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現代社会では、うつ病は「心の風邪」ともいわれるくらい誰でもかかってしまう可能性のある精神疾患です。特に命を扱う仕事をする看護師は緊張状態に置かれることが多いため、うつ病になる人が多いといわれています。

ストレスでうつ病になったけれど、看護師としてもう一度働いてみたい方や生活のために医療機関での復帰を考えている方は、看護師としてどのように転職活動を始めたらいいのでしょうか。

まずは転職先でうつ病が悪化したり再発したりしないように、どうしてうつ病を発症してしまったのか原因を探ってみましょう。うつ病になった原因が分かれば、その原因を避けた無理のない労働環境を探し、ゆっくり体と心を職場に慣らしていくことができます。

今回はストレスでうつ病になってしまった看護師がどのように転職を行えばいいのかについて、そのコツをお教えしたいと思います。

看護師がうつ病になる原因

まずはあなたがどうしてうつ病になってしまったのか、看護師の仕事状況から思い当たる原因について考えていきましょう。

夜勤に体が慣れない

日勤と夜勤、そして準夜勤のある病棟などで働いていると、どうしても生活が不規則になって生活リズムを崩してしまい、うつ病になる可能性が高くなってしまいます。

実際、私も若い頃から徹夜が苦手で、夜しっかり寝ないと次の日は一日中頭がボーっとしてしまうタイプです。修学旅行やお泊まり会なども一番に寝ていました。

そのため看護師として働き始めたとき、体に負担が少ないとされる2交替がある病棟を希望しました。先輩看護師から「3交替より2交替のほうが次の夜勤に入るまでの日数が長いから、2交替は3交替よりは体に負担が少ない」と聞いていたからです。

しかし、1ケ月に4~5回ある2交替の夜勤に、半年経っても体が全く慣れることはありませんでした。

仮眠時間も仕事が忙しくてほとんど寝られません。1日夜勤をすると次の日から2~3日はなんとなく頭の中がぼんやりして、体がずっとだるいのです。そして体が慣れてきた頃に、また夜勤が入ります。頻繁に風邪をひき、頭痛も多くなりました。

これは私だけの問題ではありません。不規則な生活リズムが続くと、人間なら誰しも自律神経が乱れる可能性が出てくるとされています。自律神経のバランスが悪くなると、体にさまざまな不調として表れてくるのです。

例えば、睡眠を取っても体に倦怠感が残ったり、ちょっとの動作で疲れやすいと感じたり、免疫力が低下し風邪などにもかかりやすくなったりします。なかには不眠症や生理不順などを生じる人がいます。不眠症が続いてしまうと、うつの原因となります。

もちろん中には、いくら夜勤をしても一晩寝たらすぐに元の調子を取り戻す方がいます。はたから見ると自分以外の看護師は皆、夜勤をものともせずに勤務し続けているように思えます。夜勤ぐらいで悲鳴を上げている自分が情けなく感じてしまうこともあるでしょう。

しかし、これはあなたが「精神的に弱い」「体力がなく、身体が弱い」「我慢が足りない」「睡眠を効率よくとる方法を知っていない」「若くない」などの問題ではありません。もともと夜勤は人間の体のリズムに合ってないのです。

夜勤を行っている看護師のほうが慢性的な病気を抱えやすく、寿命が短いなどのデータがあるくらいです。夜勤の弊害が体に表れているのであれば、早期に夜勤がある職場環境から逃れることが先決です。

残業が多く疲れが溜まっている

また、ストレスによるうつ病は残業も関係しています。

近年、勤務超過などといって新聞などを賑わせているブラック企業ですが、看護師の世界も他人事ではありません。看護師の残業は深刻な問題です。

患者さんに対してのバイタルチェックや看護業務が終わった後は、そのことを記す記録に追われ、残業を余儀なくされる新人がとても多いのです。先輩看護師も新人の指導やその記録に追われます。

それに加えて、ヒヤリハットや看護研究などまで加わると当たり前のように就業時間内に終わることはなく居残りになります。さらには、病院主催の勉強会や委員会などが入ると帰宅時間はいつになるのか全く目途がつかなくなります。

私の看護師の友人は18時に終わる勤務に関わらず、1~2年目の新人のときには「記録をうまくまとめることができない」「勉強会に参加しないといけない」「看護研究がある」「先輩に仕事を任された」などの理由から、泣きながらほぼ毎日22時くらいまで残業をしていました。休みの日も出勤して看護研究をまとめていました。

