緩和ケア病棟に転職して「人生の最期を迎えた患者さんに寄り添い、より深い看護を丁寧に行っていきたい」という希望を抱いている看護師が存在します。

このような方の多くは、看護業務を行う中で「患者さんに対して、より多くの看護ができたのでないか」という思いを根底に抱いているのではないでしょうか。きっとこのような方は看護師として、患者さんとそのご家族の立場になって看護を行ってきた責任感の強い方なのでしょう。

しかし実際の業務となると、親しくなった患者さんの死に直面し、今まで以上に多くの看取りに立ち会うことになります。いくら責任感が強い看護師とはいえ、このような仕事内容に「精神的なストレスに耐えられなくなってしまうのではないか」と不安になることがあるかもしれません。

そこで、今回の記事では緩和ケアの求人を探している転職希望の看護師に向けて「どのような仕事内容であるのか」「死を前にした患者さんに対する看護師の役割」などについてお伝えしていきたいと思います。

看護師が緩和ケアで働くには

まず、看護師が緩和ケアで働くには、どのようにすれば良いのかについて述べていきます。

緩和ケアという言い方の他にも、「ターミナルケア」「ホスピス」などという呼び方もあり、すべて終末期医療を意味しています。明確な定義はありませんが、死を回避する方法が無く、余命3~6ケ月以内の方に施されるのが終末期医療です。

ホスピス緩和ケア病棟だけでなく、次のように、さまざまな緩和ケアのあり方が存在します。

  • 院内ホスピス緩和ケア病棟
  • 院内独立ホスピス緩和ケア病棟
  • 完全独立型ホスピス緩和ケア施設
  • 在宅でのホスピス緩和ケア
  • 緩和ケアチームによる院内活動

緩和ケアといわれるうちの約7割が、院内に設置されたホスピス緩和ケア病棟です。院内ではあるものの別棟で管理されているなど、独立してホスピス緩和ケア病棟が設置されているものが約2割程度、ホスピス緩和ケア専門で設置された施設は1割未満となっています。

他にも、訪問看護ステーションなど在宅でホスピス緩和ケアを行う場合や、院内で緩和ケアチームを作って各科の終末期にある患者さんをラウンドしてサポートしている場合もあります。

・緩和ケアチームとは

上記で挙げた緩和ケアチームについて、さらに詳しく述べていきます。

緩和ケアチームとは、緩和ケア専門の医師・看護師・薬剤師が中心となって、「患者さんの苦痛を緩和するための必要な処置や薬剤について主治医や担当看護師に助言したり、精神的支援や環境調整のサポートをしたりする役割」を担う緩和ケア専門家集団です。

緩和ケアチームが院内に設置されている場合、例えば「各診療科では主治医ががん治療を専門に行い、緩和ケアチームが主治医と連携を取りながら、患者さんの苦痛を取り除いていくサポート」を行います。

保険診療上、緩和ケアチームの専門医は「症状を緩和する治療を主な業務とした経験が3年以上あること」もしくは「3年以上がん専門病院又は一般病院での精神医療に従事した経験を有する者であること」となっています。

看護師の場合であれば、「看護経験が5年以上あり、所定の資格を取得すること」となっています。この場合の所定の資格とは、緩和ケア認定看護師、がん性疼痛看護認定看護師などです。

ただし上記の条件を満たしていなくても、緩和ケアチームとして活動を行っている医療機関があります。そのため、認定看護師などの資格がないからといって緩和ケアチームに必ずしも入れないわけではありません。

緩和ケアチームとして活躍したい希望があれば、医療機関に直接問い合わせてみるとよいでしょう。

緩和ケア病棟やホスピス施設、緩和ケアチームのどの場合を選択しても、医師・看護師・薬剤師と連携をとり、さらに心理療法士やカウンセラー、介護福祉士、麻酔科医・精神科医なども加わり、患者さんのケアに当たります。

