保健師は人気求人であるため「30代や40代からは保健師に転職できるのだろうか」と思うことがあります。もともと保健師として働いてきた人だけでなく、保健師免許をもっていても保健師として働いた経験のない看護師は保健師への就職に不安を覚えます。

保健師の求人は看護師求人よりもはるかに案件が少なく、30代で保健師に転職するとなると「苦戦するのではないか」と考えてしまうかもしれません。

しかし、「30代・40代で保健師転職を希望しても採用先はない」と諦めるのはまだ早いです。条件によっては、30代や40代であっても保健師に転職できる可能性は十分に残っています。

そこで30代や40代などで保健師に転職する場合の就職事情や満足いく求人の探し方について解説していきます。

30代・40代でも保健師の就職をあきらめなくていい

30代からや40代からの保健師へ転職希望だとしても、就職をあきらめる必要はありません。求人を探せば、ある程度の年齢でも保健師として就業可能とする案件はあります。

保健師の就業先としては、主に以下のような職場があります。

  • 都道府県・市区町村の保健師(行政保健師)
  • 産業保健師
  • 学校保健師
  • 社会福祉協議会の保健師
  • 病院の保健師

この中でも都道府県や市区町村の保健師は公務員であるので、応募年齢は30歳までと年齢制限があります。例えば、以下は広島にある市の保健師受験資格です。

もちろん都道府県・市区町村によって、30代や40代でも問題ないケースはありますが、基本的には若い人を積極的に採用するのが行政保健師です。しかもこうした公務員は教養試験もあるため、普通はこうした職場への転職を考える保健師はいません。

しかし、それ以外の職場であれば特に年齢制限を設けているわけではなく、ある程度の年であっても問題なく転職できる求人が多くなっています。

産業保健師は探せば未経験の30代から・40代からも可能

保健師の中でも、特に人気の産業保健師について確認していきます。産業保健師であれば、看護師のような夜勤が無く、給料が比較的高めの求人が多いです。例えば、以下のような東京にあるエンターテイメント企業の保健師求人です。

土日祝日休み等、様々な休日を取得できるうえ年間休日数も多めで、しかも年収は450万円からとなっています。産業保健師の場合、一般企業なので看護師よりも雇用賃金が上がりやすく、数年の経験を積めば、50代の看護師よりも年収が高くなる傾向にあります。

こうした産業保健師は30代、40代でも応募可能のところが多いです。

しかし問題点として、産業保健師だと「保健師経験者を募集しているケース」が多いです。ただ30代や40代で保健師への転職を考える場合、全員が保健師を経験しているわけではありません。

実際のところ看護師経験のみの人は多く、その場合は保健師未経験でも問題ない求人を考えなければいけません。そうしたとき、30代や40代で保健師未経験でも就職可能な求人があります。例えば、以下のような大手企業の保健師求人案件になります。

給与は23万円からと、保健師経験者の給料よりは低くなるケースが多いです。ただ、このような求人内容であれば、ある程度の年齢でも就職後は先輩保健師に教えてもらいながら仕事を覚えていくことが可能です。

30代や40代で保健師未経験の看護師は、教育体制の整った大手企業の保健師求人を探しましょう。大手企業であれば先輩保健師の数が多いので、「転職後に仕事を教えてもらえなくて困った」という事態を避けられます。

学校保健師(養護教諭)は公立・私立で年齢制限が異なる

次に学校保健師の就職事情についてですが、公立学校か私立学校かで年齢制限がまったく異なります。公立学校であれば、採用するのは都道府県や市区町村になります。そのため行政保健師と同様に、採用時の年齢制限があります。

また採用試験にパスする必要があり、中途採用で挑戦する人は皆無に等しいです。

一方で私立学校の養護教諭は多くの場合、転職サイトからの募集が多くなります。私立なので学校ごとに判断が異なり、募集年齢はまちまちです。ただ私立学校の養護教諭求人は年齢不問のケースが多いです。

例えば、以下は栃木県にある認定こども園での養護教員求人です。

年齢不問であり、前職に看護経験があれば問題ない求人です。公立学校よりも私立学校のほうが年齢での融通がききやすく、30代や40代の方にとっては転職しやすい求人といえます。

ただ、こうした学校の保健師求人も非常に人気です。そのため「気づいたときには、採用自体が終わっていた」ということが起こらないよう、いち早く情報を仕入れ、学校の校風に合わせた面接対策を講じるようにしましょう。

社会福祉協議会の保健師は年齢制限なく、未経験でも問題ない

他に保健師の求人には、社会福祉協議会があります。社会福祉協議会は市区町村などの自治体が運営していると思われがちですが、実際は公益性を保った民間法人になります。

社会福祉協議会の保健師求人では年齢制限のあるところは少なく、30代や40代なら採用されやすい求人であるといえます。また産業保健師のように経験を重視する求人も少ないため、未経験でも応募可能のところが大半です。

