保健師に転職したい看護師は、保健師を一生の仕事に選ぶからには、保健師の収入や勤務形態について知っておくことが大切です。保健師は「公務員だから正規職員になれる」「夜勤がない分、看護師より給料が安いのではないか」「資格を取ったら、すぐに保健師として働くことができる」などと思われていることが多いです。

しかし、場合によっては上記のような待遇や勤務形態ではないこともあります。保健師になったあとで「こんなはずではなかった」「看護師のときのほうが雇用条件は良く働きやすかった」などと後悔することになっても、保健師の資格をとるために費やした時間やお金は戻ってきません。

保健師になるからには、どのような勤務体系があって、どのくらいの収入を得ることができるのか、大まかな目安を知っておくことで将来設計を立てやすくなります。そこで今回は、保健師の給料や勤務形態について詳しくお話していきたいと思います。

保健師の給料は市町村や企業によって異なる

保健師の給料は一体どのくらいなのでしょうか。保健師といっても、保健センターで勤める保健師や産業保健師などさまざまです。それぞれの保健師の給与を順にみていきましょう。

公務員として保健師になる場合の給料

保健師はほとんどの場合、地方公務員になります。地方公務員の給与は、保健師だから〇〇円と決まっているわけではなく、「地方公務員法」という法律に基づき各自治体で細かい規定が設けられています。市町村保健師よりも、都道府県保健師のほうがやや給与が高い傾向にあります。

2015年の「地方公務員給与実態調査」によると、全国の地方公共団体の平均給与は一般行政職で334,283円(平均年齢43.5歳)、看護・保健職で316,503円(平均年齢46.7歳)でした。初任給については、大学卒の保健師Ⅰ類は203,400円、短大卒のⅡ類は191,300円です。

公務員の場合、給与以外に条件はありますが、住居手当や扶養手当などの諸手当があります。扶養手当では配偶者が13,000円、子等が6,500円です。住居手当が最高27,000円、その他にも通勤手当や単身赴任手当があり、平均で8万円前後になります。

しかし、公務員は地域の賃金水準や地方自治体の財政状況の影響を直接受けるため、給与は一律ではなく、各自治体によって平均額から前後することがあります。

公務員保健師の人気があるもう一つの理由は、地方公務員の常勤職員は「共済組合」に加入する点です。共済組合は社会保障制度の一つです。共済組合に加入すると、年金に職域加算が行われ、「厚生年金」などの年金制度よりもさらに増額される仕組みになっています。

ちなみに昨今、年金制度に関しては「見直しが必要」との声も上がっており、将来的にはどうなるかは定かではありません。しかし当面は、大企業並みの安定した保障が受けられるとされています。

企業の保健師になる場合の給料

企業に勤める保健師の場合は各企業や雇用形態によって異なりますが、一般的に常勤であれば他の正社員と同様の給与が支払われます

基本的に、中小企業での若い保健師の場合では平均年収300万円前後であることも多いです。一方、大企業の保健師になるとキャリアを重ねていって最終的に1000万円に達することもあり、産業保健師の給与は一概にいえません。

また企業によっては、保健師という国家資格を有する専門職として評価されることもあれば、大学卒・専門学校卒などの最終学歴で給与額が変動することもあります。

産業保健師は、勤める企業によって平均的な給与水準が大きく異なります。希望する企業がある場合は、企業訪問をしたり転職サイトなどに登録したりするなどし、事前に情報を得て大体の給与額を知っておくことが大切です。

学校保健師になる場合の給料

学校保健師の平均月収は約25万円前後とされています。平均年収にすると、300~400万円くらいになります。行政保健師よりはやや低めの年収となります。

学校保健師の場合、公立小中学校よりも、私立学校のほうが収入は高い傾向にあります。こちらも勤続年数や保健師の経験年数によって、年収は徐々に増加していく傾向にあります。