患者さんやそのご家族に一番近い存在は看護師です。緩和ケアに携わる看護師は、患者さんやそのご家族の気持ちを代弁する役割を担うことが多く、満足する最期の環境を整える責任ある立場にあります。

緩和ケアとは対症療法中心のケア

では緩和ケアとは具体的にはどのようなものか、詳しくみてきましょう。

緩和ケアとは、疾患の根治の見込みがない病状に対して行われる対症療法を中心としたケアです。患者さんとそのご家族の肉体的・精神的苦痛を緩和し、QOL(Quality of life:生活の質)の維持や向上を目指した医療を行います。

ホスピス緩和ケア病棟に入院対象となる患者さんは、保険診療上「主として苦痛の緩和を必要とする悪性腫瘍の患者又は後天性免疫不全症候群(エイズ)の患者」となります。他の病気で余命宣告されたとしても、がん・エイズ患者さんでなければホスピス緩和ケア病棟などに入院することはできません。

なぜ、がん患者さんにとって緩和ケアが必要なのでしょうか。それは、がんの進行とともに苦痛が出現し、その苦痛は患者さんの生きる力を失わせてしまうからです。

ホスピス緩和ケア病棟では、抗がん剤投与や放射線治療といった病気そのものに対する治療は行わないことが多いです。

しかし、いつもの診察は患者さんやご家族の希望に応じて継続して実施していきます。また、全身状態を維持するために、輸血や点滴、血液検査やレントゲンといった治療や検査は続けて行うことが多いです。

看護師の具体的な仕事内容

緩和ケア病棟の看護師の仕事内容を大まかに以下に挙げていきます。

  • 身体的・精神的苦痛症状を緩和するケア
  • 社会的な苦痛の緩和
  • 死の恐怖への緩和
  • 日常生活援助
  • 患者さんとそのご家族の意思決定のサポート

緩和ケアは、モルヒネなどの痛み止めや麻酔などを用いて、苦痛緩和することを目的としています。すなわち、がんの終末期患者さんに対して、患者さんとそのご家族が後悔することなく患者さんの最期まで、その人らしく生きていけるようサポートを行う場ということです。

【ホスピス緩和ケア病棟の看護師の一日の流れ】

ホスピス緩和ケア病棟の看護師(日勤)の大まかな仕事の流れについて述べていきます。

8:00 出勤・申し送り

8:15  病室ラウンド・バイタル測定

8:45 注射・点滴の準備

9:00 清拭・入浴介助 おむつ交換

11:00 配薬・昼食配膳

12:00 食事介助

13:00 カンファレンス

13:30 休憩

15:00 看護記録の記入

16:00 麻薬確認

16:30 申し送り・夕食配膳

ホスピス緩和ケア病棟の看護師だからといって、他の科の看護師と仕事の流れに大きな違いはありません。ただ、緩和ケアに携わる看護師は、一日の仕事の中で、患者さんとそのご家族の苦痛に寄り添い、「看護師として、いま自分にできることは何か」を模索していくことが大切になります。

緩和ケア看護師のジレンマ

緩和ケア看護師は他の科の看護師とは異なり、特有のジレンマを抱えやすいとされています。緩和ケア看護師の多くの方は、患者さんと寄り添い、最期まで人間らしい生活を送れるようサポートしたいと考えています。

ただ現実には、そのような精神的サポートだけでなく、「一日の流れ」のところでも挙げたように日常生活援助も大切な看護ケアの一つです。

重症度の高い寝たきりの患者さんの入院が多ければ、日常生活援助に一日の大幅な時間を割かれ、自分が思い描くような援助を充分に行えないことがあるかもしれません。

緩和ケア看護師となって、一番注意したい点は「限られた時間」です。患者さんの立場になってみて考えると、「今日一日は患者さんにとっては、かけがえのない時間。人生の中で一番大切に過ごしたいひととき」なのかもしれません。

