どちらかというと看護師という職業は、毎日同じ職場環境でのルーティン作業が多くなります。患者さんを笑顔にすることで看護にやりがいを感じるのは確かですが、他にも看護師免許を活かして「空いた時間で何か別の仕事をしてみたい」という方も多いのではないでしょうか。
そうしたとき、選択肢に入るのがイベントナースです。イベントナースとは、コンサート会場やスポーツ大会、ライブ会場などのイベントで救護活動を行う看護師のことです。普段とは異なる環境にて、看護師免許を活かして働くことができます。
病棟での看護師にはやりがいがあるけれど、たまには違った環境で医療関係者以外の人たちと接しながら、看護師として活躍できるのがイベントナースです。
看護師が行うバイトや派遣の仕事の中では、イベントナースは特に人気の求人です。そこでイベントナースの仕事内容やメリット・デメリット、また求人の探し方について述べていきます。
もくじ
イベントナースの仕事内容を理解する
コンサートやライブ会場など、人が多く集まるイベントの救護班で働く看護師のことを「イベントナース」といいます。イベント会場で体調が悪くなってしまった人やケガをしてしまった人の応急処置をするために医務室で待機する仕事になります。
「コンサートやライブ会場で働けるなんて楽しそう。私もイベントナースの仕事をしてみたい！」と思う看護師さんは多く、募集が出てもすぐに定員が埋まってしまう可能性が高い求人になります。
他にもイベントナースが行う仕事内容について以下にあげておきます。
- 発熱や頭痛、熱中症などの体調不良の内科的応急処置
- ケガや捻挫、骨折などの外科的応急処置
- 既往歴の確認
- バイタルチェックの確認
- 同伴者の有無の確認
- 救急搬送が必要かどうかの判断
体調不良者やケガ人が全く出ないイベントもあれば、体調不良者やケガ人が続出して大忙しのイベントもあり、その時々によって忙しさや責任感はさまざまです。
また、応急処置を施しても状態が良くない病人やケガ人がいるようであれば、救急車を手配して、救急搬送する場合もあります。軽症でも容態がおかしいと思えば、念のためタクシーで病院に行ってもらうように伝えることもあります。
イベントナースは患者が運ばれてきた時点の短い時間で必要な情報収集を行い、正しい処置や救護が行えるように最善を尽くさなければなりません。
ちなみに、基本的に救護室で待機するのは看護師1人のケースが多いです。まれに医師も一緒に待機していることはありますが、ほとんどの場合は看護師が1～2人しか待機していないと思っておいていいでしょう。どのようなイベントの救護班として参加するのかを確認し、事前に必要となるであろう応急処置の方法について確認しておくと安心です。
イベントナースの給料・時給はいくらか
そうしたとき、時給はいくらになるのでしょうか。イベントナースの給料は仕事場所によっても異なります。イベントナースを正社員で雇うケースは皆無に等しく、どれも単発派遣でのアルバイト求人となります。
基本的に1日7～8時間の勤務であり、時給1,500～2,000円以上と高額な求人まで幅広いのが特徴です。やはり東京や大阪などの都心部での求人のほうが、時給は高い傾向にあります。
例えば、以下は埼玉で開催された競技大会にて、看護師の救護待機に関するイベントナース案件になります。
勤務時間は9:00～17:00であり、日給12,500円です。昼食は用意してくれるものの、イベントナースでは実質的に昼休憩などは存在しません。そのためずっと救護待機することでの時給（8時間での計算）は今回だと約1,560円ほどです。
8月の開催であり、熱中症で運ばれてくる人が多ければ大変な仕事になります。ただ、そうした人が少なければわりと楽な仕事といえます。
また午前だけ、午後だけといった労働時間が区切られている求人も多くあります。ただし時給が高ければ高いほど忙しい傾向にあるため、高時給だけで判断をしてイベントナースの仕事を決めてしまわないように注意しましょう。
イベントナースの仕事場所
そうしたとき、イベントナースはどのような場所で働くことになるのでしょうか。これについて、主に以下のような場所になります。
- コンサートやライブ会場
- イベント会場
- スポーツ大会
- 子供たちのイベント
ひとつずつ確認していきましょう。
ジャニーズなどアイドルのコンサートやライブ会場
イベントナースの最大の魅力は、もしかすると自分の好きなタレントやアイドルのコンサートやライブ会場での救護室で働くことができる可能性があることではないでしょうか。
残念なことに募集の段階では「誰のコンサートやライブで働くのか」については教えてもらえません。当日のお楽しみになりますが、列を作っているファンを横目に、ライブ関係者としてスタッフ通用口から入ることができます。
もちろん仕事として参加するため、ジャニーズなどのアイドルに会って挨拶をしたり、コンサートやライブの会場を裏から見学したりすることはできません。
「少しくらい音楽が聞こえないかな」と期待する方もいると思いますが、武道館やさいたまスーパーアリーナなど建物の構造がしっかりした施設でのライブですと、イベントナースが待機する医務室では何の音も聞こえないくらい徹底した防音が施されています。
