看護師が転職を考える際、求人先の情報を集める方法のひとつに病院見学があります。病院側では、見学を実施することで「応募者に看護の仕事内容や職場の雰囲気などを事前に掴んでほしい」とする「転職後のミスマッチを防ぐ狙い」があります。

しかし漠然と病院を見学しただけでは、わからないことが多いのが実情です。「病院見学まで行ったのに、このような(ネガティブな)一面は見えていなかった。もしかして今回の転職は失敗かもしれない」と入職後に後悔しても遅いのです。

そこで病院見学に行く場合、この記事でお伝えする質問を行えば、ある程度、職場の実情が把握できやすくなります。「実際に働いてみて、自分が思い描いていたイメージとは異なる」といった転職に失敗する可能性は少なくしなければなりません。

そこで、今回の記事では「転職する時、看護師が病院見学をする際の注意点と聞くべきこと」についてまとめてみました。

病院見学には必ず行くべき

希望する病院が病院見学を実施しているようであれば、必ず行くようにしましょう。なかには「患者として来院したことがあれば、大体の様子はわかる。わざわざ病院見学などしなくてもいいのでは?」と考える人がいます。

看護師であれば、患者として来院したときでも「看護師がどのように働いているか」「病院の雰囲気はどのようなものか」など、ついチェックしてしまいます。それで大体のことは分かったつもりでいることが多いです。

しかし、患者として来院するのと職員として実際に病院の雰囲気を体験するのでは、大きな違いがあります。患者さんから人気のある病院で、患者さんに対して看護師や医師が親切だとしても、職員にとって働きやすい職場だとは限りません。

実際、「評判が良い」という噂話だけを信じて病院見学をしなかったため、転職に失敗した私の例を挙げます。

実際に以前、私が勤めた眼科クリニックは、患者さんに大変評判の良い眼科でした。連日朝6時くらいには、順番をとる患者さんの列ができていました。

そこで診察を受けたことのある近所の人達から話を聞くと、「物腰がやわらかくて、優しい先生」とみなが口を揃えて言いました。転職時にハローワークの職員にも「あの眼科は患者さんが多いし、評判がとてもいい。お勧めよ」と言われました。そこで私は、その眼科クリニックに転職する決意をしました。

しかし実際に職員として働いてみると、「院長は職員を無視するのは当たり前、診察を行う患者さんの前でだけ優しい」ということが判明しました。

院長が職員を無視しないときは、職員が小さなミスを起こしたときでした。ミスをした職員を診察室の裏にある防音設備の整った小部屋に呼び出し、怒鳴り散らしていました。

そして、今度はそのストレスを受けた先輩看護師たちが、新人看護師に対して悪質ないじめを繰り返して、短期間で退職に追い込む地獄の構造が出来上がっていました。

私は6ケ月間そこで耐えたのですが、定年まで働くのは無理だと判断し、早々に退職しました。

私の場合、転職先がクリニックであったので、病院見学は行っていませんでした。しかし病院見学をせずに、パンフレットやホームページに掲載されている職員の笑顔や評判だけを信じて入職を判断するのは、あまりに軽率な行為と言わざるを得ません。

前述の眼科クリニックでは、院長は毎日のように職員に対して辛い態度をとっており、先輩看護師たちも新人看護師をほぼ無視していました。

このような現状から「もし病院見学や職場体験をしていたら、劣悪な職場環境はすぐに把握でき、あの眼科クリニックには勤めていなかったのに」と後悔しなくても済んだはずだと思います。

医師と看護師との関係、看護師同士の関係、病院周辺の環境や雰囲気・活気などは、実際に希望する職場の裏側にまで足を運ばなければ実感することができないのです。

このようなことから必ず病院見学を行い、職員のちょっとした言動など細部まで読み取り、自分にとって働きやすい職場であるのか確かめることが大切だといえます。

病院見学ではマナーを守る

病院見学では、社会人としてのマナーを守るようにしましょう。病院見学で気を付けておきたいマナーについて、以下にまとめておきます。

  • スーツを着用していく
  • かかと音のする靴を履いていかない
  • 院内を歩くので、女性はパンツスーツのほうが無難
  • 髪色は明るすぎない色を選ぶ
  • 化粧は薄めで
  • 職員・患者さんとすれ違うときは挨拶を忘れない
  • 説明してくれたことをメモにとる
  • 私語をしない
  • 仕事の邪魔にならないように配慮する

