看護師は重労働のわりに給与が安く、職場環境が厳しい状況にあります。さらには夜勤が普通であり、病棟での看護師にやりがいを感じられず、「違う職種や別の職業へ転職したい」と考える人も多いです。
ただ看護師免許をもっているのであれば、看護師資格やそれまでの知識を活用して、医療以外の別の仕事で活躍することも可能です。つまり、異業種・他職種にて活躍するのです。
もちろん看護師での経験を活かすため、医療以外とはいっても完全に医療から離れるわけではなく、一般企業や行政・機関などで仕事をするようになります。ただ病院以外の勤務になるため、他業種として一般的な看護師とは違う仕事に携わるというわけです。
当然ながら、看護師の経験を活かした転職のほうが圧倒的に待遇はいいです。そこで、「看護師免許を活かした、病院以外の違う職業や珍しい仕事」へどのようにして転職すればいいのか解説していきます。
もくじ
病棟以外の違う職業・珍しい仕事には何があるのか
総合病院の病棟やクリニック、介護施設、訪問看護ステーションなどは看護師が働く場所として非常に有名であり、多くの看護師がこうした中途採用に応募して転職を実現します。こうした職場だと、バイタル測定や血糖値管理、投薬まで含めて医療にどっぷりと浸かるようになります。
そうしたとき、看護師とは違う他の仕事をしたいと考え始める人も多いです。
このとき病棟の看護師を辞めるにせよ、看護師免許があれば、病院以外の別の仕事を選択することが可能です。看護師として、従来とは違う他の仕事・別の職業については以下のようなものがあります。
- コールセンター
- 保健師：学校や社会福祉協議会など
- 治験コーディネーター（CRC）
- 臨床開発モニター（CRA）
一般企業の産業看護師・産業保健師については、結局のところ看護師業務を行うことになり、違う職種とはいえません。そこで産業看護師以外にて、どのような看護師とは違う職業があるのかについて、別職種をそれぞれ解説していきます。
コールセンターは医療以外・別職種の企業勤めになる
看護師としての経験を活かすものの、看護師とは別の職業になるものとして一般企業のコールセンターがあります。病棟以外の他職種として、医療知識を活かしたコールセンター勤務となります。
コールセンターに勤めるメリットは座って仕事を行える点です。体力的に自信のない方や腰痛・ひざ痛を抱える方にとっては、働きやすい職場として長く勤めることが可能です。
こうしたコールセンターの中でも、看護師が目指すべきは製薬会社や医療機器メーカーの学術職（DI業務）です。
製薬会社には必ず学術部門が存在し、医師や薬剤師からの問い合わせに答えるようになります。そのためコールセンターとはいっても非常に高度な知識が必要になります。そのため、看護師としての知識を有する人に対して中途採用募集が出されるのです。
例えば、以下は大阪にある製薬会社から出されたDI職の求人です。
このように、看護師免許の保有者が必須となっています。なお製薬会社の学術職は英語文献に触れる機会があるため、英語力が要求されます。
ただ英語力がない場合、その他のコールセンター求人でも問題ありません。例えば健康保険組合員などからの健康相談を受ける仕事も存在し、この場合は素人の一般人からの問い合わせであるため、高度な質問は受けません。例えば、大阪にある以下のヘルスケア会社が出した看護師求人が該当します。
生活指導プログラムを主軸にしたビジネスをしているため、利用者に対して生活習慣病予防のアドバイスを実施するのが仕事です。製薬企業や医療機器メーカーの学術職などを敷居が高いと感じる場合、こうした異業種を考えても問題ありません。
学校や社会福祉協議会の保健師で他業種に携わり、他の仕事を行う
他には看護師ではなく、保健師として活躍することによっても医療以外の仕事に携わることができます。もちろん産業保健師などのように「結局のところ医療に深く関わる仕事」ではなく、本当の意味で医療以外の他業種で働くのです。
そうした保健師が働ける場所の中でも、保健所は広く公募されておらず基本的に転職のハードルは高いです、ただ私立学校にて保健師として働く方法なら可能です。例えば、以下は神奈川県横浜市にある常勤での学校保健室求人です。
公立学校だとハードルは高いですが、私立学校であれば保健師資格を保有することで問題なく学校勤務できるようになります。病棟以外の職業となり、一般的な看護師とは違う職種として活躍できます。
または社会福祉協議会でも問題ありません。名前から公的機関のように思ってしまいますが、民間法人に分類されるので自由に転職できます。例えば、以下は名古屋にある社会福祉協議会から出された看護師・保健師募集です。
