一般的な会社員と比較すると、看護師求人の数はそれより多く存在します。その気になれば、いくつになっても働くことができるのが看護師免許を取得した魅力といえます。

看護師であるなら「この職場は私に合っていない。よし、他の職場に転職しよう」と安易に転職を行ったとしても、条件さえ絞らなければ、どこかの職場にそこそこの給料で必ず入職できるでしょう。

しかし安易に転職を行ったため、入職した後で「このようなはずではなかった」と後悔することが多いのも、看護師転職を行う上での問題点です。

求人数が多く転職にあまり困らない看護師とはいえ、「転職に失敗し短期間で辞めた」せいで、次の転職にはより多くの労力や時間が必要となってしまうこともあります。

そこで今回は、看護師が仕事を辞める前に把握すべき「転職の本質」について知り、後悔のない転職を行ってもらえればと思います。

転職したい理由は何?

今回あなたが「転職したい」と考えた理由は何でしょうか。

看護師の転職理由

厚生労働省の看護職員就業状況等実態調査(平成22年8月~23年1月)によると、「なぜ転職したのか」という問いに対する「看護師の転職理由」は、下記の通りです。

1位 他施設への興味 34.1%

2位 給与に不満があるため 31.1%

3位 休暇が取れない・とりづらいため 24.5%

4位 超過勤務が多いため 22.3%

5位 責任の重さ・医療事故への不安があるため 17.7%

6位 夜勤の負担が大きいため 16.7%

7位 人間関係がよくないから 15.4%

「このままここで働くよりも、他の医療機関のほうが面白そう」「今の給与は労働に見合っていない」「休暇が取れなくて辛い」「サービス残業が多くて身体が休まらない」「夜勤が辛い」「この上司のもとで、これ以上働きたくない」といった看護師のネガティブな心の叫びが聞こえてくるようです。

実際の転職において、「現在、目の前にあるマイナス要因を解消したい」という苦しみや痛みが、多くの看護師の転職のきっかけになっていることがよくわかります。

もちろん人によって、苦しみや痛みを感じる程度は違います。健康を保てないような超過労働時間が存在したり、労働対価としては低すぎる賃金であったりする場合は、確かに転職したい気持ちが生まれても仕方がありません。

しかしこのような重大なこととは別に「転職したい理由」がある場合、その本質をしっかり見つめ直すことが大切です。

本当の転職希望理由を知り、自分の転職に活かす

上記のアンケート結果ですが、看護師が本当に転職したい理由は他に存在します。

私はこのようなサイトを開設している関係で、実際に看護師から転職相談を受ける機会が多く、上記の回答とは異なった「現状の仕事に対する不満」を感じとることが多いのが現実です。

特に「なぜ転職したいのか」というアンケートの質問に関しては、「転職理由はできるだけ周囲が考えるような内容にしておいたほうが無難である」と無意識に考え、「うわべだけの言いつくろい」の回答が上位にあがりやすいという側面があります。

例えば、「周囲から除け者にされている」「仕事の複雑さに自分の知識やスキルが追い付かない」「後輩に先を越された気がする」など、他の人には言いづらい内容ですと、このような本当の転職理由を答える人はあまりいません。

とりあえず他の看護師でも答えるような内容を思い浮かべ、右にならって回答する傾向にあります。自分でも振り返るのが嫌な部分に、人はあまり目を向けません。本当の転職理由を考えないようにし、転職に関する「ほかのマイナス要因」を無理やり探し出します。

しかし、その裏に隠されている「本質的な転職理由」に目を向けて考えてみると、「転職すべきかどうか」の答えは自然と導き出されます。

転職したい自分の本質を知り、「転職」か「残る」か決める

あなたが本当に転職したい理由はなんでしょうか。苦しいかもしれませんが、考えてみてください。

結論からいいますと「いま目の前にあるマイナス要因から目を背けたい」のが転職したい主な理由であれば、転職は思いとどまったほうが良いかもしれません。

先ほど例に挙げた「周囲から除け者にされている」のであれば、まずは「なぜ周囲に除け者にされているのか」について、冷静に自分自身を振り返ることが大切です。

「仕事の複雑さに自分の知識やスキルが追い付かない」のであれば、「どのように工夫をすれば知識やスキルを身に付けていくことができるのか」、挑戦してみなければなりません。

