第二新卒(2年目や3年目など)で働く20代前半の新人看護師であっても、転職を希望することがあります。「病棟の夜勤が合わない」「仕事終わりの勉強会や看護研究がつらい」「人間関係がぎくしゃくしている」など、人によって理由はさまざまです。

経験の少ない看護師が転職を考えた場合、「短期間で辞めて、希望する医療機関に転職できるか」などの不安を抱えやすいです。

しかし、2年や3年の看護経験しかなくても希望する医療機関に転職し、満足いく働き方を手に入れることは可能です。例えば私だと、1年半で2回も転職しましたが、いまは人気のあるクリニックで私らしい充実した働き方を手に入れることができています。

そこで「2年目や3年目の第二新卒が希望する病院に転職し、満足いく働き方を手に入れる方法」について解説していきます。

2年目や3年目の第二新卒が退職しても問題ない

病棟に勤務して2年目や3年目の第二新卒の看護師が、いまの職場を辞めたいと考えて転職を考えた場合、看護経験が少ないことは問題になるのでしょうか。結論からいえば、第二新卒の看護師が転職するうえで、「早期に退職した」「経験が少ない」ことは問題にはなりません。

2年や3年の勤務で転職を考えている場合、「短期間で退職するなんて、自分は何で根性がないのだろう」と責めてしまうことがあります。

しかし、無理やり自分の気持ちを奮い立たせて、いまの職場で我慢して働いたとしても、仕事へのやる気が沸かない状態であれば、得られるものはありません。

当サイトの管理人である私自身、30代後半で看護師免許を取得しました。しかし年齢を考慮されたのか、総合病院の新卒で配属されたのは重症心身障害児者病棟でした。採血は年に2~3回しか立ち会う機会がなく、しかもそれらは全て急性期で経験のある先輩看護師が行うケースがほとんどでした。

看護師として忙しいのには変わりはないのですが、日々の看護業務は食事・入浴介助、体位変換やおむつ交換などの介護が主でした。

このとき急性期病棟に配属された同期は、私には理解できない看護師用語や技術をどんどん身につけており、採血などは当たり前のように行っていました。一方、同じ重症心身障害児者病棟の新人看護師たちは、採血さえできない状況でした。

私は入職後10ケ月くらい経過して配置転換を希望したのですが、看護部長に「3年は慢性期病棟で働かないと配置転換は無理だ」といわれました。また先輩看護師に相談したところ、「ここで働いても看護技術は身につかない。転職できたとしても、看護技術のいらない介護施設や精神科しか残っていない」といわれました。

そのため、私は技術や知識を実践で身につけられる職場に転職しようと考え、現在の職場に紆余曲折を繰り返しながら巡り合うことができました。入職して間もない職場に我慢して頑張るだけが美徳とは限りません。人には「合う合わない」があるのです。

2年目や3年目の第二新卒は採用側にとってメリットが多い

そうしたとき、2年目や3年目など第二新卒は採用側にとってのメリットが多くあります。

第二新卒という言葉に法的な定義はありませんが、看護学校や看護大学を卒業してから3年未満の人を指します。つまり一般的には、新卒で入職して3年未満に退職した20代前半~26歳くらいの看護師を指します。

私の場合は前述の通り30代後半で看護師免許を取得して働き始めましたが、3年以内に転職したので一応は第二新卒という括りになります。

看護経験のある中堅看護師と比較すると、第二新卒は転職に不利と考えられがちです。ただそのようなことなく、採用側にとって、第二新卒を採用するメリットは大きいのです。第二新卒が転職しやすい理由としては、以下のような点が挙げられます。

  • 看護師経験があるため、順応性がある
  • 社会人の基礎ができている
  • 20代前半など、年齢的に若いので育成しがいがある
  • 他病院で身につけた変なクセが少ない

