「看護師転職サイトを利用すると、何度も電話がかかってきてしつこい」という噂を聞いたことはないでしょうか。

看護師転職サイトに登録すると、必ず担当者から電話がかかってきます。希望に合致する求人ならまだしも、希望していない求人でも紹介のメールや電話が何度もあると、しつこいと感じることがあります。特にダメな転職サイトを利用すると、そのように感じてしまいます。

しかし、看護師転職サイトを上手に利用する方法を知れば、しつこいメールや電話はなくなり、自分ひとりでは見つけられなかった満足いく職場を紹介してもらうことが可能です。

そこで今回は私の実体験を踏まえながら、看護師転職サイトのメリット・デメリットを解説し、上手な断り方や賢い利用方法について述べていきます。

看護師転職サイトを使わないほうがいいと思う理由

実際に看護師転職サイト(転職エージェント)について最悪だと感じ、使わない方がいいと思ってしまうのは、どのような理由からなのか考えてみましょう。

これについて、しつこいと感じるのは「自分が思い描いている転職活動」と「転職サイトが行おうとする転職活動」の間にギャップがあるときが多いです。

例えば、あなたは「自分は8月くらいにいまの職場を退職して、10月くらいに自分の条件に合う病院に転職したい」と考えているとします。しかし、転職コンサルタントが強引に退職時期を早めるよう促してきたり、あなたの条件に合わない医療機関を勧めてきたりするケースがあります。

要は看護師のことを考えず、転職サイト側の都合を押し付けるダメな担当者に当たってしまうと、転職エージェントを利用しないほうがいいと感じてしまうといえます。以下では、具体的な事例を述べていきます。

伝える条件が詳細でないと最適な求人が提示されない

あなたがいくら希望する条件を転職コンサルタントに伝えたとしても、希望する条件に合う医療機関を紹介してくれないケースがあります。なぜ、こうしたことが起こるのでしょうか。

看護師転職サイトに登録すると、最初は下記のように大まかな希望条件(希望勤務形態、入職時期など)を入力する項目があります。

他にも、住んでいる地域や年齢などの情報を入力します。これに加えて転職エージェントはあなたに電話をかけて以下のような詳細な希望条件を尋ね、マッチした求人を絞っていきます。

  • 常勤(夜勤あり・なし)、日勤常勤、非常勤か
  • 希望勤務先の形態(医療機関、施設、企業)
  • いまの職場での年収と希望年収
  • 希望勤務地
  • その他(福利厚生・人間関係・平均年齢・教育体制・離職率など)

それらの条件から、あなたの希望にマッチしそうな求人があれば、随時あなたに求人紹介の電話がかかってきます。

ただ希望条件に見合う求人を提示してくれるかどうかについては、「どれだけ詳細な希望条件を転職サイト側に伝えられるかどうか」が重要になります。希望条件が明確でなく、ボヤッとした条件を伝えると、当然ながら的外れな求人を提示されるようになります。

もちろん中には「いつかは転職したいけれど、まだ具体的には考えていない」というような場合でも、転職サイトに登録しておいたことで、優良求人を紹介してもらえる可能性はあります。ただ、そうした看護師はほとんどいないのが現状です。

そうして的外れな求人ばかり紹介され、担当コンサルタントから転職を促される電話があると、「転職サイトはしつこい」と思ってしまうようになります。

私についても、新卒半年くらいのときに「もし転職するなら求人はあるだろうか」くらいの軽い気持ちで、小さな看護師転職サイトに登録したことがあります。若い男性が私の担当になりました。

ただ希望条件を聞かれても具体的に何も決まっていなかったので、曖昧に「看護師として勉強でき、働きやすければ…… 」としか伝えることができませんでした。すると「車で通勤時間2時間弱かかる他県の病院」を紹介してきました。同時に「ここは教育体制が整っていておすすめです」といわれました。

遠すぎるという理由で断ったら、次は「教育体制の整っていない徒歩10分で通える医療機関」を勧める電話がかかってきました。そこは看護師だけでなく、患者さんの間でも有名なブラック病院でした。

そうしているうちに、転職サイトの担当者から「どこでもいいから早く転職してほしい」という焦りの気持ちが伝わってくるようになり、最悪な転職エージェントだと感じるようになりました。

確かに上記のように求人を紹介されてしまうと、「私の転職を真剣に考えてくれていない」と思い、転職サイトからのメールや電話をしつこく感じてしまいます。

・希望条件が詳細でないと紹介される求人が微妙

しかしこれについては、私のほうにも問題がありました。希望条件をはっきり伝えていなかったからです。

本来は希望する条件が明確になっていない場合でも、どのような職場で、どのような働き方を実現したいのか自分なりに自己分析を行い、明確にしておく必要があります。私の場合、これをしていませんでした。

