健康保険の資格が失効します。

しかし、退職したあとでも使える健康保険の給付があります。これは意外と知らない人が多く、もしかすると損をしているかもしれません。逆にいえば、知っておくと得する可能性があるということです。

今回は退職した後でも使える「健康保険の給付」について確認していきます。

退職後にも使える健康保険の給付

国民健康保険では使えず、健康保険(勤め先で加入している健康保険組合や協会けんぽなど)で使える制度があります。退職してしまっても、そちらの制度を上手く利用することで、賢い選択を行なうことができます。

退職後でも「傷病手当金」は受給可能

退職前に健康保険組合などの健康保険証で「傷病手当金」を受給していた場合は、国民健康保険に切り替えても、退職した後でも継続して受給することができます。国民健康保険では「傷病手当金」の制度はありません。

しかし、手続きの流れを誤ってしまうと、傷病手当金を受け取れない可能性もあるので注意が必要です。

傷病手当金とは病気やケガで仕事を休んだとしても、被保険者とその家族の生活を保障してくれる制度です。雇い主から十分な報酬が得られないときに支給を受けることができます。

具体的な要件とは、病気やケガなどで療養のため、4日以上連続して働くことができない状態となってしまい、勤め先から給与が支給されないときに資格を得ることができます。

そして、同様の状態が継続する限り、最大で1年6ケ月の間、国民健康保険の負担のみで(国民健康保険に切り替えた場合)、傷病手当金の保障を受けることができます。

傷病手当金の支給額は、1日当たりの金額で換算すると、(支給開始日の以前12ケ月間の各標準報酬月額を平均した額)÷30日×(2/3)になります。

実際に、長期療養が必要な病気やケガを患ってしまった場合に、勤め先の休職制度を利用したとしても、1年以上もの間、在職させてもらえる職場は多くありません。特に小さな病院やクリニックでは、それでなくても人手が足りなくて困っているため、早めに新しい看護師を雇ったほうが得策になります。

休職期間が満了してしまうと、自然退職か解雇(リストラ)になってしまう職場がほとんどといえます。しかし、健康ですぐに働ける状況でなければ、失業保険をすぐに受給することもできません。このような場合に活用できるのが、この「傷病手当金」というわけです。

退職日までに勤め先の健康保険に継続して1年以上加入しており、退職前に傷病手当金を受けているときは、退職後、任意継続制度を利用する場合はもちろん、国民健康保険に切り替えたとしても引き続き保障を受けることができます。

逆にいえば、勤め先の健康保険に1年以上加入していたとしても、退職後に「退職前に患った病気やケガで働けないから療養が必要だ。傷病手当金を受け取りたい」といくら訴えても傷病手当を受給することはできません。

なお傷病手当金は、申請してから最初の3日間は待機期間であるため支給されません。しかし、4日目以降であれば、請求した日数分が約1ケ月後に自身の口座に振り込まれます。

退職後でも「出産手当金」は受給可能

「出産手当金」もまた1年以上、健康保険(勤め先で加入している健康保険組合や協会けんぽなど)に加入していたのであれば、受給できる可能性が十分にあります。出産手当金もまた、国民健康保険にはない制度になります。

また、上記の傷病手当とは異なり、出産手当金は出産する予定日が大体決まっているため、その日をもとに手続きを進めることができます。

出産手当金は産前6週(出産日以前の42日、多胎妊娠の場合は98日)、産後8週(出産日の翌日以降の56日)の合計98日分の産休中の所得保障として、傷病手当と同じ給与の2/3が支払われる仕組みになっています。この間、仕事は休み、給与の支払いがなかったことが条件です。

計算式ですが、出産手当金の1日当たりの金額は(支給開始日の以前12ケ月間の各標準報酬月額を平均した額)÷30日×(2/3)になります。

出産手当金は、原則として退職後には受給できません。しかし、傷病手当金と同じように、退職日までに1日でも出産手当金を受給できる日(出産予定日以前の42日以内)に該当するようであれば、退職後も継続して出産手当金を受給することができます。

つまり、出産予定日の42日以内に退職日が入っていれば、退職日に出産手当金を受給していることになるため、退職日以降、健康保険の資格を失効したとしても、出産手当金を受給できるのです。

出産の場合、必ずしも予定日に赤ちゃんが生まれるとは限りません。しかし、予定日よりも遅れたとしても、産前42日の計算は予定日を基準として想定されています。したがって、改めて申請していなくても受給条件を満たしていれば支給されるので安心してください。

ただし、注意していただきたいことがあります。それは退職日に出勤をした場合です。退職日に出勤をしてしまうと給付条件を満たさなくなるため、退職日以降の出産手当金を受給することができなくなってしまいます。

健康保険被保険者の資格を喪失した後での継続給付の条件として、1年以上の健康保険の加入以外にも、資格喪失時に出産手当金を受ける条件を満たしていなければなりません。

出産手当金を受ける条件とは、勤め先を休み、給与の支払いがなかった場合です。退職日の給与の支払いがなかったとしても、退職日に出勤してしまうと、勤め先を休んでいないことになります。したがって、出産手当金を継続して受給したい場合は、退職日に出勤しないように気を付けることが大切です。

退職後でも「出産育児一時金」は受給可能

出産育児一時金は、2011年4月から2017年現在までの出産について、1児につき42万円が支給されます。

ただし、産科医療補償制度に未加入の産院で出産した場合ですと、給付額は39万円に減額されます。産科医療補償制度に加入している分娩機関かどうか知りたい方は、「公益財団法人 日本医療機能評価機構」のサイトに掲載されていますので、ご確認ください。

産科医療補償制度とは、加入医療機関で制度対象となる出産を行い、分娩時に重度の脳性まひになった場合、その子どもと家族に対して補償を行うというものです。

出産育児一時金は、もともと「償還払い」という仕組みになっていました。償還払いとは、本人が先に出産費用を全額負担し、後日、健保組合等の保険者に出産費用を請求して、初めて受給できるというものです。

しかし2009年9月からは「直接支払制度」が確立されました。こちらの制度ですと、本人が医療機関で健康保険証を提示することによって、健保組合等の保険者が直接、出産に関わる費用を支払う仕組みになっています。この「直接支払制度」を利用すれば、本人は差額だけを清算するだけで済むため、出産時にまとまった額のお金が必要ではなくなります。

なお、医療機関等に直接、出産育児一時金が支払われることを希望しない場合は、「出産後に健保組合等に申請をすれば、出産育児一時金を受給できる方法」も存在します。

この出産育児一時金は、出産手当金と同じく、退職日前に引き続き1年以上、健康保険に加入し、資格喪失後の6ケ月以内に出産したときに受給することができます。ただし、被保険者が資格を喪失した後に扶養家族が出産したとしても、支給対象にならないので注意が必要です。

受給可能な制度をうまく使おう

このように退職後、勤め先での健康保険の資格を喪失したとしても、受給可能な制度があります。この場合、これらの制度を知っていないと利用することなく、後から後悔することが出てくるかもしれません。

健康保険では入り組んだ複雑な制度があり、「知っていて、制度を利用すること」も「知らないで、そのまま過ごすこと」もあり得るのです。退職後の健康保険は、自分で判断して行わなければならない手続きですので、このサイトを是非参考にしてもらえたらと思います。


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