病院見学といっても、採用側はすでにあなたの人柄や社会人としてのマナーをチェックしていると思っておいたほうが良いでしょう。

・極度に緊張しすぎない

ただし、「病院見学といっても、もう選考が始まっている」と極度に緊張する必要はありません。緊張しすぎると視野が狭くなり、本来の目的である病院見学に身が入らない可能性が出てきてしまうからです。

病院見学は採用側と応募側の両方がお互いを見定める場です。

病院見学を通して採用側だけでなく、あなた自身も「私が病院選考を行っているのだ」という気持ちを忘れないようにしましょう。そうすれば見学の間、冷静になって良い面・悪い面を確認することができます。

病院見学とは、具体的には何をする?

病院見学の具体的な流れについてお話ししていきます。

一般的な病院見学では、まず初めに病院概要や新人看護師への研修などの説明があります。その後、担当者と一緒に院内を回り、1科につき30分から1時間程度の見学が行われます。病院見学は半日から1日程度ですので、見学できる科は大体、2~3科程度になります。

そして見学した後に、担当者へ質疑応答を行い、挨拶をして終了といった流れになります。

・私の病院見学体験記

当サイトの管理人である私自身、病院見学を個人的に申し込んで参加したことがあります。朝9時くらいから始まり、午後16時くらいまでかかりました。

担当者が指定する日に来院すると、集団ではなく個人で応募したためか、ほかの応募者はおらず担当者とマンツーマンでした。担当者の方は大変気さくな方で、「ここの病院が大好き」という雰囲気に満ち溢れていました。

私の場合、事前の準備物に含まれていた自前のナース服を持参し、スーツからナース服に着替えて、病棟見学を行いました。

担当者が院内を全体的に案内してくれたあと、希望する第三志望までの病棟を実際に1時間程度、見学させてもらいました。病棟見学の間、担当者は不在で、その代わりに各病棟の看護師長または看護副師長が具体的な仕事の流れや内容などの説明を行ってくれました。

実際に病棟を見学してみると、病棟によって全く雰囲気が異なっていることに気づきました。

ある病棟では、看護師が患者さんに向かって「ねえ、はやくご飯食べてよ。片付けられないと困るのよ」とイライラしながら言っている声が聞こえてくることがありました。そのことを他の看護師は当たり前のように聞き流していました。

一方、他の病棟では「もし昼ご飯食べられないなら、もっと食べやすい形に変えてもらおうか」と優しく話しかける看護師の声が聞こえてくることもありました。

他にも、20代と思われる新卒看護師が楽しそうに働いている科もあれば、おどおどした様子で働いている科もありました。物品がきれいに片付けられている科と出しっぱなしになったままの科、日当たりの良い科と日当たりの悪い科など、病棟によって全く様子が異なりました。

昼食時には、お弁当を出してくれました。しかも、私の通った看護大学の卒業生で、その病院で働いている先輩看護師が呼ばれてきて、二人で昼食をとりました。その人とはまったく面識がなかったのですが、「この病院で仕事をしていて大変だったこと」「お勧めの科」「勉強会・委員会の頻度」などを聞くことができました。

見学終了後、担当者に「良い印象をもった科の看護師の空き状況や具体的な教育体制など」を質問してみました。すると、「(私が)希望している科は在籍している看護師にも人気が高くて、新人看護師は最初からそこでは勤められない」といわれました。「しかし3年くらいしたら異動願が出せるから、そのときに変わればいい」とのことでした。

私は3年も自分の納得いかない科で働くことはできないと考えて、結局その病院には応募しないことにしました。このように、病院見学でようやく判明することは多いです。

病院見学後に実施したい「お礼状の送付」

ただ病院見学を終えた後に、応募する・しないにかかわらず、必ず実施してもらいたいことがあります。それはお礼状の送付です。社会人のマナーとして病院見学させてもらったことに対し感謝の気持ちを込めて、お礼状を送るようにしましょう。

特にホームページなどから個人的に申し込んで病院見学を行う場合、あなた一人のためだけに病院の採用担当者は、病棟との細かいスケジュール調整などを行ってくれています。そのため、見学終了後すぐに採用担当者にお礼状を送るようにしましょう。

