あなたは、CRC(治験コーディネーター)に興味をもっていませんか。しかし治験コーディネーターに関心があったとしても、なかなか身近に治験コーディネーターがいなければ、どのような仕事内容か想像がつかないため転職にはなかなか踏み切れないことも多いでしょう。

私の場合、看護学生時代の友人に再会したところ、彼女は看護師から治験コーディネーターに転職していたため、「治験コーディネーターに興味をもっている人が抱きやすい疑問」について聞くことができました。

実際、治験コーディネーターを希望する看護師でも、あまり治験コーディネーターの仕事内容について具体的に知らないことが多く、面接でも上手く対応できない人が多いといいます。やはりそのような人は、採用試験では落とされる傾向にあります。

そこで今回は「治験コーディネーターという職業の存在は知っているけれど、実際の仕事内容が分からない」という看護師のために、今回は治験コーディネーターに転職した友人から聞いた話を交えながら具体的にお話ししていきたいと思います。

CRC(治験コーディネーター)について知ろう

治験コーディネーターは、1998年に初めて養成がスタートしており、日本ではまだ歴史が浅いといえます。CRCは、英語でClinical Research Coordinatorといいます。

当初は「治験コーディネーター」と称されていましたが、2007年の「治験活性化5ヶ年計画」の中で正式名称が「臨床研究コーディネーター」に変更されています(この記事では、馴染み深い「治験コーディネーター」を使いたいと思います)。

治験コーディネーターの主な業務とは

治験コーディネーターは、「新しく開発した医薬品の臨床試験を行いたい製薬会社」と「その医薬品を使って有効性や安全性の実験的研究が行われる患者さん(被験者)」との間の橋渡しをする役目を担っています。

橋渡しと一言で言い表せられないほど、治験コーディネーターはさまざまな業務を行っています。調査の主な業務とは以下の通りです。

【治験開始前の業務】

・治験業務に関する流れを作成する

・治験関連部門(医師・看護師・検査科・医事課・薬局・放射線科など)との連絡調整を行う、など

【被験者への説明】

・医師の同意説明の補助を行う

・診察や検査に立ち会う

・服薬状況を確認し、併用薬との有害事象を確認する

・被験者の相談を行う、など

【担当医師への対応】

・同意説明の資料作成や、サポート業務を行う

・症例報告書作成のサポート業務を行う

・有害事象が発生した場合の対応サポートを行う、など

【治験関連部門との連絡・調整】

・各部門へ説明を行う

・治験薬を搬入し、回収のサポート業務を行う、など

【依頼会社への対応】

・治験実施状況の報告を行う

・モニタリングの対応を行う、など

特に、1997年からGCP:Good Clinical Practice「医薬品の臨床試験の実施基準」が改定され、治験のルールが大幅に改定されました。これは治験業界に激震を与える改正となりました。

それまで患者さんへの治験の説明は、あまり重要視されていませんでした。しかし 1997年以降、治験を行うには「患者さんへの説明と同意」が必要不可欠となったのです。

何十人、何百人もいる治験の患者さんに医師が「治験の細かい流れや副作用」などを説明し、納得したうえで同意を求めることとなりました。しかし、医師は他にも外来業務や担当患者さんの診療など、さまざまな仕事に追われて多忙であるため、詳細な説明を行うことができません。

そこで重要な立場を担うようになったのが、治験コーディネーターです。治験コーディネーターの仕事役割の大きな柱として、「医師のサポート役となり、治験に関する詳しい内容を患者さんに説明し、同意してもらう」ことが挙げられます。

治験を行うにあたって、治験コーディネーターは新薬の効果だけでなく副作用についても患者さんにしっかり説明を行い、不安をできるだけ感じないようにしてもらわなければならない重要な役目を担っているのです。

臨床研究と臨床試験の違いとは

前文で臨床試験という言葉が出てきましたが、臨床研究との違いについてお話ししておきます。看護研究も含めて臨床研究というのは、人間から得られる情報を考察することが目的です。

看護であれば例えば、夜間に徘徊する患者さんとそうでない患者さんの副用薬の診療録を調べ、夜間徘徊行動との関係を分析するといった研究や、どのような看護ケアを行えば褥瘡予防に役立つことができるかといった研究のことを言います。

一方、臨床試験というのは臨床研究の中の一つです。計画を立て、「より良い治療技術について」前向きに検討を試みることを目的としています。これは看護であれば、褥瘡のある患者さんに対して、従来の手順や物品を変更してみて、褥瘡の発生が減少するかどうかを試してみることをいいます。

つまり臨床試験とは、「あの手この手でよりよい治療法や看護ケアを試し、結果が改善されるかどうか」を確かめてみることをいいます。

看護師の中には、日常の看護の中で常日頃から意識せずに実践していることもあると思います。「今回はうまくいかなかったから、次回からこうしてみようと思って試してみること」が臨床試験の始まりというわけです。

