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あなたは患者さんや職場の看護師とコミュニケーションを上手くとれているでしょうか。

コミュニケーションをとる相手が患者さんですと、例として「目線を同じ高さにして話を聞く」「相手の話にうなずく」「患者さんの言葉に繰り返し共感する」「患者さんの気持ちをありのままに受け入れる」などがあげられます。これらは、看護師が患者さんに向けて行うコミュニケーション技術のひとつです。

これは「傾聴」といって、相手の話に耳を傾けるための大切な態度になります。

しかし、傾聴だけでは相手に自分の思いを伝えることはできません。コミュニケーションとは、言葉のキャッチボールです。聞くことと伝えることの両方のバランスが取れてこそ、コミュニケーションは成立するのです。

では「伝えるコミュニケーション能力」とは一体どのようなことをさすのでしょうか。

伝えるコミュニケーションとは何か

コミュニケーションを行うためには、適切な方法があります。

例えば、手術前に患者さんに生活上の注意点について説明する場面があったとします。

「医学的用語を使わず、わかりやすい言葉で」「患者さんの生活環境に合わせた具体的な説明を行う」「図や絵を用いて視覚的に伝える」といった工夫をしている看護師は多いでしょう。

しかし、これらの工夫以外に、相手に伝えるコミュニケーション=ロジカルコミュニケーションを使うと、格段にコミュニケーション能力は高まります。

ロジカルコミュニケーションを使うことによって「相手に伝えることを整理し、筋道を立てて論理的に話し、こちらが期待する反応を相手から引き出す」ことができます。ロジカルコミュニケーションを使えば、あなたが患者さんに伝えたいことがきちんと伝わり、あなたが期待する反応を患者さんから得やすくなります。

こちらが期待する反応の一例としては、あなたの説明で、「手術前にいつも飲んでいた薬をなぜ中止しないといけないのかを患者さんが理解し、あなたからの指示をしっかり守ってくれる」といったことが挙げられます。

こういった期待通りの反応が患者さんから返ってくると、計画通りに物事が進みます。また、「手術日を変更して別の日に再度きてもらう」など患者さんの負担も軽減されます。

看護師間のカンファレンスや患者さんへの説明など、限られた時間の中で、わかりやすく説明し期待する反応を得るスキルが看護師に求められるのです。

あなたの伝えたいことが相手に伝わりにくい原因

まず、よくある看護の現場をあげてみましょう。

あなたは患者さんに「胃カメラ検査を行う当日の朝は、朝ごはんを食べないできてください」と説明しました。

それを聞いた患者さんは、「検査の当日、ごはんは食べてはいけないけど、パンなら大丈夫だろう」と思い、胃カメラ検査を受ける朝、パンを食べてしまいました。これでは当然、胃カメラ検査を実施することはできません。

そんな患者さんに対し、あなたは「朝ごはんを食べないように伝えたら、一般的には何も食べてこないという意味になるはずだけれど……」と考えてしまうことはないでしょうか。この考えは言い換えれば、検査前に食べ物を口にしてしまったのを患者さんのせいにしてしまうのです。

また別の場面をあげてみます。

あなたは、クリニカルパス(手術や検査を時間軸に沿ってまとめた治療計画書)を作成するため、処置の欄などの確認を手伝ってほしいと医師に要請したとします。しかし、医師からは「時間がないから、看護師がまとめておいて」と断られてしまいました。

このような場面に遭遇したとき、あなたの期待に応えてくれなかった医師のことを「非協力的」と考えてしまった経験はないでしょうか。

なぜ、相手はあなたが期待した反応を示さなかったのでしょうか。もちろん相手の性格も大きな要因のひとつとはいえます。

しかし、「胃カメラの検査前になぜ食事をしてきてはいけないか」をあなたは患者さんに正しく理解できるように伝えたでしょうか。

また、「なぜ、わざわざ医師の手を借りてクリニカルパスを作成しなければならないか」について、医師に必要性をわかるように伝えたでしょうか。

相手に自分の伝えたいことが伝わらず、あなたの期待していた行動を引き出せなかったことについて、相手が悪いと思ってはいけません。その前に、あなたの伝え方はどうだったのか、また伝え方に改善点はなかったのか思い直してみることが大切です。

