看護師に限らず夜勤業務は思った以上に過酷な労働といえます。日中の仕事であるなら、勤務している看護師の人数も多く、体がつらくなったときは気を遣ってくれる同僚もいるので、ある程度休むことができます。

しかし、夜勤は看護師の人数が少ない上に、何が緊急で起こるか分かりません。

私が以前勤めていた職場は、夜勤になると患者さん40人に対して看護師2人で担当していました。おむつ交換や体位変換、食事介助、その他の看護ケアなどスケジュールがみっちり組まれ、ホッとする時間は全くありません。

そのような中で、患者さんの容態が急変して緊急事態が発生することもしばしばありました。そうなると緊急の患者さんに看護師がまるまる1人手を取られ、もう1人が残りの39人の患者さんを受け持つことになります。

次のスケジュールが押しているため、夜勤が終わるまで39人の受け持ちをした日もありました。休憩が取れないことも多く、夜が明けるころには精神的にも体力的にもぐったりします。

妊娠していないにも関わらず夜勤は大変ハードな勤務状態だといえます。それが体調のアップダウンの激しい妊娠中の看護師が夜勤を行なうことになると、どれだけ心身ともに大きな負担になるか容易に想像ができます

実際の妊娠中の看護師からあがる声として以下のようなものがあります。

「夜勤はしんどいから、いつから夜勤が免除になるのだろう」

「夜勤を続けて切迫流産になった先輩がいる。このまま夜勤を続けても大丈夫なのであろうか」

「妊娠してから体調が悪く、他の妊娠していないスタッフと同じように働くことはできない、どうしたらいいのだろうか」

このように夜勤をすることに不安に思っている妊娠中の看護師が多くいます。

そこで今回は、妊娠中の看護師が抱きやすい「妊娠中の夜勤に関する不安とその解決方法」についてまとめてみました。上記のような不安を抱えている方は参考にしてみてください。

妊娠中の夜勤に関する不安とその解決方法

妊娠中の看護師が「夜勤に関して抱きやすい不安やどのように解決していけばいいのか」についてお話していきたいと思います。

「夜勤は妊娠○ケ月まで」という規定はある?

夜勤はハードな仕事であるため「夜勤を続けていいのは、妊娠〇ケ月まで」といった規定がありそうなものです。しかし、妊娠しているからといって夜勤免除の規定はありません。だからこそ、多くの妊娠中の看護師が「夜勤をいつまで続ければいいのか」という不安を抱いているのです。

「妊産婦の夜勤に関して、労働基準法に規定があった気がするけど…」と思われる方がいらっしゃるかも知れません。それは以下の規定です。

労働基準法における母性保護規定「妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限(法第66条第2項及び第3項)」

妊産婦が請求した場合には、時間外労働、休日労働、又は深夜業をさせることはできません。

深夜業というのが看護師の「夜勤」に当たります。ここで注目していただきたいのが、「妊産婦が請求をした場合」という点です。

こちらの規定が意味することは「妊娠中や出産後の看護師は、自分から勤務先に請求を出せば、夜勤を免除してもらうことができる」ということです。

ほとんどの病院や施設では看護師の人数不足が叫ばれているため、「妊娠したから夜勤を免除してください」とは言いにくいことが多いでしょう。

そこで次に妊娠を理由に夜勤免除をスムーズに取得する方法についてお話します。

夜勤免除をスムーズに取得する方法とは?

夜勤免除を職場の人にスムーズに受け入れてもらえる方法について述べていきます。人数不足の看護の職場では、夜勤免除の希望を出す「タイミングとその方法」が大変重要です。

「体調が思わしくないので、夜勤はできるだけ避けたい」と思っている場合は、まず、かかりつけの産婦人科医に相談します。そしてあなたの妊娠の経過と体調を診てもらい「夜勤免除のタイミング」を聞き、「夜勤免除の診断書」を書いてもらうといいでしょう。

第三者の専門家であるかかりつけの産婦人科医が「この方は夜勤は控えたほうがいい」といっているのに、職場が「夜勤を入れてもらわないと困る」として、無理やり夜勤を入れることはまずありません。そのようなことを強制してしまうと法律違反となり罰せられます。

「いまはまだ夜勤をすることに抵抗がないけれど、いつぐらいから夜勤を免除してもらったらいいのだろう」と思っている場合は、「夜勤をしている」ことを産婦人科医に伝えておくとよいでしょう。

「いつくらいから夜勤を免除してもらったらいいのか」のアドバイスをその医師から事前にもらっておくと、夜勤免除の時期を早めに職場に伝えることができるため、夜勤の人数確保にスタッフが慌てる必要がなくなります。

いくら妊娠経過が順調だとしても、次の妊婦健診にいったら、自覚症状はないものの、いきなり「妊娠高血圧症候群の予備軍である」といわれることもあります。そのくらい妊婦の体調には日々変化があるものなのです。