転職市場でいうと、一般的に年齢が若いほど価値が高いのが普通です。つまり経験豊富なベテラン看護師よりも、20代前半などの第二新卒のほうが重宝されるのです。

これが2年目や3年目の第二新卒であれば、短期間とはいえ看護師として働いた経験があるため、看護業務を一から教える必要がありません。まったくの新卒よりは第二新卒のほうが早く戦力化でき、思わぬインシデントも予防できます。そのため、新人看護師を育てるよりも人件費を安く抑えることができるのです。

また第二新卒は経験が充分でない分、長年の積み重ねで身に付いてしまった変な看護のクセはありません。そのため看護業務を教えても吸収が早く素直であり、その職場に馴染みやすいという長所をもっています。

さらに20代前半ともなると他の看護師より若く、将来性も兼ね備えています。若いと体力的に余裕があり、成長も早いです。病院であれば、ベテランよりも夜勤を嫌がりません。そのため病院側にとって使い勝手が良く、重宝されるというわけです。

以上のような理由から「2~3年ほどしか看護経験がないことは弱み」と考える必要はありません。

第二新卒の中途採用募集は多い

そうしたとき転職市場で第二新卒はそれなりに価値が高いことから、中途採用の募集は多くなっています。

実際、「第二新卒歓迎」と掲載のある求人は多く存在します。例えば以下は、千葉にある総合病院の看護師求人になります。

このように、第二新卒であっても問題ありません。そもそもブランクありで看護師勤務を数年間していない人でも復帰できるケースが多いため、そうした事実を考えると看護師の2年目や3年目だと即戦力として採用されるといえます。

他にも、20代前半の第二新卒は美容外科・美容皮膚科といった美容クリニックで歓迎されるケースが多いです。以下は東京や大阪、名古屋、京都、神戸、広島、福岡など主要都市で展開している大手の美容外科クリニックグループの採用情報です。

美容クリニックは看護師の年齢が顧客層に近いため、20代の看護師を欲しがる傾向にあります。このとき上記の求人募集では、若い看護師の中でも新卒ではなく、あえて臨床経験のある第二新卒の看護師を募集していることが分かります。

若さだけを重視するのであれば、新卒を採用すればいいのです。ただ、それ以上に臨床経験を重視しているからこそ、第二新卒の採用に積極的なのです。

・経験が必要な職場でも第二新卒は活躍できる

他にも、一般的に臨床経験を積まないと採用は難しいとされる訪問看護ステーションでも、第二新卒の求人があります。例えば、以下は東京都内でいくつかの訪問看護ステーションを展開する事業所の求人です。

訪問看護ステーションは看護師一人だけで在宅訪問することになるため、全く臨床経験のない看護師の採用は難しい傾向が強いです。ただ看護師としての経験がある第二新卒であれば、問題ない事業所が多くなります。

このように第二新卒歓迎と掲載のある求人は多く、焦って求人を選ぶ必要はありません。冷静になって良い求人を見抜き、その中からあなたに合った選択肢を選ぶように心がけましょう。

再就職は教育体制の整っている病院・クリニックを選ぶ

ただ第二新卒が転職を考えた場合、看護技術やスキル、知識については未熟な部分が多いので、教育体制の整っている病院やクリニックを選ぶようにしましょう。20代前半や後半だと、看護知識や技術の吸収に充分な伸びしろがあるからです。

例えば以下は、千葉にある急性期総合病院の看護師求人の一部です。

プリセプター制度や勉強会などが豊富にあるため、看護師として今後も知識や技術を増やしていけます。看護師としてのスキルを伸ばしていきたいと考える20代前半であれば、転職時はこのように病院の教育体制を確認しましょう。

・クリニックでも教育制度が整っている中途採用がある

ちなみにクリニックの場合、病棟と比べると「教育体制が整っていない」と考えがちです。2年目や3年目などの第二新卒で経験の少ない看護師であれば、クリニックに転職となると「病棟のようなしっかりした教育は受けられないのでないか」と不安になることがあるでしょう。

