小児医療は医療の中でも重要な分野の一つです。将来を担う子供のケアをするのは、看護師として非常にやりがいがあるといえます。

そうした小児科看護師への転職を考えるとき、転職先の多くはクリニックになります。小児科病院は珍しいですが、小児科クリニックは非常にたくさん存在します。ただクリニックだけが小児科の領域ではなく、病院や施設で働く看護師もそれなりにいます。

小児科看護師とはいっても、その内容は幅広いです。そこで小児科の中でも、どのような看護師を目指したいのか考えなければいけません。

ここでは小児科看護師へ転職するときの求人について、仕事内容や給料、志望動機の書き方まで含めて解説していきます。

あらゆる科が関わる小児看護の役割は非常に大きい

通常だと、医療は特定の診療科に分かれるようになります。また、専門領域以外の科目に関わることはありません。例えば循環器科クリニックに呼吸器系の疾患をもつ患者さんは来院しません。もちろん両方の疾患をたまたま保有していることはありますが、医療では特定領域に特化するのが基本です。

そうしたとき、小児科では「子供の病気」とはなっていますが、その中でもあらゆる疾患を全般的にケアすることになります。便秘から小児がんまで、すべて小児科領域となるのです。

もちろん小児科クリニックで重い疾患を取り扱うことはないですが、いずれにしても幅広い領域をカバーすることになるのが小児看護です。ただ小児科看護師へ転職する場合、将来を担う子供たちの健康に関わることになるため、非常に役割が大きいといえます。

またこうした小児科ではワクチンを広く取り扱いますが、実際のところ接種間隔が短く、保護者はスケジュールをかなり厳密に調整しなければいけません。

そうしたとき、ワクチンの内容やタイミングを詳しく説明することできちんとワクチン接種してもらうなど、子供の看護ケアに限らず親に正しく理解してもらうようにすることも看護師の役割となります。

母親を安心させることが非常に重要

なお既に小児看護に携わっている人なら理解していますが、小児科の看護師だと子供というよりも、いかに家族を安心させられるのかが重要になります。

自分(大人)が発熱したとしても、単なる風邪として処理をする人が大多数です。ただ、特に何でもない発熱であったとしても、それが子供だとかなり慌てる親が大多数です。そうしたとき医師からの説明だけでなく、看護師も家族を安心させる言葉選びが必須となります。

もちろん子供の発熱に限らず、アトピーやぜんそく、定期健診を含めて、健康のときや病気のときに幅広く受診するのが小児科です。

看護師の言葉次第で親は大きな不安を抱えることがあれば、すべての疑問が晴れることもあります。そのため、より家族に対するケアが重視される領域だといえます。

冬の時期が一番の繁忙期

なお小児科なので容易に想像できますが、小児科クリニックの繁忙期は冬です。これについては、内科と同様だと考えましょう。

冬はインフルエンザが流行しますし、ワクチン接種のために訪れる人も非常にたくさんいます。もちろん、子供もインフルエンザを発症しますしワクチン接種をするのは普通です。その結果、冬の時期に小児科クリニックは患者さんで特にごった返します。

そのため求人先としても、冬の前では小児科クリニックの中途採用募集が多くなりやすい傾向にあります。

もちろん地域によって異なりますし、小児科の医療機関の状況はそれぞれ違います。ただインフルエンザの時期になると、どこも急に忙しくなるのはあらゆる小児科で共通しているといえます。

小児科はクリニックをメインに病院・施設の中途採用募集がある

それでは、小児科看護師を目指すときはどのような募集状況となっているのでしょうか。これについては、当然ながら中途採用で出される募集先は小児科クリニックがメインになります。

ただ必ずしも、小児科クリニックへ転職しなければいけないわけではありません。小児科領域では、他にも広く求人が出されています。こうしたとき、小児科の看護師では以下のような中途採用募集が存在します。

  • クリニック
  • 小児科病院
  • 子供用のデイサービス

これらの求人がありますが、それぞれどのようになっているのか確認していきます。

最も多い求人が小児科クリニック

世の中にあるクリニックとしては、小児科は非常に一般的な形態になります。産婦人科病院などで子供を産んだとしても、その病院をかかりつけに指定する母親はほとんどおらず、基本的には家の近くにある小児科クリニックをかかりつけに指定します。

