精神科看護師からリエゾンナース(精神看護専門看護師)に転職し、キャリアアップを目指す人がいます。精神科で培われた経験は、必ずやリエゾンナースを目指すあなたの強みとなります。

リエゾンナースとは、精神科看護分野において優れた知識と技術、実践能力をもった看護師のことを指します。

「リエゾンナースの働きぶりを見て憧れはある」けれど、では実際に具体的にどのような仕事を実践しているのか把握できていない人もいるでしょう。

そこで今回は、リエゾンナースに興味のある看護師や精神科看護の経験を活かしたい人に向けて「リエゾンナースにキャリアアップするための方法と具体的な仕事内容」についてお話ししていきます。

リエゾン精神看護とは

「リエゾン」とは、連絡・連携・つなぎという意味のフランス語です。組織間の連絡調整役の意味で使われています。

最近、総合病院などではリエゾンナースを設置しているところも多く、患者さんやそのご家族だけでなく医療スタッフにとっても「精神的な支え」として無くてはならない存在になっているといえます。

問題が発生して「自分たちではどうしようもできない」ときに、リエゾンナースが介入することを知って、ほっとした経験のある人もいるのではないでしょうか。

では実際のリエゾンナースの役割とはどのようなものなのでしょうか。次項に詳しく述べていきたいと思います。

リエゾンナースの役割とは

リエゾン精神看護を実践する専門看護師であるリエゾンナースの役割を下記に挙げます。

【リエゾンナースの役割】

① 精神疾患と身体疾患の両方を患う患者さんやそのご家族、もしくは深刻な心理・社会的問題を抱える身体疾患患者さんやそのご家族を対象とした、全人的ケアの立場から専門的なケアを実践する。

② 一般診療科の看護師や他の領域の専門家(医師や薬剤師などの他職種や、がん看護など他の領域の看護スペシャリストなどを含む)からの相談に応じて、コンサルテーションを行う

③ 関係部署間での役割の調整や、連携の促進を実践する。

④ 患者さんにより高い質の看護を提供できるよう、医療スタッフへの教育的支援を実践する。

このようにリエゾンナースには様々な役割が存在します。

リエゾンナースにキャリアアップするには

リエゾンナースになるには、資格取得が前提となります。

しかし、資格取得を必要としていない職場もあり、ある日突然「リエゾンナース」として配置される人もいます。このような場合も稀にありますが、ここでは王道として、資格取得を行いリエゾンナースになる場合についてお話ししていきます。

リエゾンナースと認められるためには、「日本看護協会が行う精神看護専門看護師」「日本精神看護協会の認定看護師」の資格を取得することが前提となります。

まず、日本看護協会が行う精神看護専門看護師の資格取得方法についてお話しします。

日本看護協会が行う専門看護師の資格を取得するには、5年以上の看護実務研修が必要です。そのうち3年以上は専門分野での実務研修、さらに看護系大学院の修士課程で必要な単位を修得する必要があります。

大学院といってもどこでも良いわけではなく、看護協会が定める「精神看護を扱う大学院」で2年間の修士課程を修了する必要があります。もしお住まいの地域から所定の大学院が遠ければ、その間は大学院に通える住まいを借りる必要も出てきます。

またこの場合、看護師として働き続けながら大学院に通うことは難しく、一旦看護師を休職するなどの措置を取る必要があります。休日や夜間だけ看護師として働くことを考える人もいますが、レポートや課題でそのほとんどを費やされると考えておいたほうが無難です。

大学院に通うとなると、勉学に勤しむだけでなく、大変な労力と経費も必要となるということを意味します。大学院が私立ですと授業料だけでも年間100万円以上かかることになります。

しかし、こちらで精神分野での専門看護師の資格取得ができると、日本専門看護師協議会による求人あっせんを受けられる可能性が高いです。

また精神看護専門看護師の資格は、全国的にも認知度が高く、「リエゾンナース」としての本領を期待されることも多いでしょう。資格手当として5000円から1万円程度の上乗せも期待できます。

