看護師として転職を実現したが、「半年や1年目などと入職してすぐ妊娠が発覚し、職場に迷惑がかかってしまう。どうしたらいいだろう?」と戸惑う人は多いです。再就職して仕事を覚えてきた頃に妊娠が判明するのです。

もちろん懐妊は喜ぶべきことです。しかし、入職して半年や1年目で仕事をようやく覚えて動けるようになり、人間関係の構築もできてきた時期だと戸惑いは大きく、退職を考えることもあるでしょう。

ただ希望して入職できた職場であり、いま辞めると出産後に再度新しい職場を探さないといけないばかりか、失業手当も先延ばしになる可能性が高くなります。できれば、妊娠・出産・育児中もいまの職場で働きたいものです。

では新しい職場に迷惑をかけないためには、どのような対策をとればよいのでしょうか。そこで「入職して半年ほど(1年目)で妊娠が判明したとしても、職場へ迷惑をかけずに済む方法」について解説していきます。

再就職後、半年や1年目に妊娠でも引け目に感じる必要はない

最初に認識するべきことは、「入職して間もないうちに妊娠したとしても、必要以上に引け目に感じる必要はない」という事実です。転職後、半年や1年未満での妊娠となると、本人はおろか周囲のスタッフも戸惑いを感じます。

「まだまだ新人で仕事も十分覚えきれていないにも関わらず、産休や育休で長期の休みを貰うことになる。それでは職場に迷惑がかかってしまう」などの不安は、考えればきりがありません。さらに看護師が妊娠したことで、マタハラ(マタニティハラスメント)を受けたというニュースはよく耳にします。

確かに「中途採用で転職してきたばかりなのに妊娠とは、最初から計画していたのではないか」「ようやく人手が足りたと思っていたのに、もう産休などで休むの?」などと、陰口を叩かれてしまうかもしれません。

しかし妊娠したのが、転職して半年や一年目の新人看護師のあなたではなく他の中堅看護師であったとしても、このような陰口を言う人は言うのです。

新人看護師と同じように、中堅看護師が産休・育休を取得しても、職場に迷惑がかかってしまう事実に変わりはありません。

むしろ新人より中堅看護師のほうが責任ある仕事を任されていたり、委員会の役員などを兼任していたりする場合が多く、中堅看護師の産休・育休の取得のほうが周囲に多大な影響を与えてしまいます。

その点、あなたは入職して半年から1年など経験の少ない新人看護師だといえます。まだ責任ある仕事を充分に任されているわけではありません。そのため、あなたが抜けるからといって、周囲にそれほど迷惑をかけないケースのほうが多いのです。

妊娠は喜ばしいことであるのに、入職して半年や1年目で妊娠したことで、あなたに心ない言葉を発する上司や同僚看護師がいるかもしれません。しかし、周囲は予期していなかった出来事に戸惑っているだけなのです。

あなたは産休・育休を取得することに、必要以上に引け目を感じる必要はありません。産休・育休から復帰して働ける状態になった時点で、「職場に迷惑をかけた分、産後に復帰してから恩返しをしていこう」と考えればいいのです。

妊娠中・妊娠後の退職はお金や再就職で苦労する

なお妊娠・出産となると、切迫流産や切迫早産が怖くて退職してしまう看護師がいます。看護師の切迫流産率は他の女性労働者と比較すると高く、心配になってしまう気持ちもよくわかります。

しかし、妊娠・出産時に退職してしまうと、経済的に困ったり再就職で不利になったりする事態に陥るケースが多いです。それは以下のとおりです。

  • 前年の市区民税や年金掛金、健康保険料の支払いが必要
  • 失業保険をすぐには受け取れない
  • 退職すると出産手当金や育児休業給付金は受け取れない

その理由について、それぞれ述べていきます。

前年の住民税や年金掛金などの支払いがある

妊娠後に退職すれば、周囲からの陰口や嫌な顔をされることがなくなります。また、仕事での気遣いをしなくて済むため、気持ちが楽になるでしょう。

しかし退職し、しばらくすると住民税徴収書類の入った封筒が届きます。この封筒を開けてみると、仕事を辞めて楽になっていた気持ちは一転して、重くなってしまう可能性が高いです。

住民税は前年の1~12月までの所得に応じて翌年に徴収される仕組みになっています。いままでは給与天引きであったので、あまり気に留めていなかったかもしれませんが、このような税金を自分で支払わなければならないのです。

