現在の日本は高齢化社会に突入しています。高齢患者が増えているため、病院経営は一見潤っているようにみえますが、実は多くの病院では赤字の拡大が続き、厳しい経営状態にあるといわれています。

高齢者人口の増加に伴い、国民医療費は増大し、国や地方自治体の財政を苦しめている状況が続いています。厚生労働省は毎年増加の一途を辿る医療費の抑制をするため、抜本的な医療制度の見直しを行なっています。

したがって、病院などの医療施設では経費を削減させるために、医療の質や量を維持しながら、病院経営の合理化を図っていかなければなりません

最近では、病院評価制度やDPC(包括医療費支払い)制度などが一部の病院では導入され、以前のような病院経営で厳しい環境となりました。このようなことから、今後はますます病院統合が進むものと予想されています。

そこで看護師も看護のことだけにとどまらず、広い視野でこれからの医療業界を見つめ直し、転職での病院選びを行なうことが大切です。

この記事では、「現在の病院の経営環境」と「公的病院・大手病院グループの最新動向」についてお話していきたいと思います。転職のときの病院決めの一情報として、役立ててもらえたらと思います。

現在の病院の経営環境とは

現在、日本の病院の経営環境とはどのような傾向にあるといえるのでしょうか。国民医療費の増大による国や地方自治体の財政悪化、診療報酬の伸び悩みや医師不足などから病院を取り巻く経営環境は悪化しています。

赤字の病院が大幅拡大

2015年11月に公表された厚生労働省の「医療経済実態調査」によると、2014年度の一般病院の一施設当たりの平均赤字額は1億1178万4000円となっています。この数値は前年度の6191万2000円から比較すると、2倍近くの赤字増加となっています。

一般病院でも民間病院となると黒字を確保しているところが多いのですが、国立病院、公立病院はともに赤字で厳しい経営状態が続いているところが多いです。

東京商工リサーチレポートによりますと、2016年の病院経営の全国売上上位50法人のうち19法人が赤字となっています。2012年には、上位50法人中3法人だけが赤字でした。この4年間で16法人もの病院が赤字転落を余儀なくされています。

一方、一般診療所(クリニック)は黒字経営のところが多いとはいえ、その収益は年々減少傾向にあります。2年に1度行われる診療報酬改定での「診療報酬改定率が実質マイナス傾向」とする国の政策が続いているため、一般診療所の収益は減少せざるを得ないといえます。

病院数・病床数は赤字に伴い減少傾向

全国の医療施設について、厚生労働省の「医療施設動態調査(2016年1月末)」によると、病院数は年々減少傾向にあります。それに伴い、病床数も減少傾向にあります。

開設者別に分析しますと、医療法人の病院に限っていえば病床数は増加していますが、国や公的医療機関の病床数は減少しています。

この病院数、病床数が減少した背景としては、赤字補填を行なう国や地方自治体の財政悪化や、医師や看護師など医療従事者不足に伴う施設間の統廃合や機能再編などが挙げられます。

公的機関の経営統合が行われている

公的医療機関は地域医療を支える根幹であるため、赤字であったとしても、すぐに閉院することができません。公的機関であるため、国民から徴収した税金で補填されているのです。

しかし継続的に税金補填をするわけにはいかないため、公的医療機関の間での経営統合や民間への譲渡が望ましいとされ、経営統合が行われています

病院の統合が行われる背景の一因として、「医師の採用難」が挙げられます。思い浮かべてみてください。医師は看護師よりはるかに給与は良いですが、山のような業務量に加え、重い責任だけでなく、業務はさらに複雑化・専門化しました。そのため、医師の仕事量に比べて、給与に見合っていないという指摘があります。

また病院統合の一因として、「診療科目による偏在」も挙げられます。大都市や大規模病院には優秀な医師が集中しやすいのですが、地方の中小病院となると医師不足は深刻であるとされています。地方の中小病院では医師不足のため、夜間診療ができなくなる病院が増加しています。