次に日本精神看護協会の認定看護師の資格取得方法についてお話しします。

上記の日本看護協会と日本精神看護協会は全くの別物です。日本看護協会の実施する認定看護師とは別の資格となるので注意しましょう。

日本精神看護協会の認定看護師の資格を取得するには、看護師としての実務経験が5年以上必要です。そのうち3年以上は精神科看護の経験を必要とし、さらにうち1年は専攻分野での実務経験を必須としています。

これらの条件をクリアし、この協会が実施する認定試験に合格すれば、東京で行なわれる研修会に参加し、その後8ケ月、または2年間の間に全国の病院施設で研修を受けます。

上記の日本看護協会の専門看護師の場合は、休職して大学院に通わなれければなりません。しかし、こちらの場合ですと、職場の了承を得て、うまくやりくりをすることができれば仕事を辞めることなく、資格取得を行うことができます。

ただし、こちらの資格は日本看護協会の専門看護師ほど認知度は高くありません。

そのため日本精神看護協会の認定看護師の資格を取得したからといって、「この資格を活かせる職場が見つかるとは限らないこと」、また、日本ではまだこの資格に対する評価が定まっていないため、「資格を取得したからといって給与アップはあまり見込めないこと」などのデメリットもあります。

どちらの資格を取得したとしても、自分で新しくリエゾンナースとして活躍できる病院を探す必要があります。リエゾンナースの主な配置先としては、精神科病棟、一般病棟、緩和ケア病棟などが挙げられますが、これらの病棟にも属さないで活躍する場合もあります。

また実際には、所属している病院が独自にリエゾンナースを必要とするため、専門資格・認定資格がないにも関わらず、人柄や仕事への取り組み方などから判断して、リエゾンナースに就ける場合もあります。

この場合ですと、認定看護師の資格を取得するために、必要な経験を実践の場で積んでいくことになります。

しかしいずれにしても、「求人などのタイミングが合わなければ、リエゾンナースとして採用されることは困難」といえます。

リエゾンナースとして就職するのは大変難しいため、事前に2~3社転職サイトに登録しておき、担当コンサルタントに「求人があればその都度紹介してもらう方法」を取るほうが簡単であるといえます。

担当コンサルタントのほうから、「この人はリエゾンナース希望です」と伝えてもらい、そのことに好感触を示す職場に絞って転職活動をするほうが、自分でいちいち「リエゾンナースを必要としている職場」を探すよりも効率的です。

また転職サイトを通すと、「資格取得している場合の『資格手当の扱い』」や、「リエゾンナースの実際の活動内容」なども、事前に把握することができます。

個人的に面接などでは聞きにくい内容も、転職サイトを通して知ることができるのが転職サイトの魅力です。

このようなことから、2~3社の転職サイトに登録し、リエゾンナースとして満足いく転職を行える条件を整えておくようにしましょう。

リエゾンナースの具体的活動内容とは

リエゾンナースが具体的にどのような活動を行っているのか、実際にみていきたいと思います。

リエゾンナースが行うコンサルテーション

まず下記に事例を挙げます。この事例をもとに、リエゾンナースがどのように動いているのかをお話ししていきます。

外科病棟の看護師が1人の女性患者さんのことで問題にぶつかっていました。80代のMさんが食事を一切とらず、一日中ベッドに臥床したままで「死にたい。殺してほしい」と訴えており、看護ケアを拒否するため、どのような対応を取ったらいいか分かりませんでした。

Mさんは夫と娘の3人暮らしで、30年前に子宮がんとなり子宮摘出手術を受けました。さらに10年前に腎臓がんとなり、片方の腎臓を摘出した経験も持っています。さらに今回、新たに胃と膵臓にがんが見つかり、1ケ月前に3度目のがん手術を受けました。

