看護師の働き方として、旅行のように「一定期間だけを勤務する方法」があります。派遣として活躍することになりますが、特定の場所だけで勤務するのではなく、勤務地を変えながら働く方法になります。これがトラベルナース(応援ナース)です。

ただトラベルナースに興味があっても、どのような働き方になり、給料がどのくらいの額になるのか分からない人は多いです。トラベルナースとして勤務することに不安をもつのは普通です。

「看護師としても人間としても視野を広げたい方」「時間に余裕のある方」「心機一転して別世界で働いてみたい方」「短期間でお金を稼ぎたい方」などにおすすめの働き方がトラベルナースといえます。

そこで、トラベルナースの具体的な仕事内容や気になる給料、メリット・デメリット、求人の探し方について詳しく確認していきます。

トラベルナース(応援ナース)の仕事内容

トラベルナースと聞くと「旅行する看護師」と考えてしまいます。人によってはツアーナースと勘違いするケースが多いです。

「旅行に付き添い、旅先で参加者の健康管理を行う」のがツアーナースの仕事内容です。一方、トラベルナースは「一定期間、看護師不足である離島やへき地、地方・都会の病院へ赴く看護師」のことを指します。そのため、別名で応援ナースとも呼ばれます。

トラベルナースの契約期間としては3~6ヵ月ほどの職場が多いです。北は北海道から南は沖縄まで、日本各地でトラベルナースの求人があります。

働き方としては、派遣看護師として人材派遣会社に登録し、そこから希望する求人を絞っていくことになります。例えば、以下は北海道にある病院でのトラベルナースの派遣求人になります。

派遣求人であることもあり、時給2,500円と非常に高額です。トラベルナースでは、こうした高い時給を実現することも可能なのです。

ちなみに赤線で囲った紹介予定派遣というのは、「契約期間が終了し、病院側とトラベルナース側(あなた)の双方の同意があれば、正社員になれる」という派遣方法になります。その土地や病院が気に入った場合は、派遣看護師から常勤としての雇用契約を結び直し、長く勤めることも可能な働き方です。

もちろん応援ナースとしての募集のため、正社員になることは考えず、単に期間限定で勤務すること自体は何も問題ありません。

このようにトラベルナースは、好きなときに好きな場所で、看護師免許を活かして働ける魅力があります。私の知り合いには「幼いころからさまざまな地域や場所で働きながら、日本を転々としたい」と考えており、トラベルナースを選択した人がいます。

その人は、3年くらいトラベルナースを体験しています。徐々に目標を絞り「離島医療に貢献したい」と考え、いまは離島でのトラベルナースを中心に活動しています。

応援ナースに向いている人の特徴

それでは、どのような人がトラベルナースに向いているのでしょうか。例えば、以下のような方であれば、トラベルナースをおすすめします。

  • 一定期間だけ働き、残りはプライベートを充実させたい
  • へき地医療・離島医療を経験したい
  • いまの人間関係から離れて、全く異なる環境でやり直したい
  • 様々な経験を積み、視野を広げていきたい

病棟の常勤看護師のように「同じ環境で働き続けなければならない」という狭い空間でのしがらみから解き放たれ、より多くの環境の下で看護師勤務することで、キャリア形成を実現できるのがトラベルナースです。

このとき、中には「経験やスキル、知識の不足で困ることはないだろうか」と思われる方がいるかもしれません。

しかし仕事で必要となるスキルは、トラベルナースを経験することによって、後からいくらでもついてくるので心配いりません。また経験がなかったとしても、新しい職場で過去の自分のやり方にこだわらず、うまく馴染んでいけるともいえます。

自分の価値観や仕事観に合わせて、こうしたトラベルナースという働き方をうまく利用することができれば、あなたらしく満足した勤務方法を実現できるようになります。

・海外ではトラベルナースという働き方は一般的

ちなみにトラベルナースというと日本では珍しい働き方ですが、応援ナースの実績が25年以上あるアメリカでは普通です。「全看護師350万人中、40万人がトラベルナースを実践しており、これは約8人の看護師に対して1人の割合」というくらい、海外の看護師にとって一般的な働き方です。

