採血の仕事は看護師ならではといえます。正社員としてだけではなく、パートといった非常勤での働き方も選択できるため、ダブルワークでも可能な仕事だといえます。
ただ採血メインの職場へ転職したいと思ったとしても、仕事内容を理解していない人は多いです。一般的な病院に限らず、献血センターでも採血に関する正社員やパート求人が広く出されるため、仕事の内容を十分に把握したうえでどの中途採用募集に申し込むのか決めなければいけません。
また、献血センターなどの求人に応募するときは事前に注意点があるため、それらもきちんと把握しておく必要があります。
そこで採血メインでの転職を行いたい看護師のため、「採血メインの仕事内容」「採血業務を専門で行うメリット・デメリット」「効率のいい求人探しの方法」について解説していきます。
もくじ
常勤やパート(非常勤)での採血看護師の仕事内容
看護師として採血メインの求人を探すとき、最初に理解するべきは「どのような医療機関であれば採血業務の常勤や非常勤として勤務できるのか」を知ることです。
これには主に以下があります。
- 病院の採血室
- 健診・検診センター
- 献血ルーム
こうした中途採用募集に申し込めば、採血の機会が非常に多い環境にて働くことになります。それぞれの特徴について、以下に記していきます。
総合病院の中央採血室は採血が基本
総合病院など大きな規模の病院には採血室があります。そのため、こうした採血室から中途採用の募集が出ることがあります。以下は実際の採血室です。
規模の大きな総合病院になると、一日に600~800名程度の採血を午前5~7名・午後3~4名ほどのスタッフで行うことがあります。
総合病院の採血室転職で注意してもらいたいのは、「採血室専属の看護師求人があるときに応募しなければ、外来や病棟に回される可能性がある」ことです。総合病院の採血室となると、看護師ではなく臨床検査技師が採血を行う場合が多いからです。
看護師が採血室に配置されている理由は、採血だけを担当していればいいというより、「急変時やトラブル時に対処する役割も担っている」と考えておいたほうがいいです。
そのため総合病院の採血室勤務希望であれば、採用時に「採血が上手い・得意」というだけでなく、急変時やトラブル時にも対処できる知識や技術を豊富に持ち合わせていることをアピールするといいです。
ちなみに採血室の求人となると、パート・アルバイト(非常勤)や派遣の求人が多く、看護師の正社員募集は少ないです。しかし、正社員の求人であっても探せばあります。例えば、以下は横浜にある総合病院の採血室での看護師求人です。
患者数は1日で300~400名と掲載がありますが、患者さんを何名のスタッフで採血することになるのか、事前に確認する必要があります。
なおクリニックとは異なり、総合病院での採血室勤務の良いところは、徹底した感染対策が施されていることです。患者さんごとにゴム手袋をつけかえて採血を行うよう徹底しているところが多いため、感染リスクは少ないといえます。
総合病院の採血室への勤務を希望する場合、看護師・臨床検査技師の配置人数、採血以外の業務の有無、採血患者人数などの職場状況を事前に確認して応募を判断するといいでしょう。
健診・検診センターで採血以外にも広く関わる
一方で健診・検診センターだと、採血だけではなく健康診断や人間ドッグといった検査もするため、尿検査や視力・聴力検査、心電図検査なども仕事内容に含まれます。
特に正社員の場合、採血のみの看護で雇われることはなく、胃・大腸内視鏡介助のほかにも婦人科系の検査介助といった仕事まで行います。例えば以下は、東京にある健診センターの看護師の正社員求人です。
採血はもちろん他の検査介助も行うため、健診・検診に関わる仕事について未経験の人は内視鏡検査介助や婦人科検査介助などの仕事を一から覚える必要があります。
一方で、正社員ではなくパートといった働き方であれば、採血中心の業務を任されることが多いです。例えば以下は、東京にある健診クリニックの看護師求人です。
健診・検診センターの非常勤での看護師求人であれば、視力検査に就いた看護師はその検査ばかり、採血を行う看護師は採血ばかりといった、各検査の専門看護師を配置した職場があります。
健診業務での一連の検査にすべて携わるよりも、採血業務だけに特化した仕事の求人のほうが教わる内容は少ないです。すぐに取り掛かれるため、単発やスポットといった派遣求人も多い傾向があります。
健診を受ける方は朝食を抜いて午前中に検査をする人が多いため、始業時から昼休憩までがバタバタして忙しいです。ゆったりとした雰囲気の中で働きたい方は、パート・アルバイトや派遣で勤務時間を選べる場合、午後からの勤務をおすすめします。
健診車(巡回健診)で働く看護師の中途採用
ちなみに健診の中でも、健診車勤務の場合も主な業務は採血が中心となります。巡回健診にて、各企業を訪問することで「健診センターで行うのと同じ業務を実施する」ようになります。
