女性の多い看護師の職場で働く男性看護師は、「自分のポジションが確立しづらい」「患者さんからケアを拒否される」「職場の人間関係に巻き込まれやすい」といった悩みが多いといえます。男性看護師は増えたといっても、全体の10%と一般企業に比べると割合が低いのが現状です。

そして、女性看護師ほど転職する人は少ないものの、それでも一般の企業と比べると男性看護師の離職率は高い傾向にあります。この記事を読まれている方で転職をしようか迷われている男性看護師も多いのではないでしょうか。

男性看護師は、この女性中心の看護師社会の中でいつまでも肩身の狭いマイノリティ(少数)な存在なのでしょうか。これから転職活動をするにあたり、男性看護師であることを強みに思い、自信をもって臨まなければ、採用されづらくなってしまいます。あなたも自信のない人と一緒に仕事をしたくないはずです。

そこで今回は女性看護師にはあまりみられない「男性看護師の強み」についてお話したいと思います。男性看護師であることの強みや魅力を知って、自信をもって転職活動を行うことが大切です。自分を改めて見つめなおし、あなたらしく働ける職場を探す手がかりにしていただけたらと思います。

男性看護師の強み

女性看護師にはあまりみられない「男性看護師の強み」とはいったい何でしょうか。一つずつ解説していきたいと思います。

体力がある

まずは何といっても、女性看護師に比べて男性看護師のほうが「体力」があるといえます。看護師には体力が必要となる「寝たきりの患者さんの移乗や入浴介助」「早期離床におけるリハビリの介助」といった力を必要とする仕事がたくさんあるため、男性看護師は非常に頼りにされる存在といえます。

体力が必要といえる科は寝たきりの患者さんの多い特別養護施設、手術前後で動けない患者さんの介助を必要とする整形外科や外科、命の危機に瀕した患者さんを移乗させる救命救急などがあげられます。また、オペ室も長時間立ちっぱなしの上、器具を取りに行くのに、あちこちを走り回ることが多いため体力勝負の科といえるでしょう。

さらに看護師は労働時間も勉強会や残業などで長引くことが多かったり、夜勤などの不規則勤務などがあったりするので、既婚で子育て世代の女性看護師ですと、体力的に難しい局面に当たることが多くあります

個人差はありますが、私が勤めていた病院の男性看護師たちは、勤務時間を過ぎていても女性看護師より疲れをみせることなくキビキビ働いていました。男性看護師に「疲れていないですか」と尋ねても、口癖のように「大丈夫です」といって動き回っていました。そのような人たちがいると、職場の士気が高まります。

また、力仕事を他の女性看護師に頼むよりも、男性看護師に頼みやすいのも「男性看護師がいてくれて良かった」と思う瞬間です。

男性患者さんにとって相談しやすい相手である

男性というだけで、女性患者さんは「男性看護師に排泄処理などのケアをされたくない」と拒絶される方がいます。このようなことがあると、男性看護師は自分のことを拒絶されたようで、気持ちが落ち込んでしまうことがあるでしょう。

しかし男性看護師の数が増えてきたことがあり、患者さんの認識も変わり始めています。患者さんの中には、わざわざ男性看護師を呼んで「女性看護師に排泄ケアをされたくない」という方も多くなってきました。特に若い男性患者さんは女性看護師に排泄ケアをされることを嫌がる傾向にあります。

また男性患者さんの多い泌尿器科やメンズクリニックなどでは、男性ならではの不安や悩みを男性看護師に相談したいという方が多くいます。同じ男性の立場に立って不安や悩みを共感してもらえるため、男性看護師を積極的に採用しているクリニックも存在します。

セクハラ患者さんや暴力をふるう患者さんに対応できる

外来でも入院中でも、セクハラをしたり、暴力をふるったりする患者さんがいます。そんなときは、あからさまに女性看護師のほうが患者さんに対して、嫌がった対応をしたり「セクハラや暴力を止めてほしい」と口に出していったりするより、すっと男性看護師に対応を変えるほうが患者さんを傷つけなくてすみます。

病気がセクハラや暴力をおこさせていることもありますし、入院中のストレスで魔が差してしまうこともあるからです。そのような傾向がみられる場合は、スタッフ同士で情報を共有して、男性看護師に担当を変わってもらうこともあります。

男性看護師がその患者さんの思いを聞くことで、セクハラや暴力をふるわなくなった例もたくさんあります。

男性ならではの視点で物事が考えられる

「話を聞かない男、地図が読めない女―男脳・女脳が『謎』を解く」という本が一時期流行りました。生まれ育った環境や個人差もあり、「男性はこのように考える、女性はそのようには考えない」とは一概には言えません。

