留学などを経験していたり、TOEICの点数に優れていたりなどと、英語を話せる看護師であるなら、看護師資格と英語のスキルの両方を活かして働きたいものです。

しかし看護師だと、どのように英語を活かす看護師求人を探せばいいのか見当のつかないケースが多いです。そして結局、英語力を有していても英語能力で優遇されていない雇用条件で働いている場合がほとんどです。

ただ、せっかく英語能力があり英会話ができるなら、転職して英語を使う職場で優遇してもらいながら働きたいものです。そうすれば「看護師」「英語」というあなたの両方のスキルを活かすことができ、より満足した働き方を実現できます。

私自身、看護師資格以外にも英語の勉強が好きで、過去に英検準1級、TOEIC730点、GTEC628点を取得しており、いまの職場で英語を使って働くことができています。そこでここでは、「看護師が英語力を活かした求人へ転職することは可能か」について述べていきます。

英語力を優遇してくれる求人とは

一般的に看護師といえば、英語力は問われない職場が多いように思えます。しかし、いまではクリニックや病院で英会話のできる看護師の求人募集が増えてきました。国際化が進むにつれ、ますます英語のできる看護師の需要は高まっていきます。

それでは、英語力や英会話能力を優遇してくれる日本の看護師の職場とは実際にはどのようなところでしょうか。例えば以下に挙げる医療機関であれば、英語力のある看護師を求めている職場といえます。

  • 外国人患者さんの多いクリニック・病院
  • メディカルツーリズムに積極的なクリニック・病院
  • 空港内の医務室・クリニック
  • 製薬会社での臨床開発モニター(CRA)
  • 海外展開している日本企業の産業保健師・産業看護師

それではそれぞれ説明していきます。

大使館や米軍基地など、外国人の多い地域のクリニックや病院

英語を活かして看護師として働きたいのであれば、海外からの居住者の多い地域のクリニックや病院で働けば、必然的に英語力を有するスタッフが必要となります。海外からの居住者の多い地域といえば、大使館や米軍基地などが立地するエリアが挙げられます。

大使館が多い地域といえば、東京だと港区や渋谷区、千代田区、目黒区などになります。港区には80以上、渋谷区には20以上の大使館が存在します。他には米軍基地といえば沖縄は当然として、他にも青森県三沢市、東京都福生市、神奈川県横須賀市、山口県岩国市、長崎県佐世保市などがあります。

特に大使館の近くには外資系企業が多く、そこでは多くの外国人従業員とその家族が生活しています。そのような地域では、必然的に外国人患者さんの来院する機会が増えます。

アメリカ大使館のホームページには、次のような「英語で受診できる日本の病院リスト」が掲載されています(こちらは一部です)。

アメリカ大使館のホームページに載っている医療機関リストの存在は、英語を話せるスタッフの必要性を意味します。

また外国人の居住地域近辺の医療機関であれば、来院される患者さんは外国人が多いです。その場合、英語でコミュニケーションをとる場面が必然的に増えてきます。前もって来院することが分かっていれば、外国人側は通訳と同行することが可能ですが、急な病気やケガなど緊急の場合もあります。

このような理由から、外国人の多い地域の医療機関では英語スキルを保有する看護師を優遇する傾向にあります。例えば、以下は外国人居住地域である東京都港区にある総合病院の看護師求人です。

英語能力のある看護師を求めていることが明記されています。ちなみに月給27万円からと、一般的な看護師給料よりも高めに設定されています。このように海外からの居住者が住んでいる地域近辺の医療機関であれば、必然的に来院される患者さんは外国人が多くなります。

英語に自信のある看護師だと、このような求人を積極的に探すほうが英語能力を評価してくれるため、仕事へのモチベーションが上がるのでおすすめです。

メディカルツーリズムに積極的なクリニック・病院で高年収を目指す

また海外からの居住者が多い地域以外にも、わざわざ来日してまで診察や人間ドックを受けたいという、海外で人気のクリニックや病院があります。

なかには海外からツアーを組んで、日本の高度な医療を受けようと来日するケースがあります。そのようなクリニックや病院は、もちろん英語能力のある看護師を積極的に採用しています。例えば以下は、埼玉県にあるメディカルツーリズムに積極的な総合病院の看護師求人です。

