看護師として転職・復職を考えているが、ブランクがあるので不安だと考えている人は多いです。どうしても仕事をしていない期間があるため、優れた職場に転職できるのか悩むのです。

看護師は覚える仕事が多く、しかも体力仕事です。若いときに看護師を経験していても、出産や育児などで一度でも看護職を離れてしまった人からすると、「あのように過酷な職場に戻るのは至難の業で不安」と考えるのは当然です。

ただ、あなたのライフワークに合った職場に転職することができれば、いくらブランクが長くても復職するのは可能であり、キャリアップしていくことができます。

例えば私の勤める職場の看護師の中には「ブランクが8年あり、仕事ができるかどうか不安なためパートで入職した人」がいます。その後、仕事ぶりが評価され正社員(常勤)となり、いまでは内視鏡検査技師の資格を取得して、職場に必要な人物として活躍しています。

ブランクがあったとしても、問題なく活躍することができます。そこで、ブランクのある看護師が転職を成功に導く方法について解説していきます。

ブランクによる復職への悩みと正社員・パートへの不安解消方法

ブランクのある看護師が抱えやすい悩みとはどのようなものでしょうか。これについて、一番は「仕事についていけるかどうか」になります。若い頃のような体力も記憶力はなく、看護師というハードな仕事の第一線から退いたため、仕事復帰を不安に感じる場合が多いのです。

いきなり働き始めるとなると、いままでの生活が一変します。あなただけでなく家族にとっても、生活に変化が出てしまいます。そこで無理のない範囲で働ける職場を選び、徐々に仕事に慣れていく必要があります。

そうしたとき常勤やパートとして、ブランクのある看護師におすすめの職場は次の通りです。

  • 規模の小さいまたは予約制のクリニック
  • 慢性期病棟(精神科・老人ホーム・老健など)
  • 透析や内視鏡介助、健診など専門的な仕事を行う職場
  • 夜勤なしの病棟

急性期病棟などで夜勤や時間外勤務などをブランク前と同様にこなし、バリバリ働き始めると仕事内容がきつく、体に馴染まないケースが多々あります。このような場合、一旦復職はしたものの体が悲鳴をあげるようになります。

そうならないためにも、まずは体に無理のない程度に日勤だけの職場や完全予約制をとっていて残業のない職場など、あまり忙しくない職場を選んだほうが長く勤め続けるには得策です。

小規模や完全予約制でゆったりとしたクリニックへの復帰

ブランクがある方はゆったりとした雰囲気の職場で、自分のペースで看護の勘を徐々に取り戻していくことをおすすめします。そうしたときに最適な求人の一つが、完全予約制や患者数が少なくゆったりとした環境の職場です。

来院患者数が少ないクリニックや完全予約制のクリニックであれば、急がされることが少なく、ミスやインシデントに気づきやすいです。もちろん、その分だけスムーズに復職できます。

また経験の浅いブランクのある看護師でも、先輩看護師から丁寧に教えてもらえる場合が多いです。以下は鹿児島県のクリニックの看護師求人になります。

上記のように看護師が常時4人在籍していて、平均外来患者数が50~60名程度であれば、仕事内容にもよりますがそれほど忙しくないクリニックだといえます。

参考までに私の勤めるクリニックは、地元の看護師間では忙しいことで有名な職場です。午前中だけでも120名以上の患者さんの来院があります。患者さんにとっても2~3時間待つのは当たり前の認識となっているクリニックです。

狭い院内を検査介助や採血・点滴などで動き回り、毎日汗がにじむほどです。このような職場であるため中途採用の看護師が入職しても日々の作業に追われ、なかなか仕事を教える暇がありません。

その点、上記のようなクリニックであれば仕事にゆとりをもてるため、しっかりと仕事を教えてもらうことができます。そのため、経験の浅いブランクのある看護師には最適の職場といえます。

慢性期病棟(精神科など)や老人ホーム・デイサービスの介護に関わる

また救急患者がほとんど訪れず、症状が安定している人のみを相手にする医療機関もブランクの人にとって優れています。こうした医療機関には精神科病棟や老人ホームなどが該当します。

例えばデイサービスであれば、利用者さんのバイタル測定などの健康チェックや薬の管理が主な仕事になります。一般病棟の看護師のように採血や点滴といった医療行為すら必要としません。

また介護士が入浴介助を行うなど、看護師と介護士の仕事の境界線がはっきりしている職場であれば、体力的にもハードな仕事は少なくて済みます。例えば、以下は大阪にあるデイサービスの看護師求人です。

このようにブランクが長い方でも問題なく、医療行為なしの職場であると分かります。もちろんバイタル測定などは行うものの、こうした簡単な仕事がメインです。

もちろんこれはデイサービスに限らず、精神科や老人ホーム、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)などといった職場でも同様です。このような職場であれば点滴や採血、注射などの基本的な看護技術すらあまり必要とされません。