例えば、以下は大阪にある社会福祉協議会の保健師求人になります。

このように「50代・60代OKであり、未経験でも応募可能の求人」となっているため、「30代から」「40代から」の年齢であればなおのこと歓迎される求人であると分かります。

ちなみに、社会福祉協議会は地域福祉の推進を図る民間慈善団体であるため、職場環境が整っているところが多いです。そのため、正社員として採用されれば以下のように福利厚生やボーナスなどの待遇面が以下の通り整っています。

このように週休2日であり、さらに期末勤勉手当や経験手当、超過勤務手当、産休・育休、時短勤務などの制度が充実しています。

社会福祉協議会は年齢制限を設けていない求人が多いため、転職の際に引け目を感じることはありません。あなたの条件に沿った求人を選び、満足する働き方を手に入れるよう、求人のアンテナを張り巡らせておきましょう。

病院・クリニック保健師求人は30代・40代なら採用の可能性大

病院などの医療機関でも保健師を募集しています。例えば、以下の写真のような「健康診断」「人間ドック」を実施しているような病院であれば、保健指導をするために保健師の求人があります。

病棟看護師と異なり、病院やクリニックに勤める保健師は日勤のみの働き方が実現できます。このときは院内にある健診センターでの健診業務や保健指導が主な仕事内容です。具体的には採血業務、ドック受診者のフォローアップなどで看護師としての経験を活かすことが可能です。

病院看護師と同様に、年齢制限を設けていない求人が多く30代であれば、採用される可能性は多いにあります。またクリニックの保健師求人であれば、そのクリニックの顔として捉えられているケースが多く、ある程度の年齢であっても看護師・保健師の経験者採用に積極的です。

例えば以下は、東京にあるクリニックの保健師求人になります。

「30代が多く活躍中」と掲載のある求人だと、ある程度の年齢の人であっても問題なく採用することを意味しています。

また病院やクリニックの保健師求人であれば、未経験でもOKとしている案件が多いです。前職に看護師経験があれば、その経験を活かして病院やクリニックで優遇される場合は多いです。

病院やクリニックで保健師として働きたいのであれば、看護師経験は十分なアピールポイントになります。履歴書作成や面接では、健診のときに看護師経験をどのように活かしていけるかを具体的に述べると良いでしょう。

もちろん夜勤がない分、病棟看護師と比べて給与は低くなります。しかし賞与や手当などでの差はなく、日勤のみで保健指導など座ってできる仕事が主な業務になるため、体力的には楽になります。

ある程度の年齢で転職希望なら転職サイトの利用が必須

このように、30代や40代などであっても中途採用の求人募集を選べば問題なく応募できることが分かります。しかも場合によっては、保健師未経験でも転職できてしまいます。保健師とはいっても、年齢制限のない募集が多くあるのです。

このとき30代や40代で保健師に転職希望であるなら、転職サイトの利用が必須となります。そうした転職エージェントに非常に多くの求人が集まってくるからです。

ただ保健師求人はどれも人気のある求人案件です。求人条件が整っていることが多く、幅広い年齢層の応募者が殺到して、その日のうちに締め切ってしまったり、すぐに条件に合った求人に巡り合えなかったりすることがあります。

また転職業界は年齢が若いほど価値が高く、20代に比べると30代や40代の人が不利になる現実は変わりません。さらには保健師の求人自体が少ないこともあり、申し込める募集は限られるため、必ず3社以上の看護師転職サイトに登録して多くの選択肢の中から選べるようにしておきましょう。

30代や40代などの年齢であっても、保健師への転職自体を諦める必要はありません。ただ「1つの転職サイトだけ利用する」など間違ったやり方だと、いつまで経っても優れた求人に巡り合えないため、ある程度の年齢の看護師・保健師は正しい方法で転職活動を進めなければいけません。

30代から・40代からでも保健師求人は多く中途採用応募が可能

このように30代や40代からの保健師転職であっても多くの求人があり、転職できる可能性は多いにあります。保健師としての再出発を実現したいのであれば、自ら第一歩を踏み出してみましょう。

そこで、以下の中から求人募集を探すといいです。

  • 産業保健師
  • 私立の学校保健師
  • 社会福祉協議会の保健師
  • 病院の保健師

ただ、保健師は非常に人気の高い求人です。すぐには条件に合う求人が見つかりにくいだけでなく、見つかってもすでに埋まっていたり、より経験のある人材を採用したりする傾向がありします。

そのため30代や40代と年齢が高い場合、保健師への転職はある程度の長期戦になる覚悟が必要です。長い目でみて確実に満足する採用を手にできるよう、「転職のプロを活用しながら情報を集め、計画的に動いていく」ことが、30代・40代の保健師転職希望の人にとって必須です。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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