ちなみに私についても、妊娠・出産したあとは病院から「地元の近くでかかりつけの小児科を探してくださいね」といわれました。

そのためいろんな場所に小児科クリニックが存在することになり、少子高齢化とはいっても非常に多くの子供たちが受診してくるようになります。

そうしたとき、例えば東京の小児科クリニックから出された以下のような求人が多くみられるようになります。

小児科クリニックの場合、よほどの理由がない限り、未経験者であっても問題なく受け入れてくれます。この求人募集についても、未経験歓迎です。

またクリニックの看護師のため、必然的に夜勤なしの勤務です。さすがに土曜日出勤はありますが、日勤のみで勤務できます。

なお小児科の場合、内科や耳鼻科などその他の科が併設されているケースもよくあります。そうしたときは子供に限らず、成人看護についても学べるようになります。小児科だけに知識やスキルが偏るのは嫌な場合、複数の科が併設されているクリニックへ転職するのも問題ありません。

夜勤ありの産婦人科・小児科病院でスキルを磨く

また小児科の場合、病院勤務を選択する方法もあります。ただ小児科だと、一般的な総合病院というよりも、「産婦人科病院に小児科機能が備わっている病院」と考えたほうがいいです。

小児科専門の病院はあるものの、数は非常に少ないです。また小児科で重度の患者さんを受け入れるのは、普通だと大学病院や総合病院の小児科となります。

成人向けであれば、有床クリニックや小規模病院を含め、あらゆる形態が存在します。ただ小児科だと個人クリニックまたは大病院の2つに分かれるのです。

しかし出産を受け入れている産婦人科病院の中には、小児科を併設していることがあります。ただ大病院のように重症の小児を受け入れているわけではなく、実施することはワクチン接種や定期健診など、一般的な小児科クリニックと中身は同じだと考えましょう。

ただこうした病院の場合、小児科だけでなく産婦人科にも携わるようになります。そのため、更年期障害など婦人科領域でのケアを含めた看護を実践できるようになり、必然的に小児科だけでなく成人看護スキルも学ぶことになります。

例えば、以下の東京にある産婦人科・小児科病院から出された中途採用募集がこれになります。

こうした産婦人科として分娩を受け入れている場合、その一環として小児科を併設していることがよくあります。もちろん病院なので夜勤はありますが、成人看護まで含めて看護師としてのスキルを磨きたい場合はおすすめです。

NICUを含め、小児救急を含めて学びたいなら総合病院

ただ中には、小児科領域の中でもNICUや小児救急を含めた専門性の高い病院で学びたいと考える人もいるかもしれません。その場合、小児科病院はどうしても数が限られることになるため、通常だとNICUのある総合病院への転職になります。

もちろん総合病院だと、普通はどの科に配属となるのか分かりません。そうしたとき、配属先の要望を聞いてくれる病院だと小児科勤務を実現できます。例えば、神奈川県横浜市にある以下の病院がこれに該当します。

自ら求人へ申し込む場合だと、配属先の希望を聞いてくれることはほぼありません。ただ転職サイト経由で申し込む場合、配属先の希望を聞いてくれる場合があります。特にこの中途採用の場合、募集時点から配属先の希望を聞いてくれるため、小児科で働きたいことを申し出るようにしましょう。

また総合病院の場合、小児科を経験した後は他の科で看護スキルを磨くことも可能です。そうすれば、より看護師としての知識や技術が向上するようになります。

なおこうした総合病院であれば、小児救急認定看護師など専門性をより高めた看護師を目指すことも可能です。クリニック看護師を目指してもいいですが、基幹病院の小児科病棟で働く看護師だからこそ、小児救急認定看護師の取得を含めた専門的な勉強ができるといえます。

小児用のデイサービス(通所介護)も存在する

他には数は少なくなりますが、小児用のデイサービス(通所介護)に関する求人も存在します。デイサービスとはいっても、老人向けだけが対象ではありません。

小児用のデイサービスのため、利用者は障害をもつ子供に限られます。その中でも、重度心身障害者ばかりになるのが基本です。こうしたデイサービスではバイタルチェックに限らず、痰の吸引や胃ろうなどの医療行為が必要になります。そのため、看護師の求人が出されるというわけです。