トラベルナースの本場アメリカでは、「看護師が13週間(1週間のトレーニング期間を経て12週間の実務を行う)という期間限定の雇用契約を結び、期間終了後は別の地域に移動して同じように働く」という形態をとっている看護師が多いです。

実力主義のアメリカでは、「集団に埋もれた一人の看護師」よりは、トラベルナースとして「自分から能動的に仕事に取り組み、看護師として活躍する姿勢」のほうが重宝される傾向にあるのです。

トラベルナースの年収・給料事情

トラベルナースの給料について述べていきます。リゾートナースとも呼ばれるトラベルナースの求人を給料面で見てみると、やはり一般的な求人の給料よりも多いのが特長となっています。夜勤手当込みで、看護師であれば月30~40万円、准看護師であれば月25~35万円といったところが相場となります。

トラベルナースはボーナスが出ない分、月々しっかり稼ぐことが可能なのです。これは常勤看護師に限らず、他の派遣看護師の時給と比較しても、かなり好待遇・高収入であるといえます。

例えば地方の看護師がパートで働いた場合、「時給1,500~1,700円ほど」が多いです。しかしトラベルナースの場合、へき地で働いたとしても2,000円以上の時給であるため、かなり高待遇であるといえます。

時給2,400~3,000円の求人がほとんどであり、常勤看護師よりも高額な手取りを得ることが可能です。なかには6ヶ月働いて、一ヶ月旅行に出かけるといったプランを立てる人がいるくらいです。

以下に福岡県にある病院のトラベルナース求人の一例を挙げます。

即日から6ヵ月以下での雇用契約となっていて、時給2,600円(交通費別)と看護師としては高めの設定となっています。時給2,600円といえば、8時間勤務を行えば1日20,800円、週に5日働くと月収は416,000円になります。

20代の看護師であっても、3ケ月で120万円以上、6ケ月で240万円以上の収入を手にすることができます。年収換算だと480万円以上です。宿付きなのは基本のため、贅沢さえしなければ経済的にかなり余裕が生まれます。

また、トラベルナースに関わらず派遣看護師のすべてにいえることですが、常勤と違ってサービス残業する義務がありません。委員会や勉強会に出席する必要もなく、常勤看護師にありがちな過剰労働に悩まされる心配もないです。

トラベルナースのメリットは自由なライフスタイル

看護師資格を活かしたトラベルナースの魅力について話してきました。ただ「トラベルナースだけで生活できるの?」「いきなり見知らぬ土地で働くなんて、困ることはないの?」と不安に思う方も多いでしょう。

そうしたときトラベルナースで働く最大のメリットは、自分のライフスタイルを自分で決められるという点にあります。仕事中心の生活をしたくない場合でも、反対に仕事に打ち込みたい場合でも、あなたの希望に合わせた求人を選び、新天地であなたらしく働くことができます。

またトラベルナースの魅力は、都会で働く看護師がへき地や離島へ赴くといった選択肢だけではありません。反対に地方の看護師が東京や大阪などの都会で一定期間働くことも可能なのです。例えば、以下は大阪にある病院から出された応援ナース求人です。

大阪にて月44万4,000円にて期間限定の働き方が可能になります。地方に限らず、都市部を含めて応援ナースとして勤務できます。

さらに契約を締結する際には、労働条件や労働時間などを自分で決定することができます。日本各地、北から南まで気になる地域で仕事に就くことが可能なのです。

その他にもトラベルナースのメリットとして、以下のような点が挙げられます。

  • 期間限定なので、人間関係のしがらみがない
  • 様々な人間に出会い、自分の視野を広げられる
  • 設備付きの寮が完備されている
  • 毎月の赴任手当が加算され、通常より月給が多い