ただ病院以外の職種であっても、訪問看護ステーションの求人は看護師一人の力量が問われる仕事であるため、ブランクのある場合はあまりおすすめできません。できれば、ある程度まで看護の勘を取り戻してから訪問看護に転職したほうがいいです。

なお医療行為をほとんど必要としない職場から、医療行為を必要とする職場へ将来転職したい場合、看護技術が乏しくなるため不利になるケースが多いです。そのため看護技術を再び学びなおしたい場合は避けたほうがいいです。

透析や内視鏡など専門領域の中途採用募集で復帰を目指す

他には、透析や内視鏡介助、健診などの専門領域で特定の仕事を極めるという働き方も、ブランクありの看護師に最適です。

専門分野となると一見、ハードルが高そうなイメージがあります。ただ、毎日同じ仕事を繰り返し行うことになるため、一度覚えてしまえばブランクがあっても案外スムーズにこなせる人が多いです。

専門分野での復職を考えている場合、研修制度が整っている職場を選べば、ステップごとにレベル上げを実現できるので働きやすいといえます。例えば、以下のような透析クリニックの看護師求人を選ぶといいです。

この求人は、クリニックでありながらもプリセプター制度が整っています。

専門的な仕事をする上で不安な点は、何よりも「スムーズに仕事に取り掛かれるか」という点です。そのようなときに担当の教育係が側に付いてくれれば、尋ねやすいだけでなく仕事上の相談にも乗ってもらえるので助かります。

ブランクありなら「専門領域を極めるために狭く深く身につけていく」という考えも問題ありません。そのときは「未経験OK・ブランクOKであり、研修制度充実」など未経験でも教育制度が整っている求人を選ぶといいでしょう。

病院だと夜勤なしの病棟が基本

また常勤やパート・アルバイト(非常勤)での復職を考えている人の中には、医療へ深く貢献するために病院での勤務を考えている人もいるでしょう。看護師にとってメインの勤務先は病棟のため、これについては自然の考えといえます。

ただ若いときとは状況が異なるため、前述の通り夜勤ありの急性期病院で働くのはおすすめできません。これが育児中の人であればなおさらです。

そうしたとき、病棟勤務するにしても日勤のみの常勤・パート求人を選ぶようにしましょう。非常勤であれば、夜勤なしの働き方を実現できるのは広く知られています。ただ常勤であっても、交渉次第で夜勤なしが可能です。

例えば、以下は常勤でも申し込み可能な「ブランク歓迎の病院求人」です。

小規模な病院であり、急患を積極的に引き受けているわけではありません。そのため、ブランクありでも問題なく勤務できます。また、日勤のみでの募集です。

病院勤務とはいっても、脳神経外科や循環器科など非常に忙しい病棟で勤務するのは微妙です。そうではなく、「ケアミックス病院」「小規模の病院」「療養型に近い病院」などを選択する必要があります。これにより、ブランクありの看護師であっても問題なく病院復帰できます。

平均年齢が高めの職場が狙い目

またブランクのある看護師が抱えやすい悩みとして、職場での働きやすさがあげられます。これについて、どのように見極めればいいのでしょうか。

これについて、ブランクありを歓迎している職場であるのは当然として、他にも「同世代の看護師が多いかどうか」に着目しましょう。

平均年齢の若い職場だと、活気はあっていいですが「妊娠・出産などのイベントによって看護師が辞めている職場」「年齢の高い人だと体力的に付いていけない職場」などであると想像できます。2~3年や10年以上などのブランク期間の長短に限らず、ブランクのある看護師だと年齢層の高い職場がいいです。

そこで、以下のような中途採用募集へ申し込むといいです。

この募集だと平均年齢が42歳のため、忙しすぎる仕事内容ではなく、ブランクありの看護師であっても働きやすいと分かります。ちなみに急性期病院では平均年齢が30代前半のため、そうした求人は避けるようにしましょう。

ちなみに私がいまの職場に転職したとき30代後半でしたが、当時の私は一番年下でした。世間的には中年ですが、50~60代の先輩看護師からすれば若くて新人です。そのため困ったことはすぐに先輩看護師に相談し、とてもかわいがってもらいました。また多くの看護知識や技術を教えてもらいました。

平均年齢を見れば「高齢の人でも問題なく働ける職場かどうか」を見極められるだけでなく、年齢層の高い職場であるほど人間関係でスムーズにやっていきやすくなります。そのため同年代、もしくは年上の看護師の多い職場で働くことを意識しましょう。

家庭と仕事の両立は時短勤務や派遣を検討する

ただ実際に仕事を始めると、それまでの生活が一変します。子育て中の看護師などで「家庭と仕事を両立させるのが難しいのではないか」と不安に思う場合、以下のような職場を選ぶといいでしょう。

