心臓や血管など生命の維持に欠かせない働きに関わる循環器科に携わり、「キャリアを磨いていきたい」と考える看護師は多いです。

医療の中でも、主要な分野の一つが循環器科です。ただ循環器科とはいっても、職場の形態ごとに仕事内容は違います。

そのため、「循環器疾患の患者さんは医療施設ごとにどのような特徴があるのか」「循環器科の看護師の役割はどのようなものか」といった基礎的なポイントを知らないまま転職してしまっては、理想と現実の間に大きなギャップが生まれてしまいます。

そこで転職前に知っておくべき循環器科での求人概要や仕事内容について、履歴書・面接で記すべき志望動機を含めて解説していきます。

心臓疾患に深く関わる循環器看護

循環器科というのは、要は心臓の疾患が関わる病気に関する領域になります。心疾患として有名な病気には、例えば以下があります。

  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 不整脈

つまり、どれも死亡やQOL低下に直結する疾患になります。もちろん他にも心疾患には種類がありますが、こうした病気を発症した患者さんに対して看護ケアを施していくようになると考えましょう。

これらの疾患は日本人の死因の上位を占めるため、総合病院であればどこでも循環器科が存在するようになります。また循環器専門の病院も存在し、そうした病院の求人へ申し込めば確実に循環器科の看護師として活躍できるようになります。

激務で忙しく動き回るのが循環器科の看護師

そうしたとき、他の科に比べてどうしても激務で忙しい状況になってしまうのが循環器科の看護師だといえます。この理由の一つに、救急患者が非常に多いことが挙げられます。

いくらがんが重篤な疾患とはいっても、救急車で運ばれてくるケースはありません。ただ心筋梗塞などだと、急に病気を発症するので重篤な状態の患者さんが24時間いつでも運ばれてくるようになります。

また術前の準備や薬物投与、手術後の経過観察まで含めて気が抜けません。心臓の状態がいつ再び悪化するのか分からず、他の病気と違って「手術さえ完了すれば、あとは急な容態の変化がない」とは言い切れないのが循環器の疾患です。

そのため中途採用の求人の中でも、激務できつい業務になりやすいのが循環器看護師への転職だと理解しましょう。

心電図の読み取りなど、専門知識の勉強が必要

また看護師の場合、通常だと患者さんへの看護ケアを実施するだけで問題ありません。具体的な症状の判断は医師が行うのが基本です。ただ循環器科の場合、看護師であっても高度な専門知識を身に付け、医師までとはいわなくても症状を読み取れるようなレベルにならなくてはいけません。

例えば循環器科では心電図の読み取りをする場面があります。このとき知識がなければ、病室の心電図の波形から患者さんの異常を察知できません。

医師が患者さんを付きっきりで見ることはなく、どうしても患者さんにとって最も身近になるのが看護師です。そうした看護師が循環器科で働くとき、専門知識がなければ術後の症状悪化を見抜くことができないのです。

看護師は患者さんからの訴えやバイタルサインから、心電図や心機能評価指標(肺動脈圧・中心静脈圧、心拍出量など)、水分出納量(輸液量、経口摂取量、尿量からの排液量など)の観察を行い、判断する知識やスキルが求められます。

もちろん心疾患を発症する患者さんであるため、患者さんの多くは高血圧や糖尿病、脂質異常症などの病気に限らず、さまざまな他の病気についても併発しています。これらの疾患の知識を身に付けたうえで観察によって得られた指標を判断する必要があり、そういう意味で激務なだけでなく、かなりの勉強も必要になります。

病院をメインにクリニックまで中途採用募集が存在する

こうした現実から、あらゆる科の中でも循環器科へ転職する場合はそれなりに忙しい業務になることは覚悟しましょう。

そうしたとき総合病院でもいいですが、循環器科を目指す場合、循環器に特化した医療機関へ転職しても問題ないです。こうした病院だと、確実に循環器に関わることで高度なスキルを身につけられます。

ただ循環器科は病院に限らず、クリニックも存在します。また医療機関によって形態が異なっており、行う仕事内容はまったく違います。医療機関によっては、循環器科であるにも関わらずそこまで激務ではなく、落ち着いて仕事をできるケースもあります。