患者さんに、必ずしも明日があるとは限りません。看護師の仕事の都合で「ケアは明日に行おう」と引き延ばしてしまっては、患者さんだけでなくケアを行う看護師も後悔する可能性が出てきてしまうのです。

かといって、何もかも患者さんを満足させるようなケアを今日中に行えない場合も多々あります。そのようなとき、緩和ケア看護師は自分を責めて、多大なストレスを抱え込んでしまうことがあります。

また、京都大学大学院医学研究科の「ターミナルケアに関わる看護師のバーンアウトとSOC(the Sense of Coherence:ストレスに対処する力)との関係」によると、緩和ケアに携わる看護師は患者さんと最も近い関係にあるため、患者さんの無念、悲しみ、恐れに共感しやすい傾向にあるとされています。

その結果、看護師のバーンアウトに他の医療従事者よりも陥りやすいとされています。バーンアウトとは、心的なエネルギーを過度に要求され、極度の疲労と感情の枯渇といったストレスを生じ、すべてに意欲を失う「燃え尽き症候群」のことです。

このように緩和ケア看護師は「患者さんの負の気持ちに共感しやすい場面」や「大切なケアをすべて行いたい反面、時間や労力が足りずに行えない場面」などに多く遭遇することによって、緩和ケア看護師に特有のジレンマに陥りやすいのです。

ジレンマに陥らないためには、毎回最高のケアを

このようなジレンマに陥ってしまうと、自分を責めて、自分自身を追い込んでしまう人が多いです。しかし、それでは志高い優秀な看護師が一人、減ってしまうことになります。

ジレンマに陥らないためには、一つひとつのケアを最高のケアにするよう心がけることで解消できます。例を挙げてみます。

緩和ケア病棟に入院する高齢女性のHさんは、「年寄りは3回死ぬ」と言うのが口癖でした。

1度目の死は、施設に入所したときです。彼女は夫亡き後、一人暮らしを希望していましたが、体が不自由であるため、周囲に迷惑はかけられないと死ぬ思いで施設に入ることを決意しました。そのとき、彼女の心は一度、死んでしまったそうです。

そして、2度目の死は、排泄に介助が必要となり、おむつを当てられたときです。

Hさんはもともとトイレが近いため、尿意を感じるたびに何度も看護師や介護士を呼んでいたそうです。すると介護士に「たびたび、トイレで呼ばれては困る。もう少しトイレを我慢してほしい」と言われたそうです。

しかし、尿意を我慢することはHさんにとっては難しく、Hさんは半強制的におむつを付けられるようになりました。それが、彼女が人として2度目に感じた死でした。

そして3度目の死は本当の死です。Hさんは「年寄りになるってことは、3回も死ぬことを覚悟しないといけない」といっていました。

しかしその言葉の後でHさんはこう続けました。「けれど、やさしい看護師さんもいるの」と。

Hさんが便秘を訴え、下剤や浣腸をかけてもらっても、下腹部が張って苦しくてたまらないときがあったそうです。そのことをなかなか言い出しにくく、Hさんは苦しみを我慢していたのですが、いつもと違うHさんに気づいた看護師がすすんで摘便を行ってくれたそうです。

Hさんは、その苦しみから解放されたときのことを話してくれました。

「その看護師さんは、嫌な顔ひとつせずに、自分の指を使って便を出してくれました。私は、もったいなくて涙がでました。自分から進んで、人のお尻に指を入れて便を出すなんて、看護師さんのほかに誰がしてくれるのでしょう。あのことは、本当にありがたいことでした」と。

摘便後の爽快感をHさんは「生き返った」と表現しました。

看護計画に盛り込んだケアをすべて行えれば、それほど患者さんにとってありがたいことはありません。しかし、その中の一つしかケアが行えなくても、それを真心こめて実行すれば、それは患者さんの心に刻まれていくのです。