治験コーディネーターの勤め先とは

治験コーディネーターには、大きく2つの勤め先があります。

・SMO(Site Management Organization:治験施設支援機関)

・病院などの医療機関

治験コーディネーターの勤め先は、製薬会社になると思われている方も多いと思いますが、実は違います。SMOに所属して治験コーディネーターとして医療機関に派遣されるか、もしくは、直接、医療機関に看護師や薬剤師、臨床検査技師として入職し、治験コーディネーター業務を行うかのどちらかです。

医療機関で入職する場合、看護師であれば看護業務と兼任することが多く、治験コーディネーターだけの仕事を行うということは少ないです。もし、治験コーディネーター専属での勤務となれば、パートか任期付職員での採用ということがほとんどです。

治験コーディネーターを目指しキャリアアップしていきたいのであれば、SMOに所属するほうが良いでしょう。

ちなみにSMOとは、医療機関から委託されて治験業務を支援する機関となります。日本全国にSMOに携わっている企業は100社ほどあり、上場企業から中小企業までさまざまです。

日本の4大SMOグループといえば、EPS(EP綜合、エスエムオーメディシス)、シミック(サイトサポート・インスティテュート)、エムスリー(ノイエス、イスモ)、アイロム(アイロム、アイロムCS、アイロムNA、MCフィールズ、エシック)です。

これら大手のSMO企業の多くは研修制度が整っており、未経験でも積極的に採用が行われています。大手企業のSMOではあまり心配はないのですが、中小企業のSMOとなると、きついノルマを課しているところもあり、採用後も治験コーディネーターを続けるのが大変であることが多いです。

SMOでいうノルマとは

ここで出てきたノルマですが、優秀な治験コーディネーターとは「いかに症例に見合った患者さんを見つけてきて、症例数を稼ぐことができるか」ということになります。

治験コーディネーターになれば、上司からも、製薬会社からも、「症例数を稼ぐよう」うるさく言ってきます。そのため、このノルマに耐え切れず、治験コーディネーターを志半ばで辞めてしまった人もいるくらいです。

大手でも1年間で、約2割の人が辞めていくようです。中小企業ですと、離職率はさらに高くなるようです。

症例数を確保して初めて、製薬会社は新薬として世の中に出回らせることができます。SMOの売上とは、「どれだけ多くの症例に見合った患者さんを確保することができたか」にかかってきます。

つまり、治験に承諾してくれる患者さんなら誰でもいいというわけではなく、その症例に見合った患者さんを探さなければならないのです。生活習慣病や多くの人が患う病気であれば、治験を受けてくれる患者さんは容易に確保できるのですが、1万人に1人の難病などですと、患者確保がとても大変な作業となります。

症例数を確保するには

では、どのように症例数を確保すればいいのでしょうか。治験に協力してくれる患者さんを確保するには、下記の3通りの方法があります。

・医師に紹介してもらう

・過去に治験を受けたことのある患者さんに再度連絡をする

・一般公募し、モニターになってもらう

前述のように、治験を受ける患者さんのことを「被験者」といいます。モニターとしてアルバイトをする場合、被験者の報酬は1日当たり約2~3万円です。2泊3日、3泊4日の日程で行うことも多く、そうなれば10万円~という金額を稼ぐことができます。

「アルバイト感覚」で新薬を試してみる方もいれば、「今までどのような薬も効かなかった。最後にこの新薬に自分の命を託してみたい」という希望をもって臨んでいる方など、さまざまです。

また難病患者さんですと、多くの場合、大学病院からの紹介になります。これはよくドラマなどで「大きなお金が裏で動く」「治験コーディネーター同士での駆け引き」などドロドロした人間模様が描かれる材料となることが多いです。

実際のビジネスとしては、ドラマのような「裏で動いているような関係」はあまり気にせず、新人として大学病院との信頼関係の構築を一番に考えておくとよいでしょう。

治験コーディネーターの具体的な仕事とは

治験コーディネーターの主な仕事とは、「資料作り」になります。治験実施計画書、病院のスタッフ向けの資料、患者さんに説明するときの資料、症例報告書など、治験コーディネーターの役割とは資料作りに始まり、資料作りに終わります。

患者さんを紹介してもらったら、その患者さんのカルテから過去にさかのぼり、選択基準・除外基準を一つ一つ調べていきます。年齢・性別以外にも、既往歴や併用薬などについても確認を行います。

特に合併症(治験の対象ではないが、同時に抱えている病気)は、その程度により、治験の評価に影響を及ぼす可能性がある場合、除外基準に引っかかり治験は行えません。軽度な合併症だとしたら、治験を行えることが多いのですが、合併症の程度はカルテに記入していないことが多く、医師に確認を行わなければなりません。

