現在、職場でのいじめ、パワーハラスメント(略してパワハラ)が増えています。平成28年度、労働局の「個別労働紛争解決制度の施行状況」において、「いじめ・いやがらせ」が5年連続トップで、年々右肩上がり傾向にあります。

平成23年度、厚生労働省の「看護職員就業状況等実態調査」によると、看護師の退職理由として、「育児・出産のため」が22.1%、「結婚のため」が17.7%となっており、「人間関係が良くないから」は12.8%となっています。

しかし看護師の退職理由の多くは、実は「人間関係のもつれ」にあるとされています。

そこで今回は、看護師がパワハラをスムーズに解決するための具体的方法について詳しくお話します。

パワハラとは

そもそもパワハラとはどのようなものなのでしょうか。

パワハラとは

パワハラとは、「パワー(権限)を利用して、ハラスメント(いやがらせ)を行うこと」を指します。厚生労働省の「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」によると、パワハラを以下のように定義しています。

同じ職場で働くものに対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為をいう

このことを簡単にいえば、「権限を利用して、他人に精神的・身体的苦痛を与える」ことがパワハラです。「職場内の優位性を背景に」ということは「上司―部下間」だけでなく、「同僚間」でもパワハラといえます。

セクハラ・マタハラとの違い

セクハラは、性的な嫌がらせを意味します。パワハラは、性的ではない嫌がらせに当たりますが、職場での地位や優位性を背景に嫌がらせをするという点においては、セクハラもパワハラも重複する部分があります。

一方、マタハラとは、マタニティハラスメントのことで、妊娠・出産を理由として解雇されたり、精神的・肉体的嫌がらせを受けたりすることです。加害者となるのは、上司や同僚、職場や病院ぐるみということもあります。

「パワハラ」「セクハラ」「マタハラ」は最近、働く看護師を悩ませる3大ハラスメントだとされています。

パワハラの6つの具体的パターン

具体的にどのような行為がパワハラに当たるのでしょうか。

厚生労働省の提言では、次の6つのパターンがパワハラの典型的な行為だとされています。

【パワハラの典型的な6パターン】

① 暴行・障害(身体的な攻撃)

② 脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)

③ 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)

④ 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)

⑤ 業務上の合理性もなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)

⑥ 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

ここでは簡単に事例を挙げておきます。

① 暴行・障害(身体的な攻撃)とは、「叩く、殴る、ける」などの直接的な攻撃だけでなく、「物を投げる、壁を叩く、土下座を強要される」などの間接的な攻撃も含まれます。

② 脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)とは、「スタッフの前で大声で叱責、人格を否定される発言(ばあさん、バカ、無能など)、反省文を皆の前で読まされる」などの言葉の暴力のことです。

③ 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)とは、「会話をしてくれない、忘年会に呼ばれない、回覧物をまわさない」など存在自体を否定されることをいいます。これらはパートや派遣社員などの非正規労働者に多く、職場の問題ではなく、病院組織が絡んでいることもあります。

④ 仕事の妨害(過大な要求)とは、「誰が行ってもできない仕事や不要な仕事を強制し、本来行うべき仕事を妨害すること」です。

⑤ 仕事を与えないこと(過小な要求)とは、「業務上必要ないにも関わらず、雑用を強要されたり、仕事自体もらえなかったりすること」を指します。仕事に対する誇りを奪う「人格権(名誉)の侵害」に値する行為です。

⑥ 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)とは、「しつこく交際相手の有無について聞かれる、過度に結婚を奨励される」など「プライバシーを侵害されること」です。

具体的な改善策を示せば「指導」、示さなければ「パワハラ」

看護業務においては、特に「指導とパワハラの線引きがあいまいで難しい」という問題が出てきます。しかし「あの言動は指導かパワハラか」と悩んでいる時点で、すでに問題は生じている状態です。

もちろん、ミスを最小限に留めるためにも、厳しい指導や注意が必要なこともあるでしょう。しかし、その言動が言われた相手にとって納得いくものでなければ、パワハラとなってしまいます。

例えば、ミスに対しての原因や対策などのフォローもなく叱責のみであったり、スタッフや患者さんの前で怒鳴れたりすれば、誰もが苦しい思いをします。これらはパワハラに当たります。

