あなたが現在、認定看護師を目指している場合において、いま勤めている病院では「認定看護師になること」を本当に推奨しているのでしょうか。私は以前勤めていた病院を選ぶ際に「この病院ならば認定看護師が〇人いるから、きっと認定看護師を推奨してくれているのだろう」と考えて入職しました。

しかし、実際は看護部長の好みによって認定看護師候補が選定されたり、800人以上いる看護師の中から年に1人しか候補を認めていなかったりと、実現不可能に近いような状況であったことを後から知ることになりました。〇人いた認定看護師は実は、転職によって入ってきた人がほとんどで、この病院で認定看護師を取得できた人はわずかしかいなかったのです。

また、もし認定看護師の資格取得をできたとしても、勉強会を主催しなければならないなどの業務は増えるのですが、まったく給料に反映されることはありませんでした。

これでは認定看護師の資格をもっていたとしても、それは「転職はしやすいけれど、給与アップなどはあまり期待できない資格」といえます。認定看護師は「特定の看護分野で誰にも負けない知識と技術をもちたい」という意欲がある人が取得を目指す資格になりますが、それではただの自己満足のようでモチベーションが下がってしまいます。

認定看護師の資格取得を本気で考えているのであれば、どのような病院に勤めると認定看護師としてのモチベーションが上がるのでしょうか。認定看護師の資格取得のための最適な病院選びの方法を解説していきたいと思います。

認定看護師になるためには

まずは認定看護師になるための方法をおさらいしておきましょう。

認定看護師とは

認定看護師とは、熟練した看護技術と知識を用いて、水準の高い看護を実践できる看護師のことをいいます。2016年1月現在、日本看護協会により特定されている分野は21分野あります。

看護現場において、認定看護師に期待される役割は下記の3つがあります。(日本看護協会のサイトより抜粋)

① 個人、家族および集団に対して、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する(実践)

② 看護実践を通じて看護職に指導を行う(指導)

③ 看護職に対し、コンサルテーションを行う(相談)

認定看護師とは、病院内で上記の役割を担うため、特定分野における知識と熟達した技術をもつ必要があります。そして、それらを駆使して現場での高い看護実践を行っていく看護師といえます。

認定看護師になるための方法と費用

認定看護師になるためには、正看護師になってから5年以上の実務経験(そのうち3年は認定看護分野での実務)が必要です。

そして、看護系の大学や日本看護協会などの教育機関が開講している認定看護師教育機関で最低6カ月・615時間以上かけて、課程を修了する必要があります。

教育機関で必要となる費用が60万円~100万円程度とされています。教育機関がどこにでもあるわけではないので、自分の特定の分野を開講している教育機関に通う必要があります。そのため別途、交通費や生活費、宿泊費が別途必要となります。

それから筆記試験を受け認定審査があります。こちらは日本看護協会が年に1回行っています。審査料は50,000円です。

晴れて認定看護師の資格を取得したとしても、この資格は看護師免許のように一度取得したら一生使えるというものではありません。5年ごとに看護実践や自己研鑽を行った実績をまとめた書類を提出し、資格の更新審査を受ける必要があります。更新審査料は30,000円です。

2015年の時点で14,000人を超える各分野の認定看護師が登録を行っています。

認定看護師の資格を取得したのちの待遇

このように認定看護師になるには、6カ月間休職を行い、その間の生活費も捻出しながら教育機関に通う必要があります。認定看護師の資格を取得できたとしても、5年おきに更新審査を受けなければなりません。

そして、このような大変な段階を踏んだとしても、認定看護師全体の63.9%は資格取得後の勤務条件や給与待遇に変化はないのです。(認定看護師教育課程を修了した看護師を対象とした調査)場合によっては、夜勤が減ったことで総支給が減ってしまった看護師もいます。

日本看護協会の認定看護師新規認定者活動状況調査結果によると、なかには、認定看護師を取得したことで手当が増えたり(全体の15.0%)、職位が上がったり、昇給が認められたり(全体の4.4%)といった待遇の変化がみられたことが報告されています。しかし手当が増えたといっても、月に3,000円から多いところで20,000円とされています。

資格取得までにかかった費用や苦労、更新の審査料まで必要と考えれば、月に3,000円の手当てが増えたところで認定看護師の資格は割に合いません。実はまだ日本の看護師の状況としては、認定看護師資格を取得したところで、一人ひとりの給与に反映される現状ではないということです。