これらのことから病院の統合が余儀なくされているのが現状といえます。

今後の主な病院グループの動向とは

次に、日本各地にある主な病院グループにおける動向についてお話していきます。

国立病院の動向

国立病院の多くは、前身が明治時代から太平洋戦争期に開設された「陸海軍病院」「傷病軍人・傷病軍人療養所」「結核診療所」などの軍事関連施設であったとされています。その後、国立病院や国立療養所になりました。

2000年に閣議決定された行革大綱により、2004年に「国立高度専門医療センター」と「国立ハンセン病療養所」を除く全国154カ所の国立病院と国立療養所を移行して「独立行政法人」となりました。

独立行政法人とは、以前は行政が行ってきた業務のうち、国が直接行う必要のない業務を分離し「自主性をもたせ効率的な運営」を目的としていた法人です。

診療事業の中心は、「結核」「重症心身障害」「筋ジストロフィー」「神経難病患者」に対する医療、心神喪失者等医療観察法に基づく医療です。これらを、都道府県が策定する医療計画を踏まえて行っています。

47都道府県を6地域に分け、ブロック事務所を設置しています。全国で統廃合や組織の再編成が行われ、現在では全国規模の病院ネットワークが作られています。

「経営難により民営化されるのではないか」との憶測も飛び交いましたが、いまのところ民営化(民間企業への売り渡し)されてしまう可能性は少ないといわれています。もし全てを民営化してしまうと診療内容などが自由となるため、地域の基幹病院としての役割を充分果たせなくなるからです。

2014年度までは独立行政法人で働く職員は国家公務員とされていましたが、法改正により2015年4月1日からは非公務員となっています。

公務員ではないのですが、多くの独立行政法人の病院では公務員の給与体系や勤務体系、福利厚生などの待遇を引き継いでいるため、「公務員に近い待遇が得られる」とされています。

全国規模の病院ネットワークであるため、「家族の転勤に付いていくことになっても辞めることなく全国規模で転勤でき、給与は据え置きとなる」「一般的な病院よりも経営の安定性がある」「条件を満たし、試験に受かれば若くても20代後半から師長や副師長になれる」「退職金やボーナス(4~4.4ケ月分)が高めに設定されている」といった点がメリットといえます。

しかしデメリットとして、「新卒で入った場合の月給が低めに設定されている」「看護師長を希望する場合、転勤の可能性が高い」などが挙げられます。また非公務員であることから、ひと昔前のような「公務員並みの退職金はもらえない可能性が高くなっている」のが実状です。

大学病院の動向

全国の大学病院の数は、国立大学で42病院、公立大学で8病院、私立大学で29病院、他にも国立がん研究センター中央病院や、防衛医科大学病院などの研究機関の付属病院が7病院あります(2015年度)。

また、公立大学の付属病院の分院が4病院、私立大学の付属病院の分院が52病院あります。

大学病院では、法人化以降は運営費交付金の急激な削減や診療報酬のマイナス改定、財投借入金債務の返済などが強いられています。そのため、経営状態が苦しい大学病院が多いとされています。また都市部と地方によっても経営格差が拡大しています。

「国立高度専門医療研究センター(国立がん研究センター・国立循環器病研究センター・国立精神・神経医療研究センター・国立国際医療研究センター・国立成育医療研究センター・国立長寿医療研究センター)」などの医療施設で働く場合も国立ではありますが、現在は法人化され「非公務員」の身分になります。

しかしこちらも、給与や福利厚生などの待遇は国家公務員に準じているとされています。そのため働き始めの頃は低給与だとしても、公務員と同等に給与は安定して上がっていき、ボーナスや退職金に至っては現在のところ公務員と同程度だとされています。

また他の病院と異なる点は、大学病院は、「医療(診療)」だけではなく「教育」「研究」の面があるということです。そのため、定期的に研究発表や勉強会が行われているのが特長です。

最新の医療を学べ、実務を身に付けられる反面、仕事の専門性が深く、業務がハードなことに加え、勉強会が頻繁に行われるためプライベートの時間を取りづらく、看護師の離職率は高いとされています。

