あなたは「3年制の短大・専門学校」「2年制の短大・専門学校(准看護師)」を卒業して、看護師免許を取得していないでしょうか。もしそうであれば、最短だと「1年間、費用30万円以内、しかも自宅受講にて働きながら」の条件で大卒看護師(看護学士)を取得する方法があります。

本来だと、医療の世界で学歴は関係ありません。そうではなく、どれだけ優れた看護技術を身に付けており、患者さんに接することができるのかが重要になります。

しかし日本だとあらゆる企業で学歴を重視し、それに応じて給料が変わってくるのが普通です。実際、看護の世界でも新卒だと学歴によって給料が変わってくるケースはよくあります。

そうしたとき学歴を気にする人であれば、大卒看護師にグレードアップできるというわけです。これらが求人先の転職にどう関わってくるのかを含めて、その実情や取得方法を解説していきます。

学歴によって異なる看護師の年収

まず学歴が違うことによって何が起こるのでしょうか。これについて最も分かりやすいのは年収だといえます。日本看護協会の看護職員需給状況調査によると、新卒についてそれぞれの平均給与額は以下のようになっています。

  • 大卒の新卒看護師:月 270,806 円
  • 高卒+3年課程卒の新卒看護師: 262,565 円

つまり、約7,500円の差があります。新卒の平均給与額を示しましたが、その後の昇給や昇進も差が出てきます。

こうした学歴の違いによる年収の格差というのは、大病院になるほど採用されるようになります。例えば、以下は千葉にある病院での求人になります。

このように、「大卒」「短大・看護学校3年卒」などで給料が分かれていることが分かります。看護師であっても、学歴が年収に関わるのは他の業種と同じです。

通信制大学により、1年で大卒になれる

このとき、「この格差を埋めようと思い、あなたは一念発起して看護学部のある大学に編入し、大卒看護師になろうと決心する」と仮定します。すると2年間失業するだけでなく、その間の学費や生活費などが必要になります。また卒業後は新卒扱いとなり、再出発を余儀なくされる可能性が高くなります。

もし大学に編入しなおしたとして、2年間の損失と出費の合計を計算してみましょう。この場合、以下のようになります。

  • 給料の損失:年収450万 × 2年間 = 900万円
  • 学費:年間150万 × 2年間 = 300万円
  • 生活費:月10万 × 24ヵ月(2年間) = 540万円

これらの費用は合わせて1,440万円です。

そう考えると誰しも「このまま3年制(もしくは2年制)の短大・専門学校卒業生としてやっていくしかない」と思うはずです。しかし「最短1年間」「かかる費用は30万円以下」「自宅で好きなときに好きな場所で受講」「働きながら」という条件で看護学士を取得でき、大卒看護師になれるとするとどうでしょうか。

より詳しくいうと、3年制短大・専門学校や2年制短大・専門学校に通っていた人について、修得単位の不足分を通信制の大学で補い、「独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構」にて看護学士を授与してもらう方法があります。

単位を補うために通信制の大学を利用すると、「働きながら」「30万円以下で」「好きなときに好きな場所」で看護学士取得の道が開けてきます。

1校で看護学士を取得できる通信制の大学

3年制短期大学や専門学校を卒業した人は、不足している単位が31単位以上です。一方で2年制短大や専門学校を卒業した人の足りない単位は62単位以上あります。こちらの単位を通信制大学で修得し、単位の補充(積み上げ単位)を行います。

積み上げ単位にて看護学士を取得する場合、「看護専門科目」の履修が必須条件です。そのため当然ですが、看護専門科目の単位修得が可能な通信制の大学1校に絞るといいです。

そこで学位授与機構の求める「積み上げ単位」を1校で行える学校について、費用や特徴などについて確認していきます。

放送大学

通信制大学として広く知られているのが放送大学です。放送大学には選択科目が300科目以上あり、自分の興味のある分野を選ぶことができます。また1単位の授業料も明確に5,500円と提示されているため、わかりやすいといえます。

また他の通信制大学とは異なり、3年制短大・専門学校を卒業した看護師だけでなく、2年制短大・専門学校を卒業した看護師も入学が可能です。

この中でも、大卒看護師になるには「4年制大学の卒業をゴールとする全科履修生」を目指します。全科履修生になれば、卒業研究の履修を行うことができ、論文やレポートの作成を指導してもらえたり、公的機関のサービスが学生割引で受けられたりといった特典があります。

