一般的に「自己PR」といえば、履歴書に記入欄があります。しかし履歴書に加え職務経歴書の提出を求められている場合、職務経歴書を記載した後の空欄に「自己PR」欄を作ったほうが、「自分のアピールしたい強み」や「伝えたい思い」を自由に記載することができます。

「履歴書の自己PR欄」よりも「職務経歴書の自己PR」欄のほうが、採用側(病院や施設、クリニックなど)に合わせてカスタマイズさせた自己PRを行えるメリットがあります。

そこで今回は、職務経歴書の自己PR欄を最大限に活用し、採用に近づけるための方法についてお話ししていきたいと思います。

職務経歴書を記載した後の自己PRとは

職務経歴書をざっと書いた後、少し空欄が残ることがあります。そのような場合は、迷うことなく「自己PR」欄を作り、採用側に自分を売り込むようにしましょう。

自己PRに記載する内容の例

では一体自己PR欄にはどのようなことを書けばいいのでしょうか。自己PR欄に記入する内容としては、以下のようなものが挙げられます。

・これまでの看護経験を通じて身に付けたスキル

・看護業務に対する日々の取り組み姿勢心がけていること

・看護をする上でこだわっていること、自分のポリシー

・看護をしていく上で目指していること、将来のビジョン、キャリアアップの方向性

性格面での長所(「スポーツ」「趣味」「院外活動」と掛け合わせても可)

・その病院やクリニックを志望した動機(具体的なエピソードがあると尚可)

・自分が入職することで、志望する病院やクリニックをどう発展させていきたい

・自分が関わることでどのような看護を行っていきたいと考えているか

・自分がいままで行った失敗経験から活かしたこと

もちろん自己PRも、職務経歴書と同じでダラダラと長く書くのはNGです。職務経歴書を書いた後の空白の欄に、A4用紙の3分の1~4分の1程度以内にまとめれば、採用側に読む負担を感じさせずに済みます。

具体的なエピソードを盛り込む

上記で紹介した自己PR内容のどれを記すにせよ、抽象的な言葉ではなく、具体的なエピソードを盛り込むようにしましょう。

具体的なエピソードを添えてこそ、自己PRに説得力が増し、採用側の心に響く内容になります。「相手を感動させること」ができれば、その自己PRは大成功です。

プラスの印象を与えての面接になるため、あなたに初めて会うにもかかわらず、採用側は最初からあなたに好印象をもっていることは間違いありません。

職務経歴書に記載する自己PRのNG例とOK例を次に例を挙げます。

【NG】「患者さんに声掛けを行い、様子を細かく観察していました」

【OK】「患者さんに声掛けを行い、『以前行った生活指導は守れているか』『薬はしっかり飲めているか』など、その患者様の注意すべき看護点を普段の会話から確認するようにしていました。

もし患者様が実践できていないと感じた場合は、『まずは何から実践したら取り組むことができるのか』を患者様自身に具体的に考えてもらうようにしました。そうすることで、患者様に苦痛を与えることなく生活改善していただくことができ、病状の安定につなげる成果となりました」

NG例は簡潔すぎて、物足りません。また、この文章だけでは「あなたの看護に対する姿勢」も頭に浮かんできません。採用側の印象にも残らないでしょう。

一方でOK例では、具体的なエピソードを盛り込むことで採用側が「応募者のアピールしたいこと」を明確にイメージすることができます。

他にも性格面をアピールする場合では「前向きである」「勉強熱心」などといったことだけでなく、それを「看護でどう発揮させたかのエピソード」を交えて伝えるようにしましょう。ただし、そのエピソードもまたダラダラと伝えてはいけません。簡潔にまとめるように心がけましょう。

下記の自己PR文を参考にしてください。

NG例】「前向きな性格をしています」

OK例】「私は以前、透析室に勤務していました。透析室では生涯透析を行うストレスから、心無い言葉を吐かれてしまう患者様が多くいらっしゃいました。そのため、透析室での勤務に耐えられなくなり、途中で配置換えを望む同僚が多くいました。

しかし私はそれを『患者様からのSOSのサイン』としてとらえました。そこで『透析室でどのように患者様が過ごしていただければ、安全安楽を感じることができるのか』を考えました。勉強会などに参加し、透析中の時間を有効に過ごしていただくために、上層部とかけあい、サイクルマシンの導入を発案したり、パソコンの持込を許可してもらったりしました。

その結果、透析に来院される患者様に依然よりも活気がみられ、好評価を多く頂けるようになりました。そして看護師が傷つくような言葉を発する患者様が少なくなり、配置換えを望む看護師もいなくなりました。

このように私は、『現状を嘆いて逃げることはせず、よりよく変化させるために尽力する』ことに喜びを感じるよう、仕事に取り組んでいます」

【NG例】「勉強熱心です」

OK例】「日々看護業務に行うにあたり、自分に足りないと思った看護領域においては、外部の勉強会に参加するなど積極的に知識や技術を身に付ける努力をしています。

一例を挙げると、前職は内科でしたが、基礎疾患以外にも患者様が抱えて苦しそうに感じる精神疾患について勉強を続けてきました。すると社会的にも肩身の狭い思いをしている患者様が多く来院していることを知るようになり、家族会を紹介するに至りました。