条件を伝えても異なる条件の医療機関を紹介してくるのは最悪

しかし中には、あなたが希望する条件を明確に伝えているにも関わらず、その条件とは異なる求人を紹介してくるケースがあります。

例えば、「産業保健師や一般企業などレア優良求人であれば、時期は問わず転職を考えている」という条件なのに、担当コンサルタントから普通の病院求人を紹介され続けるとしつこいと感じてしまいます。

転職サイトには提携している医療機関などがあり、紹介した人材をすぐに採用してくれるところがあります。そのため多少条件が異なっても、最悪な転職サイトの場合そのような医療機関をおすすめすることがあります。

ただ、こうした転職エージェントは利用する価値がありません。こちらが明確な条件を伝えているのに、全く条件と異なる求人を紹介する場合、はっきりと「この条件の求人でなければ働けない」という意思を伝えるようにしましょう。

中にはこちらの都合などを考えずに、強引に面接や採用まで持ち込もうとする担当者も存在するため注意が必要です。あなたの提示した条件とは異なる求人であれば断固として断り、はっきりした意思を伝えましょう。

悪質な看護師転職サイトが存在する理由

そうしたとき、当然ながら看護師転職サイトを利用するときの注意点を理解しなければいけません。物事にはメリットがあれば、必ずデメリットもあるのです。

看護師であれば、あなたは看護師転職サイトを無料で利用することができます。

ただあなたが転職することで、医療機関は転職サイトに多額の報酬(年収の30%ほど)を支払わなければなりません。例えばあなたが年収500万円で転職すると交渉成立した場合、採用した医療機関は150万円の紹介料(年収500万円 × 報酬30%)を転職サイトに支払うことになります。

転職サイトのコンサルタントはボランティアで転職斡旋をしているわけではありません。こうした紹介料を得るために仕事をしているのです。そのため中には、社員にノルマを課している転職サイトもあります。

こうした理由から、希望条件とは異なっているにも関わらず、採用されやすい医療機関へ登録者を強引に転職させようとする悪質な転職サイトがあります。

「自分のペースで転職活動を行うことができず、希望していない医療機関へ無理やり面接を設定されてしまった」など、嫌な思いをする看護師がいるのは事実です。これら悪質な転職エージェントが実際に存在するからなのです。またそうした転職サイトだと、転職後に当初の雇用条件と異なるなどトラブルを抱えることもあります。

このようなことから、あなたに合った転職サイトを見極め、担当者が合わないなど不都合を感じた場合、ほかの転職エージェントに乗り変える必要があります。

転職エージェント経由でも内定率は下がらない

ちなみに転職エージェントを利用したとしても、内定率が下がることはないため、これについては安心していいです。「看護師転職サイトを経由すると、採用する医療機関側は莫大な紹介料が必要となるため、個人で応募するより内定率が下がる」ことを心配する必要はないのです。

むしろ、看護師転職サイト経由のほうが有利に働くケースのほうが多いです。採用側である医療機関は「採用した看護師がすぐに辞めた」「仕事をしない」などのリスクを避けたいからです。

採用した看護師がすぐに辞めてしまうと、引継ぎ業務、入職処理・退職処理、新人育成費、人事調整など、転職サイトに支払う仲介手数料とは比較にならないほどの無駄なコストや時間をかけてしまうことになります。

一方で医療機関側が転職サイトを利用すれば、ピンポイントでほしい人材を確保できます。このような理由から転職サイト経由によってマッチした医療機関を紹介してもらえば、結果的に採用率も高くなるのです。

ちなみに多くの場合、転職サイト経由で採用された看護師が半年以内など短期間に辞めた場合、転職サイトは医療機関側に仲介手数料を返金しなければならない契約になっています。そのため粗悪な転職サイトではなく、きちんとした転職エージェントを利用すれば、転職サイトがミスマッチな求人を紹介することはほとんどありません。

看護師転職サイトの上手な断り方とは

しかし場合によっては、悪質な転職サイトに引っかかってしまう場合もあるでしょう。そうしたとき、希望条件と異なる求人を紹介する転職サイトを上手に断る方法にはどのようなものがあるでしょうか。事前に断り方を知っておけば、転職サイトの登録後にかかってくる電話をしつこいと思うことはなくなります。

この方法にはいくつかパターンがあり、例えば以下のようになります。

  • 転職を辞めた(転職できた)ことを伝える
  • 希望に合う条件以外は連絡するなと要求する
  • 着信拒否(迷惑メール設定)をする

必要に応じて、これらを使い分けるようにしましょう。

転職をやめた(転職できた)ことを伝える

最も分かりやすいのは、「転職すること自体をやめた」と伝えることです。「転職する気持ちはあったけれど、福利厚生や給与面などいろいろなことを総合的に考えてみたら、いまの職場で働くのが一番良いと考え直した」とする場合は、そのことを正直に伝えると良いでしょう。