術後に胃の半分以上を失ったMさんは食事を少量ずつ数回に分けて食べなければならなくなりました。また膵臓の機能が低下したため、血糖測定も定期的に行うようになりました。

さらにC型肝炎を併発したため、インターフェロン療法(INF)も開始されました。さまざまな疾患が重なり多くの治療を施しましたが、Mさんの経過は順調で、計画通りに治療を終え、退院することができました。

しかし、その一週間後、Mさんは自宅で意識を失い転倒し、救急車で運ばれて戻ってきました。診察の結果、意識を失った原因は「栄養状態の低下による低血糖」でした。話を聞くと、Mさんは退院後、食事や内服の自己管理を怠っていることが判明しました。

Mさんはすぐに点滴を開始し、栄養状態はある程度回復したものの、食欲も意欲もなく臥床したままで自分から動くことはありませんでした。

看護師のケアを拒否し、身体のさまざまな疼痛症状を訴えるか、「私なんか生きていても仕方がない。死にたい」と繰り返し言うだけでした。

そこで「精神面でのケアの必要性」を考えた受持看護師が主治医と相談し、リエゾンナースにコンサルテーションを依頼することに決めました。

コンサルテーションとは、問題解決のスペシャリストが援助するプロセスのことです。コンサルテーションは大きく分けて、4つのタイプがあります。

① 対患者の個別コンサルテーション

複雑な問題を抱えた患者さんに、リエゾンナースが直接専門的な援助を行う。

② 対コンサルティの個別コンサルテーション

コンサルティ(ここでは問題解決のための知識や技術をもっていない看護師)が対処困難な場合、リエゾンナースが専門家としてコンサルティの援助を行う。原則、患者さんに直接関わり合うことはない。

③ プログラムの管理に関するコンサルテーション

リエゾンナースが組織のプログラム管理に助言したり、新しいプランの計画立案や実施のための相談に応じたりする。

例:新人看護師のためのサポートプログラムや、抑うつ患者へのケア講習会など

④ コンサルティの管理に関するコンサルテーション

リエゾンナースは、コンサルティの問題に焦点を定め、コンサルティの管理能力や管理スキルの向上を図るよう支援する。

このようにリエゾンナースが行うコンサルテーションを4つに分類することができます。

リエゾンナースはコンサルティ(病棟看護師など)と面会し、「なにが問題であるのか」を明らかにしたうえで、「どのようなサポートを行っていけばよいのか」を提示します。必要と判断すれば、患者さんと直接関係の無い問題に対しても、患者さんに直接会って情報を収集することもあります。

最初の面接でリエゾンナースが、これまでコンサルティが問題解決のために行ってきた方法や結果について確認します。というのも、コンサルタントであるリエゾンナースがその場で簡単に思いつくような解決策であれば、病棟看護師もすでに何度も試してきたはずだからです。

そこでこれまで病棟看護師が行ってきたことを評価し、新しいプランについて話し合います。このプロセスを通して、コンサルティの看護の力量や知識、技術力をアセスメントし、またコンサルティの感情面でのサポートも行います。

また現在までの経過を聞くことによって、問題の焦点が「患者さん」なのか、「コンサルティ(病棟看護師)」なのか、「病棟のチーム力」なのか、それとも「病院のシステム」なのかをアセスメント(評価)します。

次に目標と役割を定め、計画を実施し、問題解決をします。問題解決となれば、そこでリエゾンナースのコンサルテーションは終了となります。問題解決にならなければ、あらためて計画を再考することになります。

コンサルテーションの実施方法

次にリエゾンナースがどのようにコンサルテーションを実施しているのかについて、下記に述べていきます。

受持看護師JはMさんのこれまでの病歴や治療経過、そして現在の状態をリエゾンナースに伝えました。

リエゾンナースは、これまでの話からMさんはもともとしっかり者で、子宮の喪失や数回に及ぶがん克服といった危機的状況を自分で乗り越えてきた人だという印象をもちました。