すると、精神疾患のために自分の生きる世界が狭くなってしまっていた患者様がイキイキと楽しそうに生活されるようになったことを知りました。このことは、『私が勉強することは、社会にプラスを与えることになるのだ』と実感できる貴重な経験となりました。

自分が身に付けた知識や技術は、週に1回開催される勉強会で発表しています。そして、議論の場を設けるようにしています。『他の看護師と知識や技術、看護の思いを共有することが、よりよい看護の実践につながるのだ』と自負しております」

このように自分の長所に関しても具体的なエピソードとその成果について自己PRで述べることができれば、採用側の印象に残りやすくなります。

さらにあなたの自己PRを読んだ採用側が「このような人がこの病院で働いてくれたら、ここでもきっと良い成果を出してくれるはずだ」とイメージできれば、採用の可能性は高まります。

自己PR欄は「スポーツ」の資格でもOK

自己PRだけでなく、応募書類全般には、看護に関すること以外を書くべきではないと思い込んでいないでしょうか。しかし、そうとは限りません。

看護とは関係なくても、応募書類に記載されていると印象アップにつながるものがあります。それは「スポーツ関連」の資格や実績です。

例えば、「柔道〇段」「剣道〇段」といった資格、「全国高校ラグビー選手権3位」「フルマラソン出場記録〇時間〇分」「〇〇駅伝出場」「〇〇年県大会陸上800m 1位」といった成績や自己最高記録などです。

これは30代・40代の看護師が高校生や大学生のときに取ったものでも大丈夫です。昔のことを書く場合には、「高校の陸上県大会800mで1位を獲得」、そして「現在も体力維持をするために休日はジョギングをしています」といった、今につながっているエピソードを添えておくようにしましょう。

これまでたどってきた人生で「スポーツを極めたことのある人」は、仕事においても「ストイックに努力できる人」「困難なことがあっても忍耐力で乗り越えられる人」と認められ、採用時にプラス評価としてつながることが多いのです。

特に看護業務はある意味、体力勝負でしかも強い精神力が要求されることがあります。スポーツで実績を残すくらいの体力と精神力をもっている人は、大変貴重で喜ばれる存在であるといえます。

また、個人スポーツでなくても、チームスポーツ(例えばバレーボール、バドミントン、サッカー、バスケットボール、ハンドボール、野球など)での受賞歴も好印象を与えることができます。優勝、準優勝だけでなく、ベスト8くらいまでですと、充分に面接で話題にすることができる「あなたの実績」となります。

自己PR欄は「趣味」でもOK

スポーツで上記のような輝かしい実績がない場合でも、その人から想像されるイメージとは異なる資格・特技があれば、それは自己PRになりえます。

例えば、自分の長所とかけ合わせて「物事に熱心に取り組む」といった共通点から、「趣味の〇〇を極めている」といった内容をPRするのです。

実際にあった私の友人の例です。

履歴書の写真では一見すると質実剛健で筋肉ムキムキの男性看護師なのですが、自己PR欄に「お菓子作りが趣味で緻密で精巧なお菓子を作れる。長期休暇にはフランスまで旅をして何件もの有名ケーキ屋を巡り、研究を欠かしたことがない」などと書いたことがあったそうです。

採用側には、そのイメージのギャップが面白くて、「面白そうな人物だ。一度会って話がしてみたい」と興味をそそられ、難関の病院の面接を受けることができたそうです。そしてその人は無事に採用され、今では日本最先端の救命救急でバリバリ働いています。

体つきからは大胆な看護をしそうですが、仕事自体は大変几帳面で精巧にこなすその姿勢に、採用側は「良い人間を採用できた」と嬉しそうに言ってくれたそうです。

他にも、看護とは少し異なる変わった資格を取得している場合、例えば「野菜ソムリエ」「ベジフルビューティー」「アロマコーディネーター」「JNECネイリスト技能検定」「温泉ソムリエ」「読書アドバイザー」などを書いてみても、アピールにつながります(看護と全くかけ離れている場合は、履歴書の趣味の欄を活用するとよいでしょう)。

それをきっかけに採用側に「会ってみたい」と思われ、面接につながる可能性もあります。

しかしあまりにも趣味のことを中心に書きすぎてしまうと、採用側に「将来、看護師を辞めてそちらの道に進んでしまうのではないか」と不安を抱かせることになりますので、自己PRは「看護」につなげて、まとめておくほうが無難です。

先ほどの男性看護師の例では、自己PRの最後に「このように持前の集中力で、同様に看護の仕事にも没頭して取り組むことができています。患者様の立場からどのように動けば安全安楽に看護を行えるかを考え、実践しています。一人ひとりの患者様を大切に考え、看護師としての道を極めていきたいと考えています」といった内容にまとめるのです。