相手にあなたの言いたいことが伝わらなかったのは、「自分の伝え方が悪く、こちら側に原因があるのではないか」と考え直してみるようにしましょう。そうすれば、相手に伝わるコミュニケーションへと改善されていくことにつながります。

相手に伝わるロジカルコミュニケーション

それでは相手に伝わるロジカルコミュニケーションとは、具体的にどのように実践していけばいいのでしょうか。

ロジカルコミュニケーションの4つのプロセスとは

コミュニケーションを行うときは4つのプロセスをたどると、相手に自分の言いたいことが伝わりやすくなります。以下がその4つのプロセスです。

1.ポイントを述べる

2.理由を述べる

3.具体例をあげる

4.最後にもう一度ポイントを伝える

自分の伝えたいことを相手に伝えるときに意識して行ってみましょう。

ロジカルコミュニケーションを使うことで、看護師にとって大切な「報告・連絡・相談」がスムーズに行えるようになり、だらだらと伝える時間が省かれます。また、相手にも伝わりやすく、自分の期待する反応も得やすくなるので仕事の効率がアップします。

まず、仕事上の伝え方で、ダメな例をあげてみましょう。

ダメな伝え方

3号室のAさんが午前2時ごろ、見回りをしに来た看護師の足音がうるさくて眠れないとのナースコールがありました。けれどAさんは昼間いくら起こしてもずっと寝ているし、夜眠くならないのは仕方のないことだと思います。

そこで、看護師が「できるだけ昼間に起きておけば、夜はぐっすり眠れるようになるので足音も気にならなくなりますよ」と伝えると、「夜眠れないから昼に寝るんだ、俺が悪いというのか」と夜中に怒鳴ったんです。

Aさんは短気で困ります。Aさんにはできるだけお昼に起きてもらえるようどうにかしていきたいとは思うのですが……。まったく、他の患者さんの迷惑も考えてほしいですね

これでは、聞いている相手に何が伝えたいのかわかりません。そこでロジカルコミュニケーションを使ってみましょう。

良い伝え方

1.ポイントを述べる:

3号室のAさんが夜眠れず、興奮して大声を出されました。これは他の患者さんにも迷惑になります。今週のカンファレンスでみなさんの意見が聞けたらと思います。

2.理由を述べる:

なぜなら、Aさんがここ最近、夜間の睡眠が浅いようで、見回りに来た看護師の足音で目が覚めてしまいます。そのことが原因でAさんは苛立ち、夜間に怒鳴り声を出されてしまいました。これでは周りの患者さんもゆっくり睡眠をとることができません。

この問題は、Aさんが昼寝をとりすぎていることが原因だと考えられます。

3.具体例をあげる:

昨日は午後14時、17時にAさんのバイタルチェックをしに行ったのですが、どちらの時間もAさんは、いびきをかいて寝ておられました。「昼間は何もすることがないから、ついつい寝てしまうのだ」とおっしゃっていました。

担当の医師に申し送りをすると、医師に「夜間に不穏(情緒不安定な状態)が強いようなら睡眠薬を処方しても良い」と言われました。しかし、昼間に寝ておられるのだから、睡眠自体には問題ないため、睡眠薬は必要ないように思えます。

4.最後にもう一度ポイントを伝える:

そこで、今週のカンファレンスで、Aさんに日中起きていてもらうためにどのようなことができるか、話し合いたいと思います。夜間の眠りを深くするために、散歩などのレクリレーションなどの案があったら出していただけたと存じます。

上記のように伝えることで、Aさんは昼間になんらかのレクリレーションをすることで、夜間にしっかり睡眠がとれるように今週のカンファレンスで話しあうことになったということが分かります。

一方、患者さんに対しての分かりやすい説明とはいったいどういうものでしょうか。胃カメラ検査の前の説明をするときの具体例をあげてみましょう。

良い伝え方

1.ポイントを述べる:

胃カメラ検査をする前に食事をしてしまうと、胃カメラ検査ができなくなってしまいます。そのため、朝食を抜いてきてください。

2.理由を述べる:

なぜなら、胃は食べ物を消化するのに4時間くらいかかってしまいます。もし朝食を食べてしまうと、消化されていない食べ物が、胃の観察をするのを邪魔してしまいます。その結果、胃カメラをのんでも、胃の中全体をみることができません。

3.具体例をあげる:

先週、「ミニトマトなら大丈夫だろう」と思って、ミニトマトを食べてこられた患者さんがいらっしゃいました。胃カメラ検査をしたところ、トマトの皮が残っていて、一見すると出血しているのかと驚きました。また、残っていたトマトの皮のせいで、胃の中全体を見渡せず、正確な検査をすることができませんでした。

朝食をとってきてしまうと、トマトの皮を出血などと思い、誤診する可能性も出てきてしまいます。その患者さんはまた別の日に胃カメラ検査をしなければならなくなってしまいました。

4.最後にもう一度ポイントを伝える:

そのため、ミニトマトに限らず、何も食べないで病院に来てください。朝食を抜くことはつらいかもしれません。しかし、胃の中を空っぽにしてもらっておかないとできない検査ですので、朝食は我慢しご来院ください。

これなら患者さんは、「胃カメラ検査の前は、朝ごはんもパンも食べてこないようにしないといけない」ことが認識できます。

「伝えること」と「言いたいこと」は全く異なる

そこで最後に気を付けていただきたいこととして、伝えたいことと言いたいことは全く異なるということについてお話ししておきます。

焦ってしまうと、人は頭に浮かんだまま言いたいことばかり言ってしまう傾向にあります。プライベートはそれでも問題ないかもしれませんが、仕事上ではできるだけ相手に伝えるコミュニケーションをとるように、頭の中を一度整理してみるとよいでしょう。

例えば、あなたは患者さんとのトラブルに遭遇し、そのことを上司に伝えたいとします。このとき、あなたは言いたいことを以下のように伝えました。

言いたいことだけを伝える例

師長さん、聞いてください。3号室のBさんに「この点滴の中身はなに?」って聞かれたので、「生理食塩水です」って答えました。

すると、Bさんが「どうして生理食塩水を入れないといけないの? 私はそれでなくても夜トイレに何回も起きるのに、こんな点滴がついていたらもっとトイレに頻繁に行きたくなって夜眠れない」といわれてしまいました。

でも、Bさんはいま脱水になりやすい状態にあるから、この生理食塩水の点滴は必要だと伝えるようにしました。すると「私を何度もトイレに起こして眠らせないつもり?」と怒鳴られました。このようなことが続くと、Bさんの担当をするのが辛くなります。

これを聞いた上司はどのように感じるでしょうか。きっと「それで結論は何なのだろう」「結局、何が言いたいのだろう」と思ってしまうでしょう。上司は、どう具体的に動いていいのか分かりません。

「言いたいこと」と「伝えたいこと」は実は全く別のものです。相手にあなたが期待するように動いてもらうためには、言いたいことと伝えたいことは違うものだと分けて考える必要があります。

あなたが伝えたいことを相手に理解してもらうためには、「なにを言えばいいか」ではなく、「どう伝えればいいか」というポイントを考え、ロジカルコミュニケーションをとったほうが相手に期待した反応が返ってくることが多いのです。

そこで、先ほどの「言いたいことだけを伝える例」を以下のように変えてみるとどうでしょうか。

伝えたいことを伝える例

1.ポイントを述べる:

3号室のBさんは夜間トイレに頻繁におきてしまい、睡眠が足りていないという訴えがありました。もし、Bさんの脱水症状が軽減しているようであれば、医師に相談をして夜間だけでも点滴はしない方法に変更してもらいたいと考えています。

2.理由を述べる:

