精神科で看護師をしていると、「一般的な看護スキルが身に付いていないから、転職する際に苦労する」という話を耳にしたことがあると思います。多くのサイトでは、そのようなことが書いてあることが多いでしょう。

しかし、そのようなことはありません。

「私は精神科で勤めてきたから、採血などの看護スキルが少なく転職できない」と自分を卑下してこのまま転職活動をするのか、それとも「私は精神科で勤めてきたから、一般科でもその力を発揮していける」と自信をもって転職活動をするのかでは、採用側に与える印象も全く異なります。

もちろん、後者の人のほうが「今後の仕事に対して積極的に関わっていける」と考えられ、採用される確率も高くなるでしょう。

結論から言えば、一般科で使う看護スキルはその科に属して1年も経験すれば、それなりに身に付きます。

しかし、あなたが実際に精神科で看護を行って培ってきた経験は短期間で身に付くものではありません。精神科での経験はあなたの強みなのです。

なぜなら、いまの日本の医療施設において「精神科看護は必要不可欠な知識や技術」だといえるからです。

今回は精神看護の知識や技術が必要とされている理由について述べ、実際に病院における一般科での「精神科の看護活動」を紹介したいと思います。これらのことを再確認し、精神科看護の経験を他の応募者にはない「強み」として転職に活かしていってください。

精神科看護の必要性とは

精神科看護は精神科でだけで必要とされていることはなく、近年社会全般にわたってその重要性が増してきています。まずは精神科看護の必要性について、お話ししていきたいと思います。

医療技術高度化の中で看護に求められるもの

近年、大学病院などでは臓器移植や遺伝子治療といった医療技術が進歩してきています。この医療技術の高度化に伴い、日々、新しい治療法や検査法も増えてきています。

従来であれば、治療の対象ではない重症患者さんや高齢者患者さんなども治療の対象となり、積極的な延命が図られるようになりました。

そのような中で、看護師は新しい治療や検査に対して知識や技術を身に付ける必要があり、さらに未知の治療を受ける患者さんやご家族が抱える不安にも対処することが求められています。

また、患者さんの高齢化が進み、基礎疾患を抱えているうえに、さらに加齢に伴う慢性的な障害や心理・社会的問題を抱えている患者さんも増えてきています。

このように看護師に対するニーズが増えるその一方で、病院の経営効率化が叫ばれ、入院期間の短縮化が進み、看護師は日々入退院業務や、治療検査の処置に追われるようになりました。

医療技術高度化の結果、看護師は患者さんやそのご家族の各々の不安やニーズに対して、看護技術や知識に加え、さらに精神的なサポートを行うことが求められているのです。

一般科でも精神看護の技術や知識が必要

現在は、一般科でも精神科で培った看護スキルや知識が必要な時代といわれています。

人間の精神と身体とはもともと分けることが困難です。したがって身体の健康を損なった結果、病気を抱えてしまうと精神的にも悪影響を受けてしまいやすくなります。

また、衣食住がいままでとは全く異なる環境におかれる入院生活となると、ストレスを抱えることも多く、身体的にも精神的にも不安定になりやすいです。

これは一般科において「病気や入院が原因で、患者さんがいつもと違う心の状態にあり苦しんでいる」場合、看護師による精神的なサポートが求められているのです。

さらに近年、社会問題化している「うつ病患者の増加」や「減らない自殺者」という社会的な背景も、一般科での精神看護が必要といえる理由の一つです。うつ病患者や統合失調症患者は精神症状ではなく身体的症状を訴えて、内科や外科など一般診療科に受診することが多くなっているからです。

このようなことから一般科でも精神看護での知識や技術が必要とされることが増えてきているのです。

各身体疾患が精神に与える影響

次に各身体疾患が精神に与える影響を再確認していきたいと思います。

精神症状が引き起こされる背景

まず、内科や外科などの一般科で引き起こされる代表的疾患と精神症状については、以下の5つに分類することができます。あなたの希望する一般科でも、このような精神症状をきたしてしまう患者さんが存在します。

精神症状をきたし心が不安定になっている患者さんに対応できるのが、「精神科での経験をもつ看護師」といえるのです。

精神症状を引き起こす身体的な代表的疾患

AIDS、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能低下症(アジソン病)、クッシング症候群、副甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能低下症、急性間欠性ポルフィリン症、ウィルソン病、頭蓋内腫瘍、低血糖症、褐色細胞腫、膵がん、多発性硬化症、全身性エリテマトーデスなど