登録したにも関わらず、転職しないのであれば、担当者に申し訳ないという気持ちが出てくるかもしれません。しかし、最終的に「転職しない」と決めたのにも関わらず曖昧な返事ばかりして、担当者に期待をもたせることのほうが迷惑です。

他には「別の転職サイトを利用して転職した」「自力でスムーズに転職できた」というケースもあります。そのときは「他のサイトで紹介してもらった(もしくは自分で探した)医療機関の条件が良かったため、そちらを利用して転職できました」と伝えるといいです。

もちろん実際には転職をやめていなかったり、就職先が決まっていなかったりしていても問題ありません。紹介される求人が的外れで「この転職サイトは最悪であり、連絡を取りたくない」と思う場合、「転職を止めた」「転職先が決まった」と伝えるようにしましょう。

希望に合う条件以外は連絡するなと要求する

なお転職では、いまの職場よりも優れた条件で勤務するのが当然です。もちろん優れた条件は人によって異なります。例えばママ看護師であれば、年収は下がってもいいので「日勤のみ」「時短勤務可能」「子供の急な発熱でも休める」という職場なら非常に優れているといえます。

そうしたとき「いまの職場でとりあえず働いているが、現状以上の良い条件の求人が出た場合のみ、転職したい」と考えている場合、そのことを正直に伝えるといいです。

例えば私が本気で転職活動をしていたとき、3ヵ月くらい前に登録していた転職サイトから久しぶりに電話がかかってきて「企業保健師の求人が出ました。保健師も希望されていたようなのですが、レアなので一応お伝えします」といわれたことがあります。

そのときは既に転職が決まり、新しい職場で働いていました。また転職後の職場には満足していたので断ってしまいました。ただ、このように事前に詳細な希望条件を伝え、条件に合致する求人のみ連絡するように伝えておけば、良い求人を優先的に紹介してもらえるようになります。

着信拒否(迷惑メール設定)をする

しかし中には、転職サイト側のノルマ達成のために無理な転職をせまってくるケースもあります。そうした的外れな紹介をしてくるような、使わないほうがいい悪質な転職サイトとは縁を切るようにしましょう。

具体的には、着信拒否を設定します。以下のように、携帯の電話アプリから簡単に着信拒否できるはずです。

また同時にメールについても、対象の転職サイトから送られてくるアドレスに対して迷惑メール設定をしましょう。そうすれば、メールが届いたとしてもあなたの目に触れることはありません。

着信拒否や迷惑メール設定をしたとしても、あなたは特に実害がありません。むしろしつこい連絡がなくなり、いつもと同じ通りの平穏な日々を過ごせるようになります。対象の転職サイトを利用することが今後、一切ない場合は着信拒否や迷惑メール設定が非常に効果的です。

複数登録し、転職エージェントを比較するのが優れる

なお実際のところ、転職活動をするときの一番賢い利用方法としては、転職サイトに複数登録して担当者を比較検討してみることがあげられます。

大手の優良エージェントであっても、担当者が違えば力量が異なります。また、どの転職エージェントが自分の転職に対して本気で対応してくれているのか見当が付きません。そこで、3社以上を利用するのです。

最初から自分に合う転職サイトの担当者に出会えれば問題ありません。しかし、そうした人が担当になるかどうかは運の要素が強いため、どうしても3社以上の転職サイトに登録して対応を比較したほうが、より優れた求人を見つけられるようになります。

そうして優れた転職サイトのみを残し、使わないほうがいいと感じた転職エージェントは利用対象から落としていきます。

事前に断り方さえ理解していれば、複数の転職サイトを同時に利用することは特に大きな問題にならず、むしろ担当者同士を比較できるのでメリットが大きいです。

看護師の転職に失敗する人だと、転職という人生を変える大きなイベントにも関わらず、一つだけの転職エージェントを利用して「最悪な担当者に当たってしまい、微妙な中途採用の募集に申し込んでしまった」というケースが多いです。これを避けるため、転職サイトを比較検討するようにしましょう。

詳細な転職内容を伝え、複数の転職サイトを利用する

看護師として転職するに当たり、あなたの希望する勤務条件や時期がはっきり決まっていない場合、転職エージェントの担当者はどう動いていいのか分かりません。そのため望んでいない転職先を紹介され続け、しつこいと感じてしまうことがあります。

そこで詳細な希望条件を伝えなければいけませんが、場合によっては粗悪な転職サイトに申し込んでしまい、強引な面接を設定されることもあります。この場合、利用自体を断るようにしましょう。

ただ断り方自体は簡単です。「転職自体を諦めた」と伝えてもいいし、それすら面倒な場合はブロックすればいいです。そうして複数の転職サイトを利用し、優れた提案をしてくれる担当者だけを残すのが失敗しないやり方になります。

最悪な転職エージェントはあるものの、看護師が転職をするに当たり正しいやり方が存在します。そこで転職サイトの利用方法や断り方を理解したうえで、優れた中途採用の募集を見つけるようにしましょう。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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