看護師にとって「やりがい」とは何でしょうか。

新人看護師のときは仕事を覚え一人でこなせるようになったこと、中堅看護師のときは新人指導や他職種との連携がうまく行えるようになったこと、ベテランともなると引きつれたチームの力を最大限に発揮することができたことなどではないでしょうか。

そして新人も中堅もベテランも看護師としてのやりがいで共通していえることは、頑張ったその先に患者さんの笑顔がみられることがあげられます。

しかし看護の経験を重ねれば重ねるほど、毎日多忙な仕事に追われ、要領よく行動して仕事を時間内に終わらせる方法を自然と身につけていくことが多くなります。もちろん患者さんを待たせないように、時間をかける必要のない仕事はテキパキと終わらせることも大切でしょう。

しかし多忙を言い訳にして無意識に「看護を業務」として捉え、患者さんを相手にした看護もいつの間にか流れ作業になってしまってはいないでしょうか。

そのようなことをしてしまったとき、ふと立ち止まってほしいのです。いま、あなたが行なっている看護は本当に流れ作業の一環としてやってもいいのでしょうか。看護のやりがいとは、目の前にある仕事を滞りなく無事に終わらせることなのでしょうか。

この看護のやりがいの再確認については、あなたの看護の質を上げ専門性を高めていくことで、その実現が可能となります。専門性を身に付けるためには、看護に関する資格を取得することで、視野が広く深くなり、本当に必要な看護のやり方がみえてきます。

資格取得の勉強を通して、あなたよりも経験豊かな先人たちが自らの経験や勉強を通して学んだ数多くの失敗や成功を知ることができます。それをあなたの知識や技術として身に付けることで、看護師の仕事に深みがでてくることでしょう。

今回は数多くある資格の中でも、循環器・呼吸器を専門とする看護師が取得したい資格についてお話していきたいと思います。

循環器・呼吸器の看護師が取得したい資格とは

循環器・呼吸器は生命に直結する領域であるため、患者さんの異常にいち早く気づき、迅速な判断と対応をすることが求められます。その一方で、循環器・呼吸器疾患は慢性疾患でもあるため、食事指導や生活指導なども看護の重要な役目といえます。

急性期・慢性期、このどちらも、看護の専門性を必要とするのが循環器・呼吸器の看護師です。

そこで循環器・呼吸器科に勤務する看護師のキャリアップにつながる、身に付けておくと有利な資格についてご紹介していきます。

循環器専門ナース

循環器専門ナースは、臨床心臓病学教育研究会(Japanese Educational Clinical Cardiology Society 略称:ジェックス)が主催となり、日本心臓財団が後援している認定資格となります。

循環器専門ナースとは、心筋梗塞、心不全、狭心症、不整脈など循環器疾患に対し、高度な技術と知識の習得を行なった看護師に与えられる資格です。

循環器専門医療機関などの医師と対等の知識をもち、臨床の現場での迅速な対応や判断ができる看護師の育成を行っています。

具体的には、循環器疾患で急な発作が起こった場合、その場に居合わせた看護師の迅速で的確な対応により重篤な状態を免れる可能性が高くなります。

また、循環器疾患に関する症例やデータを読み取り、患者さん個人個人に合わせた健康管理指導を行ないます。

そのため講義は、「心電図」「循環器薬理学」「循環器生理学」「循環器解剖学」「循環器病機能検査」「ECG:即治療を要する不整脈、アブレーション」「栄養学」「慢性心不全:原因、メカニズム、治療法」「心臓手術:体外循環、術後管理」など、循環器に関する内容が多岐に渡っています。

【取得条件】

申し込み時点で、准看護師、正看護師合わせて5年以上の看護経験を有すること(ただし正看護師として1年以上の経験が必要)

循環器専門ナース研修コース(2ヶ月間)を計4回(土日)受講すること

【取得までの流れ】

① 研修会

夏季と冬季の年2回開催される

例えば冬季研修であれば、1月中旬より約2ケ月間、土日ごとに計4回の研修が実施される

開催時間:毎週土曜日が14:00~18:20で講義後に夕食をしながらのグループ討議 日曜日が9:00~13:20

受講料:155,000円(研修費、および土曜日4回分の夕食や教材代を含む)

場所:ジェックス研修センター(大阪市淀川区)