高齢者の健康・福祉・介護を支える仕事であり、この求人では看護師の資格だけでも問題ありません。また看護師の中では珍しい仕事だといえます。
看護師・保健師の資格がなければ、こうした他職種の求人へ申し込みできません。医療以外の別の職業とはいっても、こうした異業種であれば看護師資格を活かして活躍の場が広がります。
治験コーディネーター（CRC）は看護師と違う働き方が可能
他には一般企業にて、治験コーディネーター（CRC）として働くことでも看護師とは違う働き方が可能になります。
治験を支援する職業が治験コーディネーター（CRC）であり、病院やクリニックなど医療機関側で行われる治験業務を支えます。具体的には治験被験者への対応やそれに伴う資料作成、医師・医療従事者への説明会の開催などが主な仕事です。
ただ注意点として、一般企業に所属するとはいっても治験コーディネーター（CRC）の働き先は大病院になります。特定の医療機関に常駐し、治験を支援すると考えましょう。病棟勤務はないものの、一般企業のオフィス勤務でもありません。
ただ病棟看護師とは異なり、土日祝日は基本的に休みです。病棟看護師と比較すると、有給消化率も高いです。また出張などがないため、決まった地域で仕事を続けることが可能です。
このとき治験コーディネーターの年収は未経験者であれば300～400万円ほどからスタートします。例えば以下は、京都にある治験コーディネーター未経験の求人になります。
月収は27万円からとなっていますが、諸手当（固定残業代）が含まれた金額です。夜勤ありの看護師に比べると、未経験からのスタートとなると年収が下がるのは必然的となってしまいます。
ただ日勤のみの勤務になりますし、所属は一般企業なので給料は問題なく上がっていきます。また治験という看護師とは違う仕事を行うことになるため、他業種の中で治験コーディネーターを検討する看護師も多いです。
高年収の異業種である臨床開発モニター（CRA）
また治験コーディネーターとは別の職業になりますが、同じように治験に関する職業として臨床開発モニター（CRA）があります。治験コーディネーター（CRC）が病院側を支援するのに対して、臨床開発モニター（CRA）では製薬メーカー側を支援します。
臨床開発モニターは未経験でも採用の枠があり、看護師から臨床開発モニターに転職して活躍の場を広げている人は多いです。例えば、以下は大阪にある企業の求人から出されたCRAの中途採用募集です。
同じ治験の仕事でありながら、治験コーディーネーターよりも圧倒的に年収が高くなるのが臨床開発モニターです。さらには昇給率が良く、英語力を身に付けるなど成果をきちんと出せるようになれば年収1,000万円が普通の職種として知られています。
看護師で臨床開発モニター（CRA）は珍しい仕事ですが、製薬会社の中では花形の職業です。そのため「MR並みの給料が可能」と知られており、これは医薬品開発を担う重要な仕事をすることになるからです。
ただ臨床開発モニターへ転職するためには基本的に20代の若い人でなければならず、特に35歳を超えたら確実に無理です。そのため別職種として臨床開発モニターを見据える場合、できるだけ早めに転職活動を開始しなければいけません。
医療以外の別業種へ転職をするときの注意点
それでは実際に病院以外の別業種へ転職するとき、注意点としては何があるのでしょうか。これについては、給料と年齢制限があげられます。
給料については一般企業だと昇給率が高く、病棟看護師時代よりも将来的には高年収になる可能性が高いです。ただ、病棟で勤務していた看護師のような夜勤はなくなり夜勤手当がつかないため、転職しての当初の給料は下がることを覚悟しましょう。
看護師であれば、夜勤ありなら病院勤務で年収450万円以上になるのは特に珍しくありません。ただ一般企業への転職で最初からこうした収入を実現するのはかなり厳しいです。これまでの看護師経験を伴わない違う仕事へ転職するため、給料はその他の新卒と同じになると考えましょう。
また先ほど少し触れましたが、慢性的に人手不足の病院看護師求人とは違い、一般企業に未経験で勤める場合は年齢制限が設けられているケースが多いです。具体的には、35歳を超えた時点で採用されなくなる中途採用求人が多くなります。
一般企業の求人だと、保健師以外は「必ずしも資格保有者でなければいけない」という決まりがありません。そのため看護師に限らず、薬剤師や獣医師など非常に多くの人がライバルとなります。そのため普通に不採用となりますし、異業種への転職活動は厳しくなることを理解しましょう。
