看護師として働くとき、特殊な勤務方法が存在します。その中の一つがツアーナースであり、看護師&ツアーコンダクターとして活躍できる人気求人です。

「幼いころになりたかった職業はツアーコンダクターだった」「趣味は旅行であり、空き時間を使って旅行をもっと楽しみたい」「病棟の仕事は好きだが、違う環境で働きたい」という方にとって、ツアーナースは優れた仕事になります。

ただ周囲にツアーナース経験者がいないと、「実際のツアーナースはどのような仕事なのか」「興味はあるけど、自分に勤まるのだろうか」などと不安に思ってしまいます。また、どのように求人を探せばいいのかも分かりません。

そこでツアーナースの仕事内容や求人募集の探し方について、どのように行動すればいいのか確認していきます。

旅行メインのツアーナースの仕事内容・業務内容

まず、ツアーナースの仕事内容について確認していきます。ツアーナースは「ツアーに同行して参加者の健康状態を把握し、ケガ人や急病人が発生した際に応急処置や救急搬送の必要性の有無を判断する」のが主な仕事内容です。

イベントナースと間違われる方がいます。ただイベントナースはお祭りやフェス、コンサートなどのイベントでけが人などが出た際の救護ナースです。そのため、旅行に同行するツアーナースとは異なります。

なお一見すると、「海外旅行にも同行できそう」と考える方がいるかもしれませんが、ほとんどのツアーナース求人の行き先は国内です。特にツアーナース初心者・未経験者は国内求人しかありません。

ツアーナースの関わる仕事内容として多いのは、主に学校で実施される修学旅行(京都や九州、北海道など)や林間学校、日帰りバス旅行、スキー旅行、移動教室、地域の子供たちが集った合宿などです。他にも高齢者バスツアーなどにも引率することがあります。

例えば以下は、小学生でのサッカー合宿などのツアーナース求人になります。

この求人での募集地区は広島県、三重県、埼玉県などですが、子供たちの夏休みがある7~8月にかけてはツアーナースの募集は日本全国に広がります。内容はやはり野球やサッカー、バスケットボールといった小学校の子供たちのスポーツ合宿が多いです。

もちろん秋は修学旅行、冬はスキー教室など、年間を通してツアーナースの単発派遣バイト募集があります。ただ、特に夏の時期に需要が多いというわけです。

ツアーナースをさらに具体的にイメージする方法として、学校行事に同行する保健室の先生(養護教諭)のような立場と考えてみるといいです。

小学校・中学校で働いている常勤の養護教諭は、丸一日引率しなければならない修学旅行のような行事に参加してしまうと、学校に残っている他の生徒のケガや病気に対応できなくなってしまいます。そのため、ツアーナースが小学校・中学校の養護教諭の代わりに旅行期間の間だけ臨時で付添うのです。

ツアーナースに必要な資格・スキル・経験年数

それではツアーナースを行う上で必要な資格やスキル、看護師としての経験年数はあるのでしょうか。

これについてツアーナースをするからといって、特別な資格やスキルは必要ありません。経験年数は「臨床経験2年以上が望ましい」とする求人案件はありますが、「新卒の未経験や新人看護師でもOK」とする求人も多いです。

求人のなかには正看護師だけを募集しているところもありますが、准看護師でも可能のケースも多く、8割以上は准看護師資格でも問題ありません。

このとき、経験不問・未経験者歓迎との記載がある以下のような求人を選ぶとよいでしょう。例えば、以下は沖縄へのツアーナース案件になります。

ただ、子供を含めてツアー参加者で「〇〇という持病を抱えている」という場合は、万が一の事態に備えて、どのような対処を行えばいいのかを事前に調べておく「下調べ」が必要です。

他にもあなたが積極的に情報共有を図れば、周囲のスタッフは助かります。ツアー中に困ったことや分からないこと、または自分で判断したことに対しては、必ず他の添乗員さんや担任の先生と相談し、情報共有を行える人がツアーナースに向いています。