もし、その病院が気に入り応募したい場合であれば特に、お礼状を送るだけで、ほかの応募者より面接での心象が良くなることは間違いありません。

ここで、お礼状を送る重要なコツがあります。それは、すぐに送ることです。

できれば見学が終わった後、病院近くのカフェなどでお礼状を書いて、その近辺のポストに投函するのがベストです。翌日には担当者のもとにお礼状が届くので「律儀で誠実な人」という良いイメージをもってもらえます。

これが見学して2〜3日経った後にお礼状を送るとなると、担当者もあなたも見学のときに味わった感動は薄れてしまい「そういえば、あのような人もいたな」としか認識されなくなってしまいます。

できるだけ見学したその日のうちにお礼状を送付し、採用側のあなたの心象を良くしておくことが大切です。お礼状については次の例文を参考にしてみてください。

拝啓 時下ますますご清栄のこと、心よりお慶び申し上げます。

本日はお忙しいなか、病院見学をさせていただき、誠に感謝申し上げます。

福田様から実際に〇〇病院のお話を伺い、また貴院のモットーである医療の誠実性に触れることができ、改めて貴院の一員となりたいという思いを強く抱きました。本日は、貴重な経験をさせていただき、大変感謝しております。

まずはお礼を申し上げたくお便りをさせて頂きました。ありがとうございました。                            

敬具

元号〇〇年〇〇月〇〇日

青木みさこ

〇〇会 〇〇病院

人事担当者 福田様

お礼状は、感謝の気持ちを伝え、採用担当者にあなたの心象を良くする目的があります。ただ単に決まりきった言葉で始まり、決まり切った言葉で閉じるのでは、他の応募者と変わりがありません。

見学したときに感じたあなたの気持ちを一文でいいので、自筆で書くように心がけましょう。お礼状は、はがきでも構いません。病院見学前に住所などを調べて書いておけば、見学後の手間を省くことができます。

病院見学で聞くべきこと

見学後の質問では、「病院見学では分からない職場の実情についての疑問点」を明確にしておくことが大事になります。それでは、病院見学で聞くべきこととは具体的にどのような質問でしょうか。

看護師の平均勤続年数と平均年齢

まずは看護師の平均勤続年数と平均年齢を聞いておきましょう。できれば、希望する科の平均勤続年数や平均年齢を教えてもらうとよいでしょう。病院全体の平均年齢は高めだったけれど、希望する科の平均年齢とは極端に違うことがあります。

もちろん、勤続年数が長い科ほど働きやすい職場といえます。平均年齢は自分の年齢と近いか上のほうが働きやすい職場になります。独身や若い人ばかりの職場だと、子供の発熱で早退しなければならない育児事情などの共感を得ることが難しく、働きにくいと感じる場面が多々出てきてしまいます。

質問の仕方としては「御院は大変活気のある職場であると感じたのですが、看護師の勤続年数と平均年齢を教えていただいてもよろしいでしょうか」などと担当者に尋ねてみるとよいでしょう。

この質問の裏側には、「短期間で退職する人の多い職場ではないか」ということの他に、さらに深い意図があります。それは結婚や出産を機に退職する人がいないかという点です。

誰もが働きやすい病院であれば、結婚・出産・育児といったライフイベントがあっても退職する人はあまりいません。福利厚生などが整えられて長く勤められる職場環境であれば、一時的に退職して転職するなど大変なことはせずに、なんとか辞めずに働き続けるほうが得策だからです。

そのため、結婚や出産などがあっても辞めずに働く人が多い職場であれば、良い職場環境であるといえます。

反対に、「結婚や出産で辞めていく人が多い」となると、なにか職場に不満があり、結婚や出産などを退職するきっかけにした可能性が高いです。このような職場であれば、少し注意が必要です。

たとえ40代後半の看護師で妊娠・出産とは関係なかったとしても、こうしたことを確認することで長く働きやすい職場かどうかを見極めることができます。

・託児所の環境

ママさんナースであれば、「託児所の教育内容」「預けられている子どもは楽しそうか」「病児託児施設の有無」など託児所の環境は必ず確認しておきたい項目の一つです。病院見学を申し込む際に、担当者に託児所も見学可能であるか確認してみると良いでしょう。

私の友人に「自分自身は満足のいく職場に勤められたが、子供が院内併設の託児所に馴染めない」という問題が起こったことがありました。

友人がいうには、「子供は外遊びをしたがったのだけれど、そこの託児所は病院の最上階に位置しており、外遊びがなかった。そこでは患者さんに迷惑がかからないように、絵本を読むなどして静かに遊ぶことが決まりとなっており、子供は託児所に行きたがらなくなった」そうです。