また転職市場は年齢が若いほど有利です。そのため、将来の昇給率や転職での成功のしやすさを考えると、できるだけ早めに転職活動を開始しなければいけません。
看護師専門の転職サイトで病棟以外の違う職種の中途採用がある
ただ一般企業の求人は非常に珍しく、世の中に出回ることはありません。製薬会社を含め企業秘密の多い会社が表に求人を出すことはほぼないのです。
そのため別職種への転職を考えているのであれば、必ず看護師専門の転職サイトを活用しなければいけません。そうしなければ、看護師の資格や経験を活かした中途採用の募集を見つけるのが困難になります。ちなみに看護師の転職サイトでは、以下のように病院以外の求人も広く取り扱っています。
また異業種への転職となると、医療機関への応募と違って採用のハードルが一気に高まります。そのため履歴書作成や面接などに向けて事前対策を行わなければいけません。
- 履歴書や面接でどう受け答えをすれば高評価を得られるのか
- 具体的な仕事内容はどのようなのか
- 給料や福利厚生はどうなっているのか
これらを転職サイト経由ですべて聞き出すようにしましょう。
またここまで述べた通り、異業種・他職種へ転職するとはいってもその業務内容はバラバラですし、それぞれはまったく違う仕事だといえます。そこで、これら病院以外の仕事の中で「どの別職種で活躍したいのか」を決めるようにしましょう。
もちろん求人は幅広いため、職種決めは転職サイトの担当者と相談しながらでも問題ありません。2～3以上の複数の転職エージェントを利用しながら、医療以外の珍しい求人として、どのような種類の仕事があるのか確認するといいです。
病院以外・病棟以外にも看護師の働き方がある
通常だと、それまでとは関係ない他業種へ転職するのは難しいです。ただ看護師免許さえあれば、異業種への転職は一般人ほど難しくありません。もちろんメディカル関係にはなりますが、資格やそれまでの知識を活かし、病棟以外で活躍することが可能なのです。
このとき他業種としては一般企業の求人から学校の保健の先生までなど、範囲は幅広いです。また夜勤がないのは当然として、土日休みや定時退社を実現できる求人でもあります。
ただ、看護師が他の仕事に従事するにしても仕事内容はバラバラです。さらにはどれも求人数が少なく、レアな中途採用であることには変わりなく、転職サイトの利用は必須です。
そうして看護師免許を活かしながら転職すれば、あなたにとって興味のある分野にて別職種・異業種の仕事を行えるようになります。看護師とは違う働き方を実現したいのであれば、こうしたポイントを考えたうえで転職活動を進めるようにしましょう。
求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト（転職エージェント）を活用します。自分一人では頑張っても1～2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。
一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。
ただ、転職サイトによって「対応エリア（応募地域）」「取り扱う仕事内容」「非常勤（パート）まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。
これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。
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看護師として活動するうえで、私自身も転職活動をしたことがあります。このときは転職サイト（転職エージェント）を利用したため、そのときの実体験や方法を踏まえ、失敗しない転職について紹介します。
・看護師転職サイトのお勧めランキング
看護師の転職サイトはそれぞれ特徴があります。「対応地域が限定されている」「取り扱う仕事内容に特徴がある」「非常勤（パート）に対応していない」などサイトごとの特性を理解したうえで活用すれば、転職での失敗を防げます。
新たな看護師の働き方
・美容クリニック・美容皮膚科への転職
夜勤なしで高年収を実現できる求人として、美容クリニック・美容皮膚科があります。死と隣り合わせの職場ではなく、患者さんを美しくする手伝いを行うのが美容クリニックです。
・単発・日払いの高時給求人を探すには
「今月は苦しいため、もう少し稼ぎたい」「好きなときだけ働きたい」など、こうしたときは高時給を実現できる単発・スポットバイトが適しています。健診やツアーナースなど、看護師ではさまざまな単発案件が存在します。