しかし、解剖学的には男女の脳の構造には違いがあります。男性のほうが脳が大きいにも関わらず、女性のほうが左右の大脳をつなぐ脳梁が大きい傾向にあります。脳梁が大きいということは、右脳と左脳の連動性が高く、複数の物事を同時に処理できる能力は女性のほうが高いといったことがあります。

このことからも物事の考え方には男女で差があるといえます。一般的な男性と女性の物事の考え方の違いを下記にまとめました。

男性脳 女性脳
一つのことに集中しやすい(シングルタスク) 複数の物事を同時に行うことができる(マルチタスク)
動くもの(乗り物など)に興味をもつ 動くものに興味がない
空間把握する能力が高い = 機械の操作が得意 空間把握する能力が低い = 機械の操作が苦手
話を論理的に考えられる・問題解決型 話を次々と展開することができる・感情共感型
大まかな枠組で覚えている 細かいことまで覚えている
瞬時な判断や行動がとれる 直観で物事を行える
場の空気が読めない 場の空気が読める

この表から、男性と女性の脳の働きの違いが読み取れます。男性看護師は女性看護師とは異なった視点をもっているため、病棟でなにかの問題が発生したときに、より視野を広げて問題の解決に取り組むことができます

例えば、女性脳はどちらかというと感情的に動いてしまう傾向があり、男性脳は論理的であるため偏った意見にならない傾向があります。このようなことからも感情的になった患者さんを落ち着かせるのに、男性看護師の存在は大変役立ちます。

私の勤めていた病棟でも、思ったような回復が見込めず、長期にわたり入院を余儀なくされた男性患者さんがいました。その患者さんは、最初は落ち着いて過ごしていたのですが、快方に向かわない病状に対して苛立つことが多くなりました。

そして、ある日、自分の感情を抑制できなくなり、「ある若い女性看護師の言葉にひどく傷つけられた」といってナースステーションに怒鳴って訴えてきました。

言葉をかけた女性看護師が謝っても、その患者さんの感情はヒートアップをしたままでした。そこで男性看護師の出番となりました。

男性看護師は患者さんを個室に連れていき、冷静にその患者さんの話を傾聴しました。そして、「今後スタッフはどのような対応に気を付ければいいのか」、また「患者さんのストレス解消のために院内でスタッフは何ができるのか」を聞き出して、今後の具体的な解決策までみつけていました。

話が終わるころには、患者さんの感情は落ち着いており、ナースステーションで若い女性看護師に謝り、一礼して出ていかれました。

感情的になっている患者さんに、看護師も感情的に返していては、問題解決には結びつくことは難しいです。また、女性看護師に対しては抑圧的な態度をとる患者さんでも、男性看護師にはそのような態度をとらない人もいます。さらに小児科などでは、女性看護師だとあまり言うことを守ってくれない子どもでも、男性看護師だと注意を聞いてくれることが多々あります。

感情的になった患者さんに対応するときに、同じように感情的にならず、論理的に物事を考え、素早い対応ができる男性看護師はどの病棟にも必要な人材といえるでしょう。

離職率が低い

男性看護師は「家族を養っていかなければならない」といった家計維持の理由から、職場での多少の苦労や人間関係などはある程度我慢して、働き続ける傾向にあります。また次項でお話しますが、男性看護師のほうがライフスタイルの変化もあまりありません。

そのため女性看護師よりは男性看護師のほうが、離職率が低い傾向にあります。

反面、男性看護師は離職を決意する理由として、一家を支えるために、経済的な理由があがることが多いです。「労働に対し給与が少ない、今後も昇給が見込めない」といった理由で、男性看護師は職場に対する不満が出てきやすいといえます。

家計維持の理由でいまの職場を辞められない一方で、経済的な理由で転職を行うのは、男性看護師のほうが高比率の傾向にあります。そのため、男性看護師は転職をする際、給与や昇給などの情報を仕入れ、具体的な人生設計を立てたうえで、転職するとよいでしょう。

ライフスタイルの変化がない

男性看護師は女性看護師と比較すると、結婚・出産・育児・介護等でライフスタイルが変わることはあまりありません。女性看護師が離職する大きな原因のひとつに、女性は「ライフスタイルが変化しやすい」といったことがあげられます。

男性は結婚して奥さんが妊娠・出産しても変化はありません。これが女性の場合だと、妊娠、出産、育児などで一時的に現場を離れないといけない状況が多くあります。

一度女性が職場を離れてしまうと、看護職というのは体力的にきつくなってしまい、職場復帰を果たせない潜在看護師が増えているのが日本の現状です。子どもが熱で保育園や小学校を休んだ場合は、同じように母親が仕事を休む必要が出てきます。

育児に積極的に参加する男性が増えてきましたが、日本の社会状況では、やはり一家の大黒柱として男性が仕事を辞めたり、休んだりせずに、経済的に家族を支える比率のほうが高いといえます。そのため、男性看護師のほうがライフスタイルの変化が少ないといえます。急な事情で休むことが少なく、確実なメンバーとして数えることができるのです。