このとき大きく分けると以下のようになります。

  • 循環器科の病院
  • 診察だけのクリニック
  • オペ・リハビリありのクリニック

同じ心疾患の患者さんを相手にするとはいっても、求人先によって看護師の仕事内容は大幅に変わります。そこで、それぞれの転職先について確認していきます。

循環器病院で救急患者さんを相手にする

看護師が循環器科への転職を考えたとき、激務で知られるのが病院です。既に述べた通り、心疾患で急に症状が悪化した患者さんが24時間運ばれてくるようになります。

多くは循環器科に特化しているわけではなく、総合病院の中に循環器科が存在することになります。ただ循環器科をメインに扱う循環器病院を狙えば、激務の中で看護師として勉強しながらスキルを磨けるようになります。

例えば以下は、東京にある循環器病院から出されたオペ室の求人です。

もちろん急性期病院であり、心臓血管外科や循環器内科に特化しています。またこの求人では「オペ室は最も忙しい部署であり、緊急手術が頻繁にある」と記されています。そのため、こうした激務の環境で勉強したい意欲のある看護師に向いています。

なおこうした環境のため、この求人では寮や24時間保育が備わっています。激務ではありますが、福利厚生によってその激務をを支援する環境を整えている病院は多いです。

ちなみに、こうした激務の求人は応募者が少なくなりがちのため、未経験であっても応募できます。総合病院は応募者がたくさんいるものの、特に忙しいと分かっている部署に自ら応募する人は少数のため、未経験から急性期病院を狙いたい人にもおすすめです。

脳神経外科もある病院は多い

なお循環器病院の場合、脳神経外科についても併せ持っているケースがよくあります。脳神経外科(脳外科)については、分かりやすくいうと脳梗塞や脳卒中、くも膜下出血など脳が関与する疾患を取り扱うことになります。

ただ脳梗塞や脳卒中も血管が関与する病気であり、さらには循環器科と同様に緊急を要する患者さんが24時間運ばれてくるようになります。そのため、循環器科と脳神経外科を併せ持つ病院がそれなりにたくさんというわけです。

もちろん両方の科とも激務であり、専門性が高く看護師としては勉強することが非常に多いです。そのため、こうした病院への転職でも問題ありません。例えば、以下は循環器・脳神経外科に特化した専門病院の中途採用募集です。

この求人については経験者のみの募集になっていますが、いずれにしてもこうした循環器科・心臓血管外科や脳外科を取り扱う求人へ申し込み、専門性の高いスキルを磨けるようになっています。

普通の循環器科クリニックは内科クリニックと同じ

ただ、一方で循環器科は病院だけでなくクリニックも広く存在します。そうしたとき、クリニックでは当然ながら特に救急患者が運ばれてくるわけではありません。また診察メインのクリニックだと、通常の内科クリニックよりも業務は楽になりがちです。

内科クリニックなら、冬に患者さんでごった返すことがあるものの、循環器科クリニックではそうしたことがほぼなくなります。また心臓に特化した医療機器があるとはいっても、使い方に慣れれば看護師にとって大きな問題にはなりません。また内科の場合はさまざまな患者さんが来院するものの、循環器科は高血圧や狭心症などの疾患に限られます。

そのため同じ循環器科で働く看護師であっても、外来メインのクリニックになった瞬間にまったく激務ではなくなると考えれば問題ありません。

こうした循環器クリニックも数は少ないもののそれなりに存在しており、例えば以下の中途採用がこれに該当します。

東京にある循環器クリニックですが、総合内科として一応は予防接種や内視鏡なども取り扱っています。ただメインは循環器科のため、そこまで忙しく業務をこなすわけではありません。

またこの求人の場合、土日休みの日勤のみとなっています。同じ循環器科への転職であっても、病院とクリニックでは忙しさや休日を含めてまったく業務内容が異なると理解できます。そのため循環器科へ転職したいものの、激務が嫌な場合はクリニックを目指しましょう。

オペやリハビリを提供するクリニックが存在する

なお循環器科のクリニックとはいっても、必ずしも問診や検査などのみで完結するわけではありません。オペをしたり、リハビリを提供したりすることもあります。

特に手術ありの場合、有床クリニックとなります。また入院施設がなかったとしても、リハビリを提供するクリニックであれば理学療法士なども在籍しています。単に診察だけを提供するクリニックよりは提供できる医療の内容が高度になります。

