新卒で看護師として働き始めてから、まだ1年目であるにも関わらず、入職した医療機関を退職したいと考える人は多いです。
当サイトの管理人である私についても、30代後半で看護師免許を取得して新卒で入職したものの、総合病院、眼科クリニックと1年半の間に2回も転職しました。その後、自分の条件に合うクリニックに巡り合うことができ、いまも働き続けています。
いまは日勤のみの働き方ですが、総合病院で夜勤をしていたときの給料とあまり違いはありません。また数年で看護副師長に昇格し、尊敬できる同僚のもとで、やりがいのある働き方を実現できています。
あなたが「半年や一年未満しか看護師経験がない」としても、転職を成功させて満足する働き方を手に入れることは可能です。せっかく看護師免許を取得したとはいっても、一年目に勤務する職場の環境が悪くてはいけません。ここでは、心も身体もボロボロになる前に「あなたらしく働ける職場」に巡り合える方法について解説していきます。
もくじ
経験一年未満(1年目の新人看護師)が転職に失敗する原因
まず入職1年目の新人看護師について、なぜ転職に失敗しやすいと考えるのでしょうか。1年目の新人看護師が転職を考えた際、最初に不安に思うこととして、「経験が少ないから、採用で不利になるのではないか」があげられます。
ただ実際には、たとえ半年しか看護経験が無いとしても、転職においてデメリットにはなりません。転職市場では年齢が若いほど有利です。いくら経験があっても年齢がある程度上だと使いづらく、転職で圧倒的に不利になります。そういう意味では、看護師一年未満の若いときのほうが転職で有利です。
また、「看護経験の少ないほうが転職で有利に働く」ケースがよくあります。こうした看護師はベテランに比べて低めの給料で問題なく、さらには育成による伸びしろがあるからです。
特に、看護師育成に自信のある医療機関であるなら、「看護経験が半年・一年未満の新人看護師」の採用が最有力候補に挙がります。例えば、東京の総合病院から出された以下のような求人になります。
第二新卒(新卒で働き始め、3年未満の人材)を広く受け入れていることから、入職1年目の看護師を歓迎していると分かります。こうした求人は非常に多いのです。
新卒後、一年未満の看護師を求人側が重宝する理由とは?
なお、経験が一年未満の看護師であってもなぜ医療機関側は採用に積極的なのかについて、より深く確認していきます。これについては、看護師経験が半年や一年未満しかない新人看護師だと、採用側にとってメリットが多いからです。
1年目の新人看護師は、中堅看護師と比べると看護経験が少ない分、「自分なりのやり方」が確立していません。そのため新しく働く病院環境に馴染みやすく、能力開発の余地は多分にあります。
一方で新卒看護師と比較しても、1年目の新人看護師のほうが「社会人としての常識」「基礎的な看護スキル」を備えているケースが多いです。新卒看護師のように採血や点滴技術など、何もかも一から教育する必要がないのも魅力です。
そのため半年・一年未満の経験しかない看護師は、新卒看護師と中堅看護師の良さを兼ね備えているだけでなく、新卒看護師を雇うよりもリスクが少ないといえます。そのため半年など、一年未満で看護師を辞めてしまったことを必要以上に問題視する必要はありません。
採用担当者は「またすぐ辞めるかどうか」を懸念
ただ半年や一年未満の経験しかない新人看護師を雇うとき、採用担当者が注意するポイントがあります。それは「前の職場と同様、この職場も嫌になってすぐ辞めるのではないか」という点です。
反対にいえば、採用担当者に「そうした納得できる理由で、前職を半年や一年未満で辞めたのであれば仕方がない」「この人なら、長く勤めてくれるだろう」と思わせることができれば、採用に近づくことができるのです。
もちろん転職の場面では、ほぼ全員がネガティブな理由となります。そうしたとき、「人間関係が嫌で辞めた」「なんとなく合わなかった」「仕事が辛かった」などの退職理由を正直にそのまま述べると、採用側の印象は悪く不採用となってしまいます。
私についても、新人看護師として1年半の間に何度も転職しましたが、このとき最初の職場では「慢性期病棟の配属でスキルを学べないから」、2番目の眼科医院では「いじめられたから」など、かなりネガティブな退職理由です。
退職理由がネガティブな理由になるのは仕方ないため、ポジティブな退職理由・志望動機になるように調節しましょう。
退職理由・志望動機を自己分析する
それでは履歴書や面接で、採用担当者が納得できる退職理由の書き方・述べ方とは、どのようなものになるのでしょうか。
看護師1年目での転職を成功させるには、まず履歴書を書く前に自己分析を行い、退職理由・志望動機をしっかり考えておく必要があります。履歴書には、次のような志望動機の欄があります。このときに行き当たりばったりで、自分の思うままに書き連ねてはいけません。
そうしたとき、退職理由が前職の悪口になってはいけません。ただ「前職の悪口はいわないほうが良い」とアドバイスを受けた結果、反対に前職の良い話ばかり述べてしまい、結果的に退職理由が不明になっている人も多いです。