「ただ単に感情をぶつけた叱責」と、「部下を大事に育てようとした指導」では、言葉の選択も対応もまったく違ったものになるはずです。

パワハラが発生したときの解決方法

次にパワハラが発生したときの解決方法について述べていきます。ステップ別に具体的な解決方法について紹介します。

【ステップ1】 第三者を交えて職場内で話し合う

パワハラには、さまざまな原因があり、問題の発生の仕方も多種多様です。そのため、個別に適切な対応を取ることから始めましょう。まずは、「第三者を立ち合わせ、両者の言い分を調整する」ことで解決することがほとんどです。

第三者が立ち入ることがポイントです。公正な目で、中立的な立場になってくれる適任者を探すようにしましょう。看護師の職場では、看護部長や、看護師長、労働組合長、事務長などが適任者です。

ただし、暴行や侮辱、名誉棄損などの重大なレベルのパワハラですと、第三者を交えて職場内での解決は難しい場合が多いです。その場合は、ステップ1を飛ばして、外部機関に頼るようにしましょう。

この話し合いで目指すのは、まずは「パワハラを止めさせ、被害者の権利や名誉を回復する」ことです。これは次のステップにおいても同様の目標となります。

例えば、上司―部下間のコミュニケーションのギャップが問題であった場合は、話し合いを通じて、上司は注意や指導の仕方について反省し、今後は言動に注意を払うことを約束する。一方で、部下も上司が注意した意図を理解し、努力することを約束する、といった具合です。

感情的になりやすい場ですが、第三者が入ることで、双方が冷静に話し合え、歩み寄れる可能性が高まります。

次に解決に向けて目指すポイントは、「パワハラの原因となった職場環境を解決する」ことです。これは職場内で解決するからこそ行えるメリットです。

他のステップで紹介する方法では、相談先が公的労働相談窓口や弁護士といった外部機関となります。その場合、職場の内情を細部まで把握することができないため、職場環境の改善にはまでは至りません。

そして、3つ目の目指すポイントは、「人間関係の修復」です。

トラブルを起こした当事者間の人間関係だけでなく、周囲のスタッフとの人間関係の修復も図っていかなければなりません。話し合いの場を何度か設け、職場で協力し合って仕事を行える体制を構築していくことが大切です。

そして、重要な4つ目のポイントですが、「今回のパワハラ問題を通して、当事者、第三者、周囲の人、職場全体が成長する」ことです。今回生じたパワハラを一過性の問題としてとらえるのではなく、今後も同様の問題を生じさせないために活かしていくことが大切となります。

このような解決プロセスを通すことで、パワハラの根絶を行うことができ、被害者は新しいスタートを気持ちよく切ることができます。

【ステップ2】職場の相談窓口に伝える

次に、リエゾンナースが在籍している場合や院内に相談窓口があるならば、そちらに相談してみましょう。その場合の具体的なプロセスについてお話します。

【職場の相談窓口での相談から解決までの具体的な流れ】

  1. 事実関係の聴取を行う … まずは相談者が「どのような解決方法を望んでいるのか」を聞き取ります。最初は、どのような解決方法が望ましいのか明確でない場合も多く、相談を通じて、徐々に相談者の気持ちを整理し解決策を模索していきます。また、相談者の同意を得たうえで、加害者側からも事情を聴取します。
  2. 再発防止に向けての具体策を講じる … はっきりとパワハラだとは断言できなくても、相談者からの訴えがある限り、再発防止に向けての具体的な解決策を話し合います。第三者が入り、問題を整理することもあります。
  3. 両者の言い分に対立がある場合 … さらに詳しい調査を行い、相談者の同意を得て、職場の第三者から話を聞くこともあります。
  4. 職場環境の改善の提案を行う … 問題の背景に長時間労働や、ストレスフルな職場環境などがある場合、当事者間の問題にとどまらず、職場の問題の改善に踏み出します。
  5. 専門医の意見を求める … 被害者が精神的な不調をきたしている場合、主治医や専門医の意見を求めることもあります。

事実関係を確認し、もし重大な人権侵害が発覚すれば、就業規則に基づき加害者を処分することもあります。また、当事者同士を引き離すために配置転換が行われることもあります。

【ステップ3】労働組合(ユニオン)に相談する

勤め先に労働組合がある場合は、労働組合に相談するようにしましょう。

労働組合とは、労働者が職場(雇用者)と対等な立場で、労働条件や働く環境を改善するために交渉する組織のことです。労働組合の強みは、団体交渉権をもっており、これを組織(雇用者)は拒否することはできません。

