クリニックへ転職希望の場合、書類選考段階(履歴書)や面接で落ちることがあります。特に人気クリニックへ転職を希望するとなると、1人の看護師求人に対して、20~30名の応募者が殺到することがあります。そうなると、必然的に多くの看護師が落とされます。

そうした中途採用の選考で重視されるのが履歴書の志望動機や面接での自己PRです。

クリニックの志望動機の書き方は大変重要であり、「どのような志望動機を書くと落ちるのか」「志望動機の書き方で重視するべき点は何か」といったポイントを理解しなければいけません。同時に面接でも志望動機を述べ、自己PRをすることになるため、事前に面接対策が必要になります。

そこで履歴書や面接での志望動機を含め、選考過程で不採用とならないために、事前に志望動機の書き方や面接でのポイントを把握しておきましょう。

履歴書の志望動機の書き方や面接対策が重要

看護師不足のクリニックであっても、履歴書や面接で落とされるケースが当然のようにあります。これは、採用担当者(クリニックでは院長や院長婦人の場合が多い)が「自院に貢献してくれるかどうか」をみているからです。

それではどのような志望動機や自己PRであると採用試験で落ちるのでしょうか。クリニック転職希望の多くの看護師は「書類や面接で落とされる人の特徴」について間違った考えをもっていることがあります。

例えば、次のような人が書類段階で落とされると考えてはいないでしょうか。

  • 高年齢である
  • 看護年数が足りない
  • 看護スキルをもっていない
  • 転職回数が多い

ただ、これらは書類や面接で不採用となる理由にはなりません。このような理由は、いくらでも志望動機の書き方や面接での答え方で挽回できるからです。

例えば私であれば社会人を一度経験した後、30代後半で看護師免許を取得したため、看護経験が同年代の看護師と比べて少ないです。しかも看護師になってからも総合病院を10ケ月で辞め、次に勤めた眼科クリニックもわずか6ケ月で退職しました。つまり、30代後半の人間がたった1年半で2回退職しているのです。

しかしいまでは、患者さんだけでなく、同業の看護師からも人気のある内科クリニックに勤めることができています。また現在は看護副師長にまでなり、仕事にやりがいをもつことができ、充実した働き方を実現しています。

年齢であっても、看護師経験やスキルがなくても、転職の間隔が短く転職回数が多くても、自分に合うクリニックに勤めることができれば、そこでいくらでも能力を発揮していけるのです。

どこのクリニックでも通用する志望動機だと微妙

そうしたときネットで検索すると、クリニックに転職希望の看護師に関する志望動機例文が載っています。これについて引用やコピペをして、同じような志望動機を書いている人がいます。

しかし、そのような志望動機では書類選考の段階で不採用になる可能性が高いです。また面接で志望動機や自己PRを述べたとしても、採用側にとってまったく刺さらない内容になってしまいます。

例えば、「御院の将来性にひかれた」「仕事に対する情熱は誰にも負けないつもり」といった内容はNGです。志望動機に書きがちな内容ですが、このような志望動機であれば採用担当者への印象は薄いです。

仕事への意欲をアピールしたいのであれば、今まで体験してきた行動を具体的に整理して、志望動機にまとめましょう。さらに、「このクリニックでなければならない理由」を明確に提示する必要があります。つまり、あなたでしか通用しない志望動機・自己PRでなければ意味がありません。

クリニックで好印象をもたれる志望動機例文

次に、クリニックの採用担当者に好印象をもたれる志望動機の例文について挙げます。簡単にいえば志望動機や自己PRとは、応募先のクリニックで「何がしたいのか」「何をできるのか」をまとめる作業になります。

具体的には「今回クリニックに転職することにより、自分は何を達成していきたいのか。いままでのキャリアを活かしてどのように貢献できるのか」について書き進めていくと説得力のある内容に仕上がります。

あなたの書き上げた志望動機には、以下の内容が盛り込まれているか確認してみましょう。

  • 希望先でなければならない理由
  • 転職をして何を達成したいのか
  • どのような貢献ができるのか

この3点が志望動機に明記されていると、好印象を与える文章に仕上がります。ただ履歴書の志望動機欄は以下のように非常に小さいです。

そこで、可能な限り簡潔にまとめるようにしましょう。

それでは次に、クリニック転職時における履歴書の志望動機例文をいくつか挙げてみます。面接でも同じように述べるべき内容ですが、これらを参考にしながら、自分オリジナルの志望動機を書いていきましょう。

一般的な履歴書の志望動機例文

クリニックの志望動機を書く場合、事前にクリニックのホームページなどをチェックして「どのような理念・方針のクリニックか」といった情報を集めて志望動機に盛り込みましょう。そうして、「自分のもっている強みを職場でどう活かせるのか」まで入れ込むと説得力のある文章に仕上がります。

例文としては、以下のようになります。

私は〇〇病院の小児科病棟に勤めています。患児の言葉を傾聴しつつ、全身観察を怠らず、少しの変化も見逃さないよう心掛けてきました。その結果、イレウスを発見して早期に治療開始が行えたなど患者様への貢献ができた自負をもっています。

貴院では患者様とのコミュケーションを大切にし、一人ひとりの気持ちに寄り添う医療を提供していると聞いております。これまでの看護で培った観察力を活かし、御院でも言葉だけでなく、表情や態度からも患者様の変化を読み取りつつ看護をしていきたいと考えて応募いたしました。

このように志望動機の書き方としては、自分の経験を述べつつ、中途採用募集を出しているクリニックの理念・方針と重ね合わせるといいです。面接では履歴書の内容を膨らませて伝えることで、より優れた志望動機・自己PRになります。