定員:42名

② 認定試験

試験問題が郵送されるので、期限内に解答用紙を返送する

③ 合格・認定

④ 更新

2年おきに更新が必要

更新料:2,000円

循環器の看護師としてキャリアを積んでいきたい看護師にとって、専門性を高めるのに適した資格といえます。

もし現在の職場で循環器の症例研究が行なえない状況である場合は、看護師転職サイトなどを利用して情報を集め、循環器での症例研究が行なえる職場に転職するほうが良いでしょう。

そのような職場には循環器専門ナースの資格を取得した看護師が在籍している可能性が高く、資格取得だけでなく資格を生かす方法など具体的なアドバイスを貰える機会が増えます。

人工心臓管理技術認定士

人工心臓管理技術認定士は、2009年度より日本人工臓器学会、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本体外循環技術 医学会、日本臨床補助人工心臓研究会の4学会1研究会(4学会1研究会合同試験委員会)が認定する資格です。

人工心臓管理技術認定士とは、医師の指示のもとで行う(補助)人工心臓の管理において専門的な技能や高度な知識を有する能力をもつ人のことをいいます。

【取得条件】

4学会・1研究会のどれかの学会員であること

心臓血管外科専門医認定機構が認定する施設(医療法が定める病院など)において、臨床工学技士もしくは看護師として3年以上の経験を有し、常勤であること

日本において製造販売承認されているすべての補助人工心臓システムについて各製造販売企業が開催するセミナーを受講し、研究修了資格を有する者

4学会・1研究会の主催するセッション、セミナー、懇話会に5年間で5回以上参加を行なった者(ただし、日本臨床補助人工心臓研究会に1回以上の参加が求められる)

5症例以上の「(補助)人工心臓治療症例記録」をもち、提出できること

【取得までの流れ】

① 認定試験

申し込み:5~6月初旬

日程:7月中旬

会場:東京

受験料:10,000円

試験方法:筆答試験、口頭試験

② 合格・認定

11月頃に開催される日本人工臓器学会大会において発表される。

合格者はウェブサイトに開示することがある。

③ 更新

5年ごと

再試験を受ける必要はないが、セミナーやセッションに5年間で5回以上参加することや、5症例以上の「(補助)人工心臓治療症例記録」の提出を行なう必要がある

更新料: 5,000円

人工心臓管理技術認定士の受験資格として、学会の行なうセミナーやセッションへの出席が義務付けられています。これらの条件を最初にクリアするのが大変です。

しかし、この資格を看護師が取得することによって、補助人工心臓や移植に関して医師や臨床工学技士、移植コーディネーターとの連携が深まり、患者さんにより安全で安心した看護を行なうことが実現できます。そのため、人工心臓を多く扱う科に勤務する看護師にはお勧めの資格です。

心臓リハビリテーション指導士

心臓リハビリテーション指導士は、日本心臓リハビリテーション学会が認定する資格です。

心臓リハビリテーション指導士とは、運動療法だけでなく食事療法や禁煙指導など生活指導を行なう包括リハビリテーションを指導する人のことをいいます。コメディカル(医療専門職)間での連携や共同作業といったチーム医療を実践できる技術の習得を目指しています。

心臓リハビリの専門的な技術や知識は、動脈硬化性疾患の発症を予防したり、治療や再発予防をおこなったりするのに有効とされています。

具体的には、心臓リハビリテーション指導士は運動をすることで得られる循環動態の変化を知識として獲得しています。そのため、メタボリック症候群に対する保健指導や、糖尿病、高血圧、脂質異常症といった危険因子のある患者さんに対して安全で効果的な運動指導や生活指導を行なう際に役立ちます。

【取得条件】

日本心臓リハビリテーション学会の会員であること

心臓リハビリ指導の臨床経験を1年以上有すること(もしくは心臓リハビリ研修制度による受験資格認定証が交付されていること)

講習会に参加すること

【取得までの流れ】

① 講習会・試験

申し込み:ウェブサイトにて3月中に掲載される

日程:毎年7月に2日間開催予定

会場:東京

受講料:10,000円

審査料:15,000円

試験内容:50問の択一式

申請を行なうにあたって、10例の症例の提出が必要

心臓リハビリ指導の臨床経験がない場合は、事前に指定の研修を受講する必要がある

② 更新

更新期間:5年間

更新料:10,000円

一回以上の学術集会参加などを行ない50単位の取得が必要となる

心臓リハビリテーション指導士の資格の合格率は60%前後です。不合格した場合は、翌年に開催される試験だけを受けることが可能となっています。

血管診療技師(CVT)

血管診療技師は、2006年より日本血管外科学会、日本脈管学会、日本静脈学会の3学会で認定されている資格です。2014年からは日本動脈硬化学会も加わり、全部で4学会による認定資格となりました。