もし労働組合がない場合は、地域のユニオンに相談ができます。これは、企業の枠を超え地域別、産業別、職域別(パートや管理職など)、個人加入で成立している労働組合です。地域のユニオンも労働組合と同じ権利をもっており、交渉を申し入れることが可能です。

労働組合・ユニオンに加入する最大のメリットは、相談者が団体交渉に出席し「パワハラの当事者」として解決できる点です。

労働組合として取り組んだ場合、相談者が解決する「主体」となります。被害者本人が加害者や職場側と向き合い、自分の主張を述べ、相手の言い分も直接聞き、解決するという方法を取ります。

一方、他に紹介する方法ですと、相談者は「救済の対象」としての位置づけになり、基本的に担当者が間に入り解決を図ります。

「直接自分の主張をし、相手の言い分も聞き、解決に導く」という労働組合の場合のほうが、本人の納得度が高くなります。被害者が自分で解決していくプロセスを通して、自信を取り戻し、元の生活を築き上げていきやすいのが、この労働組合として取り組む方法になります。

【ユニオンでの相談から解決までの具体的な流れ】

  1. 相談先のユニオンに、電話やメールで相談を申し込む  …相談する際は、事実関係や経緯を記したメモを持参すると説明しやすいです。
  2. 組合費を払い、ユニオンに加入する … 例えば、労働組合ジャパンユニオンですと、月額1000円で加入可能です。
  3. ユニオンが職場に団体交渉の申し入れを行う … ユニオンが相談内容にあるパワハラについて「職場の責任を問う」という申し入れを職場に渡します。ユニオンの場合、加害者に事実確認は行わず、病院組織に対し、「加害者に対する管理監督の責任を問う」というかたちをとります。加害者側の反論や言い分は、職場を通してユニオンに伝えられます。
  4. 団体交渉の実施 … 基本的に相談者も出席します。交渉の場で、被害者が受けたパワハラの実態を述べ、事実調査を行い、解決に向けた調整を行ってほしい旨の要求を行います。勤め先に対して、改善是正を求めます。

ユニオンは、つねに被害者である相談者の立場で、交渉を行ってくれます。なぜならユニオンが団体交渉を行う目的は、「加害者・被害者のどちらが正しいのか」ということではなく、問題の起こる原因を明確にし、労働者が安心して働ける環境を作ることにあるからです。

団体交渉は一回では終わらず、被害者・勤め先の双方が解決の合意に達したら、内容を「協定書」に落とし込みます。協定書とは、労使双方が今後守っていく約束事となります。

ユニオンについては下記に一例を挙げておきます。ユニオンはインターネットで検索することができます。お住まいの地域に近いユニオンで相談してみると良いでしょう。

・コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク

東京都江東区亀戸7-8-9 松甚ビル2階 下町ユニオン(事務局)Tel:03-3638-3369

ジャパンユニオン

東京都葛飾区青戸3-33-3 野々村ビル1階 Tel:03-3604-1294 E-mail:j-union@jca.apc.org

【ステップ4】公的労働相談窓口に相談する

公的労働相談窓口に、都道府県ごとに設置されている労働局の「総合労働相談コーナー」や各自治体の「労働相談窓口」などがあります。

総合労働相談コーナーは、全国に約300ケ所設置されており、利用は無料となっています。相談だけでなく、「都道府県労働局長による助言・指導」や「紛争調整委員会のあっせん」を行ってくれます。

どちらも当事者一方、もしくは双方から申請があった場合に、支援が開始されます。しかし、どちらかが拒否したり、当事者間の意見の隔たりがあったりし、解決の見込みがなければ、あっせん手続きは打ち切られます。

各自治体の相談窓口ですが、「労働センター」「労働相談情報センター」「総合労働事務所」などと、呼び方にはいろいろ違いがあります。どれも、労働相談窓口を行っています。

こちらは相談・助言のところが多いのですが、東京、神奈川、大阪といった都市圏では、労使の間に入り解決の手助けを行う「あっせん」も行なってくれる自治体もあります。法的拘束力はもっていませんが、自治体が間に入る「あっせん」で解決する事例も多くあります。

ただし、こちらのあっせんも勤め先が応じなければ成立しません。

ちなみに、労働基準監督署は「有給の取得不可能」や「残業代不払い」など労働基準法違反の事例については動いてくれますが、パワハラなどの問題は取り扱わないところもあるので注意しましょう。

【ステップ5】弁護士に相談する

こちらは最終手段といえます。弁護士に相談することで、弁護士が相談者の代理人として、加害者や勤め先と交渉を行ってくれます。交渉がまとまらなければ、裁判所に提訴する場合もあります。