なぜこのような現状があるのかというと、認定看護師も専門看護師も、日本看護協会が独自に行っている資格となるからです。国家資格ではないため、認定看護師を評価していない医師や病院が多数あるということです。

いくら看護師としての技術が高まるとしても、せっかく苦労して取得した資格です。できれば待遇に繁栄されたいものです。認定看護師としての技術を活かしモチベーションを高めて働くためには、認定看護師を認めてくれる病院に入職しなければなりません。

いまの職場は認定看護師を取得したのちも、評価してくれる病院でしょうか。認定看護師を目指す人ほど、実は病院選びは重要なのです。ではどのように病院選びを行っていけばいいのでしょうか。

認定看護師を評価する病院とは

認定看護師を評価する病院とはどのような特徴をもつ病院でしょうか。

大学病院や大きい病院

大学病院は最先端の医療技術が学べ、教育機関が整っていることが多いので、認定看護師や専門看護師の資格取得を積極的に行っていることが多いです。認定看護師教育課程を受講しているときは、資格取得に必要な経費の一部を負担してくれたり、身分保障と給与保障をおこなってくれたりするところもあります。

しかし、最近では休職し多額の費用を使ってまで、わざわざ外部の日本看護協会が指定する教育機関に行かなくても、院内認定看護師制度をとっている病院が多くなってきました。院内認定看護師とは、院内独自の選考基準により院内認定看護師として認められるものになります。

こちらは日本看護協会が推奨する認定看護師とは異なるものですが、看護師としての専門性を高めて飛躍していきたい人は、まずはこちらを取得するとよいでしょう。

例えば九州大学病院では、院内で1年間の講義と実習を受け、院内の認定審査に合格することができたら「院内認定看護師」として認められる仕組みです。

もともと認定看護師とは、特定の分野で熟練した看護技術と知識を用いてレベルの高い看護を実践する目的で作られたものです。そのため、院内でこのような制度が設けていると、看護水準の高い看護師が増えることになるため、認定看護師としてのステップアップをしていくのにはおすすめの資格といえます。

認定看護師の必要性を把握しているクリニック

「大学病院や大きな病院で勤務していないと、認定看護師といった困難な資格は取得できない」と考える看護師は多いです。しかし探せば、個人クリニックでも認定看護師の資格取得を後押ししてくれる院長がいます。

認定看護師資格取得のための費用は、院長の裁量により異なります。費用のほとんどを勤務先に支払ってもらえ場合もあれば、費用は完全に自己負担で身分だけ保障してくれる場合もあります。

私の知り合いで、個人クリニックで透析認定看護師を取得した方は、生活費は自己負担でしたが、授業料を院長に負担してもらい、在学中は休職扱いだったそうです。そして、その期間は基本給の6割程度を支給してもらえたそうです。

その人は認定看護師となってからは、クリニックにおいて実践・指導・相談という新たな役割を担うようになりました。さらに、「透析看護情報交流会」を開催し、他地域における他の透析施設とのネットワークを広げ、施設間の交流をはかり積極的に知識を増やしています。

しかも給与面でも認定看護師を取得してから、3万円の資格手当と師長に格上げされ、師長手当を別に3万円、合計で6万円の昇給があったということです。そのクリニックでは、他の看護師も認定看護師を取得しようと切磋琢磨していると聞きました。

病院選びは情報を集める

上記のように、認定看護師を積極的に支援している病院やクリニックに入職できればいいです。しかし、入職したあとで「話が違った。これでは認定看護師を取得するのは不可能だし、モチベーションが上がらない」といった悩みや不満が出てくることが多々あります。

事前に希望する病院に足を運んで、「実際に認定看護師支援制度があるのか」「年間どのくらいの人数が認定看護師として輩出されているのか」など、担当者に詳しく尋ねることが大切です。

しかし、在職中でそのような時間がなかなか取れない方や、希望する病院の担当者からはっきりとした答えが得られなかった場合などは、看護師転職サイトを利用して、情報を収集するとよいでしょう。

転職のプロがあなたの代わりになり、あなたの希望する病院に対して以前に就職した人のツテなどを使って、内部の情報を仕入れてくれることがあります。「院内認定看護師を推奨するようになって、あまり認定看護師は最近出ていない」などといった最新の院内情報を知ることで、あなたはより病院を具体的に選定することができます。

できれば、2~3の転職サイトに登録しておけば、より詳しく角度を変えた認定看護師の情報を手に入れることが可能となります。苦労して取得する認定看護師です。給与面などの待遇も良いモチベーションのあがる病院やクリニックに勤めたいものです。