他にも例えば、以下は東京都江東区にある会員制の健診クリニックから出された看護師求人です。

このクリニックでは来院される患者さんの9割が英語圏の方であるため、英語能力のある看護師を募集しています。

また健診・人間ドック以外にも、専門性のあるクリニックや病院であれば、わざわざ外国人が来日してまで診察を受けたいと考えてもらえる医療機関があります。例えば、がん遺伝子検査やがん遺伝子治療を専門にしているクリニックの看護師求人などがこれに該当します。

また以下に紹介するのは、院長がアメリカ形成外科専門医であり、主に「日本に居住する外国人」を対象とした美容整形クリニックです。

英語力は十分とはいえないまでも、英語と美容医療に興味があり、今後も英語能力を伸ばしていきたい看護師にはおすすめの求人です。

メディカルツーリズムを含め、外国人をターゲットにした看護師求人は東京や大阪などの都市部を中心に存在します。こうした求人なら英語での会話が日常的であり、看護師として英語スキルを大いに活かせるようになります。

空港内の医務室・クリニックの外来は外国人が多い

次に外国人の多い場所としては、空港内や空港近辺にあるクリニックの外来が挙げられます。国際空港内に設置された医療機関では、大学病院付属のクリニックや民間の医療機関が開院しているケースがほとんどです。

空港内の医務室やクリニックでの看護師の仕事では、空港やフライト中に生じた病気・ケガによる体調不良の患者さん対応が多いです。緊急性の有無を素早く把握し、加療が必要だと判断された場合、近隣の医療機関へ搬送します。

当然、空港内に設置された医務室やクリニックの外来には外国人患者さんが多いため、英語の話せる看護師を優遇する場合が多いです。ただ緊急場面での処置などを必要とされる機会があるため、英語スキルだけでなく、迅速で適切な対応を行える看護師能力も要求される職場です。

以下に空港内にあるクリニックの看護師求人の一例を挙げておきます。

月給は22万円からと一般的なクリニックと同程度ですが、空港内クリニックは「空港」という女性に人気のある立地条件にあり、さらには求人自体が限られるので、こうした現状になっています。

製薬会社の臨床開発モニターやDIで英語を活かす

またクリニックや病院といった医療機関でなくても、英語能力があると優遇される職業があります。それは製薬会社といった企業の臨床開発モニター(CRA)やDI(ドラッグインフォメーション:学術)です。こちらは看護師ではなく、企業勤めの会社員となります。

臨床開発モニターは、「治験が法に準じて実施されているかどうか」のモニタリングを行うのが主な仕事です。またDI・学術職の場合、英語文献を読み解いて医師やMRへ情報提供するのが仕事になります。

臨床開発モニターやDIになるには、特別な資格は必要ありません。しかし実際の仕事内容は医療知識を問われるケースが多く、看護師や臨床検査技師、薬剤師などが多く活躍する職種となります。

こうした職業だと、英語を活用する場面が多くなります。例えば臨床開発モニターで国際共同治験(世界同時で薬の臨床開発を行うこと)を実施する場合、あらゆる国の人々と英語でやり取りすることになります。外資系に限らず、内資系のCRAでも英語を活用する場面が多くなるのです。

ただ基本は国内での仕事となるため、必ずしもビジネスレベルの英語能力が必要なわけではありません。しかし英語能力があるに越したことはなく、英語スキルを優遇してくれる求人が多いです。