もちろん治験対象となる病気そのものであれば、カルテや医師からも情報を拾う必要があります。「その病気になってどのくらいが経過しているのか」「何をもって、その病気を患っていると医師が判断したのか」などを、治験を行う上で知る必要があるからです。

カルテ調査と医師への確認が終わったら、次に「患者さん対応」をします。

自己紹介や、「治験コーディネーターの仕事がどうして存在するのか」を患者さんに説明します。また、以下のような説明を続けます。

「治験では、決められた日にちに検査をしたり、会計も一般的な患者さんとは違ったりするため、病院では、より多くの人が関わってきます。病院で治験を行うには、法律で決められているルールがあり、病院以外の人たちとも会議をして、ちゃんと治験が実施できるかを検討しています。治験は一般的な診察とは異なるため、治験の意義や副作用なども分かっていただいた上でないと参加することが出来ないのです」

次に治験の意義について話します。

「薬が世に出回るためには、たくさんの研究を重ねて、有効な薬かどうかを検討しなければなりません。そのためには実際の患者さんに協力して頂き、薬の効果を確認しなければなりません。治験では効果と安全面を厳しい目で見ていきます。もし副作用の強い薬のようであれば、新薬として世に出回らせることはできません。そのためには、患者さんの協力が必要となります。これからお話しする内容の治験に興味があると思われたら、参加していただいてもよろしいでしょうか」

といった内容になります。患者さんの治験の説明を行い、不安を取り除くことからスタートします。また医師といかにうまく付き合っていくかも重要になります。医師には、治験中の患者さんを観察してもらったり、治験のデータを貰ったりしなければならないからです。

医師との関係がうまくできれば、次の治験の患者さんも紹介してくれる可能性が高くなります。

治験コーディネーターが行う仕事としては、「カンファレンスへの出席」もあります。治験を開始するときには、製薬会社が主催するカンファレンスに出席し、治験内容や役割分担についての説明があります。それに治験コーディネーターも参加し、製薬会社と病院の橋渡しの役割を担うのです。

治験コーディネーターへの転職方法

それでは最後に治験コーディネーターへの転職方法について述べていきます。

治験コーディネーターになるには、転職サイトから

治験コーディネーターになる一番の近道は、転職サイトからになります。ハローワークでは、治験コーディネーターの求人が載ることは皆無に等しいです。私が最後に見かけたのは数年前になります。独立行政法人の病院で時給1100円のパートのみを募集していました。それからというもの治験コーディネーターの求人をハローワークで見かけたことはありません。

転職サイトのエージェント(コンサルタント)は、あなたを転職成功に導くための「ノウハウ」「経験」「人脈」など、ありとあらゆるあなたに必要な情報をもっています。あなたの人柄や経験をみて、客観的にあなたが本当に治験コーディネーターに向いているかどうかも見極めてくれるでしょう。

治験コーディネーターには看護師だけでなく、薬剤師や臨床検査技師など医療関係者が多いです。やはり医療関係者でないと、臨床経験がないため、治験知識の獲得が難しい傾向にあります。

看護師で臨床経験があれば、「この病棟は、今忙しい時間帯だから看護師に声をかけないほうがいいのかな」「だれがこの病棟で力をもっている看護師であるだろう」など病棟の現状をパッと見て判断できる可能性が高いのです。そのため、「ほかの職種では手間取る仕事を、元看護師であれば問題なくこなせることが多い」といったメリットがあるのです。

このサイトで紹介している看護師転職サイト(「看護roo!」「看護のお仕事」「マイナビ」など)でも、治験コーディネーターの求人を扱っています。登録は無料で行えるため、これらのサイトに登録しておいて間違いはありません。

そして、治験コーディネーターの優良求人があれば、担当コンサルタントにその旨を伝え、紹介してもらうようにしておくとよいでしょう。

また治験コーディネーターの採用は、看護師の採用とは異なるため、テクニックやノウハウを教えてもらったり、実際に模擬面接を行なってもらったりすると良いでしょう。本番で準備不足で焦ることがないよう、担当コンサルタントに採用まで、しっかりサポートしてもらうことが大切です。

治験コーディネーターの仕事内容を知ることが採用の第一歩

治験コーディネーターの仕事内容はいかがでしたでしょうか。

まだ曖昧な部分はあると思いますが、これが大まかな治験コーディネーターの仕事内容となります。資料作りなど事務的な仕事が多く、裏で動き回らなければならないことも必要ですが、なによりも新薬開発に携わり、「今までどのような薬でも効果が無かった患者さん」に貢献できる可能性が広がる仕事だといえます。

治験を希望する患者さんの不安を取り除くために頼りになり、相談できる相手が「あなた」なのです。被験者のケアやサポートを行い、一人でも多くの患者さんの役に立ち、あなた自身のやりがいに変えていってもらいたいと思います。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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