認定看護師の資格を積極的に推奨しているのは、大学病院や大きな病院だと考えられがちです。しかし、日本の医療現場は病院から在宅へと大きくシフトしています。地域でのよりよい看護を実践するために、クリニックなどの地域の施設で認定看護師は重要な地位を占めてきています。

地域において「専門性の高い看護師(=認定看護師)がいること」は在宅で療養する患者さんやそのご家族のよりよいケアや支援につながっていくからです。

この看護の質を高める地域医療の重要性を把握しているクリニックの院長であると、認定看護師の重要性を認め、推奨する動きがでてきています。医師が認定看護師の専門性を重視し、地域の医療現場において「クリニックの看護師こそ、より専門性を兼ね備え、率先して地域看護の場に出ていってほしい」と願う声が高まっています。

各地域のクリニックにおいて認定看護師が増える動きがもっと活発になれば、地域で専門性の高い看護師が活躍でき、在宅や施設の看護力が上がっていくことでしょう。

そこで今回はクリニックに転職し、認定看護師となって看護能力を伸ばす方法について解説していきます。

クリニックに認定看護師が必要となっている現状

クリニックに認定看護師が必要となっている現状についてお話します。

病院から地域へ医療現場がシフトしている

専門看護師(CNS)、認定看護師(CN)ともに徐々に専門分野が増えています。クリニックでは、地域看護専門看護師や在宅看護専門看護師、訪問看護認定看護師といった訪問看護の認定看護師資格以外にも、糖尿病看護認定看護師、透析看護認定看護師などの特定の分野の認定看護師資格を取得して活躍している看護師が増えています。

しかしながら、まだ90%以上の専門看護師も認定看護師も、大学病院や大きな病院に所属しているのが現状です(2016年1月現在)。地域での看護に踏み込めていけないのは、やはり給与格差などの処遇の問題が大きいとされています。

しかし今後は、病院から地域へ医療現場がシフトしてくるとされています。

2015年3月に厚生労働省から「地域医療構想策定ガイドライン」が発表されました。ガイドラインには、急性期・回復期などの各医療機能の需要推計方法が記されており、必要でないと判断された診療は入院先の病院では行われなくなります。そのため慢性期医療・在宅医療の需要のほうが高くなることが予測されます。

今後は病院で治療を終えたら、体調が充分に回復していなくても退院を余儀なくされ、自宅など生活のなかで患者さんのサポートと身体管理を主治医であるクリニックがおこなっていくようになります。

そのため患者のニーズが多様化し、ケアにはより一層の個別性が求められています。さらに在宅療養での医療的サポートを必要とするのは、それぞれ異なった持病を抱えた高齢者だけでなく、小児など各年代層の利用者も増えています。退院時に看護師から聞いていたケアだけでは対処できないことが出てくることが多くあります。

例えば、退院後「入院中にはなかった症状が出ている気がするけれど、このようなケアを私たち患者側の判断で行なっても大丈夫なのだろうか」といった患者さんや患者さんの家族からの療養上の不安や悩みが出てくるとします。

そのような場合、ケアのことで毎回医師が介入するのではなく、「療養上の世話」を専門とする看護師がコンサルテーションに入ることで解決する問題が多くあるのです。

このように医療現場が在宅にシフトすることで、看護師としての役割や専門性がさらに重要になってくると予測されます。そのため、クリニックでは認定看護師を推奨し、「それぞれの分野での知識や技術力を発揮してほしい」と考えるようになってきたのです。

看護外来が増えている

看護外来とは、クリニックなどに通院している患者さんに対して、看護師が主となって療養支援を行うケア外来になります。徐々にではありますが、この看護外来が地域の病院やクリニックで増えてきています。

看護外来での看護師の主な業務は「診療の補助」と「療養上の世話」です。クリニックの看護師は、医師の指示を行うという診療の補助がいままでの主な仕事でした。しかし入院期間の短縮によって、退院してからのほうが療養上の問題が多く発生することが予想できます。例えば退院する前にはなかったストーマの皮膚トラブルや排泄物の漏れ、嚥下障害などです。

医師は治療で時間を取られるため、毎回療養上の問題の相談に乗っている余裕はあまりありません。そこで、療養上の問題を解決するために看護師の出番が回ってくるのです。看護師は、「患者さんが病気と向き合いながら、療養上のトラブルを解決し、いままで通りの生活を続けていける」サポートをしていくことが大切な仕事となります。

看護師は「このようなトラブルが起こったときは、どのようにケアをしていけばいいのか」「どの程度の症状で医師の診察や治療が必要となるか」といった説明を行います。このように、患者さんの不安に寄り添い解決するための看護外来が、クリニックでは徐々に重要な位置を占めてきているのです。

いま看護外来を行っている病院やクリニックでは予約制を採用しており、1回30~60分など患者さんの話を聞く際には充分な時間を割いています。医師では時間的に余裕がない場合でも、人数を多く抱えているクリニックの看護師であれば対応可能な時間であるといえます。