また、大学病院では看護師が採血や点滴を行うことは少ないです。多くの場合これらの業務に加えて、一般には看護師が行う「抗がん剤の投与や胃管の挿入」なども研修医が行うことになっています。

そのため大学病院から一般病院へ転職した場合、「大学病院から来たのに看護師として使えない」と言われることが多く、苦悩する看護師もいます。

しかし大学病院のメリットは他にもあります。大学病院の看護師の待遇の一例を私立の「慶応大学病院」で挙げてみましょう。

慶応大学病院の看護師の給与は一般的な給与額よりも3~4万円高く、賞与も年3回で計6.4ケ月程度のボーナスがもらえます(2015年)。これらの支給額を合算すると、4大卒の新卒でも500万円を超える年収を手に入れることができます。

また年次有給休暇や季節特別休暇も一般病院よりも多めに設けられています。スタッフの数が多く業務が分けられており、看護業務だけを集中して行えるのも魅力の一つです。

さらに、大学病院ということから教育プログラムが充実していることで有名です。さらには寮や院内保育施設も充実しており、働きやすさから考えると、この大学病院で働きたいという希望者が多いのが実状とされています。

このように労働環境に違いが出やすいのが大学病院といえます。中途採用での大学病院での勤務を希望される方は一般病院と比べ、非公開求人が多いため、看護師専門の転職サイトを利用すると他の希望者よりも有利に転職活動が行えます。

日本赤十字病院・恩賜財団済生会病院・JA厚生連の動向

これらの病院は、日本に昔からある病院です。日赤や済生会など医療法に定められた公的医療機関やJA厚生連に参加している病院が日本各地にあります。

日本赤十字病院の動向

日本赤十字社は、「社員」と呼ばれる個人の参加者による結合体とされています。名誉総裁は「皇后」です。本社は東京で、支部は47都道府県にあります。日赤の職員は、日本赤十字社の経営する病院の社員ですので、非公務員となります。

支部は、「医療施設」「血液事業施設」「社会福祉施設」の3つの施設があります。国内外の災害救護や医療支援、血液供給などを行っています。

本社直轄の病院が「日本赤十字社医療センター」として東京にあります。その他、全国に92施設、このうち日赤が設立した病院が48施設、移譲を受けた病院が44施設となっています。

2010年以降、経営収益は下がっており、2014年度からは赤字に転落しています(2017年現在)。2016年度の病院経営の売上自体は日本赤十字社が全国一位で、11736億円となっていますが、赤字が139億円あり、利益率-1.2%です(東京商工リサーチレポート)。

日本赤十字社は先進医療を提供するのをモットーとしているため、看護師の育成に熱心で、研修が他の病院と比べるとかなり充実しています。結婚や出産、育児などで看護を離れてしまった人も、「復職プログラム」が組まれているため、「復帰しやすい環境が整えられた職場」といえます。

また福利厚生も充実しており、多くの日赤病院に保育所が併設されています。このように、ブランクがある人や育児中のママさん看護師などは安心して復職することができます。

さらに日本赤十字社は世界規模で活動しているので、医療救護班の看護メンバーとして、全国・全世界で活躍できる道もあります。災害看護に興味のある方は、国際舞台へ看護活躍の場が広がります。

ただし、福利厚生が充実している反面、給与面だけを考えれば年収は決して高い水準ではありません。新卒の大卒で400万円、専門卒で360万円といわれており、近隣の病院の給与と比較するとやや見劣りするかもしれません。

恩賜財団済生会病院の動向

済生会病院の歴史はかなり古く、明治時代からとされています。済生会は明治44年に明治天皇の済生勅語によって創立され、平成23年に創立100周年を迎えました。

東京に本部を置き、40都道府県(青森・秋田・山梨・岐阜・徳島・高知・沖縄の7県を除く)に支部があります。社会福祉法人として、病院や介護老人保健施設、老人・児童福祉施設、訪問介護ステーションなど476施設、約5万8000人の職員が勤務しています。

