子育てがひと段落したところで看護師に復職したいと考える人や、出産によって子供を預けられる職場へ転職したいと考える人は多いです。そのときの選択肢の一つとして、子供の保育園への入園を考えるかもしれません。
しかし保育園に入園させたくても、子供の数に対して保育園が少ない都市部などでは、保育所に入園希望を出している子供が定員をはるかに上回っているケースが多いです。その結果、簡単には復職できないのが現状です。
一方で、託児所ありの病院やクリニックなどの医療施設であれば、職場近くに子供を預けて働くことができるため、復職・転職での一つの選択肢として候補に挙がります。
ただ実際に利用するにしても「託児所の仕組み」「利用料金や保育園との違い」について十分に理解していない場合が多く、不安になる方もいるでしょう。ここでは復職・転職したい子連れのママさん看護師のために、病院やクリニックの託児所がどうなっているのかについて述べていきます。
もくじ
託児所ありの病院やクリニック・施設で求人を探す
託児所付きの病院やクリニックとは一体どのようなところでしょうか。
託児所を併設している医療機関とは、総合病院やグループ経営をしているような「雇用しているスタッフ数の多い職場」です。訪問看護ステーション、美容外科クリニックなどでもグループ経営を展開していれば、託児所完備の求人があります。また、中規模病院でも託児所を備えていることがあります。
またグループ経営ではない規模の小さいクリニックの場合は、近所の託児所と提携しているケースがあります。例えば以下のような、大阪にある美容外科クリニックの看護師求人です。
「託児所あり」「院内保育完備」といった内容で探せば、託児所のある中途採用求人が見つかります。
夜勤のとき、託児所の利用は可能?
それでは院内の託児所では、どのような機能があるのでしょうか。子供を預かってくれるのは当然として、その中身がどのようになっているのか、子連れママの転職では事前に確認しなければいけません。
まず病院勤務など夜勤のある求人を選ぶ場合、子供を夜間に託児所へ預ける必要があります。
通常、「夜勤ありの病院だと、託児所で夜間でも子供の面倒をみてくれるだろう」と考えがちです。しかし、中には「20時まで」と夜間は子供を預かってもらえない託児所もあるので注意が必要です。例えば以下のような託児所です。
20時までしか子供を預かってくれないなど、病院側が夜間の託児をしていない場合、「夜勤免除の働き方を選ぶ」「求人を諦める」などの対処が必要になります。
・夜間のみの託児所付きもある
他のケースだと、保育施設や託児所が完備されているものの、夕方以降のみ託児をしており、昼間は別の保育園に入っていることが前提の託児所もあります。以下の中途採用募集がこれに該当します。
この場合、夜勤のときは保育園と託児所の2施設を利用しなければなりません。勤務時間が昼から夕方、夜間をまたぐ状況であれば、お子さんを保育園などに迎えにいって、再度、院内の託児所に連れていく必要があるので親の負担が増えます。
託児所付きなら安心と考えるのが危険なのは、このように利用制限されている託児所があるからなのです。
土日・祝日の預かりがあるか確認する
また託児所付きの中途採用求人を考えるとき、同時に土日や祝日にも対応してくれているかどうかを確認するようにしましょう。
クリニックだと日曜日や祝日は休みであるものの、土曜日は診療していることが多いです。また病院であれば、年中無休なので必ず日曜出勤を経験することになります。ただ病院の託児所で土日・祝日休みのケースがあり、その場合は託児所付き求人とはいっても意味がありません。
こうしたポイントを見越して、子連れママさんの病院転職では「365日24時間、子供を預かってくれる託児所を完備した病院」を選ぶのが基本になります。例えば、以下のような中途採用求人がこれに該当します。
クリニックへの転職だと24時間対応である必要はないですが、それでも土曜日に子供の面倒を見てくれることは必須条件です。
要は転職先の求人で働くに当たり、「勤務する可能性のある時間帯にて、託児所がオープンしているのか」のチェックが必要だと理解しましょう。実際には「土日・祝日は休み」と制限を設けている院内託児所があるため注意が必要です。
小学校へ進学したとき託児所の利用は可能?