事前に託児所の環境について把握しておけば、友人はそこを断り、近所の保育園に入園することができました。しかし、時はすでに遅く、近所の保育園の締め切りは過ぎており入園できませんでした。

結局、友人は職場をそのままにして、外遊びのできる家から遠い他の保育園に変えました。子供は楽しそうに保育園に通っているそうなのですが、送り迎えが大変になってしまい、転職を考えていました。

自分のことであれば耐えられることでも「子供が自分のために辛い思いをしている」と思うと仕事に集中できません。まずは、託児所の環境を知り、自分の子供に合っているかを確認しておくことが大切です。

看護師の仕事内容

希望する科の仕事内容が自分に合っているかどうかも事前に聞くべきことです。

例えば、大学病院か総合病院かによっても、看護師の仕事内容は全く異なります。大学病院であれば、一般的に注射や採血は研修医が行うため、看護師が採血技術を積む機会は必然的に少なくなります。もし看護技術などを身に付けたい場合は、総合病院の急性期などを選ぶほうが賢明です。

他にも、自分が認定看護師など資格取得を目指しているにもかかわらず、認定看護師が在籍していない病院も注意が必要です。この場合、いくら自分が勉強を熱心に行っても、認定看護師を育成する環境が整っていないことが多く、苦労しやすいといえます。

一方で、認定看護師が在籍している職場であれば、認定看護師が行う具体的な仕事内容まで質問によって聞き出すと、さらにイメージしやすくなります。

また、患者さんとじっくり関わっていきたいとするのであれば、看護師の人数がある程度補充されている職場で働くことを視野に入れなければなりません。

自分がどのように働いていきたいのかをじっくり考え、イメージを実現できるところを選ぶことが大切です。

勉強会や委員会などの頻度

勉強会や委員会が開催される頻度はどの程度でしょうか。こちらも聞くべきことのひとつです。なかには、自分の所属する科とは全く異なった勉強会や委員会に出席を義務付けられていることがあります。

勉強会などで自分の看護技術を向上させることは大切ですが、頻繁に、しかも専門外の勉強会なども半強制的に参加しなければならないとなると負担に感じることがあります。

なかには政治絡みで労働総会などが週一回で行われる病院もあると聞きました。毎週金曜日に17時半の定時で仕事が終わっても、その総会に参加しなければならず、20時過ぎまで帰れないと愚痴っている友人がいました。

勉強会や委員会などの開催頻度については、例えば「子供が小さいので家を空けることが難しいです。できる限り勉強会や委員会などには参加したいのですが、月にどのくらいの回数で開催されているか参考程度に教えていただいてもよいでしょうか」などのように聞くとよいでしょう。

特に、勉強会や委員会などは、入職後に半強制的に参加するよういわれることが多く、家庭がある人だとかなりの負担に感じることがあります。先に確認しておくことが大切です。

・残業時間について

また、残業時間についても気になるところです。その場合、具体的な残業時間を聞くとよいでしょう。

ただ、悪質な医療機関になると、時間外勤務が20時間を超えるとサービス残業に変わったり、残業1時間をすぎないと残業手当として認められなかったりして、残業時間をカウントしない場合があります。

この場合「みなさん、大体どのくらいの時間に職員は帰宅されているでしょうか」と聞くと角が立ちにくいのでお勧めです。看護師の残業は当たり前という風潮の病院があります。残業時間は必ずチェックしておきたいポイントのひとつです。

病院見学で行っておくチェックポイント

また質問せずとも、見学だけで職場環境を把握できるチェックポイントがあります。それは「看護師・医師との関係」や「新人看護師の様子」です。

看護師・医師との関係

まずは看護師と医師との関係について述べていきます。

働いている看護師や医師の間で十分なコミュニケーションはとれているでしょうか。医師が絶対的存在となっていないでしょうか。同じ医療従事者として対等な立場で、医療行為が行われているでしょうか。

私が以前働いていた眼科では、院長である医師は絶対的な存在でした。

医師がオペ室に入ると、看護師は一列に並んで「お願いします」と大声でいい、お辞儀をしなければなりませんでした。院長に嫌われていた看護師の一人は「俺の視界に入ってくるな」と通告されていた人もいました。

