看護師として働くとき、総合病院や一般病院を選ぶ看護師は多いです。総合病院・一般病院で幅広い看護技術や知識を身につけ、その中から専門性を見つけ出しキャリアアップしていけば「看護道を極めた」といっても過言ではありません。

ただ病院へ転職を希望するとはいっても、病院によって形態はバラバラです。病院規模が異なるのは当然として、得意とする診療科も病院は違ってきます。病院ごとに役割が異なるのです。

特に総合病院だと数多くの専門の診療科があることから、なかなか履歴書の欄の志望動機を書きにくいケースがあります。もちろん「いくつもある総合病院の中から、なぜその病院を選んだのか」という視点によって、志望動機を書き進めなければなりません。

そこで中途採用で看護師が転職するとき、病院の選び方や仕事内容、年収の違い、履歴書・志望動機の書き方まで含めて解説していきます。

総合病院・一般病院にはそれぞれ種類がある

内科・外科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科の5つの診療科を含む複数の科をもち、入院ベッド数が100床以上ある医療機関が総合病院です。

これらの総合病院には大学病院や特定機能病院、救急指定病院、地域医療支援病院などを含み、すべて総合病院とされています。

・総合病院と一般病院は診療科に違いがある

そうしたとき、総合病院と一般病院では診療科の数の違いにあります。「5つの診療科をもたらい場合」は一般病院となります。

または5つ以上の診療科があったとしても「内科・外科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科のうち、どれかが設置されていない」「入院ベッド数が100以下」の場合は一般病院とみなされます。

・通常は大学病院以外に転職する

なお病院の中でも、大学病院は少し特殊になるため、通常は大学病院以外の総合病院・一般病院へ中途採用にて転職することになります。病院であれば民間でも公立でも看護師の中途採用募集が出されているため、規模の大小はあるものの広く看護師の募集が出されています。

例えば以下は千葉にある市立病院であり、地方公務員としての看護師募集です。

どのような田舎の地域であったとしても、私立であれ公立であれ総合病院・一般病院は存在します。また規模が大きい医療機関だと、それに比例して多くの看護師が必要となります。そのため求人数は多く、あなたの条件に見合う求人を選択しやすいのが特徴です。

中途採用での病院選びで重要な項目は何か

それでは、どのような項目を重視して中途採用での病院選びをすればいいのでしょうか。これについては、病院の規模で転職先を決める看護師はほとんどいません。ベッド数が多ければ看護師として学べることが多いわけではないからです。

そうではなく、あなたが求人先に何を望むのか明確にしなければいけません。

例えば総合病院であれば、いくつかの専門科を経験することになったり、新しい医療機器・手術方法を導入していたりするのはどこも同じです。また緊急性の高いハイリスクな患者さんを看るケースが多く、看護技術や知識を広く深く学べるのも同じです。

そこで、病院ごとの特徴が何かを考えなければいけません。例えば病院選びでは、以下のような項目を確認して「どのような勤務方法を希望するのか」を事前に明確にしておきましょう。

  • 勤務形態:2交替・3交替
  • 希望科目の空き状況
  • 看護師の平均年齢や年間休日数
  • 福利厚生の内容

それぞれの項目について、どう考えればいいのかより深く確認していきます。

2交替・3交替などの勤務形態は重要

病院なので当然ではありますが、どこも夜勤があります。もちろん総合病院や一般病院によっては、日勤のみの勤務が可能になるケースもあります。特にパート(非常勤)だと、夜勤なしが可能です。

ただ一般的には、パートではなく常勤だと夜勤ありが普通です。そのとき、病院が2交替と3交替のどちらを採用しているのか確認しましょう。ザックリとそれぞれ以下のようになります。

【2交替】

  • 日勤:8:00~17:00(8時間勤務)
  • 夜勤:16:30~9:00(16時間勤務:休憩含む)

【3交替】

  • 日勤:8:30~17:00(8時間勤務)
  • 準夜勤:16:30~00:30(8時間勤務)
  • 深夜勤:0:00~9:00(8時間勤務)

この中でも、個人的におすすめなのは2交替の病院です。

3交替の準夜勤とはいっても、夕方から働いて深夜に帰宅する働き方は非常につらいです。また深夜勤だと、深夜という中途半端な時間に出勤させられ、朝に仕事を終えます。場合によっては「日勤が終わった後、すぐに深夜勤」などもあります。つまり、生活リズムが圧倒的に狂いやすいです。

それよりは一回の夜勤の勤務時間が長くてもいいので、病院選びでは2交替を採用している病院がおすすめです。もちろん人によって考え方は異なりますが、私の周囲の看護師をみても2交替のほうが働きやすい環境だといえます。

看護師として長く職場で働くとき、勤務形態は非常に重要な要素だといえます。そこで「どうしてもその病院がいい」などの理由がない限り、3交替ではなく2交替の病院を選びましょう。例えば以下の2交替にて勤務できる病院へ申し込むといいです。