看護師の職場では、一人でも看護師の人数が欠けてしまうと、他の看護師の負担が増えてしまい、仕事が回らなくなってしまうことがよくあります。そんなとき、ライフスタイルの変化が少ない男性看護師の存在は大変貴重であるといえます。

女性社会の場の雰囲気が良くなる

さらに女性社会である看護師の間に、男性看護師が1人いるだけで雰囲気が良くなることがあります。

ある病棟では、男性看護師が1人配属されたことで、異性がいることを意識してか、スタッフルームがきれいになったといいます。

また、看護師同士の会話もいがみ合ったり、あからさまに嫌味を言ったりするような現場がみられなくなったそうです。女性特有の他人の心をえぐるような言葉を平気で発し、周りを傷つけていたような女性看護師が、男性看護師が配属されることで、そのようなことを全く言わなくなったという例もあります。

このように男性看護師がいてくれるだけで、職場の雰囲気が良くなり、働きやすくなったということは良くあります。

器械に強い

さらに、男性脳の観点から考えて、空間能力が高いといえます。これは男性のほうが、器械に強いことが多いです。

医療器具はどんどん進化しており、病院はもちろん、クリニックでも最新の器機に変えることが多く、看護師は取り扱いになれなければいけません。このとき、女性のほうが新しい器械に馴染めず、苦労しやすいといった特徴があります。

男性看護師で器械に強い人が職場に一人いれば、忙しい仕事中に、みんなで仕事の手をとめて器械トラブルに対処する時間も減り、職場全体が助かります

私の以前勤めていた職場では、呼吸療法士の資格をもっているのは、男性看護師の割合のほうが多かったです。呼吸器機にトラブルがあって「対処できない」とわかると、命にかかわる事態になることが多くでてきます。そんなときは、すぐに呼吸療法士の資格をもっている男性看護師を呼んで呼吸器機の確認を行ってもらっていました。

その男性看護師は呼吸器機の勉強会を定期的に開催し、病棟内での呼吸器機のトラブルに備え、点検をおこなうなど積極的に活動を行っていました。まさに病棟内で呼吸器機のプロフェッショナルであり、頼りになる存在といえるでしょう。

男性看護師はなくてはならない存在

このように男性看護師は、女性看護師の足りないところを補うために必要な存在といえます。

日本の医療機関の7割は、慢性的に看護師が不足している状況にあるとされています。徐々に男性看護師の数が増えることで、看護師社会は看護師不足を解消していくことでしょう。

さらに、男性看護師が増えることは、看護師不足が解消されるだけではありません。今後の高齢化社会においては、老年介護の必要性も増えてくるため、体力のある男性看護師が貴重な存在にもなるでしょう。患者さんにとっても、細い腕の女性看護師に支えられるよりも、太い丈夫な腕の体力のある男性看護師に支えてもらうほうが事故も少なく安心できます。

さらに、性別が偏った職場では、意見も偏りやすくなります。男性看護師が増えてくることでこの偏りも少なくなり、女性看護師が考え付かなかったような視点から多くのアイディアがでるようになり、問題解決や患者さんの安全安楽につながっていくことが期待できます。

看護師社会に様々なプラスの影響を与える男性看護師は、職場に必要不可欠となっています。病院だけではなく、国からも期待されているのが男性看護師なのです。この男性看護師の強みを生かして、自信をもって転職活動を行ってください。あなたを必要としている職場は数多くあるはずです。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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転職サイトの活用法

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看護師の転職サイトはそれぞれ特徴があります。「対応地域が限定されている」「取り扱う仕事内容に特徴がある」「非常勤(パート)に対応していない」などサイトごとの特性を理解したうえで活用すれば、転職での失敗を防げます。

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新たな看護師の働き方

・美容クリニック・美容皮膚科への転職

夜勤なしで高年収を実現できる求人として、美容クリニック・美容皮膚科があります。死と隣り合わせの職場ではなく、患者さんを美しくする手伝いを行うのが美容クリニックです。

美容クリニックへ転職する

・派遣看護師で高時給・好待遇を狙う

一つの職場で働き続けるという形態ではなく、3ヵ月や半年など一定期間だけ勤務する派遣看護師という方法も存在します。高時給を実現でき、人間関係のもつれがなく、「派遣が終わった後は長期の旅行に行く」など自由な働き方を実現できます。

派遣看護師で働く

・単発・日払いの高時給求人を探すには

「今月は苦しいため、もう少し稼ぎたい」「好きなときだけ働きたい」など、こうしたときは高時給を実現できる単発・スポットバイトが適しています。健診やツアーナースなど、看護師ではさまざまな単発案件が存在します。

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