ブランクありなど、理由がある場合の志望動機例文

なお通常だと、若くて看護技術を磨きたいと考える人は病院を目指します。ただクリニックとなると、子育てが落ち着いて復帰するなど、日勤のみを希望する人が多くなります。

そのため「ブランク後の転職」「親の介護が必要になっての転職」など、理由があってクリニックを希望する人が多くなります。そうしたとき、自分の状況を志望動機に含めるのは問題ありません。例えば、以下のような例文となります。

私は育児のため、5年間のブランクがあります。仕事復帰に向け、1年前より育児の合間にeラーニングで看護技術を学んでいたところ、透析看護で「技術や器械の進歩に比例して、看護師による看護力が重要になる」という言葉があり、透析看護に興味がわきました。

御院の透析看護は院外研修や学会参加に積極的であり、看護力の高さには評判があります。そのような環境に身を置き、今後は透析看護師としての活躍を考えております。率先して専門性を身につけ、一日も早く力になれるよう頑張ってまいります。

採用担当者は一般的にブランクを嫌います。看護技術や知識が低下しているからです。そのため、いくらブランクがあっても「何もしていませんでした」と伝えるのは微妙です。

もちろん「しばらく仕事をしたいと思うことがなく、ゆっくりしていました」「気分転換するために、旅行をしていました」といった内容も評価されません。転職への意識が薄いと捉えられ、好印象を与えることは難しいでしょう。

そこでブランクがある場合、「医療雑誌を継続して読んでいた」「視野を広げるために、派遣看護師をしていた」など何かしらの理由をつけるようにしましょう。もちろん今回はブランクでの例文ですが、それ以外の理由であっても同じように考えれば問題ありません。

パート・アルバイト(非常勤)での志望動機例文

なお常勤に限らず、パート・アルバイト(非常勤)としてクリニック勤務を考える人も多いです。実際のところ、病院でもクリニックでもパート女性が非常にたくさん働いているのが現状です。

ただ、こうしたパートやアルバイトの非常勤でも、クリニックに申し込むときは志望動機・自己PRを履歴書や面接にて述べなければいけません。そうしたとき、以下のようになります。

前職は〇〇総合病院の呼吸器外科病棟で勤務してまいりました。結婚・出産を機に退職し、子育てがひと段落したため、このたびパート勤務にて復職を希望することにいたしました。

以前より、患者様だけでなく家族や社会背景までを看護対象とする往診に興味をもっていました。貴院の往診クリニックでは、利用者様だけでなくご家族まで含めた生活全体を見渡し、維持向上を図っていると伺っております。前職での経験を活かし、在宅療養をされている患者様のQOL向上に貢献していきます。

パート勤務の場合でも、「新しい職場で自分はどのような貢献ができるのか」を伝えるようにしましょう。

また今後、勤務時間や日数を増やしていけそうであるなら、その旨を書き込んでも問題ありません。仕事に対して意欲があると考えられ、他の応募者よりも融通が利く人物だとして、履歴書や面接にて好印象を与えることができます。

常勤・パートのクリニックで面接対策を行い、逆質問に備える

なお履歴書での志望動機の書き方を理解し、面接で自己PRをするにしても、もちろんそれだけを聞かれるわけではありません。特に面接では、常勤・パートに関わらず志望動機以外にも以下のようなことを聞かれます。

  • 過去にインシデントを起こしたことはあるか
  • 退職理由は何か
  • これまで、どういう看護を実施してきたのか
  • 当院に質問はあるか(逆質問)

これらについて、何も面接対策をしていない状態だと回答に困るようになります。前もって想定質問に対する答を考えるからこそ、スムーズに面接で回答できるのです。

クリニックで看護師が足りないとはいっても、病院に比べると「夜勤なしを実現できるクリニック」は多くの看護師が申し込むようになります。これが人気クリニックだと、なおさら倍率が高くなるため、事前の面接対策が必須だといえます。

なお多くのケースで逆質問を受けるようになります。事前に質問内容を考えておかなければ、逆質問では「特に何もありません」と回答してしまいます。ただ、これでは印象が悪いので逆質問まで含めて事前に質問内容を考え、面接対策をしなければいけません。

例えばクリニックであれば、以下のような逆質問を投げかけるのが一般的です。

  • 内定後、事前に準備するべきことはあるか
  • 院内勉強会は開催されるのか
  • 往診など、通常業務以外の仕事はあるのか

逆質問というのは、転職前にあなたの疑問を解決する場でもあります。そこで事前に気になる点をピックアップしておき、逆質問で疑問点を解消するようにしましょう。

志望動機・自己PRは時間をかけて考える

転職のとき、志望動機の内容を考えることは重要です。優れた中途採用募集を見つけたとしても、求人先のクリニックに採用してもらわなければ意味がありません。

また志望動機を書き進めることで、「本当にこのクリニックに向いているのだろうか」「自分はここで何を実現していきたいのだろうか」などを改めて考えることができます。じっくりと時間をかけ、志望動機・自己PRを仕上げましょう。

クリニックにはそれぞれ個性があり、求められる看護師像は各クリニックによって異なります。自分自身の性格や経歴、人柄、看護観などを考慮して、あなたに合ったクリニックで働くことができれば、看護師としての能力を発揮でき、やりがいをもって仕事に打ち込むことができます。

あなたに合ったクリニックを探し出し、満足いく転職を実現できるよう、クリニックでの履歴書や面接でどう対処すればいいのか事前に理解しておくといいです。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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