看護師は転職が活発な職業の一つです。そのため転職すること自体は特に問題ないですが、いろんな職場を経験していくうちに以前の職場環境が優れていると再認識し、「一度退職した職場に出戻りたい」と考える看護師がいます。

転職先のほうが問題を多く抱えており、「以前働いていた職場のほうが良かった」と考えることは特に珍しいことではありません。

ただ前の職場に戻りたいと考えたとしても、多くの看護師は不安を覚えます。特に「履歴書の志望動機」「面接での自己PR」に困ることになります。しかも出戻りだと、平気で不採用になることもよくあります。

そうしたとき、出戻りするにしても正しいやり方があります。ここでは、「退職理由別に出戻りするためのスムーズな方法」「出戻りするメリットとデメリット」を含め、看護師が出戻りするときに理解するべきポイントを解説していきます。

出戻りを考える看護師の理由はさまざま

実際のところ、看護師だと以前の職場に戻りたいと考える人が現れます。もちろん、その理由は人によってバラバラであり、一概に決まった原因や理由を挙げることはできません。

ただメインの理由としては、例えば以下のようなケースが考えられます。

  • 結婚や出産・育児で退職 → 出戻り
  • 親の介護で退職 → 出戻り
  • 病気で退職 → 出戻り

妊娠・出産や親の介護、自分の病気の関係で退職したが、それらの問題が解決した人は多いです。その場合、復帰のために前の職場に戻りたいと考えるのは自然です。

  • キャリアアップするために退職 → 出戻り
  • いまの人間関係が悪く退職 → 出戻り
  • 待遇が悪く退職→出戻り

またいま勤務している職場に問題があり、理由があって出戻りしたいケースもあります。例えば現在の職場の人間関係が悪かったり、給料が低いなど待遇が悪かったりするパターンです。

この場合、以前に勤務していた職場のほうが働きやすかったと考え、出戻りを検討するようになります。

一般企業はほぼ不採用だが、看護師なら出戻り可能

ザックリと上記のような理由で以前の職場に戻りたいと考える看護師が多いです。このように前の職場に戻りたいと考えるとき、一般企業で出戻り可能なケースはほとんどありません。もちろん中途採用の求人に申し込むこと自体は可能であるものの、高確率で不採用になってしまうのです。

ただ看護師の場合、一般企業のようにほぼ不採用ということはなく、出戻りであっても問題なく再就職できるケースは多いです。

看護師だと、多くの医療現場で人材不足となっています。その結果、看護師では出戻りしやすい環境が整っているといえます。

もちろん、急性期の大病院だとあなたの他にも多くの応募者がいるため、出戻りするにしても不採用になる可能性が高くなります。

この場合は「出戻りの人が不利になる」というよりも、大病院では必然的に新卒看護師を含めた若い人が採用されやすくなります。夜勤を含めた体力面であったり、スキルの習得スピードを考えたりする場合、どうしても若い人に勝つのは無理です。

そのため、出戻り以外の理由で不採用となりやすいですが、これが規模の小さい病院や個人クリニック、施設などの場合は出戻りしやすいというわけです。

出戻りの不採用は求人先の状況が大きく左右する

ただ当然ですが、出戻り先が大病院でなければ必ず出戻り可能というわけではありません。看護師であっても不採用になるケースは普通に起こります。

まず、相手先から中途採用募集が出されていなければいけません。これはある意味、当然です。例えばクリニックで既に看護師の人数が足りているにも関わらず、余分な看護師を追加で採用したいと考える医療機関は存在しません。無駄に給料を支払うことになり、その分だけ医療経営にとってマイナスになるからです。

そのため以前の職場に戻りたい場合、そもそも求人が存在しているかどうかは事前に確認しなければいけません。

これに加えて、前職を退職した理由も重要です。退職理由について、結婚や育児、親の介護、自分の病気など、仕方ない理由で退職した場合は出戻りを受け入れてくれやすいといえます。ブランクなどの問題はありますが、既に退職したときの問題が解決されているのなら再就職先としても受け入れやすいです。