血管診療技師とは、血管疾患である動脈硬化や下肢静脈瘤、糖尿病による壊疽、エコノミークラス症候群などに対して、ハイレベルな知識と技術を有するコメディカル(医療従事者)に与えられる資格です。

日本では年々、高齢化や生活習慣病の患者の増加により血管疾患が増えている傾向にあるため、これから役立つ機会の多い資格といえるでしょう。

【取得条件】

看護師であれば3年以上、准看護師であれば5年以上の臨床経験をもち、血管疾患を専門とする医師のもとで十分な血管疾患診療の経験を有すること

4学会が推奨する講習会の参加が必須

【取得までの流れ】

① 認定講習会に参加

申し込み:5月(日本血管学会総会開催時期)、7月(日本血管検査法研究会セミナー開催時期)、10月(日本脈管学会総会開催時期)の年3回 詳しくはウェブサイトで確認

受講料:10,000円

受験資格を得るためには、座学と実技の両方を受講する必要がある

② 試験

申し込み:6月末頃に締め切られる

日程:毎年9~10月ごろ(4学会の総会開催時期に応じて毎年日程が異なる)

会場:東京

受験料:10,000円

試験内容:血管疾患の病態に関する基礎知識、血管疾患診療に関する専門知識50題、血管疾患検査に関する実技(現在は申請書類による評価)

指定図書:「血管無侵襲診断テキスト」血管無侵襲診断法研究会編集(南江堂)など

③ 登録

登録料:10,000円

認定期間:5年間

④ 更新

更新手数料:5,000円

4学会の学術総会、講習会の参加などを行ない、50単位を取得することが必要

この資格を取得する看護師は、「フットケア指導士」という資格も取得し、フットケア血管外来などで勤務している人もいます。ABI(足関節上腕血圧比=足首収縮期血圧÷上腕収縮期血圧)検査やSPP(皮膚還流圧)検査などで、患者さんの末梢血流状態を把握し、生活指導に活かしています。

フットケア指導士については、当サイトの「内科の看護師が専門性向上のために取得したいキャリアアップ資格」にまとめているので、そちらを参考にしてください。

また1000人以上いる血管診療技師の資格取得者の大半が臨床検査技師で、看護師はまだ数十人と数えるほどしかいません。そのため、血管診療技師の資格をもつ看護師は貴重な存在といえるでしょう。

その他の資格

他にも循環器・呼吸器の看護師が取得しておくとよいとされる資格についてあげておきます。

学会認定・自己血輸血看護師」や「学会認定・臨床輸血看護師」は、当サイトの「救急・ICU・手術室の看護師がキャリアアップするための資格」に記載しています。

3学会合同呼吸療法認定士」「呼吸ケア指導士」「抗酸菌症エキスパート」「BLSヘルスケアプロバイダー/ACLSプロバイダー/PALSプロバイダー」は、当サイトの「看護師が未経験分野への転職を成功させる有利な資格とは」にまとめてあります。

そちらも参考にしていただけたらと思います。

資格取得を通して看護の質が変わる

「資格はたった一つだけ手に入れることのできた、その分野での専門能力にすぎない」と考える人もいます。

しかし看護師としてのやりがいを求め、キャリアプランを立てるさいに資格取得は道しるべになったり、自信になったり、キャリアアップの助けにつながったりします。

私の昔の看護師の同僚に「資格を取得することは、頭でっかちになるだけ」といって資格取得から逃げている人がいました。その人は、ルーチンワークのように与えられた仕事を淡々とこなす日々を送っていました。もちろん患者さんへの接し方も事務的でした。

しかしどうしても病棟で資格を取らないといけない事情があり、彼女はしぶしぶ資格取得のための勉強を始めました。すると資格取得の勉強を通して、見違えたかのように看護の質が向上しました。

専門分野を深めていくことで「自分でないと出来ない仕事がある」「自分でないと伝えられない看護がある」と彼女は気づいたのです。資格取得後、彼女は「自分のことより、患者さん目線」で看護を考えるようになり、患者さんから笑顔を引き出せるようになりました。

資格取得を通して得た経験は、彼女の看護人生を変える大きなきっかけとなったのです。

このように資格取得を通して看護の質は高まります。たった一つだけ手に入れた専門能力だけではないのです。あなた自身が変わるきっかけにもなります。

これからのあなたに結びつく資格に巡りあい、患者さんのために、あなた自身のために、資格取得にむけて頑張っていただけたらと思います。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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