しかし、その病院の規定で最長残業時間が毎月20時間以内と定められているため、ほとんどの残業時間は手当てがつかないサービス残業となっていまいした。

このような残業を終えた後、一時間かけて家に帰るのですが疲れは全く取れず、すぐに次の日の朝を迎えて再度一時間かけて出勤です。この看護師仲間は会うたびに「仕事がきつい」と嘆いていました。

そうでなくても看護師は命を預かる仕事であるため、勤務中は常に緊張して業務に臨んでいることが多いです。残業が多すぎる病院は疲れが溜まりやすく、精神的にも肉体的にも悲鳴を上げやすい現場だといえるため、うつ病を再発してしまう可能性が高いといえるでしょう。

人間関係のトラブルが多い

人間関係のもつれも大きなストレスとなります。

私は社会人を経験した後で看護師という世界に入ったので、高校を卒業して看護学校や大学に入学した後ですぐに看護師になった方とは違った角度から看護師社会を見つめることができます。

他の企業で働いた経験を持つ私が感じたことは、男性との割合が半々くらいの一般の企業と比較すると女性中心の看護師社会は、女性ならではの陰険な人間関係のトラブル、いじめやパワハラが多いように思えます。

そのため人間関係の陰湿なトラブルに悩んでいる看護師は多いです。

もちろん一般企業でもいじめやパワハラが存在するでしょう。しかし看護師のいじめは、看護が命を扱っている職業だとされる分、問題が深刻な気がします。

例えば以前の職場では、先輩看護師に「あの患者さんが亡くなったのはあなたのせいよ」といわれた新人看護師がいました。

理由はどうであれ先輩からの心無い一言に、この人は立ち直れず子供の頃からの夢だった看護師を辞めてしまいました。亡くなられた患者さんのことを、指導のときに引き合いに出されてしまうと、経験の浅い看護師は何も言えなくなってしまうでしょう。

看護師はいくらやる気や能力があったとしても、多くの患者さんや疾患にあたって場数をこなし、経験を積んでいくことで一人前になっていく職業です。

そのため新卒や転職して経験が浅い看護師は経験不足のせいで、どんなに一生懸命看護業務をこなしているつもりでも、先輩看護師にアラを探され突かれてしまうことがあります。

例えば、以下のような経験はしたことはないでしょうか。

新人看護師Aさんは「早期離床が大切だ」と思い、時間を見つけてはオペ後で痛みが引いていない患者さんに少しずつ歩いてもらっていました。しかしB先輩は、痛みで歩くのを嫌がる患者さんを無理に歩かせる必要はないと考えていました。

そこで、Aさんの行動を見たB先輩は「患者さんが痛がっているのにあんなに無理をさせるなんて患者さんのことを考えていない」とAさんをみんなの前で怒りました。

AさんもB先輩も患者さんのためと思って行った行動であるため、どちらも間違いではありません。

しかし、経験が多いB先輩に強い口調で「患者さんのことを考えていない」と同僚がいるところでいわれると、Aさんは自分の看護観や人間性を否定されたように感じてしまいます。そうして、自分がした看護を責めてしまうでしょう。

経験の浅い看護師は、どうしてもイジメやパワハラのターゲットになりやすいです。

そこで、イジメにあってつらい思いを経験された方でも、自分のとった行動や言動で先輩看護師(イジメをする人たち)を怒らせたことはなかったか思い直してみることが大切です。もし、「あのときのあの行動がいけなかったのかな」と思うことがあれば次の転職先でそうしなければいいだけです。

しかし「自分のどこが悪かったのか」を必要以上に悩むことはありません

前の職場でイジメにあったからといって、「あなたが人間的に劣っている」「仕事ができない」「看護師に向いていない」ということではありません。あなたに合う職場は必ずあります。

うつ病の再発を防ぐ転職先とは

これまで、看護師が発症しやすいうつ病の原因についてお話してきました。

看護師の仕事はストレスが溜まりやすく、うつ病が再発しやすい職場といえるでしょう。そこに再度飛び込むわけですから、無理に仕事をし続けてしまうと、うつ病の症状が現れ始めてしまう恐れがあります。

そのため心に余裕をもって仕事ができる職場選びをすることが重要です。あなたにとって居心地のよい、長くゆっくり働ける職場で勤務することをおすすめします。それでは、うつ病の再発を防ぐためにはどのような転職先を探せばいいかについて具体的に解説していきます。

