看護師の転職先としては、介護に関わる施設がたくさんあります。そうした中でも、通所介護としてデイサービス・デイケアを提供する介護施設が広く存在し、デイサービスで看護師の中途採用募集が出されていることがよくあります。

デイサービスでの仕事なので、「日勤のみの時間帯であり、残業はしなくていいから楽」などと耳にする機会があります。

確かに、介護施設では高度な看護技術が要求されるわけではありません。またデイサービスなので、採血すらしないケースがほとんどです。また同じ看護師の仕事とはいえ、病棟とデイサービスでは看護師の役割は全く異なります。

そこでデイサービス看護師へ転職するに当たり、仕事内容や他職種とは異なる役割を含め、知っておくべき通所介護ならではの注意点について確認していきます。

デイサービス・デイケア(通所介護)で働く看護師の仕事と役割

デイサービスで提供する仕事内容としては、主に「在宅で介護が必要な高齢者」が事業所に通い、その事業所で利用できるサービスを提供することが挙げられます。送迎付きで、日常生活の支援(食事や入浴)やレクリエーションなどのサービスを受けることができます。

介護の必要度合に応じて、要支援や要介護(1~5段階)の認定を受けた人がデイサービスを利用できます。

このとき、全ての段階の方が同じデイサービスの施設を利用できるのではなく、各事業所に応じて、専門分野(要介護1~2のみ受け入れ可能、認知症専門など)が異なります

例えば要支援の方だと、ある程度まで自分で動くことは可能ですが、要介護の段階が高い方だと全介助を必要とすることがあります。認定を受けたとはいえ、要支援と要介護では介護度が全く異なるため、施設の設備もサービスの内容も違ってきます。

それぞれの認定段階に応じて、設備が整えられたデイサービスの事業所があります。そのためデイサービスへ申し込むにしても、どのような事業所の求人を希望するのか事前に考えるようにしましょう。

一般的なデイサービスは看護師の配置基準がある

このときデイサービス・デイケアとはいっても、規模によって違いますが1日の利用人数が多い場合は看護師の配置基準があります。そのため、看護師が配置されることになります。

ただ実際のところ、一般的なデイサービス施設は医療機関の隣に位置しているケースが多いです。同一敷地内だと医療機関の医師や看護師とすぐに連携を取れるため、必ずしも看護師を配置しなければいけないわけではありません。

しかしそれでも看護師を採用するのは、利用者のバイタルチェックが必要になるからです。さすがに、デイサービスの利用者が隣の病院・クリニックを訪れ、一般患者がいる中で血圧測定などをするわけにはいきません。

さらにいうと、介護士がバルーン処置やインスリン注射、経管栄養などを行うのは無理です。そこである程度の規模のデイサービスだと、看護師の求人が出されるというわけです。

例えば、以下は岡山にある「高齢者住宅にあるデイサービス」での求人募集です。

この高齢者住宅では2階にクリニックがあり、提携医師が在籍しています。またデイサービス施設にはマッサージチェアやカラオケ設備などもあり、わりと健康な方を支援する介護施設にて勤務することになります。

またこうした施設の求人へ転職するメリットとしては、病院・クリニックと併設されて建てられているため、医師がすぐに駆け付けられることです。そのため救急看護の経験がなかったとしても、未経験看護師であっても問題なく求人へ応募できます。

・小児対象のデイサービスもある

ちなみにデイサービスというと、一般的には老人の患者さんを相手にする場合を考えてしまいます。ただ小児を対象にしたデイサービスもあります。

保育園・幼稚園とは異なり看護師が必要となる子供のため、心身障害を有する子供を支援することになります。例えば、以下の東京にある求人では「成人だけでなく、重度心身障害を有する子供を受け入れている施設」です。

デイサービスとはいっても成人向けではなく、こうした子供を支援する職場のデイサービスも可能です。

リハビリ特化型介護事業所のデイケアで自立を支援する

なお「老人たちが施設内で楽しく過ごすのを支援する」という仕事内容ではなく、自立を支援する看護師求人もあります。

要介護状態であったとしても、能力に応じて「利用者が可能な限り自立した日常生活を営むことができる」ようにリハビリテーションを行う施設になります。主治医からの指示書に基づき、理学療法や作業療法によるリハビリテーションを行い、利用者の心身機能の維持回復を図ることを目的としています。

そのため一般的なデイサービスのように仕事内容が楽なわけではなく、他職種と連携しながら業務に当たらなければいけません。以下は神奈川県横浜市にある機能訓練特化型のデイサービス求人ですが、こうした中途採用に応募するとリハビリ特化型デイサービス施設で勤務することになります。