2016年度の済生会自体の売上は6297億円で全国2位ですが、赤字は上記の日本赤十字社よりも多く1307億円、利益率は-20.8%となっています(東京商工リサーチレポート)。この赤字は数ある病院のなかでは高額といえます。

一方で、日経ビジネスによると、2015年に「経営力を指標とした病院ランキング」で「済生会熊本病院」が1位に挙げられています。

どこの病院でも同じことがいえるのですが、済生会病院グループでも地域によって病院経営力がかなり異なります。今後の展望を考えて希望する済生会病院の赤字率なども考慮して、病院決めを行うとよいでしょう。

済生会は付属の看護学校があり、毎年、新卒看護師の入職が多いです。このようなことから、新人教育は大変充実しています。異動が多いため、看護師として幅広いスキルを身に付けたい方にはおススメです。

常勤以外にも、「夕方専従」「夜勤専従」「非常勤」などバリエーション豊かな雇用形態を設けています。またほとんどの済生会病院では「院内保育所」が併設されていますので、ママさん看護師には助かります。

他の病院と同じように3次救急のある済生会病院では多忙を極めるため離職率は高いのですが、2次救急の済生会病院では離職率は低めとなっています。

給与は平均よりもやや低めに設定されていますが、福利厚生などが充実しているのが特長です。

JA厚生連の動向

JAの厚生事業は大正時代より開始され、その後、全国的に広がりをみせました。2013年には、厚生連は全国に107の病院と61の診療所が存在します。

厚生連病院の特長として、約42%の施設が人口5万人未満の市町村に立地している点です。地域に根付いた病院です。

現在、厚生連が無いのは14府県です。中には、経営難により栃木県厚生連のように、2013年に下都賀総合病院、石橋総合病院の2病院に移譲し解散したものもあります。

新人教育プログラムは充実しておりスキルアップを目指すことができます。給与は看護師の一般的な金額に設定されています。

またJA厚生連の病院は田舎にあることが多いため、看護師不足の病院がたくさんあります。そのため、入職しても看護師一人当たりの担当する患者さんの数が他の病院と比べて多いことがあります

このときの給与や福利厚生は、他のJA厚生連の病院と変わりはありません。しかし、「離職率」や「看護師一人当たりに任される患者数」は病院によって異なるため、事前にその情報を得ておくことが得策です。

労災病院・JCHOの動向

これらの病院も上記の病院と同様に公的病院グループとなります。

労災病院の動向

労災病院は厚生労働省管轄の独立行政法人です。

労災病院の歴史は古く、1949年、労働省が「九州労災病院」を開設したのが始まりになります。その後、1959年に、労働福祉事業財団に移管され、労働保険料で整備された「労災病院」「予防医療センター」「健康診断センター」などを運営していました。

経営難により、2001年に「特殊法人等整理合理化計画」で労災病院の廃止・移譲が打ち出され、2004年の「労災病院の再編計画」で労災病院37施設を30施設に再編することになりました。

この経緯で5病院が廃止され、4病院が統合され2病院になりました。2017年現在、全国に34ケ所の労災病院があります。

2016年度の売上をみると全国第4位で売り上げは3136億円ですが、赤字が79億円あり、利益率としては-2.5%となっています(東京商工リサーチレポート)。

労災病院の特長は、他の総合病院よりも「疾病予防」「社会復帰」に力を入れている点です。禁煙外来を設けるなど、予防外来を設置しているところがあります。

看護師がケアする範囲が広いため、専門性を深めるというより、広い視野をもって業務をこなすスキルが必要だとされています。

教育制度や福利厚生は充実していますが、給与面に関しては他の病院と同程度となっています。

地域医療機能推進機構(JCHO)の動向

独立行政法人地域医療機能推進機構の歴史は浅く、2014年に発足しました。その前身となる社会保険病院や厚生年金病院、船員保険病院などは社会保険庁の廃止に伴い、JCHOに統合されました。

現在、地域医療支援病院や地域がん診療連携拠点病院、都道府県が指定する「がん診療連携推進病院」など57の病院施設と26の介護老人保健施設、7つの看護専門学校の運営を行なっています。