  • 時短勤務が可能な職場
  • 派遣看護師

ブランクあけの復帰だと、無理をせずに短時間から自分の興味のある領域で働いてみても問題ありません。家庭と仕事の両立ができるかどうか確かめるほうが、家族にも自分にも負担をかけずに済みます。

例えば、以下のような時短勤務可能のパート求人が該当します。

東京にある介護施設の求人ですが、このように時短勤務の相談も可能です。

なお復帰するときの時短勤務では正社員を考えてもいいし、パート・アルバイト(非常勤)で勤務時間を短くしても問題ありません。一般的には時短勤務はパートで多いですが、最初は無理をせずに非常勤での勤務を選択するのは優れているといえます。

・派遣でのブランク復帰を検討する

時短勤務に加えて、派遣での勤務方法も検討してみましょう。正社員やパート・アルバイト(非常勤)は求人先に雇用されることになりますが、働き始めてからでないと分からない以下のようなトラブルはよく起こります。

  • 働き始めると寂しがって子供が夜泣きをするようになった
  • 実際に働いてみると、早めに帰れない環境だった

こうなると働きづらくなるのはあなたであり、苦しむのは大切な子供たちです。そうかといって働いてみないと、実際にはどのような変化が家族に起こるのか分かりません。

そこで実際に期間限定で働き始めてみて、家族の変化を確かめてみる良い方法があります。それが派遣看護師という雇用方法です。派遣看護師は勤務期間が定められているため、「働き始めると、家族と自分にどのような変化がみられるのか」を確認できたあとに対応できます。

雇用期間が終了すればその職場からは容易に去れますし、気に入れば派遣更新により継続して勤務できます。また派遣として勤務後、そのまま常勤やパートとして雇ってもらうように交渉することも可能です。例えば派遣であれば、ブランクありなら以下のような東京の中途採用募集が優れています。

介護施設にて平日のみの勤務であり、1日5時間からの時短勤務も可能になっています。もちろんフルタイムである必要はなく、パート・アルバイトなどの非常勤と同様に勤務する日を自由に選択しても問題ありません。

また派遣の場合、パートよりも時給が高いというメリットがあります。そのためブランクありとはいっても、こうした募集に申し込むことを含めて考えてみましょう。

志望動機・自己PRでは頑張れる気持ちをアピールする

なお病院やクリニック、施設など求人の形態に限らず、ブランクありの状態ではどのような看護師であっても不安になります。そうしたとき、履歴書や面接では志望動機・自己PRを考えなければいけません。こうした志望動機については、どのように作成すればいいのでしょうか。

これについて、1年や2年のブランクならそこまで考える必要はないですが、10年以上のブランクを有する人もいるでしょう。ただいずれにしても、ブランクありの人が常勤やパートとして志望動機を述べる場合、「復帰後は看護師として再び勉強し、頑張っていきたい」という一般的な内容を述べれば問題ありません。

もちろん勉強とはいっても、ゆったりとしたクリニックや介護施設などの求人へ申し込むのが基本のため、急性期病院のように勉強会などが開催されるわけではありません。ただ、看護師としてのやる気を示す必要があります。

例えば、以下のようになります。

育児後の復帰で貴施設を志望しました。前職は総合病院の脳神経外科に勤務しており、体の機能が完全に元通りにならなかった方々にも多く接していました。そのため、そうした患者様が入所する介護施設での看護に興味をもっています。

その中でも貴施設は特養なので利用者様の介護度が高く、前職の経験を活かせると考えています。当初は時短勤務からのスタートになりますが、子供の手が離れればフルタイム勤務も可能なため、看護師として再び勉強して医療に貢献していきたいと考えています。

このように、前向きな志望動機・自己PRにしなければいけません。「忙しすぎる職場を避けたい」「日勤のみがいい」などのネガティブな志望動機ではなく、看護師として活躍していけることを述べましょう。

そうして正しく自己PRを実践していき、さらには正しく求人募集を見極めれば、ブランクがたとえ10年以上あったとしても問題なく受け入れてもらえるようになります。

ブランクありの看護師でも求人に申し込める

ブランク後の復職に際して、「怖い」と感じるのは当然です。どのような看護師であっても、仕事に空白期間があれば「問題なく復帰できるのだろうか?」と不安に思います。

そうしたとき、ブランクでの復帰だとしても復職方法はさまざまです。例えば常勤やパート(非常勤)、派遣によって働き方は異なります。また時短勤務など勤務時間をどうするのかも考えなければいけません。

また忙しすぎず、夜勤なしの職場を選ぶのが最適ですが、こうした職場はいくつも存在します。そこで、どの形態での勤務を希望するのか事前に確認する必要があります。

こうしたポイントまでを考えたうえで中途採用の募集を探せば、ようやくブランクありの看護師にとって最適な求人を見つけられるようになります。転職では事前に考えるべきポイントがいくつもあるため、これらを理解したうえで求人を見比べるようにしましょう。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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