心理的要因によって影響のある身体疾患

狭心症、冠動脈スパズム、喘息、消化性潰瘍頭痛、膠原病、高血圧症、低血圧症、肥満、変形性股関節症、過換気症候群、レイノー病、炎症性腸疾患、代謝性・内分泌性疾患、神経皮膚炎、湿疹、蕁麻疹、血管性浮腫など

精神症状を引きおこしやすい薬物

降圧薬、β遮断薬、ステロイド剤、消炎鎮痛剤、抗潰瘍薬、抗生物質、抗パーキンソン病薬、アミノフィリン、抗不整脈薬、抗けいれん薬、抗コリン薬、免疫抑制剤、抗腫瘍薬、ジキタリス、インターフェロン、向精神薬、抗結核薬など

反応性の精神症状をきたしやすい身体疾患

がん、難病、慢性疾患など

反応性の精神症状をきたしやすい環境

入院、ICU、手術など

このように精神科ではなく一般病棟でも、精神症状を発症してしまう患者さんが多く存在します。この中で、一般科における疾患で代表的な精神症状について次の項で具体的に述べていきます。

がん患者さんの精神症状

がん患者さんは、「がん告知に始まり、治療に伴う苦痛、再発や転移の不安、積極的治療から緩和医療へのシフト、身体的痛み」など、さまざまなストレスと対峙しなければならないため、多様な精神症状が生じやすくなります。

がん患者は特に「抑うつや不安」といった精神症状が出やすく、がん経過の中で危機的な状況に対する反応といえる「適応障害」として診断されるケースがあります。

以前では「がん告知で落ち込むことは当たり前」と考えられていましたが、最近では患者さんの苦痛を緩和する対応として「サイコオンコロジーや緩和ケア」の必要性が叫ばれるようになりました。

「サイコオンコロジー(精神腫瘍学)」とは、心理学(サイコロジー)と腫瘍学(オンコロジー)を組み合わせた造語です。

サイコオンコロジーとは、がんが、がん患者さんとそのご家族に精神的に与える影響と対処法について検討し、QOL(生命・生活の質)を改善していくことを目的としています。

サイコオンコロジストは、がんと診断された患者さんがいままでと同じように日常生活を送れるように支援し、納得した治療を受けられるようにサポートします。一例を挙げると、がんによる不安や不眠等に対し、精神医学的治療を含めた支援を行ったり、患者さんが孤立しないよう情緒面でサポートしたりします。

緩和ケアとは、生命を脅かす疾患から生じる問題に直面している患者さんやご家族のQOLを改善するためのアプローチ方法です。痛みや身体的、心理的、社会的、スピリチュアルな問題について、がん疾患早期から関わり、苦痛を予防したり、軽減したりします。

がん患者に対する看護師は、がん患者さんの治療段階に応じて「どのような精神的反応を示すのか」を把握し、患者さんの状況に適切な対応をとることが望まれます。

透析患者さんの精神症状

透析患者さんは、透析器によって命が保たれています。透析を受けなければ死に至るため、まさに「一日おきに生死を繰り返している状態」にあるといえます。

透析器があるからこそ存命できている一方で、透析により生死の繰り返しを一生涯行わなければなりません。さらに、透析で時間的な自由が束縛されるだけでなく、食事や水分制限といった人間の基本的欲求も満たされなくなります。

そのため、透析患者さんは「透析なんて無くなれば良い」といった透析拒否の心理が生じてきます。その上、「食事や水分を好きなだけ摂取したい」といった欲求に負けて、制限を守れない自分を責め、自己コントロールの喪失感に苦悩することもあるでしょう。

透析患者さんは「他の慢性疾患患者さんが実践するよりもはるかに厳しいセルフケア」が課されることによる負担感や、週3回半日に及ぶ治療の繰り返しなどから、「ストレスや不安といった心理的葛藤を看護師にぶつけやすい状況にある」といえます。

そのことを理解して適切な看護を実践すれば、患者さんの心理的側面をサポートすることにつながります。

術後患者さんの精神症状

術後患者さんは、意識が戻るとともに支離滅裂のことをいったり、機器を装着しているにも関わらず動き回ろうとしたりする状態にあることが多いです。これは「術後せん妄」といわれる状態です。