ただ車内での看護業務になるため、行える健診内容は問診や血圧測定、採血などに限定されます。例えば、以下は富山県の検診車勤務の看護師に関する正社員求人です。
あちこちに移動したり、さまざまな人と出会ったりするのが好きな人は、健診車での仕事はそれほど苦痛ではありません。自宅から現場に直接向かい、現場からそのまま帰宅も可能な求人が多く、始業前と終業後の時間を有効に使えるメリットがあります。
ただ健診車の場合、看護師は2~3名しか同乗していないケースが多く、即戦力として期待される場合が多いです。採血に自信がない人にとってはおすすめできません。
また健診車にもよりますが冷暖房の調整が難しい場合が多く、夏は暑く冬は寒いといった過酷な環境での労働になる可能性があります。
献血ルーム・献血バスでの採血専門看護師
また採血という意味では、献血ルーム(献血センター)や献血バスの仕事もあります。一般的な採血業務と異なる点は、献血ルーム・献血バスで採取した血液を検査に回すのではなく、「採取した血液を使って血液製剤を製造する」ことです。
事前の問診に始まり、ラベル確認や穿刺、器械操作、ドナーへの説明、抜針、血液の温度管理まで、一連の流れのすべてにマニュアルがあり徹底管理されています。
マニュアルの確認不足など、看護師のミスによって採取した血液が使えない事態が発生すれば問題として取り上げられます。ミスがあれば逐一インシデントレポートを提出し、献血ルーム内のスタッフで共有することになります。
献血ルームの求人の一例を挙げると、以下は愛知県内にある常勤・非常勤募集になります。
献血ルームで働くには、各都道府県の赤十字血液センターに常勤か非常勤で採用されることが条件です。経験は問われず、未経験でも献血ルームで働くことができます。
注意しておきたい点として、献血ルームでの単発バイト募集はありません。そのため看護師として、献血ルームでの勤務は責任が大きい仕事であるといえます。しかしその分、やりがいをもって行える仕事になります。
体力仕事ではなく、残業なしで働ける採血業務
それでは採血の看護師として活躍することを考えたとき、どのようなメリットがあるのでしょうか。正社員やパート(非常勤)として働くにしても、自分に合う仕事かどうか事前に確認しなければいけません。
これについて、まずは採血メインの仕事のメリットは次の通りです。
- 体力仕事でない
- 残業なしの場合が多い
- 午後からは比較的ゆっくり働ける
採血の仕事は病棟のように、おむつ交換や入浴・食事介助、ベッド移動といった体力メインの看護ではないため、体力的に疲れるケースは少ないです。ただずっと立っての仕事となるので、この姿勢が苦手な方には向いていないでしょう。
なお「残業は少ない、もしくは無い」という職場がほとんどです。午後からは採血指示が出ることは少なくなり、ゆったりした時間を過ごせる場合が多いです。また土日休みなど休日が決まっているため、家族とのスケジュールを合わせやすい点も魅力です。
さらに採血が現時点であまり得意ではないとしても、毎日採血ばかり行うため、比較的簡単に採血技術がアップしやすいのも特徴です。
また採血メインの職場でれば、必ず一人は採血が上手な看護師がいます。その人からコツを聞き、技を盗めばさらに採血の技術力がアップしてあなたの武器になります。周囲の看護師と自分を比較して、特別不器用でないと思うのであれば十分に活躍できる職場だといえるでしょう。
また空いた時間や休日を利用して、パート・アルバイトや派遣による1日単位での仕事が可能なのが採血業務です。採血技術さえあれば教わるべき課題は少なく、すぐにでも取り掛かれるのが採血求人のメリットです。例えば以下は、東京にあるパート(非常勤)のクリニック求人です。
勤務期間ですが、「単発から長期までの相談が可能」となっているため、興味がある人はこのような求人を探してみるといいです。
常に採血の腕が問われ、単調作業のデメリット
それでは反対に採血がメインの仕事内容になる場合、デメリットとしてはどのようなことがあるのでしょうか。これには、主に以下があります。
- 即戦力として採血の腕が問われる
- ミスが許されない雰囲気にある
- 採血以外の仕事がない
- 感染リスクが高い
採血メインの職場のデメリットですが、採血専門看護師なので採血の腕が問われます。
「上手く採血を行えず、何度も穿刺してしまう」というミスはもちろん起こらないに越したことはありません。さらに、「検体量の採取不足や検体の転倒混和が不十分」「検体スピッツを間違える」などのミスも厳禁です。
このようなミスを犯してしまうと、患者さんにもう一度来院してもらわなければならないだけでなく、病院の評判が下がります。同じ仕事の繰り返しとなっても、名前の確認など基本的な事柄は毎回チェックしなければいけません。