一方でそれ以外の理由だと、一般的には看護師といっても出戻りは不利になりやすいです。ただ、これについては「前職でのあなたの頑張り度合い」「師長(クリニックなら院長)の人柄」に大きく左右されるため、一概にはいえないのが現状です。

キャリアの途中から再スタートできるメリット

そうしたとき、出戻りでは以前のキャリアの途中から再スタートできるメリットがあります。つまり、完全なるゼロからではありません。

一般的に転職して新しい職場でスタートするとなると、ある程度の経験値などは考慮されますが、最低ラインの給与となることが多いです。いくら前職での経験があったとしても、新規の転職先で覚えることが出てくるからです。

しかし以前勤めていた職場であれば、以前と完全に同じ条件は無理でも、似た給料からのスタートになる可能性が高いです。

さらに一緒に働くスタッフや病院・クリニックのルール、物品の位置、一日の流れなどを既に把握しています。そのためあなたは新たに覚えることが少なく、採用側も教えることが少なくて済むメリットがあります。つまり即戦力として、すぐに働き始めることが可能です。

病院・クリニックの内部情報に精通しているのは大きい

また新しい職場に勤めるとなると、転職サイトを介さなければ、人間関係や待遇・福利厚生など転職に必要な情報を得ることができません。

しかし以前に勤めていた職場であれば、人間関係や待遇、福利厚生などもある程度は把握しています。「どのような師長なのか」「夜勤はどのくらいハードなのか」など、転職前に知っておきたい情報をすでに手にしていることになります。

職場の内情についても熟知しているため、転職後に後悔するケースは少なくなります。

もちろん、あなたの退職後に辞めた人や新たに入ってきた人が何人もいるのは当然です。ただ仕事の内容や勤務形態が大きく変わることはないため、出戻り採用が可能であれば失敗することなく転職できるというわけです。

以前と同じ雇用条件ではないのを認識し、転職失敗を防ぐ

なお前の職場に戻りたいとはいっても、「以前の雇用条件と同じになると勘違いしてはいけない」ことは理解しましょう。必ずしも、同じ給料で同じ勤務時間になるとは限らないのです。

例えば、以前は妊娠中の勤務で時短調整をしてもらっていたが、出戻ったら「8時間労働 + 委員会活動の参加が当たり前になっていた」などは特に珍しいわけではありません。他には病院だと、以前と同じ科に配属されないこともあります。

要は出戻った後に前と同じ条件で働けるかどうかは分かりません。むしろ条件が違うほうが普通なので、前の職場に戻るにしても事前に雇用条件を含めて気になる点をしっかり確認するようにしましょう。

「出戻りしたとしても、雇用条件が違うのが普通」と理解しておらず、結果として以前の職場に戻ったことを後悔する人もいます。ただ出戻りで転職失敗したのは、事前に下調べをしなかった看護師のほうが悪いため、転職時は出戻りといえども多くの情報を集めなければいけません。

出戻りは不安?職場にとっては嬉しい出来事となる

なお不採用になるかどうかはさておき、職場にとってみれば「出戻りする看護師がいる」ことは誇らしいことといえます。看護師は入職者・退職者の出入りが激しい職場であり、そうした中で「やはりここで働きたい」と願い出てくる看護師がいると、嬉しい気持ちになる人事担当者が多いのです。

あなたも一度は別れた恋人に「やはり君のことが忘れられない」といわれると、そのときは「仕方ないわね」と思うかもしれませんが、「やはり私が良いんだ!」とつい嬉しくなってしまうのと同じ気持ちです。

出戻りを決心することについて、不安になる看護師が多いです。ただ採用側にとってみれば喜ばしい出来事だと理解すれば、以前の職場に戻ることについて大きな不安を抱える必要はありません。

・直接応募し、以前の上司に連絡を取るのが基本

また実際に出戻りをする場合、転職サイトなどは介さず、直接応募するのが大原則になります。つまり以前の上司に連絡を取ります。

病院であれば師長になりますし、クリニックなら院長医師になります。こうした権限のある人に電話またはメールをして、出戻りできるかどうかを聞くようにしましょう。もちろん事前に出戻りしたい理由を考えておき、それらを伝えるのです。