もちろん仕事上の疑問点があっても、医師に確認することはできません。どうしてもというときに聞きにいくと、「俺にいちいち聞いてくるな」とイライラしながら答えました。

このように院長が絶対的な権力をもっていて、院長の奥さんも進言できないようでした。スタッフに威圧的な態度で、一日中診療を行っていました。

このような環境の中で、看護師が仕事のミスは少ないかといえば、そういうわけではありませんでした。医師に怒鳴られるのを恐れながら仕事をしているため、冷静な判断ができずにミスの多い職場であると感じることが多かったです。

一方で、いま私が勤めている職場は違います。

院長は「なんでも質問してほしい」といったスタンスの人であるため、質問すると喜んで受け答えをしてくれます。そのため、コミュニケーション不足によるヒヤリハットはほとんどありません。また医師のほうから進んで専門的な最新の医療知識を教えてくれるため、深い看護知識を身に付けることができます。

このように看護師と医師の間で頻繁にコミュニケーションが取れる職場であると、看護師は仕事がしやすく、事前に確認を行えるためミスは少なくなります。病院見学に行くのであれば、しっかり看護師・医師との関係を見定めるようにしましょう。

新卒・新人看護師の働いている様子

新卒看護師や新人看護師が生き生きと、質問しやすい環境で働いている様子が伺えるでしょうか。新卒看護師や新人看護師に対する先輩看護師の扱いぶりを見ていれば、大体どのような職場かわかります。

以下に私の体験談をお話しします。

先ほどもお話しした以前勤めていた眼科クリニックでは、新人は2ケ月ともたない職場でした。私が入職した初日、私より2ヶ月早く入職した20代の看護師がいました。

その人の髪はぼさぼさで、ソックスがずれて片足だけ脱げかかっているのを気にせず、一心不乱にオペで使った器具を洗っていました。挨拶しようと声をかけても、一度目の挨拶では振り向きませんでした。

もう一度挨拶をすると、目はうつむいたままで視線を合わせることなく、暗い口調で「あ、よろしくお願いします」と返事が返ってきました。そのときは「どうしたのだろう? 体調が悪いのだろうか」とあまり気に留めませんでした。

しかし、他の場所で看護師長と先輩看護師たちが「彼女は気にかけてほしいっていう態度が見え見えで、あの態度みていたら本当にイライラする」と話しているのが聞こえてきました。彼女とは、きっと20代の新人看護師のことだったのでしょう。翌日、その新人看護師は退職していきました。

それから6ケ月後、20代の新人看護師と同様に私自身も、髪はぼさぼさ、ソックスのずれも気づかず、目はうつろだったのだと思います。

病院見学で新人看護師に笑顔が見られない、なにも話さない、うつむいているような印象を受けるようであれば、あなたも将来、同じ目に合い、同じ状態になる可能性が高いといえます。

反対に、新人看護師が生き生きと楽しそうに先輩看護師と一緒に働いている姿をみることができると、そこは人間関係の整った働きやすい職場であるといえます。

私がいま勤めている職場は、人間関係が非常に良好です。先輩看護師であっても分からないことがあれば、経験年数の短い私に質問してくれます。「この職場の一員として頼ってもらえている」と感じることができます。

また休憩中には先輩・後輩の垣根を越えて冗談を言い合える仲であり、信頼関係が成り立っています。そのため、仕事でも困っている状況に気づきあえ、協力できます。

このような新人看護師が生き生きできるような職場であれば、大変働きやすいといえるでしょう。

病院見学ではみえない一面がある

もちろん、病院見学だけではわからない一面があります。職員の退職理由や、深い部分の人間関係などです。職員の退職理由は、本音を聞いて入職の参考にしたいところですが、誰しもその部分を教えてくれるわけではありません。

「この病院で去年退職した10人の看護師のうち、4人がうつ病になって、3人が超過勤務に耐えられず、残りの3人は結婚や出産が理由だった」とは担当者は言いません。

そういうあなたも以前働いていた医療機関を退職する際は、本音と建て前をうまく使い分けたはずです。もしあなたが希望する病院で「職員の退職理由」を聞いたとしても、その建前の部分をうまく切り取って説明してくれるでしょう。

しかし、退職した本音を知っている人がいます。それが看護師の転職サイトのコンサルタントです。

私自身、眼科クリニックでいじめにあって退職後、相談したのが転職サイトのコンサルタント(転職エージェント)でした。その眼科クリニックでは6ケ月間働いたのですが、その期間に院長や看護師たちから受けたさまざまな嫌がらせやストレスを吐き出すように、コンサルタントに本音ですべて話しました。