埼玉にある総合病院ですが、2交替にて勤務することが分かります。3交替だと、働くのが辛いと感じる人の割合がどうしても多くなります。

なお病院によっては「2交替と3交替を選べる」なども可能です。ただいずれにしても、総合病院や一般病院の中途採用募集を選ぶとき、真っ先にみるべきポイントが夜勤に関する勤務形態だといえます。

希望科目の空き状況を確認するべき

また同時に希望科目がどうなっているのかを確認しましょう。特定の診療科に特化しているとは限らないからです。

一般病院で複数科目を備えているのは普通です。これが総合病院であれば、非常に多くの診療科が混在することになります。ただ同じ病院でも、看護師が足りている科とそうでない科があります。そうしたとき、あなたの希望する診療科に空きがないこともあります。

そこで病院選びでは、事前に対象の科に空きがあるかどうかを確認する必要があります。例えば神奈川県横浜市にある以下の病院募集では、求人票の段階から「脳外科病棟の看護師を募集」となっており、配属される科が決まっています。

これと同じように、常勤でも非常勤(パート・アルバイト)でも、病院の中でどの科で働けるのか事前に確認しておくといいです。

病院によっては希望の診療科を考慮してくれることがあれば、病院側にて配属する科をすべて決定することもあります。先ほどの求人のように、特定の科だけ中途採用募集を出していることもあります。単に総合病院・一般病院に申し込むのではなく、診療科を見なければいけません。

平均年齢・年間休日数から大変さや働きやすさを推測する

また病院への中途採用で看護師が確認するべき項目に平均年齢や年間休日数があります。こうした指標から、対象の総合病院・一般病院がどれだけ大変であり、働きやすくなっているのか分かります。

激務で休日が少なく、残業が非常に多い職場であるほど、結婚や妊娠・出産などライフスタイルの変化があったときに辞めていきます。事実、大学病院は看護師の平均年齢が30歳前後と非常に若いケースが多いです。

看護スキルを学びたい若い看護師にとっては、こうした環境は優れているといえます。そのため看護師として忙しい環境に身を置き、自分の知識やスキルを高めていきたい看護師は平均年齢の若い総合病院を選びましょう。

一方で病院勤務を考えているものの、「育児などのイベントがあっても長く働き続けたい」「40代での転職をしたい」などの場合、平均年齢の高い病院求人を選ばなければいけません。残業が多く、休日も少ない状況で働き続けることはできないからです。

そうしたとき、例えば東京にある以下の病院では平均年齢が41歳と高めであり、看護師が長く勤務していることが分かります。

常勤でも非常勤(パート・アルバイト)でも、こうした平均年齢が高い職場だと「育児などがあっても問題なく復帰している看護師が多い」と容易に推測できます。

一方で「平均年齢が30代前半」などのような場合、病院の中でもそれなりに激務であり、勉強できることは多いものの、長く勤めるには向いていないといえます。

・勉強会を含めた年間休日数を確認するべき

また総合病院・一般病院で規模が大きくなるほど、勉強会や研修会が開催されるようになります。ただ、休日などに勉強会が開催されたとしても、自主的な勉強会として残業代が出されることはありません。そこで、こうした勉強会を含めた年間休日数を確認しましょう。

週休二日に祝日を合わせると、年間休日数は120日ほどになるのが基本です。ただ求人には「年間休日120日以上」となっていたとしても、サービス残業や勉強会への参加を含めると実質的な休日が非常に少ないことはよくあります。

そこで求人票に記載されている募集概要にとらわれず、実際に働くときの休日がどうなっているのか転職前に確認しなければいけません。

福利厚生の内容は勤務を続けるうえで確認が必須

他には総合病院・一般病院を選ぶうえで福利厚生の内容は非常に重要といえます。福利厚生の内容は病院が自由に決定できるため、その内容がバラバラだからこそ福利厚生を見極めなければいけません。

こうした福利厚生の中でも病院看護師だと、一般的には以下が重要といわれています。

  • 寮・社宅などの制度
  • 託児所の中身

他にも「資格取得や勉強代などの補助」もありますが、病院勤務の場合この2つの福利厚生がどうしても最重要といえます。

総合病院・一般病院だと多くで寮や社宅制度が整っています。これらは非常に安い金額で住めるため、実質的な手取り金額に深く関与します。ただ独身看護師しか入居できなかったり、入居年数に縛りがあったりなど制約を設けている病院は多いです。そこで、これらの具体的内容を確認しなければいけません。

これは託児所も同様であり、「妊娠希望の人」「小さい子供のいる人」だと託児所がなければ働くのが厳しくなります。ただ、託児所も病院ごとに内容が大きく異なります。例えば、以下の病院では8:00~20:00まで利用できる託児所となっています。

夜勤免除があるならいいですが、夜勤ありの場合、小さい子供がいる人ではこの病院で勤務を続けるのは無理です。まさか、小さい子供を家に置いて夜勤に出かけるわけにはいきません。

そのため託児所の有無を調べるだけでは意味がなく、「託児所が24時間営業か」「育児中の女性は夜勤免除か」など、福利厚生の詳細を確認しなければ転職後に後悔します。福利厚生とはいっても、ここまで細かく確認するからこそ最適な病院選びが可能になります。