「後輩に先を越された気がする」のであれば、「ここが踏ん張りどころ!努力の仕方を間違えているのではないか、振り返ってみよう」と思い直すことも大切です。

確かに、「看護師人生の中でいまが一番辛く、この苦しい状況から逃げ出すほうが楽」かもしれません。

しかし逃げたところで、また同じような問題が転職先で発生し、またその職場にいづらくなってしまう可能性が高いのです。そうなれば、また転職するのでしょうか。

仮にうまく逃げ切り転職して、年をとってから再度この同じ問題にぶつかったとします。しかし年を取ればプライドばかりが高くなり、乗り越える気力も体力も残っておらず、あなたはもっと苦しい目に遭うかもしれません。

いま、せっかく自分の壁を乗り越えるチャンスが到来しているのです。このチャンスを有効に活かし、同じような問題が発生したとしても、乗り越えるだけの実力をつけることが大切です。

いま解決できる問題はいま解決すべきなのです。

転職を決める際に自問してもらいたい3つの質問

それでも「転職すべきか。それとも今の職場に留まるべきか」と迷っている人もいるでしょう。「転職すべきかどうか」という問いに、正しい答えはありません。個人個人の価値観や自分の判断基準に従って、自己責任で自分の意思のもと決定することが大切です。

ただし「辞めるべきか続けるべきか」で悩んでいるのであれば、下記の「3つの質問」を自分に問いてみると、その答えは導きやすくなります。

質問1:あなたは自分らしく働けていますか

このまま今の職場に残り続けることで、肉体的にも精神的にもストレスが増し、「このままでは自分らしさを失ってしまう」という場合は、転職することをおススメします。

仕事は生活していくために必要ですが、「自分が自分でなくなる」まで頑張って働くのでは本末転倒です。いろいろと努力をしてみたけれど、いまの職場で改善の可能性が無いと分かれば、転職を考え始めたほうが良いかもしれません。

ちなみに今の職場はどのような環境かイメージしてみてください。

もし「いばらの道」を思い浮かべたのであれば、その道はどこまで行っても「いばら」が続くばかりか、とがった石や上り坂なども増え、さらに厳しい環境になることがほとんどです。そして、そこでいくら自分を奮い立たせ、「命を削って頑張った」としても輝かしいゴールはありません。ゴールには疲れ切った自分がいるだけです。

しかし、目と足先の向きを少し変えるだけで、まるで異なる「歩みやすい芝生の敷かれた道」も存在します。

転職は、あなたが「弱いから」するのではありません。「自分を守るため」「自分らしく生きるため」に転職することもあるのです。

質問2:自分が将来目指す人は、そこで働いていますか

給与や役職など、求人票に提示された条件に魅力を感じる場合、「今の職場を辞めて、一刻でも早く転職したい」と考えてしまうこともあるでしょう。

しかし、あなたがいまの職場を決定する際もその職場に「なにがしかの魅力」を感じたからこそ、そこで働いているのです。

そこで冷静に考えてほしいのです。あなたは「求人票に記載された医療機関の雇用条件や役職などに魅力を感じたから、『いまの職場を辞めたい』」と思ったのでしょうか。

しかしそれでは、転職後に「いまの職場に感じている不満」と同じような不満が、時が経つにつれて出てくる可能性が高いのです。

なぜなら、求人票に載っている魅力ある条件は、入職した「初年度だけの条件」にしかすぎないことがほとんどだからです。

「新しい職場で長く働く」と仮定した場合、「あなたの目指している看護師像」や「キャリアアップの道」、「専門的な看護スキルや知識」はそこで達成することができるのでしょうか。

転職時、求人票に掲載された「その場、そのときだけの条件」ではなく、「継続的に自分の付加価値を高めていける職場であるかどうか」を確認することが大切です。とりあえず給与や役職などは横に置いて考えてみることです。