しかし、80歳を過ぎてからのがんの再発、摘出手術、術後の合併症や食事制限、血糖測定、インターフェロンの影響などが重なり、いままでのやり方では対処しきれなくなっているようでした(とくにインターフェロン療法は、抑うつや自殺企図などの精神症状をきたす頻度が高いことも懸念される材料の一つです)

また、Mさんのご家族もこれまでMさんが何度となく笑顔で積極的に危機的状況を乗り越えて来た人だっただけに、今のMさんの落ち込み方や悩みの原因をつかみきれていない状態でした。

そこでリエゾンナースによる3つの計画と目標が打ち出されました。

(1) Mさんの抑うつ状態改善のため、精神科医の治療を受けながら、定期的にリエゾンナースが訪問し様子を観察する。

(2) 病棟看護師がMさんの置かれている状況の理解を把握すると同時に、病棟看護師がMさんに対して直面している問題を軽減するため、リエゾンナースが定期的に病棟看護師の話を傾聴し、精神的サポートを行う。

(3)リエゾンナースが直接、Mさんのご家族と話し合い、Mさんの置かれた状況を理解してもらい、支えるための援助を行う。

それでは、この3つの計画を具体的にどのように実行したのでしょうか。

(1)早速、リエゾンナースはMさんのベッドに出向き、Mさんと病状のこと、今後のことについて話をしてみることにしました。

しかし、Mさんは自分の不安をリエゾンナースに表出することなく、話している途中で傾眠してしまうこともありました。しかし、リエゾンナースが定期的にMさんのもとに訪問しているうちに、Mさんは警戒心を解き始め、自分から話しかけ始めるようになりました。

(2)リエゾンナースは次に、受持看護師を通じて「病棟カンファレンス」を開くことにしました。

治療や看護に協力的でないMさんの態度に、看護師は苛立ちや無力感を覚えているようで、そのことを語る看護師にリエゾンナースは耳を傾けました。

そしてリエゾンナースはMさんの性格や生活ぶりなどから判断して、「Mさんは、『誰かに頼ることは、惨めで嫌』という気持ちが強いのではないか」と病棟看護師に疑問を投げかけました。

病棟看護師たちはこのことに半分納得したようでした。

しかし、その後もMさんは看護師を困らせるような言動を続け、その都度リエゾンナースは病棟看護師たちが心情を語り合える場を設けることにしました。

(3)家族との話し合いでは、家族もMさんの病状の再発に心を痛めつつも、一方ではMさんの要求がエスカレートしていことに当惑し、腹立たしさを感じていることが分かりました。

Mさん自身は今回のことで自分の無力さに力を落とし、家族に対して甘えられないでいるようでした。リエゾンナースは、Mさんのご家族の苦痛を受け止めると同時に、病気や治療の影響についての説明をし、Mさんに対しどのような対応を取ればいいのか考えることにしました。

家族はリエゾンナースと話す度に、退院後の療養生活について具体的に検討することができるようになっていきました。

これら(1)(2)(3)をリエゾンナースが実行しているうちに、やがてMさんの精神状態は安定してきました。また、家族のサポートもあり食事や内服などの自己管理も行なえるようになってきました。

それに伴い栄養状態が改善し、体力も回復しつつあり、Mさんも徐々に自信を取り戻してきました。

一方、病棟看護師もMさんの言動に落胆してしまうこともありましたが、リエゾンナースに傾聴してもらうことで、Mさんへの関心を失うことなく退院まで看護ケアを継続することができました。

このようにMさんの事例でリエゾンナースが行ったのは、「対患者の個別コンサルテーション」と「対コンサルティの個別コンサルテーション」を組み合わせたものです。

総合病院などで、リエゾンナースに依頼される内容で多いのは、Mさんのように「希死念慮(死にたいと願うこと)の強い患者さん」の他にも、「治療や看護ケアを拒否する患者さん」、「攻撃的で暴力をふるう患者さん」、「様々な訴えをして頻繁にナースを呼びつける患者さん」、「看護師にすべてを依存し自発的に行動しようとしない患者さん」などです。