患者さんにとってのメリットとして、スポーツクラブに行く感覚でリハビリ型介護事業所に通うことができるため、利用者の自尊心を保つことができます。リハビリ訓練を行い、できなかったことができるようになる方もいるため、利用者からは施設の運営を喜ばれるケースが多いです。

療養通所介護事業所で重症患者をケアする

なおデイサービス・デイケアの対象としては、わりと健康な人やリハビリにはげむ人だけが利用者ではありません。中には療養型通所介護事業所として、介護度の高い難病・重病を有する方、末期がんで常時看護師の観察が必要となる方を対象とした施設もあります。

配置基準としては利用者1.5人に対して、介護・看護職員1名以上配置の規定があるため、少人数ならではのきめ細かいサービスを提供できます。

こうしたデイサービスの場合、単にレクリエーションを提供するだけではありません。医療処置から入浴介助、リハビリ支援まで行うようになります。参考までに、以下は神奈川にある療養通所介護事業所から出された中途採用です。

このように、デイサービスではあるものの研修制度があり、認定看護師の資格取得についても支援してくれます。そのため「デイサービスで日勤だけ行い、楽な業務をしたい」と考えている人には向いていません。こうした職場だと、看護師として病気や介護に関する知識や技術を深める必要があります。

また難病や末期がん患者さんが利用者のため、緊急事態が起きやすいことは理解しましょう。そのため、常にさまざまな視点から求人内容を検討する必要があります。

未経験でも問題なく、幅広い年齢で申し込み可能

そうしたときデイサービス・デイケアへの転職だと、病院勤務のような高度な看護技術を必要としないケースが多いため、未経験でも問題ないケースが多いです。また、同時に幅広い年齢で申し込み可能です。さらには急性期病院のように仕事がハードではないため、ゆったり働きたい看護師に向いています。

もちろん前述の通り、難病や重症患者をケアするデイサービスは存在します。ただ、そうした求人を避ければ未経験であっても、ある程度の年齢であっても問題ないというわけです。

例えば以下は仙台にある一般的なデイサービスでの常勤募集です。

日勤のみの勤務であるのは当然として、未経験でも問題なく、さらには50代・60代であっても応募できる中途採用になっています。

デイサービス看護師の最大のメリットは、病棟の看護師のように忙しさのために流れ作業になることが少なく、一人ひとりの利用者とじっくり向き合うことができるという点です。

勉強会や夜勤はなく、残業は少なく、不規則な勤務もなくなるためゆとりが生まれてきます。土日休み、祝日休みの事業所が多いため、家族との休みも合わせやすい傾向にあります。

土日休みで日勤メインだが、休みは取りにくい

ただデイサービス・デイケアで働くとき、同じ施設で勤務する看護師の人数は1~2人です。業務内容が楽とはいっても、病院やクリニックのように何人もの看護師が在籍しているわけではないため、少人数で多くの利用者の面倒をみる必要があります。

デイサービスは基本的に土日休みで日勤メインではありますが、少人数体制であることから、なかなか休みを取れないといったデメリットもあります。

特に看護職員の人員配置を必須としている施設などでは、あなたが休んでしまうとサービスを提供できなくなってしまいます。

看護師の中でも、夜勤や残業のない職種を探すときはどうしても「土日休み!」という文字に目がいってしまいます。ただ転職を検討するのであれば、事前にどのようなデメリットがあるのかも理解しておきましょう。

入浴介助ありかを含めて求人に目を通す

またデイサービスにて働くとはいっても、実際のところ募集先によって内容はまったく異なります。例えばデイサービスでは、入浴ありとしているケースがよくあります。この場合、仕事中に移乗など力が必要になる仕事を任される可能性があります。

これについては、面接時の施設見学で入浴施設があるかどうかを確認すればいいため、簡単に見分けがつきます。

ただデイサービスによっては、入浴なしの施設もあります。入浴ありかなしかによって看護師の負担は大きく異なるため、より楽な職場を考える場合は入浴介助なしの職場が最適です。

または入浴サービスがあったとしても、介護士がすべて作業を担当するため、看護師が入浴介助をしないケースもあります。その場合も安心だといえます。

これについて求人に記載されていることもありますが、転職サイトの担当者へ事前に聞いておけば確実です。中途採用に申し込む前に、看護師が行う具体的な仕事内容がどこまでの範囲になるのか確認するようにしましょう。

デイサービス看護師の給料・年収を理解する

それでは、デイサービス・デイケア看護師の給料事情はどのようになっているのでしょうか。これについては、仕事内容が他の看護師よりも楽であり、残業や夜勤もないため、看護師の中ではどうしても年収が少なくなってしまうと考えましょう。