例えば、以下は広島にある児童専門のデイサービス事業者から出された看護師求人です。

このように、重度心身障害者の児童を対象にしています。もちろん未経験者でも歓迎であり、どのような看護師であっても求人へ申し込むことができます。

小児科クリニックや病院とは異なり、こうした職場だと「冬に患者さんでごった返す」「ヒステリーとなった中年女性を説得するのに苦労する」などの慌ただしい状況はなく、少人数制によってわりと落ち着いた環境で勤務できます。小児科クリニックとは形態が異なりますが、こうした求人へ申し込んでも問題ありません。

給料・年収自体は小児科だと普通

なお小児科で勤務する看護師については、他の科と比べて特別に収入が高くなるわけではなく、普通だと考えるようにしましょう。

実際のところ、小児科は先に述べた通り他の科と併設されているケースも多いです。また基本は小児科クリニックへの転職になり、他の科に比べて特別に高いスキルが要求されるわけではありません。またクリニックでは夜勤がないため、年収が普通となりやすいのです。

例えば、以下は東京の小児科クリニックから出された募集です。

耳鼻科や皮膚科も備えているクリニックですが、この求人については当初の年収は高めになっています。ただ見込み残業代を含んでの月収です。また夜勤はないため、病院勤務に比べると必然的に収入は低くなります。

非常勤(パート・アルバイト)の小児科看護師の時給相場

なお当然ながら、常勤に限らずパート・アルバイトなどの非常勤であっても、小児科の時給相場は普通になります。

東京や大阪であれば、時給1,700円くらいになります。ただこれが地方だと、時給1,500円など下がるようになります。地域によって時給相場は異なりますが、一般的なクリニックで働く看護師と同程度の給料だと理解すればいいです。

例えば、以下は大阪のクリニックから出された求人です。

小児科に限らず、皮膚科や内科も経験できるクリニックですが、時給は1,700円です。パート看護師だと、こうした一般的な相場で勤務することになります。

履歴書や面接での志望動機を小児科看護師として述べる

なお実際に小児科看護師を目指す場合、クリニックにしても病院についても志望動機を述べなければいけません。履歴書・職務経歴書に記載するのは当然ですし、面接でも必ず聞かれる項目が志望動機です。そこで、事前に志望動機・自己PRをどうするのか考える必要があります。

そうしたとき、小児科希望の場合は「自分の子育ての経験を交えて述べる」「小児看護の重要性に気づいた点を述べる」など、さまざまな方法があります。そうした独自の経験や意見を交えながら、なぜ小児科を目指したのか述べるようにしましょう。

通常だと、成人向けの科で看護師をするのが普通です。その中で小児科への転職を希望するのには、それなりの理由があるはずなので、その理由を志望動機として述べれば問題ありません。例えば、以下のようになります。

総合病院で勤務していましたが、成人に限らず小児科まで含めて学びたいと考え、貴院を志望しました。

子育ての関係でクリニックにて日勤勤務を希望していますが、これまで成人看護がメインだったため、子育ての経験をもとに小児看護も学びたいと考えています。その中でも貴院は内科と小児科が併設されており、成人看護のスキルを活かしながら新たに小児科領域も学べると考えています。

このように自分の事情や求人先の医療機関の特徴まで含めた志望動機にしています。小児科看護師に興味をもった理由を述べ、さらには中途採用募集の医療機関にとって特徴的な状況を含めると採用されやすくなります。

小児医療での看護師求人へ申し込む

医療の中でも、一つの大きな分野が小児科です。ただ看護師が転職することを考えたとき、小児科専門の病院はほとんどありません。そのため、大多数が小児科クリニックの求人に申し込むことになります。

もちろん少数ながら小児科病院の求人は存在します。または、総合病院で希望の配属先を聞いてくれる求人へ申し込む場合なら、NICUを含めた小児救急を勉強できます。ただ、小児科への転職というと、基本は小児科クリニックが転職先というわけです。

ただこうした小児科クリニックだと冬は大変であるものの、特に重大な病気で患者さんが受診するわけではありません。そのため、生死に関わるプレッシャーはないです。さらには、夜勤なしにて勤務できます。

しかし同じ小児科クリニックでも、取り扱う科は小児科に限らず複数科に及ぶケースもあります。場合によっては病院を目指しても問題ありません。そこでどのような小児科看護師を目指したいのかを考え、求人を選別したうえで最適な募集に申し込むようにしましょう。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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