一般病棟は避ける

一般病棟で働くということは、日勤、夜勤、準夜勤という不規則な勤務体系があるということです。夜勤が合わないと感じている人は、できるだけ夜勤の無い職場を探す方が賢明です。一度は看護師を辞めて整っていた生活リズムが再度狂う恐れがでてきてしまいます。

さらに一般病棟のほうが重症で急変する患者さんが多く、精神的にいつも緊張状態であることが多いでしょう。また急患があるということは、生死に遭遇する可能性が高くなってしまいます。

患者さんの生死に遭遇することは看護師の仕事にはつきものです。

しかし、生死に直面するような、心身ともにストレスが溜まってしまうハードな職場を、うつ病を一度患った看護師が選ぶことはお勧めできません。うつ病を再発する可能性が高くなってしまうからです。

おすすめは予約制のクリニック・介護施設

そこでおすすめなのが、予約制のクリニック(とくに心療内科)や介護施設など比較的ゆっくりした職場です。

一般のクリニックは看護師の人数が少ないため、看護師一人一人に任される仕事の量が多く、思った以上に仕事がハードなことがあります。また人数不足のため、有給が消化できず、思うように休日をとれないなどの弊害もあります。

外来業務などは一日に出入りする患者さんも不特定多数で、どんなにうつ病の症状が辛いときも笑顔で接しなければなりません。風邪などが流行っている時期によっては残業も出てくるでしょう。そのような一般的なクリニックの勤務の欠点を補っているのが、予約制のクリニックです。

予約制だと一日に来院する患者さんの数は決まっており、残業もほとんどありません。

例えば私の友人はうつ病を発症し、一度は看護師を復帰することを諦めていたのですが、転職サイトを利用して予約制の心療内科のクリニックに就職しました。年配の医師(院長)はもちろん、友人のうつ病を知った上での入職でした。

最初はうつ病であるため就職に関して心配を抱いていた友人でしたが、転職サイトにサポートをしてもらいながら面接まで行きました。

面接のときに、院長から「今まで辛い思いをしてきたんだね。しかし、君は何も臆することはない。立派な看護師としてやっていける。僕が保証する」と言ってもらえ、友人はうれし泣きをしてしまったそうです。

院長は心療内科を専門としているので友人のうつ病にも気を配れるため、時間があるときにはいつも友人に声をかけてくれ「無理はしないように」と言ってくれるそうです。うつの症状がでているときは、採血やカウンセリングの補助が主な仕事です。もちろん予約制なので残業もありません。有給も必要なときにはとらせてもらえると言っていました。

友人は同じ病気で悩んでいる患者さんの気持ちが理解できるため、その心療内科クリニックでは重宝されています。「再び看護師として復帰できてよかった」と言っていました。

友人のようにうつ病になっていても、周囲の協力で看護師に復帰していくことができます。

また予約制のクリニックに空きがないようであれば、介護施設も再就職先としてはお勧めです。

介護施設は、入浴介助や食事介助、バイタルチェックなどが主な仕事であり、決まった時間にあらかじめ決められたことを行うことの方が多いです。急変もあまりありません。不特定の患者さんに会うこともなく、いつも気心の知れた患者さんと接することができるので安定した気持ちで仕事を行うことができます。

困ったら転職サイトを利用

前項で心療内科に転職を成功させた友人の例を出しましたが、満足いく転職にするには転職サイトを利用するのもひとつの方法です。特に人間関係や仕事内容など病院内部のことは、実際に就職して働いてみないとわからないことかもしれません。

転職する前に人間関係や具体的な仕事内容について知ることができたら、「転職してみよう」と思えるきっかけになります。転職前にこれらの具体的な情報を教えてくれるのが転職サイトです。

転職サイトに登録すると、転職エージェントという転職のプロがあなたに一人付きます。エージェントは、担当しているエリアの病院や施設、クリニックに度々訪れて求人の情報を仕入れています。

また、転職エージェントは実際にその職場に転職した看護師からも現状を直接聞いているので、現場の人間関係なども詳しく把握しています。

あなたが前の職場で人間関係や仕事内容で悩み、うつを発症したことを転職エージェントに伝えておきましょう。すると、エージェントは人間関係がよく心身ともに負担の少ない職場を探してくれます。