ただ多くの託児所は、小学校入学前の未就学児を対象としています。そのため、小学校にあがる段階で託児所からは卒業しなければいけません。
しかし、そうなると子連れ転職のママの中には困る人が出てきます。そうしたとき、中には小学校6年生(学童)まで託児所を利用できるケースがあります。例えば以下は、埼玉にある総合病院の看護師の中途採用求人になります。
多くの託児所が未就学児を対象としている中で、小学生の託児が可能であれば大変助かります。小学校に入学したからといっても1~2年生など低学年であれば、家で一人にさせるのは心配です。これが夜勤となれば、夜間ひとり家で留守番させるには限界があります。
小学校5~6年生になってまで預けないにしても、学童保育でお子さんを預かってくれる施設の求人まで視野に入れると、看護師として働きやすくなります。
病院やクリニックなどの託児所の料金はいくらか
それでは、託児所の利用料金はいくらくらいになるのでしょうか。院内託児所や提携している託児所を利用する場合、料金は月15,000~30,000円ほどとなっています。中には無料という病院もあります。
病院やクリニック側が4分の1から半額、または全額負担してくれるため、個人的に私設の託児所を探して申し込むよりも安価に利用できます。
参考までに、実際の求人内容を確認してみましょう。これについて、以下のケースだと院内保育所(24時間体制)は月16,500円、学童保育(小学生)は月7,000円となっています。
他の求人をみると、以下のように無料で利用可能の託児所もあります。同じような条件の求人であれば、保育料なども考慮してみるとよいでしょう。
24時間対応で無料の託児所が完備されていると、子育て中の看護師にとっては大変助かります。ママ看護師による子連れ転職だと、託児所の値段は「実質的な年収」にも直結するため、これら福利厚生がどうなっているのか確認するのは非常に重要だといえます。
託児所に加え、寮付きのある病院へ転職する方法もある
ちなみに家族での引越しやシングルマザー看護師が転職を検討しているのであれば、寮付き&託児所付きの病院を選べば、さらに便利で経済的です。参考までに以下は、東京の母子寮&託児所ありの看護師求人になります。
東京にて「テレビや洗濯機、冷蔵庫、電子レンジなどが備え付けられてある2LDKの住居」という条件で、月42,000円となると破格の値段です。さらに徒歩で通うことができるうえ、託児所や学童保育まであるので子連れのママさん看護師であっても安心して働くことができます。
もちろん病院によって職員寮の条件は異なり「独身者(シングルマザー)でないといけない」「家族全員で住める」など、それぞれ違います。こうした条件は転職前に確認しなければいけません。
なお職員寮・母子寮となると、協力して助け合える隣人がいれば、お互い仕事をしているときも助かります。もちろん同じ看護師で同じ職場の人が近くに住んでいることのデメリットもありますが、他人と密な関係を苦手と思わない方であれば、職員寮のある求人を探してみるのも一つの方法です。
保育園と病院付属の託児所はどちらがいい?メリットは?
それでは、保育園と医療施設に付属している託児所のどちらに子供を預けるほうがいいのでしょうか。看護師ではなく一般的なサラリーマン家庭だと保育園の一択になります。ただ子連れ看護師だと、これまで説明した託児所ありの求人募集を選べます。
保育園・託児所のどちらにもメリット・デメリットが存在します。これらメリット・デメリットの両方を理解して、どちらが最適なのか選択するようにしましょう。
これについて、一般的な保育園ではなく院内託児所を利用するメリットとしては以下があります。
- 時間外や延長保育に寛容
- 24時間体制
- 急な病気やケガがあれば、すぐに対応を取れる
- 仕事終わりにすぐに迎えに行ける
- 保活をしなくても空きがある
院内託児所は、病院で働くスタッフのために作られた施設であるため、職場事情をいちいち説明しなくても保育士が理解してくれています。そのため、残業などでお迎え時間が遅くなっても、電話一本で保育時間の延長が可能など、融通が利きます。
また夜勤があっても、24時間体制で子供を預かってくれるため、安心して働くことができます。
さらに職場と託児所が近いと、さまざまな面で安心です。例えば子供が急な病気になっても、保育士が職場に内線で連絡してくれるだけでなく、必要とあればすぐに院内受診も可能であるため、早急な対応をとることができます。
また職場の隣に併設されていることが多く、昼休憩中に子供の状態を見に行くことも可能です。もちろん仕事が終われば、すぐに迎えに行けます。
その他にも多くの院内託児所は、職員専用の少人数制であるため、他の保育園のように待機児童を多く抱えていることがありません。そのため、入所を決めたらすぐに利用できるのもメリットです。利用料金が安いだけでなく、こうしたメリットから子連れママ看護師だと託児所付きの求人が人気になりやすいです。