2016年度の売上をみると全国第3位で3586億円ですが、赤字は60億円で、利益率は-1.7%となっています(東京商工リサーチレポート)。

急性期から回復期・リハビリ期、介護までのサービスを一貫して提供できるのが特長です。保育施設が完備されているところが多く、福利厚生が充実しています。また資格取得の補助を行なうなど、教育プログラムが充実しています。

看護師の給与は他の独立行政法人の病院と同程度となっています。

徳洲会グループの動向

徳洲会グループは医療法人徳洲会を中心とした、全国規模で展開されている病院です。総数358の医療施設(72の病院、37のクリニック、41の老人保健施設)を経営しており、日本最大級の医療介護事業グループとなっています。

2006年にはブルガリアのソフィア市にソフィア徳田病院をオープンするなどし、国際的にも活躍しています。

2016年度の売上をみると全国5位の2066億円ですが、黒字6億円で、利益率0.3%となっています(東京商工リサーチレポート)。

徳洲会グループは、離島・へき地医療に力を入れており、積極的に取り組んでいます。また「生命は平等だ」という理念の下に、「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」を目指し、24時間年中無休でオープンしています。

このようなモットーを掲げているため、健康保険3割負担で困っている患者さんには、「猶予処置を行なう」「入院保証金や大部屋などの室料差額などは無料にする」「患者さんからの贈り物は一切受け取らない」「生活資金を立て替える・供与を行う」などの他の病院にはみられないサービスを実施しているのが特長といえます。

国際災害医療にも積極的に取り組んでおり、NPO法人TMAT(徳洲会災害医療救援隊)を結成しています。世界中で発生した天災に国際医療チームを派遣しているため、徳洲会病院では「国際医療にかかわるチャンスがある」といえます。

教育プログラムが充実しており、また研修プログラムが段階的に組まれており、「自分がどの程度、看護師として成長しているのか」を実感することができます。

ただし年間休日が105日しかなく、他の病院と比べるとプライベートを充実させることが難しいといった点が挙げられます。看護師の給与は平均額といえます。

中央医科グループの動向

中央医科グループ(CMS:Central Medical System)は、板橋中央総合病院(IMSグループ)を中心とした国内最大級の病院経営・医療事業グループです。

中央医科グループは、1956年に東京医科大学外科教室に在籍していた中村哲夫氏(IMSグループ)と弟の中村隆俊氏(TMGグループ)、中村秀夫氏(AMGグループ)の3兄弟により、東京板橋区に医院を開設したのが始まりです。

IMSグループの動向

IMSグループはその後、徐々に規模を拡大していき、関東だけではなく、北海道、宮城、山形、ハワイなど、急性期型・亜急性期型・慢性期型など35の病院と17の老健施設、8のクリニックがあります。

2015年4月の時点で、全国に93の病院や診療所、介護施設などを運営しています。

最近の統合事例としては、2015年4月に、日本郵政株式会社が売却した仙台逓信病院の経営を引き継ぎ、イムス明理会仙台総合病院として新たに設立しています。

IMSグループ内での2次救急の病院では、残業が当たり前でかなりハードに業務をこなさなければなりません。1日2時間しか残業代が付かないため、あとはサービス残業になってしまうそうです

さらに勉強会や研修は業務時間外で開かれるため、サービス残業となってしまいます。離職率は高く、看護師の平均年齢が低いですが、人間関係は比較的良いとされています。

基本給や夜勤手当、病棟手当、住宅手当も平均的です。残業代が2時間を超えると付かないため、仕事量に対して割が合わないと感じて、転職を希望する人も少なくありません。

看護師としての専門性を磨いてキャリアアップをしたい人にはおススメです。

また3次救急、慢性期病院や老健などでは上記の限りではありません。2次救急で最初にキャリアを積んでおいて、その後3次救急のある病院へ異動願いを出すこともできます。

TMGグループの動向

上記の中央医科グループの中村隆俊氏が率いる戸田中央医科グループ(TMG)は1962年に戸田中央総合病院が開設されたのが始まりです。

2015年6月現在、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、静岡県の一都四県下に、27の病院と6の老人保健施設、医院、検診センター、訪問看護ステーションなどの医療関連事業を展開しています。グループ内の医療機関、施設全体では112施設、1万2594人の職員が勤務しています。