「看護の内容でまとめられない」と思った場合は、最初から「履歴書の趣味の欄」に記載するようにしましょう。

「院外活動」が評価につながることもある

希望している病院やクリニックから求められている職務上のスキルなどを「職務経歴書の自己PRとして記載することが難しい」と考えるなら、「プライベートの活動」でその力を発揮していることを伝える方法もあります。

例えば、下記のような院外活動だとプラスに評価される可能性が高いので、自己PRの欄に記載する方法もあります。

・多様なコミュニティや勉強会に参加している

・看護系のe-ラーニングを毎日欠かさず行っている

・NPOやボランティアなど社会的な活動を行っている

・地元の子どもたちにスポーツを教えている

「職務経歴書には看護以外のことは書くべきではない」と考えている方も多いですが、決してそんなことはありません。少しでも自分をアピールするものがあれば、ストーリーを工夫して上手に看護とつなげて、記載すると良いでしょう。

自己PR欄に「失敗経験」を書くのもOK

自己PRというと、一般的には「成功体験」について記載します。それは当然のことで、大変有効な方法です。しかし実は成功体験よりも「失敗体験や挫折経験を書き、それをどう乗り越えてきたのか」のほうが、高評価が得やすい病院やクリニックもあります。

「レジリエンス力」についてご存じでしょうか。近年注目されている言葉ですが、「レジリエンス力」とは精神的回復力、抵抗力、耐久力のことです。

ピンチに直面したとき、壁にぶつかったとき、どのような努力と工夫と精神力で乗り越えてきたのでしょうか。失敗したとき、どのようにそれを活かして看護を行ってきたのでしょうか。

このような経験を経て、「何を学び、どのような看護スキルや知識を身に付けたか」に対し、採用側は関心をもっています。もちろん、「ただ単に落ち込んで、しばらくして忘れてしまった」や「その職場にいづらくなったので看護師を一旦辞めた」というような結末ではいけません。

あなたが今後、転職して新しい環境に身を置いた場合、多かれ少なかれ、「カルチャーショック」を受けることもあるでしょう。前の職場で身に付いた看護の方法ややり方、常識が通用せず、いままで培ってきた自身が打ち砕かれてしまうことがあります。

そのようなギャップに直面し、苦しみ悩んだときに、それをどう受け止めて克服していけるのかを採用側はみているのです。困難に対する強い精神力と立ち向かう姿勢をあなたから見出すことができれば、採用への扉は開かれのたも同然です。

自己PR欄への「失敗経験」の記載例を次に記しておきます。

「前病院の救急病棟で私はリーダーを務めていました。その病棟には、新人看護師が2名在籍しており、指導しながら看護を行っていました。新人看護師がそのときに、10時間で落とさなければならない点滴を誤って4時間で落としてしまうことがありました。

さらに病棟看護師の誰も、点滴が無くなっていることに気づかず、点滴ラインが詰まってしまいました。そして、点滴の抜去、再挿入を行わなければならなくなってしまい患者様に余計な負担をかけてしまいました。

仕事の忙しさにかまけて、新人看護師が行った看護業務を確認しなかった私の責任でした。これを機に、新人看護師が行った看護業務には、指導を行った看護師が必ず再確認を行うことにしました。さらに、その指導看護師の負担を減らすよう、その日の指導看護師の仕事の割り当てを軽減できるよう変更しました。

これらの実施を徹底した結果、新人看護師自身も大きなトラブルを二度と起こさないようになりました。何かトラブルが起きた際は、その原因となった人ひとりの責任だとは考えず、『自分にも病棟全体としても改善するところは無かったか』を確認し、行動することが大切だと考えております」

このように失敗や経験を活かして、うまく次につなげることができる人を採用側は望んでいるのです。

自己PRを最大限に活用しよう

よく日本人は「自分をアピールする」ことを嫌がります。「このようなすごい人間ではないから」「まだまだ足りない部分はたくさんあるから」と謙遜や言い訳をするのです。

しかし採用側からすると、そのように自分を卑下する人は「では一体どのようなことを新しい職場で実現しようとしているのだろう」と考えてしまいます。自己アピールをうまく行えない人は、採用から遠ざかってしまうのです。

一方で欧米人は自分をアピールするのが上手です。「日本語話せる?」と聞かれて、「当り前だよ。ええと、フジサン、スシ、マンガ…」と平気で答えるのです。日本人からすれば「それだけで?日本語話せるっていうの?」と思うかもしれませんが、「日本語、話せないよ」といわれるより、「話せるよ」といわれたほうが会話は広がっていきます。

日本人はもっと自分を評価して、アピールしても構いません。何十人もいる応募者の中から、あなたが選ばれないといけないのです。

自分の良いところを探し出して、そこを上手に強調して、採用側に「会ってみたい」と思わせるような魅力的な自己PRを行うようにしましょう。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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