また穿刺で失敗すると、患者さんやスタッフから文句を言われるのは当たり前の職場となります。仮に、クリニックなど定期的に通院している患者さんであれば、顔見知りということもあって、穿刺に失敗してもそれほど文句を言う人はいません。
しかし、健診など年に1回だけの採血で失敗したとなると、穿刺が苦手な健診利用者からは文句を言われるケースが多くなります。また穿刺を何度も失敗するようであれば、自ら交代してほしいと頼んでも他のスタッフが代わってくれない職場もあるので注意が必要です。
他には正社員やパートなどで採血ばかりの仕事をしていると、採血以外の仕事ができなくなる恐れがあります。他の看護ケアを行おうとしても忘れてしまっているケースがあり得るので、将来の転職を考えている場合は必要です。
さらに例えば総合病院の中央採血室、献血ルームだと一日に何百人もの不特定多数の患者さんの採血を行うことがあるため、それに比例して針刺し事故などの感染リスクが高まります。
これが規模の小さい医療機関や健診センターなどでは、感染リスク対策を徹底せずに、採血を実施しているところが多いです。例えば、「手袋の着用をせずに採血する」などです。他の先輩スタッフは手袋を着けずに採血をしているのに、自分だけ手袋をするのも気が引けます。
転職する前にどの程度の感染リスク対策が施されているのか、事前の確認が必要です。
他にも、採血をするたびに電子カルテでの確認や入力が必要となります。
電子カルテの操作で手間取っていると、採血待ちの患者さんが増えてしまい、業務が滞ってしまいます。いずれにしても採血メインの職場は、いろいろプレッシャーが多い仕事なので気持ちを強くもたなければいけません。
効率のよい採血専門求人の探し方
ただ採血メインの看護師求人を探そうと思っても、どこにそうした求人があるのか見つけるのは非常に大変です。また正社員やパート(非常勤)を含めて、希望する働き方に沿った中途採用募集に申し込まなければいけません。
これを自分で一つずつ確認するのは大変です。実際のところ、総合病院や健診センターなどで採血メインの求人があるとはいっても、一般的な看護師求人として公式サイトで広く募集しているのが普通です。また献血ルームや献血バスとはいっても、どうやって求人に申し込めばいいのか理解しにくいです。
そのため、採血や献血ルーム(献血センター)で働きたい看護師は多くが転職サイトを利用します。転職サイトであれば、非常にレアな採血の仕事や献血ルームの求人であっても「採血ばかり担当する看護師を募集」などと、このようなレア求人がピンポイントで提示されるようになります。
なお、転職サイトを活用せず自分で求人先に申し込んでもいいですが、その場合は入職してみると内視鏡介助があったり、他の病棟へ回されたりと自分が抱いていたイメージとは異なってくる場合が多いです。勤務条件について自分だけで事前交渉するのが苦手な看護師は多いものの、入職前後に何らかのトラブルがあっても自己解決しなければなりません。
一方で転職サイトを経由する場合は給料や勤務条件の交渉を含め、第三者の立場としてすべて代行してくれます。こうした現実を含めて採血メインや献血ルームなどレア求人の場合、転職サイトの活用が大原則になります。
採血メインや献血センターへの求人を探す
採血を主な仕事として転職したい看護師であれば、仕事内容を理解して求人に申し込まなければいけません。そうしないと採血以外の検査に就く必要が出てきたり、採血室にあなた一人しか配属されず仕事がハードだったりすることがあります。
入職した後で「このようなはずではなかった」と後悔しないで済むように、職場選びの段階での情報収集を怠らないように注意しましょう。
また採血の職場とはいっても、総合病院や健診センター、献血ルーム(献血センター)など幅広いです。さらには正社員やパートなど様々な雇用形態の求人が出されているため、この中から申し込みたい中途採用募集を見極めるようにしましょう。
ただ体力仕事となる一般的な看護師の仕事とは異なり、単調作業になりがちですが残業なしで日勤のみです。また、午後からは比較的ゆっくり働ける場合がよくあります。こうした環境で仕事をしたい場合、採血メインや献血ルームの求人を探すようにしましょう。
求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。
一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。
ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。
これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。
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