履歴書や面接での志望動機を述べる

なお出戻りとはいっても、通常の中途採用募集と同じなので履歴書の提出や面接を受けることになるのは当然だといえます。このとき、事前に志望動機を考えなければいけません。

そもそも、以前の上司に電話やメールで戻りたいことを伝える場合、そのときに理由も伝えることになります。要は電話口などでも志望動機・自己PRを言うことになるため、履歴書や面接で述べるべき志望動機を考える前に、以前の職場へアポを取る段階から出戻る理由を練っておかなければいけません。

このとき、出戻るときの言い方にさえ気をつければ、不採用にする可能性は低くなります。例えば履歴書に志望動機を記載するにしても、以下のように伝えるといいです。

他の医療機関と比較し、貴院での医療・看護レベルの高さや接遇マナーに魅力を感じ、出戻りしたいと考えました。

転職したいまの職場だと、「ナースステーションの整理整頓が不十分でインシデントが起こりやすい」「患者様を乱雑に扱う姿が見られる」などがあり、師長とも相談しましたが改善する気配がなく、自分の納得いく看護を目指したいです。

そこで失礼とは思いますが、看護レベルの高い貴院で看護師として再出発したいと思っています。

実際の理由が「いまの職場で人間関係が悪化したから」「仕事が大変すぎて体調を崩したから」という内容であったとしても、それを伝えてはいけません。あくまでもいまの職場と比べて、出戻り先の職場に優れている点は何かを考えて述べるようにしましょう。

なお履歴書なので固い文章になりましたが、アポイントを取るときや面接のときは既に知っている上司と話すことがほとんどのため、そのときはよりカジュアルな言葉選びになります。

面接の前後で勤務条件を話し合う

なお以前の職場に戻るとき、必ず忘れてはいけないのが勤務条件の話し合いです。これについて、忘れず行うようにしましょう。

既に述べた通り、前の職場に戻る場合であっても労働条件が変わるのは普通です。そこで給料や勤務時間を含め、どのような働き方になるのか事前に話し合わなければいけません。例えば病院であれば、同じ科になるのか、それとも別の科で働くことになるのか確認する必要があります。

転職サイトを経由して転職する場合、こうした面倒な交渉はすべて担当者が代行してくれます。プロが交渉するため、優れた条件で転職することが可能です。

しかし出戻りの場合、転職エージェントを介さずすべて自分だけの力で調整する必要があるため、面接の前後で勤務条件を詳細に話し合う場面が必須なのは理解しましょう。

出戻りで転職失敗する看護師の大多数は勤務条件の話し合いを省略しています。その結果、前回の勤務条件とは大きく異なることに後悔します。お金や勤務時間という非常にデリケートな内容のため、言い出しにくいのは分かりますが、これらの交渉を自ら行わないと失敗する確率が高くなることは理解しましょう。

ちなみに出戻りの依頼をして面接を受けたとしても、その前後に実施した条件交渉で折り合いが付かない場合、出戻りを辞退するのは何も問題ありません。転職でも内定辞退をするのはよくあるため、それ自体は普通だといえます。

ただ条件交渉をせずに出戻りした場合、以前の条件と違うことについて高確率で後悔します。そこで、必ず交渉しなければいけないのは理解しましょう。

出戻りの方法を学び、以前の上司と連絡を取る

看護師は転職する人が非常に多いため、結果としていろんな職場を経験するのは普通です。そうして転職していくと、それぞれの職場について良い点や悪い点が分かってきます。

このとき、職場同士を比較したときに以前に勤務していた職場環境が良く、戻りたいと考える看護師も多少はいます。一般的な会社だと出戻りは基本的に無理であり、不採用となりますが、看護師であれば可能です。

このときの方法は「以前の職場の上司に連絡を取る」ことであり、最初にこれを実施するようにしましょう。転職サイトは利用せず、すべて自ら段取りを取る必要があります。

ただ以前と同じ条件で働けるケースは基本的にないですし、給料や勤務時間を含めてすべて自分で交渉しなければいけないことは理解しましょう。そのため通常の転職よりも大変になりやすいですが、看護師ではこうした方法によって出戻り可能であることを認識しましょう。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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