ただし、「裁判所を利用する」というのはデメリットも含んでいます。職場の人間関係のトラブルでは、法律だけでは判断できないことが多いからです。そのため、「違法か合法かの判断」だけでは、「職場の問題として根本的な解決に導くことは難しい」とされています。

裁判となると、双方が相手を批判し合います。そのため、双方の溝が深まるばかりになります。相互理解が生まれる余地はなく、「人間関係の修復は不可能」といっても良いでしょう。

また裁判にまで物事が大きくなってしまうと、費用や時間もかかります。

裁判費用とは別に、着手金や成功報酬などの弁護士費用も必要となります。また控訴や上告まで含めると1~2年という月日がかかります。その間、被害者は被害内容を詳細に思い出すことを求められ、苦い過去に向き合い続ける必要がでてきます。

もし、精神的な不調を抱えてしまっている場合、裁判が影響して、さらに回復が遅れてしまう可能性も出てきてしまいます。

パワハラで生じる心身疾患

パワハラを受けると、どのような心身疾患が起こるのでしょうか。

ストレスから引き起こされる疾患

もちろん仕事をする限り、いえ、生きている限りストレスはつきものです。ストレスがあるからこそ、困難を乗り越える喜びや達成感につながり、自分を成長させていくことができるのです。

しかし、ストレスが大きくなりすぎると、達成感よりも疲労感を覚えることのほうが増え、心身に様々な不調が出現してきます。それをそのまま放置していると、病気を引き起こすことも出てきます。

看護師をしていてもメンタル面の不調となると、症状が分かりにくいため、放置し手遅れとなってしまうことも多々あります。

ストレスで引き起こされる症状

ストレスを受けると、身体的には「疲れがとれない」「動悸やめまいがする」「頭が痛い」「寝付けない」「何度も目が覚める」「食欲がない」「下痢を起こしやすい」などといった症状が表れます。

生活・行動面においては、「生活が不規則になる」「服装が乱れる」「ミスが増える」「遅刻が増える」「ぼーっとすることが多くなる「飲酒量が増える」などといった症状が表れます。さらに悪化すると、ひきこもってしまったり、自傷行為を行ったりする人もいます。

心の病気は、身体面に症状として出現することも多く、まずは内科などで検査や診察を受けると良いでしょう。また、心療内科の医師も基本的には内科医ですので、心療内科の医師とも相談しておくことをおススメします。

ただ、このような症状が出現したからといって、「病気」という訳ではありません。原因となるストレスが無くなると、元の健康な状態に戻れることが多いのです。したがってこのような症状が表れたら、とりあえず「休むこと」が重要です。

どのような小さなクリニックでも、またパート・派遣社員でも、有給休暇は労働者の権利として与えられています。これを活用して心身ともに休ませるように心がけましょう。

ストレスの関連で起こる心身症

ストレスにより、自律神経の失調が起こり、身体に異常が起こる病気のことを心身症といいます。腰痛や高血圧、眼精疲労などもストレスに関連があります。下記の症状を参考にして、身体の治療とともにストレスへのケアを行うようにしましょう。

部位 主な症状
呼吸器 気管支喘息・過換気症候群
循環器 本態性高血圧症・冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症)
消化器 胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、心因性嘔吐
内分泌・代謝 単純性肥満、糖尿病
神経・筋肉 筋収縮性頭痛、痙性斜頸、書痙
皮膚科 慢性蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症
整形外科 慢性関節リウマチ、腰痛症
泌尿器・生殖器科 夜尿症、心因性インポテンス
眼科 眼精疲労、本態性眼瞼痙攣
耳鼻咽喉科 メニエール病、メニエール症候群
歯科・口腔外科 顎関節症

心身症はストレスにより、身体の症状として出現し、身体が「これ以上、無理をしてはいけない!」と警告を発してくれているのです。この警告をしっかり受け止め、身体と心を休ませることが大切です。あなたの身を守るのは、あなた以外に存在しません。

パワハラの防ぎ方

最後にパワハラの防ぎ方についてお話ししておきます。

パワハラが起こる原因を排除する

パワハラには、予防が大切です。パワハラを完全に無くすことは難しいですが、予防することは可能です。

パワハラが起こりやすい職場には特徴があります。厚生労働省の「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」によると、下記のような特徴がある職場ではパワハラが起きやすいとされています。