治療上、問題があるとみなされる患者さんの背景には、治療している疾患の他にも、心理・社会的に複雑な問題を抱えていることが多いです。

また、ケアを行う看護師が仕事に対して、もともと無力感を抱いていたり、スタッフ間での人間関係があまり良くなかったりすることも患者さんの精神症状に異常をきたす原因の一つとして考えられています。

そこで「対患者の個別コンサルテーション」であっても、大半はコンサルティである看護師の抱える問題も同時に扱うことになります。

さらに、患者さんの入退院の回転が早く、個々の患者さんに濃密なケアを提供できていないなど、病棟や病院システム全体での問題が絡んでいることも多いため、全体から問題を俯瞰してみる視点も必要です。

Mさんに関して、病棟看護師全員が参加したカンファレンスは、グループコンサルテーションとも言います。このような方法は、病棟全体が困っているような場合に有効とされています。

さらに、病棟の枠を離れ、同じような問題を抱えた複数のコンサルティが集まって行うグループコンサルテーションもあります。

例えば、治療や看護ケアを拒否する患者さんを受け持つ看護師のグループや、新人看護師のマネジメントに悩む中堅看護師のためのグループ、新人看護師のサポートと教育を目的としたグループでのコンサルテーションなどです。

看護師自身が抱える問題のコンサルテーション

では次に看護師自身が抱える問題についてのリエゾンナースのコンサルテーションを実際に見ていきましょう。看護という仕事の性質上、精神的な症状を抱えやすいといえます。早期の相談が望ましく、相談が遅れてしまうと回復にも時間がかかることになってしまいます。

看護師自身の相談内容

看護師がリエゾンナースに相談する内容としては、次のようなものが挙げられます。

(1)看護師として仕事を続けていく自信がなくなる

(2)「医療事故を起こすかもしれない」という不安が付きまとい、仕事をするのが怖い

(3)職場の人間関係がうまくいかない

(4)患者さんやそのご家族との関係がうまく作れない

(5)仕事に意欲をもつことができない

(6)身体的な不調を感じ、仕事に支障がある(身体的不調で多いものは、胃腸症状、腰痛、頭痛、動悸、眩暈、食欲低下、睡眠障害といった自律神経失調症など)

このような相談をする看護師で多いのは新人です。そこで次に新人看護師の事例を紹介します。

新人看護師のリエゾンナースへの相談内容

入職後半年を超えたあたりの新人看護師がリエゾンナースにおこなった個別相談事例を挙げます。

NICUで勤務する新人看護師Fさんがリエゾンナースに相談にきたのは、「仕事を辞めたい」と悩んでのことでした。配薬をミスしそうになったことがきっかけでした。

それ以来Fさんは、「また同じようなミスをしてしまうのではないかと考えると、仕事をするのが怖くなった」と言います。

初回の面接時、Fさんは憔悴しきっており、「自分がいかに看護師に向いていないのか」についてリエゾンナースに話しました。食欲もなく、夜も眠れない状態が続いているため、事態を深刻だと考えたリエゾンナースはとりあえず休養をとることをFさんに勧めました。

その後、数日間の休養をとり、ある程度落ち着きを取り戻したFさんとリエゾンナースは再度、面接を行いました。

Fさんは入職してからの半年間を振り返って、「看護師としてのあり方と自分が抱えるギャップ」についての内容を話しましたが、それは新人看護師なら誰しも一度は悩むようなことでした。しかし、Fさんはそれを深刻に悩み、誰にも相談できずに悩んでいました。

そこでリエゾンナースは、「Fさんが誰にも話さず、独りで頑張って乗り切ろう」としていたことをねぎらいました。しかしそのことが同時に「仕事を辞めようと思い詰めるまで自分を追い込んでしまっていたのではないか」と伝えました。