【費用】

3年制短大や専門学校を卒業した場合だと不足している単位が31単位、2年制短大や専門学校を卒業した場合は不足している単位が62単位となります。

そのため全科履修生となり、31単位修得が必要な場合(3年制短大・専門学校卒業)は入学金24,000円です。これに「1単位の授業料5,500円 × 31単位」が加わり、合計194,500円となります。

2年制短大・専門学校卒業の方は、入学金24,000円と授業料5,500円(×62単位)で合計365,000円となります。

【特徴】

放送大学ではあなたの都合が合えば、実は3日間で24科目(48単位)を受講し、単位認定試験を受験することも可能なスケジュールとなっています。

一般的に4年制大学では、4年間通って124単位を修得します。そのように考えると、3日間で24科目修得が可能となると、驚異の時短テクニックといえます。またWeb講義のため、動画を倍速で聞くといった方法もあります。

働きながら単位の修得を考えている忙しい看護師には、うってつけの勉強方法ともいえます。

注意点】

試験を受ける場合は、インターネットで受けることができず、47都道府県の学習センターに足を運ぶ必要があります。

ただし、放送大学の多くの試験はマークシート方式です。5肢択一の試験問題が10~20問出題されるといった形式が一般的です。試験のレベルはテキストをよく読んでいれば、ほとんど正解することができるとされています。6割が正解ならば合格となります。

他の大学の通信授業では、テキストを読んで設題に対して3,000字前後のレポートの提出を求められることが多いです。論述式の試験が苦手という人には、放送大学のマークシート式の試験のほうが単位の修得は楽に行えるといえます。

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人間総合科学大学

人間総合科学大学は3年制の短期大学・専門学校を卒業した看護師が対象となります。2年制の短期大学・専門学校を卒業した看護師は入学することができません。

ただし、2年制の短期大学・専門学校卒業生は学士申請コースではなく、科目履修生として入学することができるほか、正科生として3年次への編入が推奨されています。

【費用】

人間総合科学大学では学士申請プログラムにおいて、最大40単位まで履修できます。

科目履修生の場合は1単位10,000円ですので、学位授与機構で必要な31単位を修得しようとすると31万円がかかります。それに加えて選考料10,000円と登録料30,000円が加わり合計350,000円(+別途教材費)が必要となります。

【特徴】

全科目において、通信制なのでWebテキストでの履修になります。また科目修了試験もインターネット上で受ける試験となります。試験を実際に試験会場で受けると、緊張して本領発揮ができない方には、自宅で安心して受けられる試験になります。

【注意点】

在籍期間は1年間で、もし延長を望むようであれば、継続登録料が5,000円必要となります。

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京都橘大学

京都橘大学は3年制の短期大学・専門学校を卒業した看護師が対象となります。2年制の短期大学・専門学校を卒業した看護師は入学することができません。

【費用】

下記の費用にて、学位授与機構に申請する際に必要となる単位のすべてを修得できます。

入学選考料 10,000円
登録料 20,000円
受講料(年間) 280,000円
補助教材費(年間) 30,000円
合計 340,000円

【特徴】

大卒看護師に限らず、京都橘大学の心理学通信教育課程で4年間心理学を学べます。124単位を修得して卒業できれば、心理学学士の学位を取得することも可能です。認定心理士の資格も取得したいと考えている方は、こちらの大学で正科生となるとよいでしょう。

またインターネット環境が整っていれば、すべての積み上げ単位をインターネットだけで修得できます。

【注意点】

1年で単位を修得できなかった場合、受講期間を延長することができます。1年ごとで20,000円の登録料が必要となりますが、働きながら無理のないペースで単位修得を進めていくには、延長も念頭におくと良いでしょう。

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武蔵野大学

武蔵野大学は3年制の短期大学・専門学校を卒業した看護師が対象となります。2年制の短期大学・専門学校を卒業した看護師は入学することができません。

【費用】

学位授与機構に申請する際に必要となる所定の単位である看護専門科目16単位、一般科目15単位に必要な費用は下記の表のようになります。

入学金 30,000円
受講料:看護専門科目(年間) 80,000円
受講料:一般科目(年間) 70,000円
補助教材費(年間) 10,000円
合計 190,000円