その中枢機関を担っているのが「戸田中央総合病院」です。最近の統合事例として、2015年に「よこすか浦賀病院」をTMGグループとして継承しています。

2014年4月から、志木市立市民病院の譲渡を受け、TMG宗岡中央病院として新病院を竣工させて引き継ぎました。朝霞台中央総合病院の増床と新築移転工事に着手するとともに、熱海が一望できる病院の新規開設や新座志木中央総合病院の増床と増改築にも取り組む予定となっています。

さらに2017年3月には、医療と介護と福祉の複合施設「ONE FOR ALL横浜」が開設されました。トータル・ヘルスケアグループの進化を目指し、医療・介護・福祉のサービスを充実させていくビジョンで活動しています。

看護分野の興味に応じて専門分野を深めていくことも、TMGグループの他施設で看護や介護を体験することもできるため、幅広い分野の技術を修得することができます。そのため、もし転職したとしても「この部署は私には合わない」と思えば、異動を願い出ることが可能です。

福利厚生としては、寮や24時間保育施設が完備されていることや、年に1回ハワイ研修旅行もあります。

院内で運動会やソフトボール大会、ピンクリボン運動などのイベントが多く開催されるため、プライベートな時間が割かれてしまうのが嫌な人はあまり向いていないかもしれません。

基本給や夜勤手当、病棟手当、住宅手当は看護師の平均的な額となっています。

AMGグループの動向

また中村秀夫氏が会長を務める上尾中央総合病院グループ(AMG)は1964年、上尾市立病院を引き継ぎ「上尾中央医院」として開設されたのが始まりです。

埼玉県のほか、東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県、山梨県など1都4県に27の病院と21の老人保健施設、ほかにもクリニックや訪問看護ステーション、訪問介護ステーションなどがあり、総事業所数は133を超えます。

最近行われた統合事例としては、2008年に埼玉県の「埼玉草加病院」を統合しています。

設立当初より、診療と経営を分離した運営を行なっています。スペシャリストの育成を強化しており、学会や研修会などを頻繁に実施しています。事務職においても早期の段階で、事務職認定試験制度を採用してきました。研修会や勉強会などが充実しており、スキルアップを目指すことが可能となっています。

「地域で一番必要とされる病院・施設となる」「地域で一番働きたい病院・施設となる」というビジョンを掲げています。

教育や福利厚生に定評があり、全病院で新人看護職員研修制度を導入しています。また資格支援制度にも力を入れており、スキルアップを目指すことができます。他のグループ病院と同様、異動が多いのが特長です。こちらも寮や24時間託児所が完備されています。

基本給や夜勤手当、病棟手当、住宅手当は看護師の平均的な額となっています。

南東北病院グループの動向

南東北病院グループは、福島県、宮城県、青森県を基盤として、病院・診療所・介護老人保健施設・特別養護老人ホーム・身体障害者療護施設などの50施設を展開する医療・福祉の総合グループです。

付属総合南東北病院がグループの中核病院です。

「医療法人実践会・南東北福島病院」において2008年に民間で初めて、がん陽子線治療を行なう「付属南東北がん陽子線治療センター」を開設しています。がん陽子線治療の先端病院です。

2010年4月には、東京中野区の慈生会病院の経営を引き継ぎ、「総合東京病院」として開院しました。さらに2012年には神奈川県川崎市に「新百合ヶ丘総合病院」を開院しています。

南東北病院では、がんの早期発見と診断に使うPET-CT(陽電子放射断層撮影装置)や放射線(エックス線)で病巣を集中照射する国内初導入のサイバーナイフ(定位置放射線治療装置)、手術ロボットなど最先端機器を備えるなど、がん治療施設としては世界でも最高クラスの施設を誇っています。