勤務形態は正規職員が9割

日本看護協会の「保健師の活動基盤に関する基礎調査」によると、保健師として勤務している人の約9割は正規職員です。活動分野別にみると産業保健師は正規職員の割合が低く、約7割程度となっています。

保健師は正規職員として雇われる人の割合が多く、臨時職員(雇用期間の定めのある人)やパートタイマー、アルバイト、派遣で働いている人は1割程度です。この場合、時給制であることが多く、地方のほうが時給は安く設定されている傾向にあります。

地方の市役所の保健師が臨時職員として勤務した場合、時給1100~1500円程度です。一方、企業や首都圏の市・区役所で臨時職員として勤務した場合は、時給1500~2200円が相場となります。やはり首都圏のほうが時給は高くなるなど、就業する地域によって大きく異なります。

保健師になる上で知っておくべき内情

では次に保健師になる上で、保健師はどのような職場で働いているのかを確認していきたいと思います。

保健師は看護師よりも女性の多い職場

保健師は一昔前「女性しかなれなかった」という歴史があり、現在でも大半を女性が占める職種となります。日本看護協会の調査によると、保健師の約98%以上が女性で、男性はわずかに2%弱という割合になっています。

看護師も女性の多い職場ですが、精神科などの病棟では男性看護師が重宝されるなど、次第に男性看護師の活躍が目立ち始めています。現在病院に勤務している男性看護師は全体の約6%です。

男性看護師の割合に比べると、男性保健師の割合はわずかです。しかし今後は、男性保健師が活躍できる場が広がっていくと考えられています。

例えば、育児相談などの母子保健業務は、女性の保健師に相談するほうが気兼ねがなくていいと考えられてきました。しかし「イクメン」という言葉があったり、女性の社会進出が拡大したりしたことにより、男性も育児に参加する姿があちらこちらでみられるようになりました。父親だけが赤ちゃんを連れて乳児検診に参加することもあります。

そのようなとき、大勢の母親の中で不安な気持ちになる父親に対し、男性保健師がその場にいることが父親にとっては何よりも心強く、相談できる存在となるでしょう。

男性・女性に関係なく、さまざまな保健師が在籍していることで、相談者の多様な相談に応じられるようになります。今後、徐々に男性保健師は貴重な存在になってくると予測されます。

保健師未経験であれば、保健師がたくさんいる職場を希望する

大学や保健師養成校で保健師の技術や知識を学び、国家試験に合格して資格を得たとしても、「保健師としての経験」がなければ、卒業直後にいきなり一人前の保健師として働くことは難しいです。これは看護師と同様です。看護師も現場で経験を積んでいくことでようやく一人前に成長していけます。

やはり新卒で保健師として勤務するには、保健センターや保健所、大企業など保健師が多く在籍している職場で、先輩保健師に相談しながら経験を積んで一人前になっていくことが重要です。

中小企業や地域包括支援センター、訪問看護ステーション、介護老人保健施設、介護老人福祉施設、社会福祉施設など保健師が在籍していても、一人しかいないような職場ですと、保健師未経験の場合、仕事をするのは難しいとされています。

保健師の経験がないようであれば、最初は、複数保健師が勤務している事業所で働いて経験を積み、ある程度の自信がもてたら上記のような事業所に移るほうがスムーズです。

保健師の求人は希少なため、情報網を巡らせておく

保健師はやはり人気の求人です。辞める人も少なく、求人が出たとしても一人か多くても二人の募集というのが現状です。大手企業であっても、一人しか保健師が勤務していないことも多々あります。保健師の求人自体、希少な案件といっていいでしょう。

ハローワークやeナースセンターで、まれに保健師の求人情報が出ることがあります。しかし求人の少ない保健師の場合は特に情報争奪戦になりますので、やはり複数の転職サイトに登録しておいて、「保健師の求人が出たらすぐに知らせてください」と担当コンサルタントに知らせておくのが一番です。