会場に出入りするときは、ファンの熱気や非日常性などライブの雰囲気を味わうことはできます。ただ、生のライブは見られません。
ミーハーになりたい気持ちは分かりますが、ここはプロの看護師として気持ちを切り替えることが大切です。ライブで急な体調不良やケガをしてしまったファンにも「このライブに来てよかった。救護室ではナースに親切な対応をしてもらえ、適切な処置を施してもらえた」と思って帰ってもらえる看護を心掛けましょう。
コンサートやライブなどで、観客に起こりやすい体調不良は熱中症や過呼吸です。盛り上がりすぎて、自分でも気づかないうちに体調が悪化してしまい、状態が悪くなってから医務室に運ばれてくることが多いです。また、人がひしめき合うようなライブ会場などだと、転倒などのケガも考えておく必要があります。
夏フェス、お祭りなどのイベント会場
主に夏に野外で行なわれる大きなイベントが夏フェスです。例えば、国内外の複数のアーティストによる音楽の祭典が開催され、数日間にわたり数万人規模の観客が訪れ、屋台なども多数出店しています。いまでは、キャンプができる夏フェスもあります。
このように数日間に渡り、夏場に多くの人が集まるイベントというだけあって、急病人が出やすいのが特徴です。熱中症や過呼吸、転倒はもちろん、食中毒や蛇・害虫などによるトラブルの訴えが想定されます。
他には、地元のお祭りでもイベントナースの単発派遣バイトが広く出されます。花火大会など地域のイベントにて、人込みに押し倒されてケガをしたというニュースを聞いたことはないでしょうか。イベントナースはこのような地域のイベントでも求人が出ていることがよくあります。
不特定多数の人が多く集まる場所では、急病人やケガ人が続出するケースが多いです。
もちろん地域の小規模のイベントだと、あまり急病人やケガ人が出ることは少ないです。しかし「だんじり祭り」「けんか祭り」のように全国から祭りを見るために数万もの人が訪れ、また参加者同士がぶつかり合う激しいイベントになると、救護班も忙しくなる場合が多いです。
プロ・アマ問わず、スポーツ大会の求人は多い
野球やサッカー、ラグビー、柔道、バレーボールなどスポーツ好きな看護師にとって嬉しいのがスポーツ大会でのイベントナース求人です。プロやアマを問わず、スポーツにはケガがつきものです。体調の悪くなった観客だけでなく、選手の救護に当たる可能性もあります。
特にマラソン大会などでは、多くのアマチュア選手が参加します。また約42kmと非常に長い距離を走るため、体調不良の人も必然的に現れるようになります。その結果、イベントナースの単発派遣バイトが出されやすいです。
ちなみに私の友人のお母さんの話ですが、サッカーのJ1交流戦でイベントナースとして参加したことがあるそうです。実際にJ1で活躍する選手のアイシングをしたり、熱中症になった観客に水分補給のアドバイスをしたりした経験があるといっていました。
その方はサッカーにあまり興味がなく、看護師として淡々と働いたそうですが、サッカー好きな看護師にとっては大変貴重な嬉しい経験となることでしょう。
サマーキャンプなどの子供たちのイベント
林間学校、サマーキャンプ、部活の合宿など、子供たちのイベントの引率としてイベントナースの求人があります。多くのイベントは一泊二日など宿泊を伴い、その引率をするケースが多いです。
子供たちは普段とは違った環境にて、親から離れて友達と一緒に行動するということもあり、大人が考える以上に危険な行動を平気でする場合があります。そのため、このようなイベントではケガや急病人が出やすいともいえます。
小児科勤務の看護師は普段している看護を活用することができます。また老年者の多い病棟で勤務する看護師であっても、普段触れ合う患者さんとは異なる年代の元気な子供と触れ合えるため、やりがいを感じる仕事であるといえるでしょう。
多いケガは転倒や転落、火傷、害虫によるトラブルなどです。また病気でいえば、腹痛や嘔吐、急な発熱などが想定されます。また夜になると興奮したり寂しがったりして眠れない子供たちのケアに当たるなど、仕事内容は幅広いです。
イベントナース求人は単発依頼で副業可能なメリット
さまざまな場面で活躍するのがイベントナースです。知れば知るほど、「イベントナースは面白そう」と思われた方もいるのではないでしょうか。
そこでイベントナースをする上でのメリットとデメリットについて知っておくことが大切です。このときイベントナースのメリットは、主に単発（スポット・日雇い）の仕事になるため、あなたにとって都合のいい日に副業にて働くことができる点です。単発での働き方は、人間関係のしがらみといった精神的ストレスが少なくて済むのが特徴です。
しかも次の日も出勤しなければならないことはなく、1日限定の仕事であるため、多少嫌な目にあったとしても気分を切り替えることができます。
また医療関係者とは異なる業界で働くことになり、様々な人との出会いがあり、人間としての視野を広げることにもつながります。
さらに、仮にイベントに急病人やケガ人が出ない場合は、救護室や医務室で待機しているだけで報酬が発生します。急病人やケガ人が1人も来なくても報酬が変動するわけではないので、イベントナースは割のいい仕事ともいえます。