【特徴】

武蔵野大学の通信教育では、インターネット環境が整っていればすべての積み上げ単位を自宅で修得できるといった便利な点があります。スクーリング(実際に教室で受ける授業)もあるのですが、こちらの単位は必修ではないため、実際に大学に足を運ぶ手間はかかりません。

また看護学コースと同じ通信教育部の中に、人間科学部人間科学科心理学専攻という学科があります。こちらの3年次・4年次編入も同時に出願することができます。意欲のある人は看護学士に加え、通信教育で新たに心理学も学ぶことができます。

この心理学専攻には、患者さんの心理やストレスマネジメントなどの医療に役立つ看護・医療心理コースがあったり、発達心理学や発達支援に役立つ臨床発達心理コースがあったりと、現場ですぐに使える知識を身に付けることができます。特に発達心理学は小児科で専門性を高めたい看護師には人気のコースです。

武蔵野大学で看護学コースを学びながらも、正科生として心理学専攻を修了することで、卒業時に人間学の学士も取得できるというわけです。いわゆるダブルバチェラー(double bachelor: 2つの学士を有する人)になれます。

看護学士は学位授与機構での認定になりますが、人間学の学士は必要単位を修得し、大学を卒業することで取得することができます。「大学を卒業する」ことで得られる学士という称号は、今後のあなたの人生において選択肢を増やしてくれる可能性を秘めています。

【注意点】

学位授与機構で必要な看護専門科目は本来であれば1単位で良いのですが、武蔵野大学では看護専門科目16単位と一般科目15単位を最初から履修することになっており、自由に科目を選択することができません。

そのため「他の大学で積み上げ単位を何単位かもっていて、足りない単位のみを補いたい」と考えている場合でも、大学側が提示する科目はすべて履修しなければなりません。

必要以外の科目も履修しなければならないため、余計な時間と労力がかかってしまうことになります。つまり、働きながら単位を修得したい看護師にとっては大変です。

しかし3年制の短大・専門学校を卒業した看護師であれば、慣れ親しんできた看護学です。短大や専門学校で嫌というほど勉強してきた学問といえます。そのため看護専門科目の単位が多いといっても、初めて学習する学問ではないため抵抗は少ないです。

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学士取得を求人転職や昇進・昇給で生かすには?

そうしたとき学士取得をしたとして、転職や昇進、昇給に活かすにはどのようにすればいいのでしょうか。

まずは勤務先の病院やクリニック、施設に看護学士を取得したら給与に変化があるか尋ねてみると良いでしょう。大体どの病院でも、勤務しながら学士を取得するのは初めてのケースが多く、どのように対応すればいいのか迷うことが多いからです。

ただ実際のところ、中途採用求人への転職や昇進・昇給を目指すとはいっても、新たに大卒学士を取得したとしても待遇が変わらない医療機関がほとんどです。

看護師での給料が違うとはいっても、新卒として入職するときに異なるわけであり、「その後の転職や昇給には影響を与えることはほぼない」と考えるのが基本です。

しかし、学士取得は看護師としての自信につながり、転職や認定看護師・専門看護師などの資格取得といった可能性が広がっていくのも確かです。

つまり、大卒になるということ自体に何か優れた効果があるわけではありません。ただ学歴が改善されることでより看護師の仕事に対するモチベーションが上がり、優れた仕事を成し遂げた結果として優れた転職を実現できたり、昇進・昇給につながったりするのです。

看護学士取得はゴールではない

看護学士を取得できる方法について解説してきました。4年制大学を卒業するより、費用を抑えられ、手間もあまりかからず、しかも働きながら看護学士を取得できます。

なお、ここまで読んだ方は働いている看護師だと思います。働きながら通信大学で勉強して看護学士を取得して、昇進や昇給、転職に役立てていきたいと考えている方です。そのような方は「学士取得をゴールにしないでほしい」と思います。学士取得はあくまでも、あなたの看護の通過点にすぎません。

学士取得のために莫大な費用や期間、努力を費やさなかった代わりに、学士取得で得られた大学院進学の通行手形にしたり、あなたが得意とする領域の専門性を深めていくきっかけにしたりしてほしいと思います。

またそのような高い目標をもった人こそ、看護学士を取得することで転職成功や昇進・昇給が可能になるといえます。学士取得で得られた学歴による自信と共に、あなたの看護レベルの向上につなげていってもらえたらと思います。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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