とくに高齢者やバルーンカテーテルを挿入した患者さんや、24時間持続点滴を行なっている患者さんに多くみられる症状です。術後せん妄はほとんどの場合、一過性であり、患者さんに後で聞いても覚えていないことが多いです。

看護師は、「術後せん妄がどの程度であるのか」を把握し、身体的に危害が加わらないか注意深く観察を行うことが大切です。

一般科での精神看護活動の具体例

それでは次に、一般科における精神看護活動の具体例について述べていきます。精神科での経験を活かして、一般科でもあなたの力を発揮していってください。

看護師に攻撃的な患者さんへの対応

まずは看護師に攻撃な患者さんへの対応について例を挙げます。

Kさんは30代前半の女性で、悪性腫瘍患者さんです。感情の起伏が激しく、情緒が不安定です。

さっきまで笑っていたかと思うと、急に機嫌が悪くなって看護師を怒鳴ったり、看護ケアをしようとすると断固として拒否したりして、看護師を困らせていました。特に新人看護師には、きつい言い方をして責めるようなこともありました。

看護師たちはKさんに対しどう対応していいか分からず、看護師間では「問題のある患者さん」という認識で一致していました。

そこで精神科で経験を積んできたO看護師の出番となりました。O看護師がKさんに話を聞こうとしたのですが、Kさんは「特に話すことはない。病気のことについても何も言いたくない」とつっけんどんな態度をとりました。

そのことに対し、O看護師は「病気のことについて話したくないと思う気持ちは大切なことです。だから無理に話す必要な無いですよ」とKさんに伝えました。すると、KさんはO看護師に病気のことではなく、病棟や看護師のさまざまな不平不満について話し始め、O看護師もそのことをうなずいて聞いていました。

すると話の途中でKさんがいきなり、「やっぱり病気のことについて話をしたい」と言い出しました。Kさんの態度はやや強がっているようにO看護師は感じました。

そこでO看護師は、「病気のことについて話すと、涙が出るから嫌なのね」と察すると、Kさんは「病気のことを人に話すと同情されて、うわべだけ優しくされるのが嫌だった」と泣きじゃくりました。

O看護師は「一人で病気のことを抱え込んで、辛かったんですね。頑張ってきたのですね」と自分の率直な気持ちをKさんに伝えました。

しばらく経ちましたが相変わらずKさんは情緒が不安定で、看護師に対して素っ気なかったり、怒りをぶつけてきたりすることがありました。

やがて病状が進行し、Kさんは歩行困難となりました。KさんはO看護師を呼び出し、「いくつかの病院で医療関係者から心のない言葉に傷ついてきたことや、幼少より不幸な家族関係にあり誰も面会に来ない寂しさ」についての話をしました。

Kさんはこれ以上傷つかないように自分を守ろうとし、看護師とトラブルを起こしていたり、幼いころから心を閉ざしていたりしていることを告げました。

Kさんは「前の病院では余命3ケ月って言われたのに、私はまだ生きている。何のために生きているんだろう」と不安を口にしました。

O看護師は自分の率直な気持ちで「自分を見つめ直し、気持ちを整理する大切な時間を過ごしているのではないでしょうか」といいました。

その後、Kさんは看護ケアにあたる看護師に「ありがとうございます」というようになり、1ケ月後医師や看護師が見守る中、安らかな最期を迎えることができました。

このようにO看護師は、表に現れたKさんの感情の本質を見抜き自分の気持ちを素直に伝えることで、Kさんらしい最期を迎えるサポートを行えました。KさんはO看護師の誠実な対応を感じ取り、他の看護師に対しても、素直な気持ちを表すことができるようになったのです。

このように看護師に攻撃的な患者さんであったとしても、患者さんの怒りや不安の本質を見抜くことで、より深い看護の関わりにつながっていくことがわかります。

抑うつのある患者さんへの対応

次に抑うつのある患者さんへの対応についての具体例を挙げます。

Sさんは80代の男性で、肝臓がんの患者さんです。この病気を患ってから、悲観的で泣いてばかりいました。

Sさんは「このような病気になってから、年老いた妻に迷惑をかけるだけ。遠くに住んでいる息子も娘にも申し訳が立たない。早く死んだほうが家族のためだ。楽に死ねる注射や薬があるなら、それをさっさとしてほしい」と訴えていました。

あるとき、同じ病室の患者さんが亡くなり、家族が泣いているのをカーテン越しにSさんは聞いていました。「泣いてくれる家族がいるのはいいですね。私のときには泣き叫んでくれるのかな。申し訳ないな」とケアに来たY看護師に言いました。