以下にCRAの求人一例を挙げますが、東京にある大手外資系企業になります。

TOEICで650点と、それほど高い英語力を必要としているわけでありませんが、この程度の点数があると応募資格を得られるのです。

看護師を離れて製薬会社へ就職し、英語を活かすという方法もあります。医療へ直接かかわるというよりも、間接的に医療支援するのが企業で働く求人となります。

海外で活躍する日本企業の産業保健師・産業看護師

他にも海外に事業展開をしている日本企業の産業保健師や産業看護師であれば、海外勤務となることがあり、英語力を発揮できます。

例えば以下のような、海外展開している日本企業の看護師・保健師求人です。

この求人ではベトナムのハノイに派遣され、そこで働く日本人とその家族のための健康管理や傷病時の応急処置を行うのが主な仕事となります。駐在員としての待遇のため、月給も破格の月63万円と高収入になっています。

海外展開しているこうした大手企業で働くことになるため、きれいな社宅や運転手付きの車が用意されているなど、待遇面でも申し分のない内容となっています。

ただこのような看護師・保健師の求人は申込者が殺到するため、面接に受かるためには対策を十分に練っておく必要があります。

私の職場で英語を用いた看護の仕事のやりがい

ちなみに当サイトの管理人である私自身、英語を活用して看護師として勤務しています。私の住んでいる地域は米軍基地の近くになります。

院長が昔アメリカに住んでいたことがあるため、「あそこのドクターは英語が話せる」と軍人の間で口コミが広がり、基地内のアメリカ人やフィリピン人など英語圏内の外国人が多く来院します。以下のように外国人専用の問診表があります。

基地内にも軍人専用のクリニックが設置されているのですが、口コミなどから私が勤めるクリニックを受診することがあるのです。

私の勤めるクリニックには、一日に150名程度の来院患者数に対し、そのうち外来でだいたい5名くらいの外国人が訪れます。日本語を話せない外国人の場合、通訳や日本語を話せる家族を連れて来ることが多いですが、中には通訳同行なしで来院する方もいます。

そのようなときは私の出番です。私の勤める職場では、看護師だと私しか英語を話せる人がいません。

私が英語を使うシチュエーションでは、外国人専用の問診表の記入をお願いし、外国人患者さんの主訴を聞き、症状を伺います。また、検査や処置の説明をするときも英語を使います。必要であれば、トライケア(Tricare:軍人とその家族の医療保険)の簡単な説明などを行います。

これらの会話力くらいであれば、英検準一級くらいでも十分に対応できます。ただ、医療専門用語だけは勉強しなおしました。

来院された外国人患者さんの多くは「私(外国人患者さん)は日本語を話せず、知り合いがいなくて心細かった。けれど、あなたがいてくれたから、病気になってもとても心強かった。いつも私のことを気にかけてくれていて感謝している」と言ってくれます。

これが私の「英語が話せる看護師」として仕事でやりがいを感じるときです。また、英語が話せて良かったと思える瞬間です。外国人の患者さんにはこのように言ってもらえるように、いつも仕事に取り組んでいます。

英語能力を優遇する職場に出会うポイント

なお、ここまで英会力を活かせる看護師求人を紹介してきましたが、一般的な看護師求人だと「英語スキルを優遇」と掲載されていることは少ないです。採用側としては「英語を話せなくても問題ないけれど、できれば英語が話せる看護師が望ましい」という場合がほとんどです。

英語スキルを優遇してくれるのであれば、そのことを求人に記載してもらえると、英語力のある看護師からすると非常に分かりやすいです。しかし、もともと英語を得意とする看護師は少数です。

もし看護師求人に「英語スキル優遇」と記載してしまうと、英語を話せない多くの看護師が「この看護師求人は英語能力が必要だから私には無理だ」と判断します。そうして求人内容を詳しく知る前に最初から敬遠してしまい、応募者が減少します。

このようなことから「英語スキルのある看護師を優遇する」と記載のない求人であったとしても、実際には英語力を高く評価してくれる場合があります。そこで、できるだけ多くの求人情報を集めるようにしましょう。

それと同時に、英語力を評価してくれる中途採用募集に応募しなければいけません。例えば、以下のような中途採用の募集であれば、一般的なクリニック看護師と同程度の月給となってしまいます。