なぜなら、Bさんは入院前より夜間トイレに行くことが数回あり、何度か目を覚まされてしまうようです。さらに点滴がついていたら、なおさらトイレに行きたくなり、睡眠不足に陥ってイライラしてしまうのだと思われます。

3.具体例をあげる:

Bさんには、脱水症状がひどいため点滴を行っていることを再度説明します。脱水症状は本人が気づかないところで進行している危険性があることも伝えておきます。

また、日中こまめに水分が摂れるようになったかどうかをBさんに確認し、さらに血液検査の結果などをみながら、担当医と点滴についての相談をしたいと考えます。

4.最後にもう一度ポイントを伝える:

Bさんには、今後の看護の方針を伝えます。日中の水分摂取状況を確認しながら、Bさんの脱水症状が改善する方向に向かえば、医師に夜間の点滴についての相談をすると伝えたいと思います。

それでは、最初と次の例では何が違ったのでしょうか。どのようにすれば相手に意図が伝わりやすくなるのかについて、より具体的に確認していきます。

伝えるコミュニケーションには感情を抜きにする

最初の例では、自分の感情を入れて話をしています。看護の仕事に、患者さんが発した言動に対してあなたの感情は必要ありません。感情を入れてしまうと、話の筋道が分かりづらくなるからです。

最初の伝え方をすると、上司にとっては「この看護師は、トラブルが起きるたびに仕事が辛くなる」としか伝わりません。これではあなたの看護師としての評価は下がってしまいます。辛い話は家族や気心の知れた友人だけにするようにしましょう。

自分に合わない患者さんこそ受け持ってみる

さらに最初の例では、あなた自身がBさんに対して、今後どのように看護を行っていけばいいのか分かりません。もし、Bさんの担当を外してもらったとしても、今後も同じような患者さんは出てくるでしょう。そのたびにこのような問題から逃げなければいけません。

私も最初、苦手な患者さんは避けて、他の看護師に担当を変わってもらっていました。とくに短気な患者さんやすぐ怒鳴る患者さんは最初から近づかないようにしていました。看護師も人間ですので、患者さんの性格によって合う合わないがあります。

しかし、自分と合わないと思うからこそ「自分に足りていない看護」を教えてくれる大切な患者さんだといまでは思えるようになりました。

ある日、性格が合わないと思ってしまった患者さんがいたのですが、代わってくれる看護師がいなくて私が看なければならないことがありました。「怒鳴られてもいい、できるだけのことはやろう」と心を入れ替え、患者さんが良くなることだけを考えて看護を行ないました。

その結果、退院時には患者さんから笑顔を引き出すことができました。今では外来に来るたびに、私を見かけると笑顔で「元気?」と手を振ってくれる馴染み深い患者さんの一人になりました。

入院時に怒っていた患者さんが私の看護を受け、退院時に「ありがとうございます」と言って笑顔で帰られるときの達成感はなにものにもかえられません。看護師としても、人間としても、成長できたような達成感を得られます。

患者さんが自分の身を呈して嫌われ役を引き受けてくれ、私の看護の幅を広げるために色々なことを教えてくれている」と思えば、とてもありがたい存在に感じます。

患者さんというのは、怒りのなかに「困った、どうにかしてほしい」というサインを出していることが多いです。そのサインに気づけるのが、ロジカルコミュニケーションです。

このコミュニケーション技術を使っていけば、あなたの感情は抜きにして、常に患者さんの心身の状態を冷静に見極め、看護を行うことができるようになります。

ロジカルコミュニケーションを念頭に伝える

ロジカルコミュニケーションといっても何も難しいことはありません。

伝えたいポイントを伝え、どうしてそのように述べたのか理由を言います。そして具体例などを出しながら、今後どのような行動をとっていけばいいのか、看護の方法を述べましょう。最後にもう一度確認の意味を込めてポイントを伝えるとよいです。

今日からできる「伝わるコミュニケーション技術」がロジカルコミュニケーションです。早速、職場で試してみましょう。いつもと一味違うあなたらしい看護を行えるきっかけになるはずです。


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