医療関係者ではない相手にも分かるように「どのような状況にあるから、ツアーナースとして自分はどのような判断をして、いま患者さんはどのような状態にあるのか」を具体的に伝えると、信頼されるツアーナースとして認知してもらうことができます。

例えば、以下のような内容です。

15分ほど前にAさんが暑くて気分が悪いといっているので、木陰で休んでもらいながら、体温と血圧を測りました。

体温はそれほど高くなかったのですが、血圧が普段より低めでしたので熱中症を疑い、あちらのベンチで足を高くして横になって休んでもらっています。足を高くするのは、血流を良くするためです。脇には保冷剤を入れ、大きな血管を冷やしています。

10分ほど経過して、水分をいくぶんか補給できるようになり、血圧も普段通りになってきました。Aさんは「もう大丈夫だ」というのですが、あと15分はこまめに水分補給をしてもらい、様子を観察していきたいと思います。

看護師同士では当たり前の看護をしているため、いちいち「熱中症のときに、足を高くして休んでもらう理由」について他の人に報告することはないでしょう。しかし、こうした些細なことでも情報共有を図っておけば、添乗員さんや担任の先生は安心し、あなたに急病人を任せられます。

どんな小さなことでも、ツアーナースは報告・連絡・相談を実践するようにしましょう。

ツアーナースの給料・時給相場

それでは、時給はどれくらいなのでしょうか。ツアーナースは単発(スポット・日雇い)の仕事となり、時給制ではなく日給制になります。多くの場合、派遣看護師としての雇用契約になり、原則日払いです。単発バイトとして、給料が支払われるようになるのです。

このとき日給で10,000~15,000円というのが一般的な相場です。一日拘束されるわりには、時給換算すると高額ではありません。少しがっかりした方もいるのではないでしょうか。

月にどの程度、ツアーナースの仕事を行うのかによって給料は異なるため、年収は一概にはいえません。毎回定期的にツアーナース求人が出されるものの、採用されるとは限らないため、ツアーナースだけで生活するのは難しいのが現状です。

例えば以下は、東京の学校を中心とした修学旅行へ引率するツアーナース求人です。日給との掲載がある通り、単発での派遣アルバイト求人になります。

このとき、当然ながらツアーに同行する際に必要な交通費や宿泊代はかかりません。例えば、下記は沖縄の修学旅行(高校生)へ同行するツアーナース求人です。

宿代や交通費はすべて負担してくれるため、本当の意味で看護師&ツアーコンダクターとして活躍するようになります。また食費補助をしてくれる求人も多くあります。

そのためツアーナースとして同行している期間はほとんど費用がかかりません。そのため時給換算にすると一見安価に思えますが、休憩時間は豊富にあり、宿泊費や交通費、食事代などの負担を考えるとこうした給料は妥当な相場となります。

もちろん日帰りのツアーよりも、宿泊を伴うツアーのほうが日給を高く設定している傾向にあります。

ただ注意点として、宿泊があるツアーの多くは、事前にツアー同行者を集めて研修会やセミナーが開かれます。その場合の研修会に参加するのにかかった交通費や費やした時間は無給であるケースがほとんどです。

求人票には、事前打ち合わせにかかる交通費や研修費は詳細が記載されておらず、雇用契約締結後に「事前に行う研修には、交通費や研修費が出ない」ことを知らされるケースが多いです。

ただ以下のような求人であれば、事前打ち合わせにも2,000円といった給料が発生し、交通費も支給してもらえます。

ちなみに事前に研修会がない場合は、出発日に早めに集まり、そこで詳細を説明されるケースが多いです。その場合であれば早朝に呼び出しがあり、事前打ち合わせをしたとしても時給は発生せず、日当に含まれます。

正社員・常勤ではなく、ツアーナースは副業が大原則

なお派遣看護師やアルバイトなどスポット・単発の仕事が多く、正社員でツアーナースを専業としている方はほぼいません。正社員のツアーナースを希望するのであれば、直接JTBなどの旅行代理店に「ツアーナース求人の有無」を確認する必要があります。ただ、可能性は非常に低いです。