参考までに、以下が実際の住民税の通知書になります。

他にも年金掛金や健康保険料なども給与明細で確認してみましょう。健康保険料は職場が半分負担していたため、任意継続であれば倍額の支払いとなります。さらに40歳以上となると介護保険の支払いも出てきます。

そのため妊娠後に退職してしまうと、収入がないにも関わらず税金や年金掛金、健康保険料など多くの支払いを行わなければいけません。当然ながら出産・育児を控え、何かと出費がかさむ時期に大きな痛手となってしまいます。

妊娠中の退職では、失業保険をすぐには受け取れない

また妊娠を理由に退職してしまうと「妊娠中であるため、この人は働けない」とみなされ、失業保険を一定期間、受け取ることができません。

通常だと退職後、失業保険を受け取りたいのであれば、ハローワークで必要となる手続きを行う必要があります。しかし失業保険はすぐに働く意思のある人が受け取れる制度であり、妊娠後の退職だとすぐに働けないことが明確であり、これが失業保険を受け取れない理由です。

つまり失業保険があるから問題ないと考えていたとしても、実際にはお金が振り込まれることはありません。

このとき、妊娠後に退職した場合は受給期間の延長手続きをすることになります。ただこれらの手続きのためにハローワークに数回訪れる必要があり、面倒な事務手続きを行わなければなりません。

妊娠後に失業保険の手続きをするとはいっても、いますぐお金を受け取れないばかりか面倒な作業が増えるようになるため、あまり良いことは起こらないと理解しましょう。

退職すると出産手当金や育児休業給付金は受け取れない

また妊娠発覚後の退職で問題になるのは、その他の給付金受け取りができないことです。

一般的に妊産婦であれば、産前6週間から産後8週間にかけて出産休暇を取得することができます。その間の給与は健康保険から出産手当金がもらえます。出産手当金は、給与の3分の2が支給されます。

また育休中は育児休業給付金といって、いまの職場へ復帰する人を対象とした給付金制度もあります。こちらは産後180日まで支給され、「日給換算した賃金の67%、180日からは賃金の50%の給付金について、子供が1歳になるまで受け取る」ことができます。

これらを合計するとかなりの金額になります。例えば月30万円の収入を得ている看護師であれば、合計で以下のような給付金となります。

制度名 看護師に給付される金額
出産一時金 一律42万円
出産手当金 65万円前後
育児休業給付金 180万円前後
合計 約290万円

このうち「出産一時金:42万円」は全員が受け取れます。ただ出産手当金や育児休業給付金を受け取れません。妊娠後に退職したり、育休後にいまの職場への復帰を考えていなかったりする人だと、上記の出産手当金や育児休業給付金を利用できないのです。

このようなことから、妊娠が発覚したからといって早々に退職しては大変もったいないことになります。

・入職半年で妊娠した場合、1年経過するまで頑張る

ただし注意したい点として、入職して半年や1年以内で妊娠した場合、転職した日から考えて12ヵ月が経過するまで産休に入らないようにしましょう。

育児休業給付金などは原則として、いまの職場にて「2年以内に12ケ月(1年)以上を働いている」という規定があります。もちろん転職直後の妊娠だと無理です。ただ再就職して例えば9ヵ月が既に経過しての妊娠であれば、産休に入るまでゆっくり働けば12ヵ月以上は確実に勤務することになります。

正社員や週に何日も働くパート・派遣であれば、全員が雇用保険に入っています。ただ、12ヵ月以上を勤務している人が産休や育休の給付金を利用できることを認識しましょう。

上司や職場に妊娠報告する最適なタイミングは?

なお、特に入職後間もないときだと、上司や職場に妊娠を告げるタイミングは難しいかもしれません。妊娠した看護師のなかには、安定期(妊娠5~7ケ月)を待ってから妊娠報告する人もいます。

ただ妊娠初期は流産するリスクが高く、体調に充分な注意を払いたい時期です。特に、看護師の切迫流産率は他の女性労働者と比較すると高いのが現状です。

また妊娠初期のほうが、つわりや体調不良に悩まされるケースが多いため、安定期を待たずに妊娠が判明したタイミングで上司や職場に報告しておくほうが得策といえます。

これについては、いま体調は悪くなく、順調に妊娠が経過している人も同様です。妊娠中は急に体調に変化が現れることがあります。急にあなたが抜けることになっては、それこそ職場に迷惑をかけることになってしまいます。