また看護外来はクリニックのほうが設立しやすいといったメリットがあります。

大きな病院で「看護外来を立ち上げたい」と看護師が考えても、開設するまでには数多くの部署や係の人との交渉や調整を行う必要があります。しかし、クリニックですと、院長とのコミュニケーションが良好であれば、看護外来の開設にはそれほど多くの労力を必要とはしません

自分の裁量で動くことができるのが、クリニックでの看護外来開設に向けての良い点といえます。

クリニックでは様々な分野での認定看護師が必要

さて、クリニックでは糖尿病や皮膚・排泄ケアなどの限られた分野でしか、認定看護師の必要はないのでしょうか。実はそんなことはありません。実際クリニックで働いている認定看護師は、ほぼすべての分野で活躍しています。

例えば救急看護認定看護師といえば、「救急センターでしか活躍できる場がない」と考えられがちです。しかし、医療依存度の高い高齢者が増えてきているため、急変事象が増えてくることが推測されます。

自宅で最期を迎えることを希望する患者さんは、救急看護認定看護師の資格をもっている看護師が病状悪化時や急変時に起こりうる身体的変化を患者さんとご家族に伝え、病状の変化に対処できるアドバイスを行うことが可能です。

自分の専門としたい分野があり、その分野がクリニックに通院される患者さんとの不安や悩みに解決できるものであれば、訪問認定看護師以外にも「その分野の認定看護師になりたい」と申し出ることが可能なのです。

特定の専門分野の認定看護師を取得することで、患者さんの治療や看護方針に関して、医師と対等に話し合うことができたり、根拠に基づいた看護を実践できたりと、患者さんやそのご家族、周囲のスタッフ、医師からも信頼を得られるようになります

認定看護師を推奨しているクリニックを探す

ではどのように認定看護師を推奨しているクリニックを探せばよいのでしょうか。

面接時に認定看護師としてやっていきたいことを話す

クリニックの面接時に認定看護師の資格取得を視野に入れていることを話してみることをお勧めします。認定看護師について詳しく知らない医師がいる場合は、認定看護師の説明も一緒に行うようにしましょう。

まだその分野での実務経験が通算して3年以上ない場合は、「できるだけその分野の実務経験に就けるようにしてもらいたい」といった要望を示すことが大切です。

そして採用側のクリニックの院長があまり認定看護師に興味を示さないようであれば、「そこのクリニックには行かない」といった選択を決断することが大切です。

クリニックのホームページで確認する

クリニックのホームページに認定看護師など資格取得を推奨しているようであれば、「当院では資格支援サポートを行っている」と記載していることがあります。そちらを確認するという方法もあります。

また上記で挙げた「看護外来」をもっているクリニックや訪問看護ステーションなどですと、認定看護師の資格支援サポートを行っていることが多いようです。クリニックに問い合わせてみると良いでしょう。

転職サイトを利用する

どうしても情報が集まらない場合は、転職サイトを利用するのも一つの方法だといえます。

転職サイトには転職のプロがいるため、「資格支援サポートを行っているか」「実際に認定看護師を取得した看護師はどのように勤務しているか」「認定看護師を取得すると待遇に変化はみられるか」といった個人では聞きにくいクリニックの内部事情をあなたに代わって尋ねてくれます。

採用が決まったあとで、「やはり認定看護師の支援サポートを行っていなかった」「認定看護師はいるけれど、これといった仕事を行っていない」「認定看護師を取得しても待遇に変化はない」となると、看護師としてのモチベーションが下がってしまい、また転職活動を行わなければなりません。

さらに採用後も入職したら転職サポートが終了するというわけではありません。入職後一年くらいは継続して、転職サイトの担当者から「満足した勤務状況か」といった電話がかかってくることが多く、引き続き転職サポートを受けることができます。もし面接時の話とは違い、資格支援サポートを行っていなかった場合、担当者のほうからクリニックに問い合わせ問題を解決してくれるように動いてくれます。

満足いく転職にするためには、転職のプロと二人三脚で活動し、「転職サイトを利用しつくしてしまおう」といった意気込みで臨むことが大切です。できれば、2~3社の転職サイトに登録しておくほうが、あなたと相性の合う担当者が見つかる可能性が高くなります。

クリニックで働く認定看護師の今後

今後は病院から在宅へと医療現場が移っていきます。したがって、一人の医師が「患者さんの治療からケアまですべてを抱え」、クリニックの看護師は「医師に指示を出されるまでは動かない」という立場を変えていかざるを得なくなります。

看護師が意識を変えて主体的に動いていくためには、認定看護師は看護の専門知識をもった資格の一つといえるでしょう。

大きな病院でよりも、クリニックでこの認定看護師の資格を活かすほうが、患者さんとかかわる時間も長い期間になることが予想されるため、看護のやりがいを感じる度合いも高いのではないでしょうか。

あなたもそんなクリニックの認定看護師として、地域の看護力を高め、患者さんにとって質のよい看護を提供できる第一人者になっていただけたらと思います。