精神科で経験のあるY看護師は、Sさんの思いを受け入れて「泣いてくれる家族がいるのは良い人生を送ってこられた証ですね」というと、Sさんは軽く頷きました。

それからSさんはY看護師に「奥さんと結婚してからの苦労話や子育てで自分が頑張った話」などを、ときには泣きながら、ときには怒りながら語るようになりました。

Sさんは若いころの思い出について繰り返し語るようになってから、表情がだんだんとイキイキとしてきて、楽しそうな様子を見せるようになりました。「愛のある家庭で育って、愛のある家庭を作ってきたんだな」とY看護師はSさんから伺うことができました。

依然として「早く死にたい」という言葉を発するものの、Sさんからは笑顔も見られるようになりました。

患者さんから「早く死にたい。私には価値がない」という訴えを聞くと、看護師として「そんなことはない」と否定したり、頑張るように励ましたりしたくなります。しかし、それでは患者さんの助けにはなりません。

まずはY看護師のように相手の思いを否定せず、受け入れることが大切です。

しかし、抑うつ状態にある患者さんは自分のなかの狭い世界のなかでしか物事を考えられなくなっていることが多いです。したがって、患者さんの気持ちを受け入れつつも、異なる考えや価値観を示すことが重要です。

そうすることによって、「病気を患う自分という存在が家族にとって迷惑となる」というしがらみから解放されるよう支援します。

Sさんは次第に自分の生い立ちや生き方、人生について繰り返し語るようになりました。

家族のために懸命に生きてきた自分を思い出し、かつての活力ある幸せな家庭を築いてきた自分に気付くことができれば、患者さんは自分で作った「しがらみ」から解放されやすくなります。

Y看護師の関わりにより、抑うつ的で否定的な思いに占領されてきた心の中に、温かく健康的な心がよみがえってくるのです。

せん妄のある患者さんへの対応

次にせん妄のある患者さんへの対応についてみていきたいと思います。

Jさんは大腸がんを患う50代の女性の患者さんです。余命3ケ月とされていました。Jさんはそのことを受け入れ、入院中も家の整理をする手はずをしたり、遺言書を書いたりして過ごしていました。

ある日、せん妄が出現したと聞き、精神科で経験を積んできたT看護師が駆け付けました。夜一人でふらつきながらトイレに行こうとしているところを看護師が発見したところです。

T看護師が「Jさん、大丈夫ですか」と声をかけると、Jさんは「誘拐されたのよ。ここにいる患者が全員船に乗せられたんだけど、他の人は下船させられて私だけ船内に残るように言われたの。それで遠くに連れていかれたの」といいました。

実はその日の昼間、Jさんは病状が悪化したため、医師からハイケア室への移動が決まったことを告げられていました。

そこでT看護師は「Jさん、そのような思いをして怖かったですね」と告げると、Jさんは「いいえ、怖くはないけれど、腹が立ったわ。どうして私だけが遠くに連れていかれなければならないの?こんな体だけど、誘拐犯の目を盗んで、どうにか必死で戻ってきたわ」といいました。

T看護師は、「Jさん、良くここまで戻ってきてくれました。Jさんは私たちにとって大切な存在です」というと、Jさんは安心したように「やっぱり病院が良いわね。ここだと時々寂しいこともあるけれど、あなたたちがいてくれるから安心できるわ」といってベッドに戻りました。

ベッドに横になったJさんに、T看護師は「病院が安心できる場所で良かったです。とにかく船からここまで戻ってきてくれてありがとうございます」と告げると、Jさんはニコッと笑い、また眠り始めました。

せん妄は意識障害です。「寝ぼけている状態」にあるため、無理に現実に戻そうとしても意味がありません。それよりもT看護師のように、患者さんの言動を否定せず、受け入れる気持ちで接することが大切です。

また看護師がよくやりがちなことですが、ただの興味本位で患者さんに今の状態にあることを、根ほり葉ほり聞いてしまうことはより混乱を引き起こす原因となってしまいます。

一方でせん妄で語られることが、すべて夢物語などではありません。せん妄には患者さんが置かれた状態が映し出されることが良くあります。

「病室をかわる」といわれたJさんは、自分の病状の悪化や今までの居場所を脅かされることに不安をもったのでしょう。もしJさんが誘拐されたことを否定してしまえば、「この看護師は分かってくれない」と自分を否定された気持ちになってしまいます。