私たちが何気なく行っていたケアであっても、QOLを高めることができるのです。限られた患者さんとの時間をどう使うかは、緩和ケア看護師一人ひとりにかかっているといっても過言ではありません。

このように患者さんも自分も後悔しないために、目の前のケアを大事にすることが緩和ケア看護師に求められています。

死を前にした患者さんに対する看護師の役割

では緩和ケアに携わる看護師の役割について具体的に述べていきます。緩和ケアに関わる看護師の役割とはどのようなものでしょうか。ある事例をとりあげ、考察していきたいと思います。

Oさんは87歳、男性。S状結腸がん、直腸がんの手術を受けた2年後に再発をし、転移性肺がん、骨転移、がん性腹膜炎によるイレウスで緩和ケア病棟に入院してきました。

病状は末期で、麻薬による鎮痛、中心静脈栄養、腸蠕動改善薬の投与といった対症療法が行われました。Oさんは嘔気や嘔吐、左下肢痛が強く、入院5日目から「早く死にたい。生きるのが辛い」という言葉を吐くようになりました。

入院2週間目にイレウスが改善し、受け持ちの看護師と一緒に車いすで渡り廊下を散歩したときのことです。看護師が体調について問うと、Oさんは「このような状態で生きているとは到底言えない。自分の人生なのにすべて人の手を借りないといけないなんて」とつぶやきました。

それからOさんは受け持ち看護師に、「自分が木彫り職人であったこと」「2人の娘たちを立派に育て上げたこと」「老人会で会長を務めあげたこと」「自分の人生は幸せだったこと」などを語りました。

受け持ち看護師はOさんが人生を活動的に生きていることに幸せを感じており、いまの寝たきりの状態はOさんの人生でこの上ない苦痛であると考えました。

そこで受け持ち看護師は、「Oさんはもともと活動的な生活を送っており、何もできないことにストレスを感じていることから、作業療法を行い、生きていることを実感してほしい」と考えました。

まず、受け持ち看護師は、Oさんが車いすに乗っている時間を少しずつ増やしていきました。そして、1週間で60分間の車いす乗車が可能となりました。次に、家族に木彫りに必要な道具を準備してもらい、妻に手伝ってもらいながら木彫りを行うようになりました。

木彫りを始める前と後を比較すると、体調は改善され、痛みも和らいでいました。

「リハビリは楽しくて、充実している」という言葉が聞かれるようになり、家族からの差し入れに、過去に自分が制作した木彫りの皿を使い、少しずつ摂取できるようになっていきました。

木彫りを始めてから、俳句の本を読んだり、孫に会って笑顔になったりする場面が見られるようになりました。

それから2ケ月経過し、Oさんは感染症を併発し、個室へ転室しました。しかし、機能訓練と作業療法は病室で継続して行いました。病状は進行していたものの、Oさんの口から入院当初に聞かれた悲観的な言葉はありませんでした。

とにかく木彫りに集中しているOさんの表情は真剣そのものでした。それから10日すると、痛みや息苦しさが出るようになり、車いすに座っていることが難しくなりました。木彫りはOさんの体調の良いときに、看護師が準備をして作業を続けました。

そして木彫りの作品がついに完成しました。いまにも羽ばたいていきそうな野鳥でした。さらに10日後、病状が悪化し、次の作品を製作途中のまま断念することになりました。

Oさんは家族に「自分の死が近い」ことを告げた1日後、妻と娘2人、孫たちに囲まれて静かに永眠しました。臨終の場でご家族から「父は最期まで職人として立派に生きた」という言葉がありました。

Oさんは入院当初、生きることを諦めていました。しかし、Oさんの生きがいであり仕事であった木彫りを始めてからは、生きる目的をもつことができていました。たとえ日々、死へ一歩一歩近づいていくとしても、木彫り制作を続けられたことはOさんにとっては何事にも代えられない喜びでした。