せっかく英語ができてもこのような待遇では、「英語力を活かせる」とあっても申し込むのは微妙です。職場で英語の会話や外国人の相手ができればいいわけではなく、年収に反映される必要があります。

求人情報を集める効率よい手段は転職サイト

それでは、「英語スキル優遇」と「良好な職場環境」の二つを併せもつ職場には、どのようにして出会えばよいのでしょうか。これについては自分で求人情報を集めるのではなく、転職サイトの利用を考えましょう。

前述の通り、「英語スキルを優遇する」と求人票に記載がなくても、看護師の英語能力の必要性を理解し、評価してくれる隠れた求人があります。そうしたとき転職サイト側は「この求人先は英語力のある看護師を評価してくれる」という情報をもっているため、問題なく引き合わしてくれるのです。

さらに転職サイトだと、高年収を引き出すために求人先と交渉するのも仕事です。そこで、医療機関とあなたの間に第三者(転職エージェント)に入ってもらい、給与や待遇交渉をしてもらいましょう。

私自身もいまの職場に転職する際、英語スキルについては求人欄に何の記載もありませんでした。しかし英語を話せるため、私は待遇面で優遇してもらっています。

私はいまの職場に転職する際、履歴書の資格の欄に「実用英語技能検定準1級合格」と書きました。面接のとき、院長から「私のクリニックでは、外国人が結構来るから英語能力があると助かる」といわれました。

そのとき、一緒に同行してくれた転職サイトの担当者が「この方(私のこと)は英検準1級を保有していて、オンライン英会話を利用してまでも医療英語を個人で学習されています。御院は英語を話せる看護師がいると、検査や処置を滞りなく行えます。英語スキルをもっていることでの優遇策を提案していただけると嬉しいのですが……」とその場で交渉してくれました。

この言葉を聞いて院長はしばらく悩んでいましたが、「オンライン英会話の受講料はクリニックもち」「準1級をもっているので基本給を5,000円アップ」とその場で決定してくれました。

こうして私は月の給与が5,000円アップし、さらに今まで自分で支払っていたオンライン英会話の受講料も負担しなくてもよくなりました。自分で交渉するのではなく、高年収や優遇措置は転職サイトから交渉させるようにしましょう。

参考までに以下の写真は、GTECという英語4技能を計るテストを受けた私のスコアになります。630くらいのスコアがあれば、英語を使って仕事場でコミュニケーションが問題なくとれるレベルです。

ただこれが、面接の場で個人的に給与交渉をするとなると非常に難しいです。「英語が話せるからといって、初対面の面接の場で給与交渉をしてくるなんて」と不審に思われてしまい、不採用になる可能性が出てくるからです。

求人欄に英語スキルの優遇について具体的な内容が記載されていなければ、他の英語ができない看護師と同じ待遇になってしまいます。当然、あとから待遇・給与交渉をするのは至難の業です。そのため転職サイトなど第三者に間に入ってもらい、面接の時点で待遇面の交渉してもらいましょう。

仕事で英語を使う希少求人は自分から進んで見つけるべき

このように、英語を活かす希少求人を探し転職しようと考えているのであれば、自分から積極的に活動することが非常に大切です。いくら英語が話せるからといって、黙ったまま行動を起こさなければ、良い求人に巡り合うことはできません。

英語スキルを優遇してくれて、さらには英語力を活かせる職場環境が整った求人というのは、個人的に探すのには限界があります。中途募集の求人自体が非常に少ないですし、表立って募集されているケースは稀だからです。

しかし、探せば外国人を相手にする病院やクリニック、企業の求人を見つけることは可能です。ほとんどは隠れている求人ですが、そうした募集に申し込めば問題ありません。

英語力があって外国人と会話できるにも関わらず、その他の看護師と同じ評価で留まっているのはもったいないです。そうではなく英語力がある場合、積極的に英語能力を評価してくれる求人へ応募し、より優れた職場環境で働くことを考えましょう。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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