するとFさんは「看護学生時代は成績が良く、先生にもよく褒められ、看護にも自分にも自信があった。しかし、実際に看護師になってからは、自分が同僚や先輩にどう思われているのかが気になり、なかなか分からないことを聞くのが難しかった」と話しはじめました。

そして、「そのことが原因でミスをしてしまいそうになったのだ」と自己分析をすることができました。

この面接を行ったのち、Fさんは自分から病棟師長にこの事情を話し、仕事量の調節をしてもらうことができました。また自分から話しかけることで、先輩看護師とのコミュニケーションも徐々に取れるようになり、分からないことを聞けるようになりました。

このように新人看護師の場合、「看護に自信がもてないこと」が当然なのですが、なにか仕事上で問題が生じるごとに未熟な看護師である自分を責めてしまい、「看護師に向いていないのではないか」と考える傾向にあります。

なかには、上記の例のFさんのように「自分で自分を追いつめてしまっている」ことに気付けないでいる人もいます。頑張り屋で真面目で責任感が強い人であればあるほど、自分の弱さを受け入れることができずに、ストレスに対処しきれていないことがあります。

Fさんはリエゾンナースに助けを求め、面接を繰り返すうちに、ようやく「自分が苦しい思いや不安を抱えていた」ことに気づき、話せるようになっていきました。

医療スタッフのサポート活動も

リエゾンナースは看護師のセルフケアをサポートするだけでなく、「看護師長や看護副師長、プリセプターなどの管理的立場の看護師がスタッフに対して行う指導ケア」を支援する機能も担っています。

また施設の産業医や衛生管理者が行うようなスタッフへの個別相談や教育的支援を実践することもあります。

また上記の事例で挙げたFさんのように、近年、新人看護師の早期離職が問題となっています

そのため、リエゾンナースが入職時オリエンテーションの中で、メンタルヘルスに関する話をしたり、「新卒看護師のセルフケア能力の向上と職場への適応」を目的とした院内プログラムを企画運営したりなどと離職防止活動を行い、一定の成果を上げています。

リエゾンナースが行う、このような看護師のための院内プログラムの目的は、「看護師が自分らしく、イキイキと意欲をもって働き続け、組織のなかで自分は必要な存在である」と実感してもらうことです。

リエゾンナースは看護師にとって「良きサポーター」といえるのです。

リエゾンナースの最終的な目標とは

では最後に「リエゾンナースの究極で、最終的な目標」とは何なのでしょうか。

リエゾンナースはナースカウンセラーと同様に、患者さんやご家族にも直接関わることがありますが、その目的はあくまでも「看護師自身が患者さんやご家族の精神症状や心理・社会的な問題に対しても、リエゾンナースと同じようにアプローチできるようになること」です。

例えば、リエゾンナースが介することによって、抑うつ患者や自殺企図患者について病棟看護師の理解が進み、自信をもって看護をすることができれば、最終的に病棟看護師はリエゾンナースを必要としなくなります。

他にも、新人看護師が自分で「このような考え方をしていたら自分をもっと追い込んでしまいかねない。そうではなくて改善策を探ってみよう」と考えを改めたり、また新人看護師を見守る先輩看護師が「私も新人看護師のときは自信がなかった。大丈夫!〇〇さんはよくやってくれていて、一緒に仕事をしていて楽しい。この病棟に来てくれて本当に良かった」と新人看護師を認めたりすることができれば、リエゾンナースを必要としなくなります。

リエゾンナースの究極で、最終的な目標とは、看護師自身が「リエゾンナースを必要としなくなること」です。

あなたもこのようなリエゾンナースになって、患者さんやそのご家族を、看護師を、病棟や病院を精神的にサポートし、満足のいく環境づくりを行っていってもらえたらと思います。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

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