しかし少人数だからこそ、少数精鋭で「新人を育てる気概のある教育体制の整えられたクリニック」は多く存在します。そこで働く看護師は全員がしっかりとした技術を身に付けられ、高度なスキルや知識をもてるように新人教育を実践しているクリニックがあるのです。

例えば東京にある、以下の小児科・内科のクリニック募集がこれに該当します。

クリニックだからこそ、少人数で課題到達に向けて教育に力をいれてくれる職場が存在します。教育体制が整えられたクリニックは、決して看護知識やスキルが停滞したままの環境にはなりません。

特に、教育体制が整っているクリニック求人は透析クリニック、整形外科クリニック、内科クリニック、訪問看護ステーションなどが多いです。転職サイトを活用しながら求人を詳しくチェックし、どのような教育体制が整えられているか確認しておきましょう。

ちなみに、私の勤めているクリニックもまた教育体制が整っています。

具体的には新人が入職した場合、新人と既存の看護師がコミュニケーションを取りやすいように、「看護経験の豊富な看護師(ベテラン)」と「新人と年齢の近い看護師(若手)」の2名が責任をもって看護業務を教える体制になっています。

その際に、以下のような新人看護師チェックリストで仕事内容を確認しながら、看護技術や接遇を身につけているかどうかをチェックしています。

チェックリストがあると、先輩看護師は教えていなかった仕事について確認できます。また、新人看護師は身につけていなかった技術を振り返り、目標を新たに設定できます。こうして院内で看護のレベルアップを図るように心がけています。

また、院内勉強会を週に1回開催しています。看護師が持ち回りで、仕事を通して疑問に思ったことや勉強したことを発表します。そのときは医師や他の看護師からアドバイスをもらえ、看護の視野を広げることもできます。教育体制が整っていれば、第二新卒であってもクリニックで知識の幅を広げられます。

資格取得支援制度のある職場を狙う

そうしたとき、教育に力を入れているかどうかを見極めるポイントの一つに資格取得支援制度があります。

資格取得支援制度は多くの病院やクリニックで採用されている制度です。今後はキャリアップのために専門性を身につけ、資格取得を考えている第二新卒は、これらの制度があるか事前にチェックしておくと良いでしょう。

例えば以下のような求人であり、埼玉にある糖尿病やアトピー専門のクリニックになります。

このように中には「准看護師から正看護師への免許取得をサポートしてくれる医療機関」もあります。ちなみに准看護師から正看護師になるには、一般的に休職して200万円以上の経費が必要となります。

本来であれば自費で資格取得を行わなければならないのに、資格取得に必要な経済的負担(看護学校に通う、基本給を保障するなど)を医療機関側がサポートしてくれるほど、ありがたいことはありません。休職をしたり、自費で学校に通ったりといった心配をしなくて済むからです。

しっかりした看護技術やスキルを身につけていきたいと考えている方は、このように教育体制や資格取得制度が整った病院・クリニックを探せばいいです。

転職サイトを利用して事前に情報収集する

このように20代前半を含め、「2年目や3年目の第二新卒の看護師は転職に有利である」ことが分かります。そうしたとき、さらに満足いく働き方を手に入れるためには、転職前に情報収集を徹底して行うようにしましょう。

第二新卒となると、看護業界を見る目が養われているため「自分なりに合う・合わない職場については分かるだろう」と考えているかもしれません。

しかし第二新卒はもちろん、多くの経験を積んできたベテラン看護師でさえ、転職で失敗することがあります。まだ経験の浅い第二新卒の看護師であればなおさらです。

転職で失敗する原因は、転職前の情報収集不足にあるといえます。例えば、以下のポイントを確認する必要があります。

  • 勤務や給与の実態はどうか
  • 教育体制は整っているか
  • 離職率は高くないか
  • 住宅手当など、福利厚生はどうか
  • 残業時間はしっかりカウントされているか