T看護師のように患者さんの訴えを真摯に受け入れ、気持ちに共感することが大切です。つじつまの合わないことだとしても、せん妄は「自分らしさや尊厳を守りたい」とする患者さんの苦痛に満ちた訴えであるのです。

慢性的な疼痛を抱える患者さんへの対応

今度は、外科的に慢性的な疼痛を抱える患者さんへの対応についてみていきます。

Aさんは、50代の女性患者さんで、交通事故で右足を失いました。それから幻肢痛や頭痛などを、身体のあちこちに痛みの症状を感じるようになりました。

この痛みを緩和するよう医師や看護師に訴えるのですが、「これ以上この痛みに対する対処方法はない」ことを医師に告げられると、「痛みに対して自分は弱い人間だ」と考えるようになり、自分を責めるようになりました。

精神科で経験のあるU看護師は、「これだけの大きな事故に遭遇すれば、精神的に不安的になるのは仕方のないことだ」とAさんに伝えました。

最初の頃は、事故の状況を語ろうとするとAさんは激しく動揺し話すことができなかったのですが、次第に泣きながら、その事故について語ることができるようになりました。

車いすや松葉づえを使えるようになってからは、今度は「自分で思い立った時にすぐに行動することができない」とU看護師に訴えるようになりました。

また、「嫁が自分の足の代わりになって動くから心配しなくていいという。けれど、私が抱えているのはそういう問題ではない」と怒りをあらわにしたこともありました。

U看護師は、Aさんの足を失ったことによる悲しみと怒りを感じ取りました。そこでU看護師はAさんの話をじっくり傾聴する時間を作り、今後Aさんが「できるようになること」や「やってみたいこと」について話してみました。

Aさんは「U看護師に会うまでは、いろいろ痛みが強くてどうしていいか分からなかったけれど、U看護師と話をして帰るころには、そのような不安は忘れている」と言いました。

それでもまだ、Aさんは「将来への不安の中で心が揺れたり、思うようにならないことが出てくると、幻肢痛や頭痛を抱えることがある」と訴えます。しかし、U看護師の存在はAさんの中での安心材料の一つともいえるのです。

Aさんのように身体の一部を失うことは、これまでAさんが築き上げたものや、今後築き上げるはずだったもの、そしてプライドまでも喪失することを意味します。身体の痛みは、心の痛みでもあります。

幻肢痛(ファントムペイン)とは四肢を切断した後に、もう存在しない部位の痛みを感じるものです。存在しない部位の痛みであるため、他者に理解してもらうことは難しく、人によってはこの幻肢痛が何年も続くことがあります。

幻肢痛により、リハビリテーションや日常生活、障害受容にも影響を及ぼすことが出てきてしまいます。

Aさんは一見、障害を克服できたようにみえますが、心のなかでは「今までできていたことができない苦しみ」が続いています。病気や障害を受容することは大変困難なことでもあるのです。

U看護師のように、不安になったり、葛藤を抱えたりを繰り返す患者さんの心の揺れを受け止め、寄り添い続けることがこのような患者さんにとって必要なことだといえるのです。

精神科で培った看護経験は患者さんの支えとなる

人にはそれぞれに生きてきた歴史とストーリーが存在します。そのため、病気やケガの受けとめ方も対処の仕方も人によって様々なのです。

まずはその違いを認めるところから患者さんの心のケアが始まります。それはその人本来のあり方を肯定し、信頼し、待つことになります。「あなたがそこにいてくれるだけで、価値があることなのだ」という姿勢でいることが大切です。

患者さんやそのご家族の言葉や行動には、その人なりの意味があります。あなたが精神科で培った看護経験は、「患者さんを特別視しない」ため、患者さんやそのご家族にとっての心の寄りどころとなるのです。

あなたの前であると、相手が「自分を理解してくれる人だ」と実感することができ、奥に閉じ込めていた苦しみや悲しみを出してくれることがあるかもしれません。

患者さんのなかにすでに存在している悲しみや苦しみなど、「意識されていなかった世界」が意識化され、語られ、昇華されていくこと。これらのことが実現できるのが精神科での経験がある看護師なのです。

看護技術が無いからといって、卑下する必要はありません。あなたの精神科での看護経験を活かして、一般科でも患者さんの苦しみや悲しみの心のサポートを行っていってもらいたいと思います。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

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一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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