一般的なデイサービスでの勤務時間は「8:30から17:30まで」のところが多く、8時間勤務となります。住んでいる地域や希望する施設により異なりますが、基本給は月20~22万円前後が相場となります。これに資格手当などが加わるようになります。

例えば、以下は東京にあるデイサービスでの看護師求人になります。

このように基本給は月22万円からであり、ここに業務手当などその他の手当が加わるようになります。これにボーナスなどが加わると、最初の年収は300万円ほどになるのが一般的です。

デイサービス看護師は夜勤手当や残業がない分、年収はどうしても低い傾向にあるため、待遇や賞与(ボーナス)の有無、各種手当の金額がどのくらいであるのか事前にチェックしておきましょう。

理解が乏しいとき辞めたいと考える!やりがいは健康介助

なおこうした通所介護の場合、看護師は「やりがいとしては何があるのか?」と考えてしまいます。どうしても病院やクリニックに比べると技術的に学ぶことが少なく、採血すら行わないのも普通となる職場だからです。

ただ、「高齢の患者さんが元気に笑顔で過ごすのを助ける」のがデイサービスで働く大きなやりがいであり、それで問題ないのではと思います。

業態がまったく異なるため、病院看護師とデイサービス看護師を比べることに意味はありません。デイサービスではレクリエーションを提供しますが、世の中には同じように映画館やテーマパークなど「楽しみを提供するサービス」は非常にたくさん存在します。

そうしたとき、人に楽しみを提供する業態が病院看護師の業務より劣っているかというと、もちろんそういうわけではないのです。

こうしたやりがいや業務について理解していないと、どうしても他の病院やクリニックの看護師と比べてしまい、辞めたいと考えてしまうようになります。ただ、そうした必要はないことを理解しましょう。

履歴書や面接で重要な志望動機・自己PRを考える:例文付き

そうしたとき、実際にデイサービスやデイケアへ転職するには志望動機を考えなければいけません。履歴書や面接では必ず志望動機を述べることになりますし、同時に自己PRをする必要があります。

ただ、デイサービスの求人へ申し込むに当たって「夜勤なしがいい」「楽な職場へ転職したい」「残業なしで勤務したい」などの志望動機を述べてはいけません。そうではなく、より前向きな志望動機を述べる必要があります。

看護師資格を活かせる職場の中でも、病院に比べてデイサービスの業務が楽になりがちなのは面接官も理解しています。そのため落ち着いた職場で仕事をするにしても、そうした環境をプラスに捉えて志望動機を考える必要があります。

例文としては、以下のような志望動機・自己PRになります。

利用者さんを事務的に扱う看護ではなく、一人ひとりの利用者さんと向き合っていく看護をしたいと考えてデイサービスを志望しました。

病院で勤務していましたが、患者さんの出入りが激しく、また数も多いので患者さんと向き合う十分な時間がありませんでした。また勤務する中で、意思疎通できる患者さんが回復していく姿にやりがいを感じていました。

その中でも貴施設はリハビリ型のデイサービスであり、身体機能を向上させて笑顔にできる利用者さんを増やせると思っております。またデイサービスを通じて同じ利用者さんと接し、一人ひとりの時間を多く持てることにも期待しています。

志望動機を述べるにしても、「忙しい職場は嫌」「回復見込みのない人のケアは微妙」という内容ではなく、「一人ひとりの利用者さんと十分に向き合いたい」「患者さんが回復していく姿にやりがいを感じていた」などという志望動機にしました。

率直に意見を述べるのではなく、このようにプラス思考の志望動機・自己PRに変えましょう。そうすれば、履歴書や面接で優れた志望動機を述べられるようになります。

独自のメリットがあるデイサービス・デイケアの中途採用

一般的な看護師求人だと病院になります。ただ病院ではなく、介護施設で勤務するという方法もあり、その中でも夜勤や残業がなく、土日休みになるのがデイサービス・デイケアです。通所介護のため土日・祝日は営業しておらず、日勤のみの勤務が可能になります。

その代わり、給料平均は落ちます。夜勤がなく、残業もほとんどないからです。ただゆったり働くことを考えている場合、看護師にとってデイサービスは転職先として優れます。

しかしデイサービスとはいっても、「一般的なレクリエーションの提供」「小児のデイサービス」「リハビリ特化型」など種類があります。また入浴介助の有無など、仕事内容がどこまでかを確認するのは必須です。

これらを認識したうえで、どのようなデイサービス施設で働きたいのか考えるようにしましょう。そうして多くの中途採用から通所介護の求人を選ぶことで、ようやく満足できる転職を実現できるようになります。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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