また、災害対応のためのヘリポートなども整備しており、首都圏で活発な医療活動を担っています。

さらにグループの中心となる「総合南東北病院」では民間企業では世界初となる、再発がんや進行がんの治療装置「ホウ素性中性子捕捉法(BNCT :Boron Neutron Capture Therapy)」の導入をしています。

総合南東北病院では2017年にはさらに新病棟をオープンしました。今後もバージョンアップされていく予定となっています。

将来も最先端医療の病院として医療活動が行われる予定となっています。雑誌でも頻繁に取り上げられ、常に「病院ランキング」ではランクインされています。

ここで働く看護師はもちろん、世界最先端治療の看護が行えます。また夜勤手当が一回20,000円と平均相場よりも高く設定されている(2交替制)など、給与面では平均よりやや高い傾向にあります。新卒看護師の3年間で59名入職し、そのうち離職したのは2名となっています。

賞与は4ケ月分、年間126日(公休122日に加えてリフレッシュ休暇4日)、福利厚生もしっかりしています。

また「乳児9カ月から保育及び小学校3年生までのキッズルームの併設」や「日勤常勤制度」もあり、ママさんナースも働きやすい環境が整えられています。

最先端の看護を学びながら、スキルアップを目指していきたい看護師にはおススメの病院といえます。

国際医療福祉大学・高邦会、偕行会の動向

国際医療福祉大学・高邦会グループは大学のある栃木県のほか、東京、千葉、熱海、九州の5地区で運営を行なっています。また、偕行会グループは、愛知県を中心として、岐阜、三重、長野、東京、埼玉、静岡などで展開しています。

国際医療福祉大学・高邦会グループの動向

国際医療福祉大学・高邦会グループの中心となるには「高木病院」です。古くから福岡県や佐賀県南部地域の基幹病院となっています。

栃木県に日本初、医療福祉の総合大学として国際医療福祉大学が開学しました。現在9学部 22学科と大学院が開設されています(2017年現在)。2009年に「塩谷総合病院」の経営を引き継ぎ、国際医療福祉大学塩谷病院の運営を行っています。

2007年には「PET-CTセンター」と「がんセンター」を導入し、専門性を深めた質の高い医療を行っています。

2009年には「福岡山王病院」「柳川リハビリテーション病院」「みずま高邦会病院」などをオープンさせました。東京地区でも、「山王病院」「山王メディカルセンター」を運営しています。

東京にある「山王病院」は一度見学にいくと分かるのですが、病院というより「ハイクラスホテル」のような作りになっています

病院では珍しく床は絨毯で、家具や食器にもこだわりがあります。富裕層や芸能人、外国人に人気のある病院として有名です。そのため、スタッフの接遇は大変重視されています。礼儀作法に自信のある方にはおススメです。また英語を活かしたい人には向いています。

残業時間はあまり無いとされています。ただし年休暇数が少ないので、「プライベートで旅行に行くのが趣味」という人には向いていません。

看護師の入れ替わりが多く、慢性的な人手不足のため、教育制度が他の病院と比べてあまり充実していません。中途採用の場合、ほったらかしとなってしまうことも多く、ある程度看護師経験に自信がある人向けの病院といえます。

地域によって異なりますが、基本給や夜勤手当、病棟手当、住宅手当は看護師の平均的な額となっています。東京地区ですと地方のグループ病院と比較して、給与はやや高めの設定となっています。しかし賞与が少ないため、総支給額は平均よりやや低めになる可能性があります。

どこの病院に転職するにせよ、給与面が心配な方は転職サイトを利用するほうが得策です。転職エージェント(コンサルタント)を介することで、給与交渉を行なってもらうことができるからです。

とくに中途採用者は、基本給に関して統一された規定を設けていないことが多く、給与交渉次第で大きく差が出てきてしまうことがあります。自分の満足する環境で長く働くためには、給与面での交渉を行うことが大切です。