さらに転職エージェントには、「人間関係が悪い職場」の情報も集まってきます。人間関係の悪化によって転職を依頼する看護師から、病院やクリニックの情報を随時手に入れているからです。

常に病院やクリニックの内部の新しい情報が転職エージェントのところにはあるのです。そのため、転職の専門性と情報量はハローワークのそれとは比べものになりません

そんな私も転職サイトを利用して転職に成功した一人です。転職完了後であっても、半年に1回くらいの割合でお世話になったエージェントから電話がかかってきて、「人間関係は悪くないか」「仕事内容はどうか」「不安になっていることはないか」を尋ねられます。

就職してからも転職エージェントはサポートを続けてくれるので、再就職先でも心強い味方となってくれます。

ちなみに私の苦い転職経験をお話ししておきます。

私は初めての転職活動ではハローワークを利用しました。そこで「近所で腕がいい」と評判の眼科クリニックを紹介され、すぐに転職することができました。しかしそこで壮絶なイジメを受け心身ともにボロボロな目にあった経験を持っています。

ハローワークではその眼科クリニックは「近所で腕がいい」という理由で、私に「おすすめの求人」として勧めたのです。「腕がいい」「近所で評判がいい」=「おすすめの求人」とは言えないのです。

あとで知り合った転職エージェントが言うには、その眼科クリニックは転職業界では有名な「ブラックリストに入っているクリニック」でした。転職エージェントには「あんな最悪なクリニックは絶対に誰にも勧めない」と言われました。

もし転職先に問題があってあなたが短期間で辞めたとしても、ハローワークは責任をとることはありません。しかし、あなたの職歴には傷がつきます。

一方、転職サイトがブラックリストに載っているような医療施設を安易に紹介して、すぐにあなたが辞めることになったら、転職サイトはその病院に罰金を支払うなどの規定があります。そのため転職サイトは無責任にブラックな案件を勧めることはないのでご安心ください。

人間関係や仕事内容など病院内部のことで不安に思う方は転職サイトを利用して、あなたに合った職場を紹介してもらうとよいでしょう。

小さな一歩を少しずつ

そして、うつ病になった看護師が転職して看護師として続けるためには「焦らないこと」が重要です。

休み明けで、うつ病が好転してきたときは特に「休んでいた分、もっと頑張らないといけない」「多少は辛くても頑張る必要がある」などと張り切りすぎてしまうことがあります。

「頑張る」という語源は、「我を張る=自分の意見を押し通し、自己の利益だけを追求する」という意味です。

あなたはなぜ看護師に復帰しようと思ったのでしょうか。もちろん「生活のため」「看護師としてキャリアアップしたい」「早く仕事を覚えてテキパキ働きたい」などといった目標があってもいいでしょう。

ただ、それだけではないはずです。看護師を目指したあなたなら、初心に戻って考えてみましょう。「患者さんを笑顔にしたい」「患者さんに元気になってもらいたい」ということもまた、看護師の仕事の醍醐味ではないでしょうか。

患者さんに笑顔になってもらうためには、あなたが頑張りすぎないようにしましょう。「自分が頑張らないといけない」「自分がこの仕事を引き受けよう」とは思わずに、「患者さんが元気になってくれると嬉しい」ということを中心に看護をしてみてください。

あなたができないことは他の看護師に頼んでもいいのです。仕事を引き受けてもらうことに感謝しつつ、誰かに仕事を任せてもいいことを知りましょう。

頑張りすぎると、あなたから笑顔が消えます。笑顔の消えたあなたと接した患者さんもまた笑顔が消えてしまいます。

仕事をしているときに、心の中のあなたが「頑張ろう」といっていたら、それは心の注意信号かもしれません。「頑張る」のは自分の利益だけを追い求めているスイッチが入っている可能性があります。

「頑張らなくていい。今のままで問題ない」と自分自身に言ってあげましょう。ゆっくり、焦らず、患者さんのことを考えて動けばいいのです。

仕事に慣れてきたら、今度は周囲の看護師の仕事にも少しずつ目を向けて、その人たちを助けられることはないか探してみましょう。

体がしんどいのであれば、パートや非常勤、派遣から始めてみてもいいでしょう。なるべく体や心に負担をかけないように、ゆっくりと小さな一歩を踏み出し、少しずつ仕事に慣れていくことが基本です。これが、ストレスによってうつ病を発症した看護師が考えるべき転職成功のコツです。