例えば、以下は大阪にある循環器科クリニックにてオペ室の常勤看護師を募集しています。

有床クリニックであるため、救急患者が運ばれてくる激務の環境ではないものの、ある程度のオペ経験を積みながら高度な循環器の知識を付けることができます。

循環器の専門知識を身に付けたいものの、「急性期病院のような忙しい環境はつらいのでは」と考える看護師の場合、こうしたクリニックへ転職するのは問題ありません。またオペとはいかなくても、リハビリまで提供するクリニックで高度な看護知識を身に付けてもいいです。

目標・やりがいで循環器科の看護師を目指す

外来だけのクリニックはさておき、先に述べた通り循環器科で勤務する看護師は一般的に激務になりやすいです。そのため給料・年収が高めに設定されているのはもちろんですが、仕事量や勉強量から考えるとそれでも足りないほどだといえます。

そのため、事前に目標・やりがいを設定するようにしましょう。

例えば循環器科で勤務する場合、他の科で働くときであっても問題なく通用する技術やスキル、患者さんへの観察能力が身に付くようになります。そこで医療の最先端で働く看護師として、「あらゆる手技や対応能力を身に付けたい」などと向上心に燃えて転職するのは目標・やりがいにつながります。

また循環器疾患は、生活習慣の乱れに悪化要因があるケースが多いです。看護の役割として、循環器疾患の発症を予防するために生活習慣を整える働きかけを実施しなければいけません。そこで予防医学を含めた指導を行える看護師を目指してもいいです。当然こうしたスキルも、あらゆる科で活きてきます。

循環器科は学べることが非常に多い科だといえます。そのため何を勉強したいのか、目標・やりがいを設定するといいです。

・教育体制の整っている医療機関が優れる

ただ患者さんの出入りの激しい忙しい職場が循環器科であることから、特に未経験の場合、教育体制が整っていない医療機関だと、新人を育てていく環境が整っていない場合があります。

忙しいにも関わらず、指導をしてもらえないとスキルは伸びず、自主的に動こうにも何をどのように行動すればいいのか分かりません。そのため循環器科でキャリアアップにつなげるとはいっても、対象の医療機関の教育体制がどうなのかは事前に確認するようにしましょう。

履歴書・職務経歴書・面接での志望動機を考える

そうしたとき、実際に求人に申し込んで転職するためには履歴書や職務経歴書を作成し、面接に臨まなければいけません。ただ履歴書や職務経歴書、面接での志望動機はどのように考えればいいのでしょうか。

実際のところ、転職で必ず述べるのが志望動機や自己PRです。そこで、転職する看護師は事前に志望動機を含めて自己PRを考えなければいけません。

ただ他の科に比べると、循環器科を目指す看護師の志望動機は作りやすいといえます。専門領域の勉強が必要であり、激務になりやすいからです。クリニックであったとしても、オペやリハビリを提供できる医療施設であれば学べる技術や知識は多いです。

つまり循環器科であれば、基本的には「看護師としてできるだけ多くのことを学ぶために志望した」と伝えれば問題ありません。例えば、以下のようになります。

整形外科病棟で働いていましたが、看護で必要な多くの技術や知識を学ぶため、循環器病院の貴院を志望しました。救急から術後の観察、心電図の読み取りなどスキルを高めることに魅力を感じています。

特に貴院は循環器病院としての手術件数が地元でも多く、多忙ながらも勉強の日々を送れると考えています。チーム医療や専門知識の習得を含めて幅広く学びたいと思っています。

もちろんクリニックだと別の志望動機になりますが、いずれにしても履歴書や職務経歴書、面接ではあなたのやる気を伝えれば問題ありません。

激務になりやすい循環器科だからこそ、未経験・経験ありに関わらずやる気さえ述べれば、中途採用の募集に採用されやすくなります。

スキルアップで循環器科の募集へ挑戦する

看護師が働ける職場としてはたくさんあり、科によって忙しさはまったく異なるようになります。そうしたとき、循環器科はどうしても忙しい職場になりやすく、さらには看護師自ら積極的に勉強して患者さんへの観察能力を磨かなければいけません。

そのため循環器科を経験していれば、あらゆる科で通用する看護スキルを身に付けられます。そのためスキルアップとしては最適だといえます。

ただ同じ循環器科でも、病院やクリニックを含めて形態が異なります。仕事内容が変わるのは当然であり、あなたがどのような職場で勤務したいのか事前に考えるようにしましょう。

このように、看護師としてどのような中途採用募集がいいのか理解する必要があります。同時に志望動機を考え、転職サイトなどを活用しながら求人を探し、新たな職場でスキルアップを実現するといいです。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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