転職サイトのコンサルタントに「正直に退職した理由を教えてほしい。その上であなたに合った転職先を見つけたい」と言われました。そして電話口で、私の辛かった眼科クリニックでの経験にずっと耳を傾けてくれました。

転職コンサルタントであれば以前の職場に対する愚痴や不満をいっても、「あの看護師が退職した職場のことでこのような愚痴をいっていた」と他に広まることはありません。そのようなことを流布してしまっては、転職サイトの信用問題にかかわるからです。

転職コンサルタントなら不満を漏らしても個人名などがばれることなく、うまく情報を扱ってくれます。そのため、以前の職場を退職した理由を安心して話すことができました。

また、転職サイトは多くの看護師のコンサルタントを行っているため、私が受けたいじめにも共感してくれました。そして転職コンサルタントは「(私が勤めた)あの眼科クリニックはブラックリストに載っていて、職場環境が最悪だと有名です。誰にも紹介できない求人です」と教えてくれました。

そのおかげで「私は自分が劣った看護師だからいじめを受けたのではない。あのクリニック自体がおかしかったのだ」ということに気づけました。

このように転職サイトのコンサルタントは、退職した多くの看護師の職場に対する不満や愚痴を聞いています。そのため、以前働いていた看護師の退職理由を本音の部分で聞き出せているのです。

転職時に退職の本音の部分を聞いておくことほど、安心なことはありません。もし心配なようでしたら、転職サイトに登録をするとよいでしょう。以下の「看護のお仕事」のように情報収集だけの利用でも構わないとするサイトもあるので、そちらを利用するとよいでしょう。

引用:看護のお仕事

病院見学以外にさらに情報収集を

病院見学では、職員の顔つきや仕事ぶりをみて、「自分がこの病院で働いたら」という具体的なイメージを確認することができます。これらの情報は大変貴重です。しかし、それだけでは情報不足であることがお分かりいただけたかと思います。

より詳しく職場環境を探るために、疑問に思ったことを明確にして質問をぶつけたり、転職コンサルタントなど、ほかのツテを使って情報収集を行ったりしたほうが、入職後のギャップが少なくて済みます。

したがって、決して一方向だけで病院を眺めるのではなく、多角的な視点をもち、冷静に応募先についての情報を集めるようにしましょう。情報が多ければ多いほど病院選びの参考となり、転職後の後悔を減らすことが可能になります。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

注目の人気記事

・転職サイトを活用した看護師転職の体験談

看護師として活動するうえで、私自身も転職活動をしたことがあります。このときは転職サイト(転職エージェント)を利用したため、そのときの実体験や方法を踏まえ、失敗しない転職について紹介します。

管理人による転職体験記

・転職エージェントを活用し、看護師転職で成功する

看護師の転職で失敗しない方法として、必ず意識すべきことの一つに「転職サイト(転職エージェント)を活用する」ことがあります。年収交渉や勤務条件を含めすべて代行してくれるからです。そこで、具体的にどのように活用すればいいのかを確認していきます。

転職サイトの活用法

・看護師転職サイトのお勧めランキング

看護師の転職サイトはそれぞれ特徴があります。「対応地域が限定されている」「取り扱う仕事内容に特徴がある」「非常勤(パート)に対応していない」などサイトごとの特性を理解したうえで活用すれば、転職での失敗を防げます。

お勧め転職サイトランキング

新たな看護師の働き方

・美容クリニック・美容皮膚科への転職

夜勤なしで高年収を実現できる求人として、美容クリニック・美容皮膚科があります。死と隣り合わせの職場ではなく、患者さんを美しくする手伝いを行うのが美容クリニックです。

美容クリニックへ転職する

・派遣看護師で高時給・好待遇を狙う

一つの職場で働き続けるという形態ではなく、3ヵ月や半年など一定期間だけ勤務する派遣看護師という方法も存在します。高時給を実現でき、人間関係のもつれがなく、「派遣が終わった後は長期の旅行に行く」など自由な働き方を実現できます。

派遣看護師で働く

・単発・日払いの高時給求人を探すには

「今月は苦しいため、もう少し稼ぎたい」「好きなときだけ働きたい」など、こうしたときは高時給を実現できる単発・スポットバイトが適しています。健診やツアーナースなど、看護師ではさまざまな単発案件が存在します。

単発・スポットバイトで働く