保健師が必要となった企業は、ハローワークに求人を出すと応募者が殺到し、選考を行うだけで時間とお金が大量にかかってしまい業務に差し支えることがあります。そのようなとき、企業は転職サイトに人材の求人を依頼して、転職サイトは保健師を希望している人だけを企業側に紹介する「非公開の求人」を扱うことがあります。

転職サイト一社だけに登録していても、保健師の案件自体が少ないので、なかなか求人情報を得られない恐れがあります。

そこで転職サイトに複数登録し、「保健師のみ情報を流してほしい」という旨を担当コンサルタントにしっかり伝えましょう。すると転職サイトから頻繁に電話がかかってくることはあまりありませんし、もし保健師以外の求人を紹介されたとしても、「保健師以外は興味がない」といって断りやすいといえます。

保健師は地域以外にも国際的な活躍の場もある

保健師は、地域や企業で活躍するだけではありません。なかには国際的に活躍できる興味深い求人が出てくることもあります。

例えば、2013年に独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)で保健師の募集がありました

宇宙飛行士や職員の健康管理を行う保健師を応募しているというものでした。「3年以上産業保健師として勤務した経験や日常英会話が行える」「職場復帰支援に関して実務経験がある」などの応募要件が細かくあり、狭き門でした。しかし応募条件さえ満たせば、普通では経験できない体験がたくさんできる貴重な求人です。

また、大手企業で支店や研究開発部門が海外にある場合、産業保健師として採用され、希望すると海外勤務が実現できることもあります。現地で働く社員の健康管理や疾病予防のために派遣されます。

さらに、海外にある日本人学校の養護教諭としての案件もあります。これは各自治体が行う教員採用試験の合格後、教育委員会に推薦してもらうことで海外への派遣が決定されます。現地の日本人の児童や生徒、その家族の健康管理を行う仕事になります。

保健師の経験がなくても海外に行くこともできる

「私は保健師の経験がないし英会話もできない。これでは、海外に行くことはできない」と諦めるのはまだ早いです。保健師としてJICAの海外ボランティアとして海外へ行く方法があります。これは保健師としての経験が必要ないため、海外で自分の力を挑戦することができます。

JICAは日本政府が支援を行っている国際支援団体です。毎年多くの技術や知識をもった日本人がボランティアとして発展途上国に派遣されています。学校で培った保健師の専門知識を生かして、現地で疾病予防や健康増進を普及させる活動を行います。契約期間は2年間です。

「2年もの間、ボランティアだけで生活していくことは不可能だ」と考える人がいるでしょう。しかし、JICAはボランティアといっても、日本と派遣先の国の往復渡航費が支給されることはもちろん、住居と月々285~830米ドル(1ドル100円で計算すると約28,500~83,000円)の生活費が提供されます。生活費の金額は派遣先によって異なります。

さらに2年間の派遣期間が終了して日本に帰国した際は、帰国社会復帰手当として、240,000~1,320,000円(雇用保険に加入しているかどうかで算定される)が支給される仕組みになっています。

現地の人の文化を受け入れ、生活に寄り添い、国際的な経験を得られることから、大きな世界に飛び立っていきたい保健師には大変貴重な経験といえます。なかには人生観が180度変わって、器の大きな視野の広い人間になって帰ってくる人もいます。

保健師として働く自分をイメージしよう

「公務員だから」「大手企業だから」といった給与面や雇用面だけで保健師を目指すのではなく、仕事内容やどのようにキャリアアップしていけばいいのかをしっかりイメージしたうえで、保健師という仕事に従事することが大切です。

「公務員として地域のために何ができるのか」「企業で何が貢献できるのか」「私という人間は保健師としてどのように活躍するといいのか」「自分は保健師としての何にやりがいを感じるのか」など何度も自問自答し、あなたが笑顔で働いているところをイメージしましょう。そのイメージが具体的になればなるほど、夢が現実に近づいてきます。

そうすることで保健師という狭き門にも挑戦でき、仕事を楽しんで行うことができるでしょう。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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