体調が良い悪いに関わらず、あなたが妊娠していることを上司が把握しておけば、夜勤免除など勤務表の調整を早めに行うことができます。特に看護の職場は慢性的に人手不足であり、体調が悪くてもすぐには休めない状況が出てきやすいです。

お腹の赤ちゃんを守れるのは母親であるあなたしかいません。勇気を出して、上司や職場に早めに伝えましょう。そうすれば、周囲は心構えができるので安心です。

職場に迷惑をかけないために妊娠中の看護師ができること

ただ転職して半年や1年目で妊娠したからといって、任されている仕事をほったらかしにするわけにはいきません。

社会人として、事前にあなたが抜ける分の話し合いをしたり、引継ぎをしたりして、できるだけ気持ちよく産休・育休に入り、育休明けには快く迎えてもらえる環境を作っておく必要があります。そのためには、以下のポイントに注意しましょう。

・時間に余裕をもって仕事をする

看護師の仕事は常に次の作業に追われて、あちこちを動き回る必要があります。しかし、妊娠してお腹が大きくなってくると、思うように体が動かず、今までよりも時間がかかってしまうケースも多くなります。

仕事を行う際は職場に迷惑をかけないよう、いままで以上に時間に余裕をもたせる必要があります。

そのためには朝などに少し余裕をもって出勤し、他の看護師よりも早めに患者さんの情報収集を行うなどの行動を心がけましょう。

・引継ぎの準備をしておく

どのような人であっても、担当している仕事があります。もちろん再就職してすぐの人ほど引き継ぐ仕事は少なくなりますが、あれば少しずつ周囲に引き継いでいくようにしましょう。

さらに、あなたの体調に変化があって急に出勤できなくなったとしても、「これを見れば大丈夫」という資料を作っておけば周囲は助かります。早めにそのような資料作成を済ませておけば、あなたが急に不在となった場合でも周囲が困ることはありません。

周囲が一番迷惑に感じるのは、ぎりぎりになって引き継ぎ業務を行うことです。最悪の場合、引き継ぎ自体が間に合わず、あなたが不在で大混乱を招いてしまうと復職するときの周囲の印象は良くありません。

・オーバーワークをしない

なお産休・育休中は自分が抜けた穴をほかの人が埋めることになるため、それを見越して仕事を頑張って引き受けてしまうことがあります。しかし、これで体調を崩してしまっては本末転倒です。

看護師の仕事は以下のような立ち仕事や力仕事が多いです。

オムツ交換や体交(体位交換)、中腰での力仕事で腹圧がかかって「お腹が張って辛い」「つわりでしんどい」と感じるときは周囲にその事実を正直に伝え、しばらく椅子に座り休ませてもらうなど、無理しないように心がけましょう。

注意すべきポイントは、黙って勝手に休憩しないことです。私の勤めるクリニックにいたのですが、妊娠中だからといって見かけるたびにいすに座って休憩している人がいました。体調が本当に悪いのかもしれませんが、仕事中に黙って勝手に休憩を取っていると、働いている他の看護師はあなたのことを良く思いません。

そのため休憩するときは、周囲に一声かけておくと安心です。自分の体調と相談し、無理のない程度の仕事を見極め、「すみませんが、おなかが張るので少しだけ休憩させてください」と伝えるようにしましょう。

復職時に温かく迎えられるために今できること

転職して半年や1年目での妊娠となると、そのまま職場に籍を置いたとしても、職場に迷惑をかけるなど不安要素があります。しかし、それに引け目を感じていると「退職するほうが良いだろう」という結論になってしまいます。

ただ新人であろうと中堅であろうと、妊娠したことで産休や有給の取得、体調への配慮など、職場に多少の迷惑がかかるのは当然です。また妊娠後に退職すると、出産手当金や育児休業給付金を受け取れずに大きな損をします。

この場合、自分が抜けて職場に迷惑をかけた分は「復帰した際に恩返しをしていこう」と考え、いま自分ができる範囲の仕事に一生懸命取り組むようにしましょう。また、周囲があなたを気遣ってくれ、助けてくれたときには感謝の気持ちを表しましょう。

一つずつの行動は小さな取り組みかもしれませんが、このような行動を取っていると、あなたの誠実な気持ちは周囲に伝わり始めます。たとえ転職して半年や1年目の妊娠だとしても、いまできることにしっかり取り組みましょう。そうすれば、復職した際にも周囲はあなたを温かく迎えてくれるはずです。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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