そのことに気づいた受け持ち看護師は、Oさんに生きる目的を見つけ出し、最後まで生き抜く力を与えました。これは患者さんのその人らしさを保ち続けながら、看護の可能性を模索して活用できた最高の事例といえるでしょう。

緩和ケア看護師がいつも心を傾けないといけないのは、患者さんの最後の願いを実現できるようにすることです。そのためには看護師として「自分は何ができるのか」という答えを探し続けなければなりません。

患者さんの一番近くに看護師が存在する意味を考え、「目の前の患者さんにいま何ができるか」を問い続け、模索し、実践することが大切です。

緩和ケア病棟で働く看護師の実際の体験談

緩和ケア病棟で働くYさん(看護師長)から私が聞いたインタビューを掲載します。まずはYさんのプロフィールを述べていきます。

Yさんが勤めているのは総合病院の緩和ケア病棟です。緩和ケア病棟は全部で26床であり、個室が20室、二人部屋が3室となっています。スタッフは緩和ケア専門の医師が1人、看護師は師長のYさんを含めて20人、看護助手が3人です。

Yさんが3年前に師長となってから、ずっと満床が続いています。

陽当たりのよい平屋の別棟で、救急車の音も聞こえません。すべての病室から直接四季折々の木々の変化を眺められるようになっています。家族が付き添える和室、患者さんたちの憩いの場である広間もあります。

こちらの緩和ケア病棟の平均入院日数は30日です。根本的な治療はせずに、痛みや息苦しさは点滴や薬でコントロールし、多くの患者さんは苦痛を感じず、平穏な生活を送っています。

Yさんはがん患者さんを看取るようになって14年目です。様々な現場を遭遇し、多くの死の過程に立ち会っています。その中で、Yさんが感じた事や看護のやりがいについてインタビューしていきたいと思います。

※インタビュアー(私)は「管理人」と表記します。

・管理人
この度は、このような機会をいただけてありがとうございます。では始めさせていただきます。まず、緩和ケア病棟で看護師としてのやりがいについて教えてもらえたらと思います。・Yさん
はい、私は14年間、緩和ケア病棟で看護師として働いていて、「早く楽にさせて」と絶望の底から患者さんが訴える言葉、自分の手をずっと握っていてほしいと訴えるやせ細った手、死の瞬間まで
家族をむなしく待ち続けた患者さんの孤独など、忘れようにも忘れられない看護がたくさんあります。このことを思い出すと、心がぎゅっと苦しくなることがあります。

ただ毎日の看護の中で患者さんを観察していたら、どの患者さんもある日表情が不思議なほど澄み切って美しくみえるときがあります。手の動き、声音、まなざし、体の線までやわらかくなっているのです。看護師として長年の経験から、それは患者さんの死期が近づいたときだと分かります。

憎まれ口を叩いていた患者さんや死への恐怖に最後まで逃れられなかった患者さんでさえ、亡くなるときはみないい人になります。この緩和ケア病棟では、苦しんで死を迎える患者さんはおらず、厳粛な静寂の中で終わっていきます。

多くの患者さんが「ありがとう」と口に出し、静かに旅立って行かれるのです。死を前にした患者さんの感謝の言葉は、とても重みがあり、看護師としてのやりがいを感じることができています。

・管理人
緩和ケア病棟では患者さんの病状の根治を望めないので、看護を辛く感じることはないでしょうか。

・Yさん
根治を望めないからこそ、看護の底力が問われると私は考えています。患者さんやご家族は、不確実な時間を過ごさないといけません。そのときをいかに充実した時間にするかは、緩和ケアに携わった医療従事者の責任です。

「早く楽にさせて」と患者さんに悲痛な言葉を言わせないケアを目指して、私たち看護師は日々取り組んでいます。

苦痛を緩和することで、患者さんに心のゆとりや肉体の安楽をもたらせ、「残された生への時間を満足して過ごしてもらう」ケアを組み立てることが、緩和ケアに携わる看護師の仕事だと思っています。