さらに看護師というのは職業柄、病棟や施設、クリニックといった狭い空間での勤務となるのが一般的です。しかしイベント現場となると明るく活気のある雰囲気であることが多いため、イベントナースを行うとイベントごとに気分をリフレッシュできるのが特徴です。
少人数で野外活動は多く、冬に求人が少なくなるデメリット
一方でイベントナースのデメリットは、看護師の人数が一人または数人であるため、スピーディにかつ的確な処置が望まれる点です。そのため看護師としての経験があるのは当然であり、幅広い知識をもって仕事に臨む必要があります。
もし病棟での経験が少なく、臨機応変な処置を行う自信が無いようであれば、イベントナースを選択するには時期尚早だといえます。
また夏フェスなど野外で行われるイベントの場合、救護活動も野外になる場合が多いです。外に出て救護活動をするときでは、炎天下・悪天候のなかでも自分の体調管理も考慮しながら活動する必要があります。暑い環境や虫が苦手という人は夏のイベントには耐えられないかもしれません。
またメリットで「イベントナースは単発の仕事であるため都合のいい日に働ける」と述べましたが、逆にいえば、「収入が安定しない」というデメリットでもあります。正社員として働くことはできず、あくまでも副業での単発バイトです。
このとき夏はイベントが多く開催される時期であるため、比較的求人が多いのが特徴です。一方、冬はイベントが少なめであり、連続して働けるわけではありません。そのため、イベントナースを収入の主軸に考えるのは微妙です。
派遣看護師でイベントナースをする
そうしたとき、どのようにすればイベントナースとしてダブルワークによる副業勤務を実現することができるのでしょうか。これについては、派遣看護師の求人を広く取り扱っている転職サイトを活用するのが基本です。
イベント開催でイベントナースの募集をすることはよくあるものの、そもそもどこで募集が存在するのか不明です。また、ボランティアにて無給で働かせようとするイベントも非常に多いため、きちんと給料を出してくれるイベントでなければいけません。
一方、派遣看護師を取り扱う転職サイトを利用すれば、あなたが働きたい日を選択して選ぶことで、以下のように存在する求人の一覧が表示されます。
もちろん、詳しい求人内容を転職サイトの担当者に問い合わせても問題ありません。日本全国でイベントナースの募集があるため、これらの中から気になるイベントをピックアップしましょう。
また事前に転職サイト（人材派遣会社）に登録しておけば、あなたの家の近くでイベントナースの求人が出されたとき、すぐに連絡してくれます。
イベントナースは人気の求人のため案件が少なく、求人が出てもすぐに決まってしまうことが多いです。そのため、なかなか条件に合う求人に出会えない場合が多くあります。特に自分で探すとなると「この求人は条件が合う」と思って応募をしても、既に他の人に決まっているケースがほとんどです。
そこで転職サイトに前もって登録すれば、サイトに求人が掲載される前に担当者があなたの条件にあった求人を優先的に教えてくれます。また紹介してもらったイベントナースの仕事を行い、あなたの評判が良ければ、次のイベントナースの仕事も紹介してもらえる可能性が高くなります。
何でも取り組み、看護力アップにつなげる
イベントナースをするとなると、「ミーハーな気持ちで仕事をするなんて！」と年配の看護師に怒られてしまうような気持ちになります。
しかし休みの時間にテレビ見たり、友達と騒いだりして時間を潰すよりも、空き時間を利用して看護師として違う環境で本領を発揮するほうが優れているといえます。当然、イベントナースを経験することであなたの看護力にも深みが増してきます。
気分転換にイベントナースを数ヵ月に2～3日ほど行うだけで、気分がリフレッシュされて気晴らしとなり、本業でより力を発揮できる看護師も存在します。
いままでの自分の看護知識や経験を充分に活用し、違う世界で楽しく働くことができるのがイベントナースです。看護師免許をもっているなら、一度はチャレンジしてみる価値があります。
MCナースネットで存在する単発派遣バイト
ただ、このときは単発派遣バイトの求人を広く取り扱っている転職サイトを利用しなければいけません。こうした案件を扱う転職サイトはほぼ存在しませんが、単発バイトでも問題ない転職サイトにMCナースネットがあります。
MCナースネットは全国規模で展開をしている、看護師専門の単発求人や派遣バイトを多く扱う会社になります。他にも看護師の人材派遣会社は多数ありますが、単発・日払い、スポット求人を考える場合、MCナースネットの一択になります。
イベントナースとなると、どうしても東京や大阪などにしか求人が無いように思えます。しかしMCナースネットでは、全国でイベントナースを含めた単発派遣バイトが広く存在します。事前に登録することで、求人が出されたら連絡してくれます。
またイベントナースの仕事が無い間は、希望すれば他の1日限定の単発バイトを紹介してくれます。MCナースネットは単発の仕事の種類が多くツアーナースや健診、巡回入浴、デイサービス・デイケア、有料老人ホームの単発求人も扱っています。単発派遣バイトをしたい場合、MCナースネットを利用しましょう。