例えば面接で退職理由を述べるとき、「前職では大きな問題はなく、師長や同僚とも良好な信頼関係の中で仕事をしていました。待遇もそれほど不満はありませんでした。ただ自分としては、よりキャリアアップをしたいと考え……」などと聞かされても信ぴょう性が薄いです。
そこで明確な志望動機を作りましょう。例えば、「副師長がすべてを仕切る職場であり、個人的な意見はまったく通らず、そのためにチームで職場を改善していける環境で活躍したい」のような感じになります。これであれば前職の悪口というよりも、プラスの志望動機になっています。
明確な退職理由があるなら転職できる
ちなみに一年未満の新卒看護師の中には、本当にこれといってはっきりした退職理由のない人もいます。ただ、働き始めて仕事に余裕が出てくると、半年や1年目くらいで、「自分はこの病院でこのまま働き続けていてもいいのだろうか」といった漠然とした不安を抱くのです。
いつもの景色に物足りなさを感じてしまうのが新人看護師です。
このような場合、「現職にどうしても解決できない問題がある」「何としてでも実現したい仕事がある」といった明確な理由が存在しない限り、いまの仕事を辞めるべきではありません。
軽い気持ちで転職をしてしまうと「転職グセ」がついてしまい、新しい職場でも長続きが難しくなります。人手不足の看護師業界なので転職自体はできますが、転職を繰り返せば繰り返すほど、どんどん勤務条件は悪くなっていきます。
転職したくなったとしても、退職理由が曖昧なものであるなら、いまの仕事を続けておくほうが無難です。そのため志望動機・自己PRともつながりますが、「転職で実現していきたいこと」を本気で考えることが転職成功の鍵となります。
自分に「なぜ退職したいのか」という問いかけを繰り返し、自分の考えを突き詰めていく作業は必須です。これを明確にしたうえでプラスの退職理由を考え、転職活動するからこそ成功できるといえます。
1年目の看護師がすべき退職理由の回答
それでは経験半年・一年未満の看護師の採用面接で、必ず聞かれる退職理由の回答例について述べていきます。経験1年目といった看護経験の浅い新人看護師であるからこそ、面接で相手を納得させるだけの退職理由を整理しておく必要があります。
このとき、看護師の退職理由で一番の多いのは「人間関係」ともいわれています。これについては採用側も把握しています。一方で、面接での答え方が難しいのも人間関係での不満についてといえます。
しかし人間関係がうまくいかないで退職を決意したとしても、ストレートに「いじめにあった」「師長の言い方が高圧的でついていけなかった」という答え方では採用側もあきれてしまいます。
そこで「どのような師長で、その上司のどの部分が自分と合わなかったのか」「そのような問題に、自分はどのように対処したのか」を分析して話しましょう。そうすると話の内容が、主観的な「人間関係の問題」から「看護観の問題」に変わります。
もちろん退職理由が人間関係でなかったとしても、いずれにせよ「客観的で納得を得られるような回答」を心がけましょう。例えば、以下のようになります。
採用側:前職を半年といった短い期間で辞められたのは、どのような理由からですか。 応募者:私はもともと患者様の立場になって、信頼関係を築く看護師になりたいと考えていました。しかし、実際に入職してみると「一部の看護師が患者様に対して、雑な扱いをしている光景」が目につくようになりました。 患者様に失礼な言動をしているのを聞いたため、あとでフォローに回ったところ、患者様やそのご家族が「入院している間だけだから我慢します」と悲しそうに言われていたのが忘れられませんでした。 そのうち、同じように失礼な態度で接する同僚が増え始めました。 私は看護師長に「看護師の人数が足らず、仕事が大変なのは分かるけれど、もう少し患者様の気持ちを汲んだ言動を心がけたほうが良いのではないか」と何度も訴えました。しかし、「それでは仕事が回らなくなる。ここにはここのやり方がある」といわれ、受け入れてもらうことができませんでした。 私自身、患者様と丁寧に向き合うことで周囲を変えていこうとしました。しかし、それには長い年月と労力が必要であり、自分が目指す看護を実践していくことに限界を感じてしまいました。自分の希望する看護には程遠いと考えたため、退職という形で早く決断した次第です。 |
このときのポイントは「前職では看護観が異なっていることに気づき、自分なりにできる限りの努力を積み重ねてみたがダメだった」と伝えているところにあります。職場の問題点に関して、「自分なりに努力をして改善させようとしたが、難しかった」といった具体的なエピソードを添えると説得力が増します。
単なる職場内の人間関係のトラブルではなく、職場全体が抱える変えようのない問題が退職理由となります。このような回答であれば、採用側は「退職しても仕方がない」と考え、私たちの病院に馴染んで頑張ってくれるに違いないと思ってもらえます。
焦って転職活動を行うと失敗する可能性が高くなる
こうして転職理由を考えたら、次は実際に転職活動を行うことになります。このとき1年目の新人看護師が転職で失敗する理由として多いのが、焦って転職活動を進めることです。