正社員という安定した立場に就いておきたいのであれば、やはり正社員としてどこかの医療機関に所属し、休日を利用して副業でツアーナースとして参加するしか方法がありません。あなたの職場でどれくらい休みを取れるのか分かりませんが、正社員ではなく副業として活躍しましょう。

ただ非常に稀なケースですが、アルバイトや派遣看護師でのツアーナースとしての働きぶりが認められて、旅行代理店などから声がかかり、看護師の添乗員として正社員への道が開ける人もいます。

まずは地道にスポット・単発を行い、アルバイト・派遣でツアーナースの経験を積んでいき、旅行者や引率した旅行代理店の添乗員から評価される仕事ぶりを見せるよう、心がけるといいでしょう。

ツアーナースのメリット・デメリットを理解する

それでは、ツアーナースのメリット・デメリットについては何があるのでしょうか。ツアーナースの具体的なメリットは以下の通りです。

  • 全国各地、様々な地域へ行くことができる
  • 食費や交通費・宿泊費が出るため、無料で旅行できる
  • 看護師間の人間関係に悩まされない
  • さまざまな人との出会いがある
  • 先生の一人として接してもらえる

ツアーに看護師として同行するというのは、狭い病棟での看護師間の人間関係から逃れられるため、気分転換するにはもってこいの仕事だといえます。

傷病者が出ないように、周囲に目を光らせながらケガや病気を予防し、誰一人ケガや病気をすることなく、無事にツアーから戻ってきたときは達成感を味わうことができます。

またツアー終了後に、子供たちから「看護師さん(保健の先生)、ありがとうございます」といった言葉がかかると、「またツアーナースを続けていきたい」と元気が出て、再び応募する人が多いです。

・ツアーナースのデメリットを学ぶ

それでは、反対にツアーナースのデメリットとはどのような点なのでしょうか。以下に述べていきます。

  • 夏や冬などツアーシーズンは求人が多いものの、オフシーズンの求人は少ない
  • アルバイト、派遣看護師の雇用方法しかない
  • 日給の低い求人が多い
  • 国内求人が主で、海外ツアー求人は稀
  • 救急事態には迅速な対応が求められる

ツアーナース求人は常に出回っているわけではなく、7~8月などの夏休み、1~2月にかけてのスキーシーズンに多くなります。そのため、ツアーナースは安定して稼げる仕事ではなく、趣味と実益を兼ねた不定期な仕事と思っておいたほうがいいでしょう。

このとき小学生中心のツアーに参加すれば、ケガや乗り物酔いなどに対応するケースが多いです。一方で、高齢者中心のツアーでは急な体調の変化などで救護する場面が多くなります。中には、高齢者のツアー客が食事中にもちを喉に詰まらせて、応急処置を施したツアーナースもいます。

こうした緊急事態対応で動き回らなければならない現状に苦痛を感じる人であれば、ツアーナースは向いていません。

ただツアー同行中、旅行者は羽目を外すことが多く、注意していても傷病者を出してしまうことがあります。そのときに「私が同行していながら、傷病者を出してしまった」と責めていても仕方ありません。

もし旅行中にケガ人を出したとしても、ツアーナースであるあなたが事後にしっかりサポートすることで、旅行者にとっては「ケガや病気が一番良い思い出」に変わるかもしれないのです。起きてしまった現実を冷静に受け止め、旅行者に不安や心配を与えないように行動できるよう心がけるといいでしょう。

ツアーナースとして気を付けたい服装・持ち物

このときツアーナースだと、普段着ているナース服とは違い、「動きやすい服装」であることが前提となります。

特にアウトドア系の登山やハイキング、キャンプなどのツアーだと、参加者と一緒に野外をアクティブに動き回るように指示されるケースが多いです。イベントナースのように救護室で、傷病人が出るまで待ち続けるということはありません。

さらに、緊急事態が発生した際にツアーナースは、誰よりも早く現場に駆け付けて救護にあたらなければいけません。そのときに動きやすい服装でなければ、仕事を全うできません。