その他にも、悪阻(つわり)や貧血、浮腫(むくみ)、便秘、頻尿、頻繁なお腹の張りなど、いつもと違う症状が現れたら早めに受診をしてアドバイスをもらうことが大切です。

「母性健康管理指導事項連絡カード」を利用する

あなたは「母性健康管理指導事項連絡カード(通称:母健連絡カード)」について、ご存じでしょうか。こちらのカードは働く女性が、かかりつけの産婦人科医が行なった妊娠時の指導内容を妊産婦が事業主へ正確に伝え、必要な措置を講じてもらうためのカードです。妊娠中の看護師はこちらのカードをもっておくとよいでしょう。

入手方法ですが、多くの場合は母子手帳の最終ページについています。もし、ついていない場合は、各都道府県の労働局雇用均等室に問い合わせると入手できます。他には、市町村母子保健担当課の窓口や、かかりつけの産婦人科医がもっていることもあります。

このカードの使い方を以下にまとめます。

母健連絡カードの利用方法

① 妊娠中・出産後に「健康診査等の結果や通勤緩和、休憩時間の延長、夜勤免除に関する措置などが必要である」とかかりつけの産婦人科医から指導を受けたとします。

かかりつけ産婦人科医にその指導内容をカードに記入してもらい、その後発行してもらいます。このとき、医師の印鑑を必ずもらっておいてください。

② こちらのカードを事業主に提出し、必要な措置を請求します。

③ 事業主は母健連絡カードの記載内容に従い、男女雇用機会均等法第13条に基づいて夜勤免除や時差通勤、休憩時間の延長などの措置を講じる義務があります。

夜勤免除など職場ではなかなか言い出しにくいですが、このような「医師からの指示」が書かれたカードがあれば、説得力が増します。

こちらのカードは妊娠中だけでなく、出産後も使えるカードですので、妊産婦の働く女性にとっては心強い味方となります。

夜勤免除の制度を整えている病院や施設もある

あなたが勤めている病院や施設によっては、妊産婦の夜勤免除の制度を整えているところがあります。妊産婦の夜勤免除の制度については、入職した際の病院規定に記載されていることが多いです。確認してみるとよいでしょう。

妊娠中の夜勤免除の制度がある場合は、夜勤免除の希望を出すタイミングを自分で見計らなくても、体調に無理がないようでしたら、そちらの制度の規定に従うとよいでしょう。

しかし妊産婦の夜勤免除の制度があるにも関わらず、いままでの先輩方が制度を利用せずに出産している職場が多くあります。このような場合、この制度を使いづらいのも確かです。

ただあなたの妊娠中の体調が思わしくないのに「夜勤免除の希望を言い出しにくい」といって、無理して夜勤をすることはおススメできません。あなたのお腹の赤ちゃんを守れるのは「あなた」だけです。

お腹の赤ちゃんは「あなたの人生ではじめて、あなたの力を借りないと生きていけない唯一の存在」ともいえるのです。

前項にあげた「母健連絡カード」などを利用し、勇気をだして夜勤免除を伝えましょう。妊娠中は無理をせず、あなた自身が快適に過ごすことが大切です。

あなたが勇気を出して夜勤免除の希望を出すことで、あなたに続く後輩もまた妊娠しても働きやすい職場環境が出来上がっていくのです。それはあなたの子どもを守るだけでなく、その後に続く後輩達の子どもを守ることにもつながります。

妊娠中の夜勤で抱きやすい疑問

次に、皆さんが「妊娠中の夜勤で疑問に抱きやすい事項」についてお話していきたいと思います。

夜勤と早産・流産は関係がある?

妊娠中の看護師が夜勤を行なうにあたっての一番の心配はやはり「夜勤をする看護師は、早産や流産になりやすいのかどうか」ということです。

「2013年度看護職員労働実態調査」によると、実は「看護師の妊娠時の状況は大変悪化している」ということが判明しています。

こちらの調査によると、看護師の妊娠中の経過として、切迫流産(流産しそうな状態)は29.8%(3人に1人)、流産は9.2%(10人に1人)、早産は4.2%(20人に1人)となっています。

これは、他職種の女性労働者よりも女性看護師のほうが「妊娠時の異常が高い」という結果を示すこととなりました。その中でも特に、切迫流産の割合でいえば、女性労働者17.1%に対して、看護職員は29.8%とおよそ2倍にもなることが判明しています。

また、2015年日本労働組合総連合会が公表した「働く女性の妊娠に関する調査」によると、流産や早産になる確率が高いのは下記のような人だと述べています。

・夜勤や深夜残業の勤務があった人

・立ったまま仕事をすることが多かった人

・重いものを持ち上げる仕事が多かった人

・ストレスの強い仕事をしていた人

この結果を考察したところ、看護師が行なう仕事の大半に当てはまることが分かります。

看護の仕事は立ったままのことが多く、患者さんを支えたり移乗したりすることが多くあります。また、看護は患者さんの生死にかかわる仕事でもあるためストレスも溜まりやすいといえます。

その上さらに夜勤をこなすとなると、必然的に早産や流産の可能性が高くなってしまうといえるのではないでしょうか。

流産・早産は母親が安静にしなかったから?