・管理人
長い間、Yさんは緩和ケア看護師として多くの患者さんの死に向き合ってこられたと思いますが、どのようなときに大変と感じることが多いでしょうか。

・Yさん
それは、患者さんが自分の病気についての現状を把握していないときです。

医師の説明が十分ではなく患者さんが納得しておらず、がんを受け入れられていなかったり、ご家族が本人には知らせないでおいてほしいと強く希望したりしたとき、または患者さん自身が病気についての現状を知るエネルギーをもっていないときです。

このようにインフォームドコンセントが成立していないと、いくら看護を一生懸命していても、しばしば悔しいことが起こります。

私たち看護師は「患者さんとそのご家族にとって一番いい状態、いましかない安定したとき」を後悔しないよう過ごしていただきたいと願い、その環境を整えます。しかし患者さんとそのご家族が自分の病状や死期を把握していないと、大切な時間をみすみす逃してしまうことがあるのです。それはそばで見ていて、本当に悔しいことです。

看護師として、私は患者さんにその大切な時間を自分の思い通りに楽しみ、満足していただきたいと思い、サポートしています。

しかし、患者さんや家族が病気を受け入れていなければ、この絶好のタイミングを失い、結果的に患者さんのQOLをそぐことになってしまいます。私はこの時間を一分一秒でも無駄にしてほしくないため、緩和ケア病棟に入院する意味を患者さんやご家族に考えてもらえるよう、説明しています。

・管理人
病状が悪く、立つことも動くこともできなくなってから入院される患者さんの場合は、どうでしょうか。

・Yさん
そのような重症度の高い患者さんも多いです。「このような重症患者さんに対する看護が一番悔しい」といっても過言ではありません。もう少し早くから緩和ケアの外来に来ていただき、適切な処置を受けていれば、苦痛を最小限に抑えられ、終わりへの時間を一緒に作っていくこともできたのに …… と思います。

しかし、これは患者さんやご家族の責任ではありません。緩和ケアの重要性と有用性に無知か、無関心である医療側の責任でもあると感じています。緩和ケアは施す治療のなくなった患者さんが送り込まれる場ではありません。

そのため、私はもっとより多くの医療関係者に緩和ケアに関心を寄せてほしいと思い、病棟勤務に加え、講演活動なども行うようになりました。

・管理人
終末期になると、患者さんのご家族の役割とはどういったものになるでしょうか。

・Yさん
終末期を迎えた人は、医師や看護師、家族、友人、もしくはボランティアといった人がベッドサイドに立つことによって、平穏を感じることができます。なかでも家族の癒しの力の大きさは桁違いです。患者さんが母親であれば、子どもの顔をみるのが一番の治療になることが実際にあるのです。

家族の力により、さまざまな検査値が改善され、病気に対する抵抗力や免疫力が高まる、よく眠れるようになる、穏やかになる、落ち着くといった精神的安寧がもたらされることがあります。これは看護師がどのように心を込めてケアを行ったとしても、ご家族の力には到底及びません。

ただ、患者さんの中には、家族と断絶している場合があります。

このような患者さんはナースコーラーになりやすく、看護師に家族的な役割を求めてくることが多いです。緩和ケアに携わる看護師は、患者さんの死への恐れや孤独、ときには錯乱を他人事としてではなく自分のこととして仕事に従事しなければならない場合があります。

・管理人
それはある意味、一般的な看護の役割を超えた範囲のケアとなるため、大変な重荷を背負っていることにはならないでしょうか。

・Yさん
はい、私自身、さまざまな精神的重圧のため、最初は緩和ケア病棟に異動となって1年もたないと感じていました。

しかし、家族のいない患者さんにとって人生最期の場として、この病棟を選び、私たち看護師が寄り添うことで、安らかに旅立っていきたいと考えてくださっています。

人生の最後くらい、荒涼とした終り方にならず、「ここで看護師たちに送られ、終わりを迎えられて良かった」と思って旅立ってもらえることに看護の使命を感じるようになりました。これは緩和ケアの看護の醍醐味だといえます。