・上司―部下のコミュニケーションが少ない

・正社員と正社員以外(パート、派遣社員など)の立場の従業員が一緒に働いている

・残業が多い

・有給休暇が取りにくい

・ミスが許されない、もしくはミスへの許容度が低い

パワハラが起こらないよう、看護師個人が行えることとして、職場での円滑なコミュニケーションを意識することが挙げられます。とくに「上司―部下間」、「正職員―非正職員間」でのコミュニケーションの重要性を念頭に置きましょう。

次に、病院組織ができることは「長時間労働や過重労働を無くすよう注意すること」です。実は、「長時間労働を少なくするだけで、パワハラが起きる可能性は半分以下になるのではないか」ともいわれています。

さらに、組織として「ゆとりある職場づくりを極力心掛けること」が重要です。

人員不足により、看護師全員がギリギリの状態で仕事をしていると、すれ違いにより悪意をもっていなくてもトラブルに発展しやすくなります。ゆとりをもって仕事ができれば、看護師同士の支え合いも可能となります。

風通しのよい職場環境を作り出す

風通しのよい職場環境とは、誰もが言いたいことがいえるような職場、オープンに話し合える職場のことを言います。

例えば、クリニックで院長が、ある看護師に対して注意をすると場面があったとします。

院長が頭ごなしに上からモノをいうような言い方をしたとき、周りにいた看護師が「それはちょっと言い過ぎではないですか」「そのような言い方をされては、私たちだって働く意欲が奪われますよ」などとたしなめることで、緊張したその場を緩和させ、事態を収束できることがあります。

しかし、ものが言えない職場となると、上記のようなかばい方をしたとき怒りの矛先が自分に向かってくるため、そのことを恐れて周囲の看護師は見て見ぬふりをしてしまいます。

このように風通しの良い職場であれば、その場で解決できるような簡単な問題も、風通しの悪い職場では深刻なパワハラへと発展していく可能性があるのです。

風通しの良い職場では、看護師同士、職種を超えて医師と看護師同士でも理解しあい、信頼関係があり、支え合う関係が構築されています。

一方で、風通しの悪い職場では、スタッフ一人ひとりが孤立しており孤軍奮闘せざるを得ず、一人がギブアップしても周囲の人間は「知らんぷり」ということが起こります。

このような職場では「注意」は「批判」ととられ、「気遣い」は「干渉」と歪んだ捉えられ方をされやすいです。風通しの悪い職場は、「すれ違いが起こりやすく、お互いを傷つけやすい職場である」といえます。

風通しの良い職場かどうか見分けるには

「パワハラの起こりにくい風通しの良い職場かどうか」は、上司(管理職)の人柄で判断できます。クリニックであれば「院長」、病棟では「看護師長や看護副師長」の人柄です。

厚生労働省の「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」(平成24年度)の中に、パワハラ経験者と未経験者の回答を比較したものがあります。

「悩み、不満、問題と感じたことを会社に伝えやすい」という質問に対して、パワハラ経験者では「当てはまらない」と答えた人が64.0%もいました。一方で、パワハラ未経験者ですと「当てはまらない」と答えた人は35.9%と半分に留まりました。

同じように、「上司に伝えやすい」という質問にも同様の回答結果が得られています。

これらのことから、パワハラの予防・解決には、「会社や上司に対する相談のしやすさ、話しやすさ」が大変重要であることが分かります。

転職サイトを利用する

パワハラに悩んで転職を考えた際、ポイントとなるのは上司の人柄だと述べました。しかし、個人ではなかなか求職先の院長や看護師長の人柄までは分かりません。

近所でどのように人柄がよい評判の良いクリニックだとしても、患者さん相手とスタッフ相手では全く異なる対応をする院長もいるからです。ましてや、病棟の看護師長の人柄となると調べる方法はなかなかありません。

そこで、利用したいのが看護師専用の転職サイトです。担当のコンサルタント(転職エージェント)が、院長や看護師長のスタッフに対する態度などを、以前に紹介した看護師などの人脈を利用して調べてくれることがあります。これらは全て無料で利用できます。

もしあなたが「もう二度とパワハラで苦しい思いをしたくない」と思うのであれば、くじ引きのように求人情報だけを見て、次の就職先を選んではいけません。看護師の転職市場は思いのほか、「ハズレの職場が多い」のが現状です。

意図的に「アタリ」の職場を選ぶためにも、必要な情報はしっかり集めて新しい満足する職場に巡り合うようにしてください。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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