トラベルナースは派遣看護師であるため、雇用期間が限定されています。そのため、「この職場での勤務が終わったら、全く違う環境に身を置ける」といった前提によって、割り切って働くことができます。

一般的に正社員として病院勤務をすると、すぐには異動も転職もできない場合が多いため、労働条件が悪いと心身ともに病んでしまうケースも多くなります。しかしトラベルナースであれば、そのような人間関係のわずらわしさを感じる必要はありません。周囲の目はあまり気にせず、自分の価値観で看護を行えるのが魅力です。

また、自分の興味のある看護領域に携われるだけでなく、様々な地域の人々と触れることで視野を広げることもできます。リゾートナースを通して得られた経験は、これからのあなたの看護人生にとって、礎になっていくことでしょう。

さらにトラベルナースの場合、職員寮の利用をできるところがほとんどです。寮を利用した場合、寮費は20,000円程度と安く、さらに水道・光熱費までも雇用先が負担してくれる場合もあります。

そのため、常勤看護師としていままで通り働くよりも生活費がかからず、無駄遣いしなければ大きな貯金が可能です。例えば以下の求人は北海道にある病院のトラベルナース求人です。

この求人であれば、家賃も水道代も光熱費も支給してくれるため、食費くらいしか出費がありません。このようなことから貯金分をプライベートに回し、休日にはイベントなどに参加してストレスを発散させる人も多いです。

細かいトラベルナースのデメリットを理解するべき

ただ、メリットがあればデメリットもあります。これについて、事前に理解しておかなければいけません。トラベルナースとして勤務するとき、デメリットは以下の通りです。

  • ボーナスが支給されず、昇給・昇進はない
  • 赴任先についての詳しい情報が得られない
  • 人手不足なので忙しい職場がよくある
  • 赴任するたびに新しい病院のやり方を覚えなければならない

トラベルナースは派遣看護師であるため、仕事でどのように頑張っても昇給や昇進はありません。またボーナスもありません。どのように仕事を一生懸命行ったとしても、給与に反映してもらえないため、モチベーションを感じられない面があります。

また人材派遣会社によっては、現地の詳しい情報を教えてもらえないことがあります。現地で働き始めてから、「このようなはずではなかった」とするミスマッチはできるだけ防ぎたいものです。そのため、人材派遣会社は慎重に選ぶ必要があります。

さらに人手不足の病院での仕事になりますので、職場はとことん忙しい場合があります。総合医療を行う医師のもとで、領域外の青年・老年看護だけでなく、産科看護や救急看護まで担当する可能性があります。

もちろん、赴任先が変わるごとに新しいやり方、物品の位置などを覚えていかなければなりません。

また注意しておいてほしいのは、社会保険が付いていない可能性があることです。常勤であれば、いままで勤務していた職場が保険料の半分を支払い、残りは給与天引きです。ただ派遣看護師となると、自分で国民健康保険料などを支払う必要が出てきます。

しかし求人によっては常勤と同様に、人材派遣会社のほうで社会保険の支払いをしてくれるところがあります。トラベルナース契約をする前に「社会保険には雇い先である人材派遣会社のほうで加入してくれるのかどうか」を尋ねておきましょう。

トラベルナースでは徳洲会病院が有名

ちなみにトラベルナースというと徳洲会病院が有名です。医療法人徳洲会を中心とした全国規模で経営展開している病院が徳洲会病院です。

全国に病院やクリニック、老人保健施設と300以上の施設をもっており、日本最大級の医療介護事業グループです。また2006年にはブルガリアにも「ブルガリア徳洲会ソフィア徳田病院」を開設し、海外にも拠点をもっています。

「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」を目指し、24時間年中無休で開院している珍しい病院です。

もともと徳洲会病院は離島・へき地医療に力を入れて取り組んでいます。そのため、リゾートナースという働き方の先駆者として有名だといえます。以下は、転職サイトに掲載されている徳洲会のトラベルナース求人になります。