人手不足の看護業界であるため、あなたが条件を選ばないのであれば、必ずどこかの医療機関や施設には採用されます。しかし、「採用=転職成功」ではありません。転職成功とは「自分らしく長く勤められる職場に採用されること」だといえます。
私についても、看護師として最初に転職したときは非常に焦りました。30代後半で採血技術もままならず、当時の看護経験はないに等しかったからです。そこでハローワークを訪れ、何の下調べもせず職員にいわれるがまま、その日のうちに眼科クリニックに応募してしまいました。
すぐに採用となり喜んでいたのも束の間、いじめに遭って人間関係に悩み、わずか6ケ月で再び退職することになってしまいました。これでは、転職に成功したとはいえません。
そこで、履歴書提出や面接前に充分な情報収集を行い、「本当に自分に合っている職場かどうか」を比較・検討しましょう。
一年未満の看護師が病院・クリニックへ転職を成功させた私の成功例
参考までに、私が一年未満で退職したときの経験を話します。前述の通り私は30代後半にて、新卒で総合病院の慢性期病棟に入職しました。そこでは採血などはなく、おむつ交換や入浴介助ばかりでした。部署移動を願い出るものの却下され、看護師としてスキルアップできないため10ケ月で退職しました。
そこで、私は次に眼科クリニックに転職しました。先述しましたがハローワークでの紹介です。
後で転職サイトの担当コンサルタントに教えてもらって分かったのですが、そのクリニックは常に求人が出されており、知っている看護師なら誰もが避ける悪質な職場として有名なクリニックでした。新人看護師であれば、誰でも2ヵ月以内に退職するような人間関係の悪い職場だったのです。
私は新卒で総合病院を退職したのち、初めてハローワークに行き、求人紹介を行ってもらいました。そのため、「その眼科クリニックの求人はいつも出ていた」という事実を知りませんでした。また、ハローワークの職員にその事実を教えてもらうこともありませんでした。
そうして私は眼科クリニックで悪質ないじめに遭い、わずか半年で退職に追い込まれてしまいました。何度、倉庫で深呼吸をして、落ち込んだ気持ちを奮い立たせたか分かりません。
眼科クリニックを退職後、私は看護師として半年や10ケ月しか勤められておらず「看護師に向いていない」と考え、看護師自体を辞めることを考えていました。
しかし、ダメ元で登録した転職サイトの担当コンサルタント(転職エージェント)からタイミングよく電話がかかってきて、いまの職場に巡り合えることになりました。
いまの職場は転職サイトでは人気があり、非公開求人となっていました。それでも私が申し込んだとき、私より先に11人の応募者がいました。たぶん、私よりも看護経験の豊富な看護師ばかりだったと思います。
短い期間に2回も転職を繰り返し、30代後半で看護師経験も少ない私は、どう考えても不利な状況だと考えていました。
しかし転職サイトの担当者からまったく問題ないことを教えてもらいました。さらに担当者は、履歴書や職務経歴書の書き方、面接での受け答え方までノウハウを細かく教えてくれました。また、私が英検準一級をもっていると聞いて、資格手当をアップする交渉まで代行してくれました。
そしていまの職場で数年経ち、私は看護副師長になりました。私はいまの仕事にやりがいを感じることができており、同僚も尊敬でき、後輩を育成しながら仕事を続けています。
正しく転職活動を実践すれば、たとえ経験年数の少ない1年目の看護師であっても悪い環境から離れ、優れた環境の職場に転職できます。30代後半の新卒で短い間に何回も転職してしまった私ですら、優れた職場を発見できたのです。当然、あなたも同じように転職によって成功できるはずです。
1年目の新人看護師こそ、転職をじっくり考える
新卒のときだと、実際に医療現場で働いたことがないため、どのような職場が優れているのか判断するのは不可能です。
ただ新人として働けば、一年未満であっても「それまで見えてこなかった看護師の職場選びの目」が培われてきます。「このような職場だと自分には合わない」「こうした仕事内容だとやりがいを感じられる」など、自分にとって何が合っているのかを把握することができるのです。
ただ経験半年や一年未満で転職を考えるのは勇気が必要です。その後の人生にも大きく影響するのが転職のため、優れた職場で勤務しなければいけません。
しかし明確な退職理由をもったうえで行動を起こせば、あなたは看護師としての未来を良い方向に変えていけるといえます。年齢は若いほど転職市場で価値が高いため、優れた条件で転職しやすいいまの段階で活動するこにより、あなたが望む職場を見つけやすくなります。
求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。
一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。
ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。
これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。
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