例えば病院勤務の場合、配置換えなどを頻繁に行う職場であれば、事前に聞いていた情報と全く異なる勤務形態になることがあります。

一方でクリニックに転職希望の場合、院長が一国の主であるため、良いも悪いもすべての実権を握っているケースが多いです。例えば、「今年は思ったような利益を生み出せなかったから賞与は出せない」と院長から告げられると、スタッフはそれに従うかまたは退職するしかありません。

ただ、こうした細かい情報を自分で集めるのは現実的ではないですし、20代前半の看護師が求人先と年収や勤務条件の交渉をするのは厳しいです。そこで、多くの人が看護師専用の転職サイトに登録します。

無料で転職サイトの担当者が最適な求人を選んでくれますし、年収や勤務条件の交渉事もすべて代行してくれるメリットがあります。

第二新卒が採用される履歴書や面接での志望動機・自己PR

そうして希望する転職先が決まったら、次は履歴書作成です。履歴書のなかでも特に重要視されるのが志望動機・自己PRになります。

第二新卒であると経験が少ないため、内容が乏しくなると考えられがちですが、そのようなことはありません。志望動機・自己PRには、「あなたが新しい職場でできること(看護観や仕事への意欲)」と「希望する転職先でなければならない理由」の二つを必ず入れるようにしましょう。

そのためには希望する転職先の情報を仕入れ、「自分の能力をどのように活かせると考えたのか」「今後はどのように活躍していきたいのか」を具体的に記すようにしましょう。

例文として、以下に第二新卒のための志望動機・自己PRを挙げておきます。

私はA病院の外科病棟に勤務しています。ただ3月に行われる部署異動を機に、興味をもった救命救急で勤務してみたいと強く思うようになりました。

特に御院は県内でも最大の救命救急病院であり、災害時にはDMATを派遣するなど多くの人に頼られている機関です。今後は外科での経験を活かしながら、御院で救命救急看護師として、また災害救命看護師として、一人でも多くの患者様の命を救うサポートを担っていきたいと考えております。

この志望動機例文をみて短いと感じる方がいるかもしれませんが、履歴書の志望動機欄は以下のように小さいのが一般的です。

小さな字でだらだら書いたり、一文を長くしたりすると、採用側の印象には残りにくくなります。簡潔に内容をまとめるように意識しましょう。

また、志望動機・自己PRは面接でも必ず再度聞かれる内容になります。志望動機に適当な言い回しを使ったり、どこの病院にでも通用する内容を書いたりしていると、面接のときに採用側を納得させることはできません。

履歴書の志望動機は完結にまとめ、面接では履歴書で書かれた内容を発展させて、より具体的に話せるようにしましょう。中途募集を出している求人先にのみ通用する内容にするからこそ、履歴書や面接にて優れた志望動機・自己PRを行えるようになります。

第二新卒の看護師が転職を成功させるコツ

2年目や3年目の第二新卒の看護師でも、転職して満足いく働き方は実現できます。転職を成功させるコツには以下のようなポイントがあります。

  • 第二新卒は転職に有利(自分を卑下しない)
  • 教育体制の整った職場を選ぶ
  • 転職前の情報収集を怠らない
  • しっかりとした看護観をアピールする

焦って転職しないように、じっくり転職先を見極めましょう。実際のところ、ベテラン看護師よりも年齢が若い分だけ、20代前半では転職に有利だからです。私の場合、20代どころか30代後半で第二新卒の転職を経験したわけですが、それでも問題ありませんでした。

まだまだ看護師としての可能性や伸びしろに富んでいるのが第二新卒です。看護の職場を2年目や3年目に退職したからといって、大きな問題はありません。

本来であれば、同じ職場で働き続けるのが最適です。ただ現在の職場で望む勤務方法を実現できない場合、転職するしか方法はありません。そこで最適な中途採用募集を選び、第二新卒を歓迎してくれる職場で働き始めましょう。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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