夜勤あり常勤の給料・年収は高く、非常勤パートは普通

なお看護師の就職先として病院は最も一般的ですが、同時に収入が高くなりやすい中途採用でもあります。単純に夜勤があるからです。

クリニックに比べると、夜勤ありの病院で働く場合は年収が100万円ほど高くなるのは普通です。病院看護師(夜勤あり)だと、勤務年数が浅かったとしても年収450~500万円は一般的なのです。夜勤手当や深夜割増賃金などを考慮すると、どうしても収入は高くなりがちです。

もちろん地域差はあります。一般的に物価の高い東京や大阪の病院だと給料は高くなり、地方の病院だと年収は低くなります。

なお収入が高いとはいっても、夜勤がなければ病院看護師は一般的なクリニックとそこまで給料は変わりません。年収は350万円ほどが一般的になります。またパートなど非常勤で日勤勤務をするときの時給もクリニックなどと比較してそこまで変わりません。

要は夜勤の有無によって、総合病院・一般病院で働く看護師の年収が大きく左右されると理解すればいいです。

履歴書や面接で採用される総合病院・一般病院の志望動機・自己PR

それでは、これらのポイントを踏まえて総合病院・一般病院の中途採用募集を探し、優れた求人を見つけて転職するときはどのような志望動機・自己PRにすればいいのでしょうか。いくら優れた募集を見つけたとしても、履歴書や面接にパスしなければ意味がありません。

そうしたとき、まずは志望する総合病院・一般病院のサイトやパンフレット、医療系雑誌、転職サイトなどから情報を集め、「その病院にしかない特徴や強み」を見つけましょう。

一般的な個人病院に比べて、規模の大きな総合病院・一般病院であれば外部に情報発信している量が多いため、それらの情報を参考にできます。一番大変な作業ではありますが、これらの情報によって病院の特徴や強みさえきちんと掴むことができれば、あとは志望動機・自己PRを考える作業がスムーズに進んでいきます。

このような情報の参考となる医療系の雑誌やパンフレットには、その医療機関独自の看護のあり方や最先端の看護技術、キャリアアップの方法、その病院の看護部の特徴などが記載されているケースがあります。

またはこれらの情報を個人で集めるのが難しいと感じる場合、看護師専門の転職サイトを活用しても問題ありません。転職サイトへ希望条件を伝えれば、それに見合う求人を紹介してもらえます。さらには独自情報を教えてもらうことで、志望動機・自己PRの内容を考えやすくなります。

採用される総合病院・一般病院の志望動機例文

そうして特徴・強みを見つけることができれば、志望動機・自己PRについて書き始めます。志望動機は履歴書に書いたらそれで終わりではなく、必ず面接で再度聞かれます。

一般的な志望動機では「貴院であるなら、自分の経験と能力が活かせると考えたため……」など、ありふれた一文を書きがちです。しかし中途採用であるなら、もう一歩踏み込んだ志望動機を書くべきです。病院選びをするとき、なぜ対象の募集に申し込んだのか述べなければいけません。

そこで、中途採用の志望動機では以下の3つを入れるといいです。

  •  なぜこの総合病院・一般病院を選んだのか
  •  いままで看護経験がこの病院でどのように活かせそうか
  •  この病院で将来、何を実現したいのか

それでは、実際に志望動機の例文を記していきます。例文はあくまでも参考程度に留めてください。

前職は短期間しか勤めていませんが、より幅広い視野と深い知識が必要だということを実感しました。特に患者様との信頼関係を得るには、注意深く患者様の変化を見つけ、早期に対応できる能力を養う必要があると感じました。

そこで救急搬送患者様の受け入れを断らないことをモットーとされている御院にて、循環器病棟であらゆる患者様でも対応できるスキルと知識を身に付けたいと考え、応募させていただきました。

もちろん人によって転職理由は異なります。例えば夜勤ありでもいいが24時間対応可能な託児所のある病院求人を探している場合、「あらゆる病院の中でも育児環境が整っており、さらには長く勤務できる病院で活躍したい」という志望動機でも問題ありません。

いずれにしても、中途採用募集を出している病院でなければいけない理由を考えましょう。そうすれば病院選びをした後、実際に申し込むとき、履歴書や面接での志望動機・自己PR作成に困らなくなります。

中途採用で病院の求人は中身がさまざま

総合病院・一般病院へ転職するのは、看護師として王道だといえます。実際に非常に多くの看護師が病院で勤務しており、さらには看護師が足りていないので多くの求人が出されています。

ただ病院とはいっても、勤務するときの中身はまったく異なります。2交替や3交替と勤務体系が違うだけでも、病院で長く働けるかどうかが大きく変わってくるほどであり、転職前は必ず確認するべきチェックポイントがいくつもあります。

その中身を細かく見ていく必要があるため、求人票の内容だけで病院選びをしてはいけないことを理解できます。「実際のところはどうなのか」を含めて、一つずつ確認していくからこそ優れた求人を発見できるようになるのです。

それと同時に、履歴書や面接で優れた志望動機・自己PRを作成できるように内容を考えましょう。ここまでを実践することで、最適な総合病院・一般病院にて再スタートできます。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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