院内託児所を利用するデメリットも理解する
反対に院内託児所を利用するデメリットもあります。これについては以下になります。
- 職場でも託児所でもつきあいが必要
- 託児所は狭く、運動場が少ないところが多い
- 教育現場ではない
院内託児所は、職場だけでなく子供を通じた人間関係も必要になります。例えば、職場内で苦手としている先輩看護師の子供が院内託児所を利用していれば、お迎えのときや託児所の行事などで顔を合わせなければなりません。
子供同士のちょっとした喧嘩があった場合や家庭環境が変わった場合なども、すぐに職場で噂話になり、プライバシーが守られないと感じるケースが多々あります。
また、多くの託児所は病院に併設された一つの部屋というところが多いです。保育所のように子供たちが走り回れる園庭や教室には恵まれていません。
実際に私の友人で院内託児所を利用していた人がいうには、病院の最上階にある8畳くらいの部屋に保育士が2人いて、5人の子供たちを好きに遊ばせて、ただ預かっていただけに感じたそうです。もちろん園庭はありません。
保育園や幼稚園であれば、保育や教育という一面で「子供を元気に遊ばせる」「絵本の読み聞かせをする」など、子供への働きかけがあります。
しかし、友人が利用していた託児所ではそのような働きかけがありませんでした。そのため子供も託児所では物足りなくなったようで、3歳になると空きの出た他の保育園に転園したそうです。
なかには環境の良くない院内託児所が存在するため、面接時には実際に病院の託児所を見せてもらい、どのような育児環境で子供を預かってくれるのかチェックしましょう。
託児所付きの口コミ・評判の高い中途採用求人へ転職する
なお、託児所付き求人の口コミや評判の高い中途採用求人へ転職するのであれば、看護師転職サイトを利用しましょう。子連れママの看護師転職というのは、特殊案件になるので簡単には希望に合う求人を見つけることができないからです。
これまで解説した通り、求人に「託児所付き」という言葉があるだけでは意味がありません。以下のポイントをチェックする必要があります。
- 預かってくれる時間はいつか(病院なら24時間対応か)
- 土日・祝日も利用できるのか
- 小学生の学童も対応可能か
- 月の利用料はいくらか
さらには託児所の様子に限らず、病院・クリニックの場所や診療科目などその他の条件まで考慮しなければいけません。そうなると、必然的に希望に合う求人は少数になります。これを自ら一つずつ病院・クリニックへ連絡し、確認するのは不可能に近いです。
そこで転職サイトの利用が必須になりますが、より満足する求人を見つけるために、3社以上の転職サイトへ登録しましょう。そうすれば、あなたと相性のよい担当エージェント(コンサルタント)と出会える可能性が高くなるだけでなく、他社には存在しない求人案件を紹介してもらえる可能性も高まります。
また託児所には、保育園のように環境が整った施設とそうでない施設があります。実際に2~3件ほどの託児所を見学して比較すると「どちらがよりよい施設であるか」を見抜けるようになります。自分の目で確かめ、保育士から話を聞いて託児環境を見極めるようにしましょう。
託児所付きの病院・クリニックへ転職を成功させる
子連れのママさん看護師が「託児所あり」の病院への転職を成功させたいのであれば、自分一人のためだけの転職ではなく、子供の将来まで考えた求人先を選ぶ必要があります。
託児所や職場について、できるだけ多くの選択肢の中から比較検討しなければ、あとで「別の病院のほうが良かった」と後悔することになります。病院選びや託児所選びを間違えてしまうと、自分だけでなく子供にも嫌な思いをさせてしまうのです。
十分な情報を集めて、慎重に求人先を選ぶことが大切です。そのためには、事前に「どういう託児所ありの求人へ転職したいのか」について考えておかなければいけません。さらには転職サイトを利用して、多くの求人の中から、実際の見学まで含めて条件に合う中途採用募集を見つける必要があります。
求人先の託児所の良い点・悪い点を見極めて、満足する転職を手に入れられるよう最善の努力を心がけましょう。
求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。
一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。
ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。
これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。
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