・管理人
最後に、緩和ケアに携わっていきたい看護師に一言お願いします。

・Yさん
看護には2つの種類があると私は思っています。ひとつは死や絶望の淵から生を取り戻す看護と、もうひとつは静寂への旅へ寄り添う看護です。

静寂への旅を見送る際、患者さんの精神的・肉体的苦痛をなくし、「いま生きていること」を最大限の喜びにしてもらうためには、看護ケアがとても大事になります。必ず人は死を迎えます。死の瞬間までその人らしく生きていけるようサポートすることには大切な意味があります。

緩和ケアには看護の真髄が凝縮されていると思います。

さまざまな重圧に慣れないうちは大変かもしれませんが、孤独や恐怖と戦っている患者さんのそばに寄り添い、力添えをしていける一番身近な存在は看護師です。あなたにはその力があるということを忘れず、困難に立ち向かっていってもらえたらと思います。

・管理人
そうですね。看護師は患者さんに一番近い存在であるため大変な一面もありますが、患者さんのためにできることが多いのも看護師の仕事の面白さだと思います。Yさんの言葉は、きっと緩和ケアに取り組んでいきたい多くの看護師の力になったと思います。

本日は大変貴重な時間をありがとうございました。

満足いく求人を探し、あなたらしい看護を

緩和ケア看護師は死と常に向かい合う必要があるため、他の科とは異なり、大変な重圧を感じる一面があります。しかし一方で、時間の大切さや人との関わり、生きることの大切さ、一つひとつの看護の重要性などが実感できるのも、緩和ケア看護ならではです。

あなたらしく緩和ケアで働くには、人に聞くだけでなく、転職時には転職サイトなどを利用して、職場環境や上司や同僚の考え方といった情報まで把握し、満足いく求人を見つけるよう心がけることが大切です。

ぜひ、緩和ケアに携わる看護師になり、「人生最期の場面にあなたと出会えて良かった」と患者さんに思ってもらえるような関わりをもってもらえたらと思います。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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・転職エージェントを活用し、看護師転職で成功する

看護師の転職で失敗しない方法として、必ず意識すべきことの一つに「転職サイト(転職エージェント)を活用する」ことがあります。年収交渉や勤務条件を含めすべて代行してくれるからです。そこで、具体的にどのように活用すればいいのかを確認していきます。

転職サイトの活用法

・看護師転職サイトのお勧めランキング

看護師の転職サイトはそれぞれ特徴があります。「対応地域が限定されている」「取り扱う仕事内容に特徴がある」「非常勤(パート)に対応していない」などサイトごとの特性を理解したうえで活用すれば、転職での失敗を防げます。

お勧め転職サイトランキング

新たな看護師の働き方

・美容クリニック・美容皮膚科への転職

夜勤なしで高年収を実現できる求人として、美容クリニック・美容皮膚科があります。死と隣り合わせの職場ではなく、患者さんを美しくする手伝いを行うのが美容クリニックです。

美容クリニックへ転職する

・派遣看護師で高時給・好待遇を狙う

一つの職場で働き続けるという形態ではなく、3ヵ月や半年など一定期間だけ勤務する派遣看護師という方法も存在します。高時給を実現でき、人間関係のもつれがなく、「派遣が終わった後は長期の旅行に行く」など自由な働き方を実現できます。

派遣看護師で働く

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「今月は苦しいため、もう少し稼ぎたい」「好きなときだけ働きたい」など、こうしたときは高時給を実現できる単発・スポットバイトが適しています。健診やツアーナースなど、看護師ではさまざまな単発案件が存在します。

単発・スポットバイトで働く