流産の原因は、日本ではまだまだ「妊婦が安静にしていなかったから」と誤解されることが多いです。そのため、流産した女性は過度に罪悪感を抱くことが多いです。

しかし欧米では、流産を妊婦さんのせいにすることはなく周りも「流産は仕方がなかったこと」と捉え、本人や周囲の受け止め方が冷静であることが多いのです。

実際、流産の多くの原因が「そもそもの受精卵の状態によるもの」であると判明しているのです。

よく産科の医師や看護師に「安定期に入るまでは気を付けておいてください」といわれることがあります。この場合「具体的に何をどう気を付ければいいのか」というと、「普段どおり生活を送っていい」けれど「切迫流産の兆候などがみられたら、早く気がついて処置を講じなければならない」ということになるのです。

昔から一般的に「妊娠は病気ではない」といわれていますが、裏を返せば、「妊娠は病気でないから体調が悪くなっても治療薬や薬がない。だから無理をしてはいけない」ということなのです。

流産や早産の原因を作らないよう、体にいつもと異なる不調が現われるようであれば無理をしないで「すぐに安静にする」などの対処をとることが大切です。

看護師は妊娠したら夜勤をしないほうがいい?

夜勤は大変であるため「妊娠が分かったら夜勤をしないほうがいいのではないか」という不安もあるでしょう。

しかし、他の妊娠していないスタッフと同様に夜勤をこなし、順調な経過をたどり出産した先輩方もいるはずです。中には働いているほうが「いろいろ考えないで済むから精神的に落ち着く」という人もいます。妊娠中も適度な運動をするほうが、肥満防止になり、血流も良くなるため、身体には良いとされています。

しかしこれは個人差であるため、「あの先輩が妊娠・出産ともに大丈夫だったから私も多少無理をして夜勤をしても大丈夫」というわけにはいきません。

先述の「2013年度看護職員労働実態調査」によると、妊娠した看護師で「夜勤免除」の取得をした人は全体の65.5%(3人に2人の割合)となっています。

あなた自身の体調をかかりつけの産婦人科医に相談をした結果、夜勤を行なうのがあまりにも大変なようであれば、早めの措置をとるように心がけましょう。

また夜勤免除まではいかなくても、妊娠している女性は「負担の少ない仕事への変更請求」を事業主に出すことができます。看護の仕事でどういった仕事が体への負担が少ないかは、上司と相談の上、決めていくとよいでしょう。

お腹の子どもの母親はあなたしかいません

夜勤免除は、周りのスタッフの負担が増えるため、言い出しにくいことかもしれません。「金銭的に苦しく夜勤をしなければならない」という妊娠中の看護師もいるでしょう。しかし、お腹の子どもを守ってあげられるのはあなたしかいません

このサイトでは何度か紹介したことがあるのですが、私のいとこは助産師で、流産を経験しました。不妊治療を行なっても、なかなか赤ちゃんに恵まれず、ようやく授かった大切な命でした。

同じ職場に2年先に入職していた先輩看護師と同じ時期に妊娠しました。その先輩は疲れたらすぐに座って休憩をとっていたそうなのですが、いとこは先輩の手前、さきに座られてしまうと休憩に便乗しているようで、なかなか休みづらかったそうです。

そして、他の妊娠していないスタッフと同様に夜勤ももちろん引き受けていました。いとこは頻繁にお腹が張っているにも関わらず、無理して仕事を続けていました。そうこうしているうちに、6ケ月に入ったころ、仕事中に突然破水してしまい、ベッド上で絶対安静となり、子宮収縮抑制剤を点滴することになりました。

しかし、その子宮収縮抑制剤も効果がなく、陣痛が起こり始め、泣きながら出産することとなりました。

生まれてきた赤ちゃんはわずか600g、泣き声は聞かれなかったのですが、NICUで1日頑張って生きぬきました。赤ちゃんが天に帰るとき、いとこは病棟中に響き渡るくらいの声で泣き叫びました。

いくら「受精卵に問題があった」といわれていても、いとこは10年経った今でも同じ年頃の子をみると胸が苦しくなることがあるそうです。

出産してからですと赤ちゃんを守ってくれる人は、あなた以外にも、パパ、おばあちゃん、おじいちゃん、保育士、医師、看護師、友人…などたくさんの手を差し伸べてくれる人がいます。

しかしお腹にいるときは、赤ちゃんを守れるのはあなたしかいません。赤ちゃんがSOSのサインを出したときに、気づいてあげられるのはあなただけなのです。

「夜勤免除は言い出しにくい」といった遠慮は、決してしないようにしてください。あなたに認められた権利として、赤ちゃんを守るためにも勇気を振り絞って行動に移すようにしましょう。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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