その確認を手っ取り早く行う方法があります。それは、「『将来このような働き方を実現してみたい』と考える先輩や上司がその職場で働いているか」ということです。

いまの職場に「目指すべき人がいる」のであれば、そのままそこで働き続けるほうがよいでしょう。

一方で、「あなたの目指すべき人がいない」のであれば実際問題として、あなたがそのような人物になるには「多大な時間と労力がかかる」か「実現不可能である」ことが多いのです。

「自分で新たに道を作っていくことにやりがいを感じる人」であれば問題はありませんが、ある程度道ができているほうが進みやすいのは確かです。

例えば「専門看護師になり、後輩を育てていきたい」といくら熱心に考えていても、専門看護師になることを特に推奨していない職場だと、実現は大変困難なものになります。通常の看護業務に加え、上司に「専門看護師の重要性に関する交渉」もしなければならないからです。

その交渉がうまくいったとしても、2年間の休職やその間のスタッフの補充、帰ってきてからの仕事内容など、自分ひとりで行動しなければならないことが山のように出てきます。

しかし、すでに専門看護師が在籍しており、後輩を育てているような職場ですと、そのような労力は必要ありません。

早く夢を実現し、次のステップに進みたい方は、「目指すべき人物がいる職場」で働けるよう転職を行ったほうが良い場合があります。

質問3:5年後を目処に「自分は活躍している」と実感できますか

転職時、あなたはできるだけ自分を良く見せようと頑張ります。それと同時に採用側も、見学や仮採用の間はできるだけ採用側の良い面だけを見せようと背伸びをしているはずです。

このように転職時は、「あなた(応募者)も採用側も、あまり実態が見えていない状態にある」といえます。

実際に働き始めることで、徐々にその職場の内部が見え、欠点がわかってきます。3年後、5年後といった長いスパンで考えた場合、「あなたはそこで活躍している」と実感できるでしょうか。

職場の欠点に多少目をつぶってでも、そこで「自分の思い描いたキャリア」を積んでいくことができるでしょうか。

もし欠点のせいで、「自分の活躍できる将来のイメージが浮かばない」ようであれば、転職を視野にいれて考えて行動すると良いでしょう。

これらの質問を通してからも分かるように、いまの職場で「自分ではどうしようもできない問題」を抱えているのであれば、転職し環境を変えることを視野にいれておく必要があります。

このままずっと働いていても、あなたの職場に対する「本質的な不満」は解消されないからです。勇気をだして転職することで、「自分が思い描いていた未来を手に入れられる可能性」が高まっていきます。

転職したい本質を知り、転職か留まるか決めよう

自分の本当の転職したい気持ちを再度考え直してみましょう。あなたの「転職したい本心」はどのようなものであったでしょうか。

「いまは辛いだろうけれど、なんとか自分の力で解決できる問題」であれば、いまの職場で頑張ってみましょう。

一方で、それでも解決できずに辛さが増してくるようであれば、転職し環境を変えても良いでしょう。また「自分の力でどうしようもできない問題」を抱えているようであれば、迷わず転職をおススメします。

転職はいつでも行えます。まずは「本当に転職すべきかどうか」を見極め、「いま自分はどのように動くべきか」を考えてみると良いでしょう。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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転職サイトの活用法

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看護師の転職サイトはそれぞれ特徴があります。「対応地域が限定されている」「取り扱う仕事内容に特徴がある」「非常勤(パート)に対応していない」などサイトごとの特性を理解したうえで活用すれば、転職での失敗を防げます。

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夜勤なしで高年収を実現できる求人として、美容クリニック・美容皮膚科があります。死と隣り合わせの職場ではなく、患者さんを美しくする手伝いを行うのが美容クリニックです。

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一つの職場で働き続けるという形態ではなく、3ヵ月や半年など一定期間だけ勤務する派遣看護師という方法も存在します。高時給を実現でき、人間関係のもつれがなく、「派遣が終わった後は長期の旅行に行く」など自由な働き方を実現できます。

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「今月は苦しいため、もう少し稼ぎたい」「好きなときだけ働きたい」など、こうしたときは高時給を実現できる単発・スポットバイトが適しています。健診やツアーナースなど、看護師ではさまざまな単発案件が存在します。

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