徳洲会のトラベルナースでは、施設の求人募集状況にあわせて、北海道から沖縄まで希望の勤務地を選択することが可能です。リゾートナースをするにあたっての条件は、「徳洲会の運営する病院や施設で6ヵ月以上の勤務をすること」です。

離島やへき地での看護を経験したい人はもちろん、都会での急性期病棟での勤務を希望すれば、そちらで勤務することも可能です。南は石垣島や宮古島から、北は北海道の田舎まで、徳洲会が展開している病院・施設から選ぶことができます。

また徳洲会病院のトラベルナースの場合、赴任に必要な交通費や引っ越し費用は病院側で負担してくれます。

また待遇面では、期間限定とはいえ施設に所属している看護師と同等の給与が貰えます。給与にはトラベルナース手当が加算されており、月に60,000円支給されるので、短期間の勤務とはいえ賞与分を付加してもらったくらいの月給追加が保障されています。

なお徳洲会病院へトラベルナースとして直接申し込むことも可能ですが、人材派遣会社を通すことをおすすめします。

赴任先で何らかのトラブルがあったときに人材派遣会社を通していたほうが、あなた担当のコンサルタント(エージェント)に相談できます。見知らぬ土地の、しかも誰も知らない職場の人達では解決までの道のりが長くなってしまいます。そのようなとき助けてくれるのが人材派遣会社の担当者です。

資格を活かし、トラベルナースを経験して成長する

トラベルナースは一定期間、あなたの希望する地域・場所で看護師資格を活かせる働き方です。このような働き方の実現は一般的な会社員では難しく、看護師ならではといってもいいでしょう。

「現状を変えたい」「看護師として成長したい」「プライベートを充実させたい」といったさまざまな願いを実現できるのがトラベルナースです。

ただ、「慣れない場所や知らない人達のところでいきなり仕事をする」となると不安を抱えてしまうのは確かです。また自力で条件の良い求人を見つけるのは不可能に近いです。そこで信頼できる転職サイトを活用し、トラベルナースとして満足いく転職を実現しましょう。

「トラベルナースとしての仕事の任期を無事に終え、現地の同僚や上司、患者さんに惜しまれながら去っていく。そして新しい土地でまた活躍する」という理想的な状況の実現は、看護師ならではです。自由にいろんな土地を渡り歩きながら、高給料を目指したい人におすすめの働き方だといえます。

トラベルナースといえばMCナースネット

なおトラベルナースに興味をもっていたとしても、多くの転職サイトの中でどのサイトを利用すればいいのか分からない人が大半です。トラベルナースは派遣求人のため、看護師派遣を取り扱っている転職エージェントを利用する必要があります。

また派遣求人の中でも、高給料で宿付きとなるのでトラベルナースの募集は特殊になりがちです。そうしたとき、特にトラベルナースの案件を広く保有している転職サイトがMCナースネットです。以下のように、「応援ナースに関する特集」が組まれているほど、多くのトラベルナース求人を取り扱っています。

また全国展開しているため、地方在住でもトラベルナースの求人紹介が可能です。あなたがどこに住んでいたとしても、期間限定で高給料の勤務が可能になるのです。

なおMCナースネットの場合、不安を抱きやすいトラベルナースの業務内容や勤務条件について、契約前に詳細を教えてもらえます。つまり、「あなたはへき地医療に興味があるとお聞きしていますので、〇〇病院に行ってください」などと、いきなり派遣先を指示されることはありません。

「どのような業務内容なのか」「どのような地域なのか」「勤務条件や残業の有無はどうか」など、あなたの担当者が詳しく調べてくれます。事前情報をたくさん理解しておけば、現地で働き始めてから「このようなはずではなかった」といったギャップが少なくて済みます。

トラベルナースとして活躍したい場合、現状ではMCナースネットのほぼ一択になるため、必ず利用しなければいけない転職サイトになります。