以下に示す写真のように、華美に過ぎず、暑さや寒さに対応しやすいシンプルで動きやすい服装をおすすめします。

先生らしいカジュアルで清楚な装いをイメージし、傍から見ても嫌な印象を与えない服装を心がけましょう。

また荷物を入れて持ち運ぶカバンですが、リュックサックがおススメです。リュックサックだと両手が空くので、参加者にケガ人や急病人が出るなど万が一の事態が発生した場合に、両手で処置を施すことができるので便利です。

またツアーナースが救急箱をもつことがよくあるため、その場合は荷物がかさばります。そのような場合でも、大きめのリュックサックを一つもっていけば事足りるので、何袋も荷物を持ち運ぶ必要がなくなるため助かります。

ツアーナース求人の探し方や仕事までの流れ

それでは、ツアーナースとして働くにはどのような手続きを行えばいいのでしょうか。次に、具体的な求人の探し方や仕事の流れについて述べていきます。

まずツアーナースの仕事は全国各地で存在するものの、あなたの近くのどこにツアーナースとしての単発バイト募集が存在するのか分かりません。ツアーが開催される日程や内容は毎年異なりますし、決まった求人があるわけではありません。

そこで、ほぼ全員の看護師が単発派遣バイトの求人を広く取り扱っている転職サイトを利用します。人材派遣会社を通さなければ、ツアーナースの求人を見つけるのが困難なためです。

ただ、このときは当然ながら事前登録が必須になります。例えば以下は転職サイトから出された、東北地方でのツアーナース求人です。

このように、詳細を知るためには事前の問合せが必要です。ツアーナースは応募者が集まりやすい求人であるため、安易な募集を行わず、責任感をもった人材だけを集めるための対策です。人材派遣会社は「本当にツアーナースとして働きたい」という意思をもった看護師を選別し、小学校や旅行会社などに責任をもって紹介しなければいけません。

そこで、人材派遣会社に登録しておくと、優先的に良い求人を紹介してもらえる可能性が高くなります。ツアーナース求人を毎回自力で探すのは現実的でないため、転職サイトの活用が大原則といえます。

ダブルワークの副業でツアーナースを行う

病院で働く看護師とはまったく異なる働き方がツアーナースです。医療のスペシャリストとして、付き添う人々の体調が悪くなったときに活躍するのがツアーナースです。添乗員というわけではないものの、添乗員の手助けを担うのがツアーナースです。

子供や老人での集団旅行では、どうしても体調が悪くなる人が出てきてしまいます。そうしたとき、臨床経験のある看護師が活躍することになります。

正社員ではなく単発バイトとして派遣勤務するのが基本のため、副業としてダブルワークを実践するようにしましょう。休日にダブルワークをすることで、仕事ではあるものの交通費やホテル代、食事代などを出してもらいながら仕事をするのがツアーナースです。

こうした求人に興味がある場合、単発バイトの派遣求人を広く取り扱う看護師の転職サイトを利用するようにしましょう。

ツアーナースはMCナースネットの一択

このとき、ツアーナースなどのスポット・単発の仕事を多く抱えている転職サイトがMCナースネットです。

看護師の派遣会社であっても、単発バイトの案件を取り扱っているケースは非常に少ないです。ただ、MCナースネットでは全国規模で多くのスポット・単発求人を抱えています。さらにはツアーナース特集が組まれるくらい、希少案件のツアーナースの求人を多数抱えています。

もちろん全国規模で展開しているので、地方でツアーナースに興味のある看護師も求人を紹介してもらえます。

今すぐにはツアーナース求人がなかったとしても、MCナースネットに登録しておけば、求人が出たときに担当者からあなたに教えてくれます。またツアーナースの仕事が見つからないときでも、MCナースネットは多くの求人をもっているので、希望すれば他のレアな単発スポット求人を紹介してもらえます。

MCナースネットを利用することにより、上手に空き時間を利用してダブルワークによる副業を実現しましょう。