複数の転職サイトに登録をしておくと、「希望する病院とのつながりが深い転職会社」に巡りあえる可能性が高いため、より給与面での待遇が良くなる可能性が高くなります。

偕行会グループの動向

偕行会グループは、透析医療、高度先端医療を柱としています。

「名古屋共立病院」「偕行会リハビリテーション病院」「偕行会城西西病院」などの病院医療事業部以外にも、「透析事業本部」「名古屋放射線診断財団」「在宅医療事業部」があります。さらに関東地区では、豊島中央病院と5つのクリニックがあります。

世界展開にも積極的で、日本の医療法人としては初のインドネシアに進出し、「カイコウカイクリニックスナヤン」を開設しています。このクリニックでは画像管理システムを導入し、画像診断装置や透視装置で撮影した画像を日本で解析することができるようにしました。

多くの種類の医療専門職が活躍しているため、看護師は看護に専念できるのが特長です。

福利厚生はしっかりしていますが、基本給や夜勤手当、病棟手当、住宅手当は看護師の平均的な額となっています。賞与は年2回で、4.5ケ月分の支給があります。

転職は様々な情報を取り入れて決定する

以上、日本にある主な病院グループの病院経営や今後の動向をお話してきました。多くの病院は経営面で厳しい局面にさらされているとことがお分かりいただけたかと思います。

今後転職する際に、「病院経営はどうなっているのか」という視野を、病院を選ぶ基準の一つに考えていくことが大切です。廃止・移譲・解散などになってしまうと、再度一から転職活動を行う必要が出てきます。

もちろん、経営状態や動向だけで病院を決めることはできません。

しかし、このような厳しい病院経営状態であるからこそ、「看護師として自分には何ができるのか」を考え、「より質の高い看護を実践し、患者さんや病院に還元していく」ことを意識できるようになるのです

厳しい状況に敢えて自分から飛び込むことは大変なことかもしれませんが、「スタッフが一丸となって一つの目標に向かって進むことができる環境にある」ともいえるのです。

病院経営環境や動向などの大きな視野をもち転職活動を行うことで、あなたらしい看護の道に近づくことができます。転職には様々な情報を取り入れ、「あなたに合った、あなたらしく働ける職場」を選ぶようにしていってもらいたいと思います。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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看護師として活動するうえで、私自身も転職活動をしたことがあります。このときは転職サイト(転職エージェント)を利用したため、そのときの実体験や方法を踏まえ、失敗しない転職について紹介します。

管理人による転職体験記

・転職エージェントを活用し、看護師転職で成功する

看護師の転職で失敗しない方法として、必ず意識すべきことの一つに「転職サイト(転職エージェント)を活用する」ことがあります。年収交渉や勤務条件を含めすべて代行してくれるからです。そこで、具体的にどのように活用すればいいのかを確認していきます。

転職サイトの活用法

・看護師転職サイトのお勧めランキング

看護師の転職サイトはそれぞれ特徴があります。「対応地域が限定されている」「取り扱う仕事内容に特徴がある」「非常勤(パート)に対応していない」などサイトごとの特性を理解したうえで活用すれば、転職での失敗を防げます。

お勧め転職サイトランキング

新たな看護師の働き方

・美容クリニック・美容皮膚科への転職

夜勤なしで高年収を実現できる求人として、美容クリニック・美容皮膚科があります。死と隣り合わせの職場ではなく、患者さんを美しくする手伝いを行うのが美容クリニックです。

美容クリニックへ転職する

・派遣看護師で高時給・好待遇を狙う

一つの職場で働き続けるという形態ではなく、3ヵ月や半年など一定期間だけ勤務する派遣看護師という方法も存在します。高時給を実現でき、人間関係のもつれがなく、「派遣が終わった後は長期の旅行に行く」など自由な働き方を実現できます。

派遣看護師で働く

・単発・日払いの高時給求人を探すには

「今月は苦しいため、もう少し稼ぎたい」「好きなときだけ働きたい」など、こうしたときは高時給を実現できる単発・スポットバイトが適しています。健診やツアーナースなど、看護師ではさまざまな単発案件が存在します。

単発・スポットバイトで働く