病棟ばかりの勤務だと「外来のほうが、重症患者はおらず楽そう」などのように考え、外来看護に興味をもつ方は多いです。

外来看護師というと、基本はクリニックになります。入院施設のないクリニックだと、どこも外来での勤務となります。また病院であっても外来にて広く患者さんが来院するため、病棟ではなく外来にて働く看護師もたくさんいます。

ただ外来での看護業務について、「具体的にはどのような役割を果たしているのか」「どのような仕事内容か」など知らないケースは多いです。

そこで、転職する前に知っておきたい「外来についての具体的内容」「求人の選び方や年収の中身」について解説していきます。

外来に転職したい看護師が知っておきたい事柄

病棟で働く看護師に比べて、外来看護師の役割とは何なのでしょうか。これについて、外来だと医師の診療の補助業務が中心となります。

具体的には問診やバイタル測定(検温や血圧測定など)、採血・注射、カルテ記入、患者さんへの検査説明などがあります。また、待ち時間が長い患者さんに対しての気配りやクレーム対応などのコミュニケーション能力も必要となります。

要は、外来看護師は医師の秘書のような存在だといえます。「医師にどの順番で仕事を進めてもらうのが一番効率的か」「手短にポイントを押さえて問診内容を医師に伝えるにはどうしたらいいのか」などを考えながら仕事をしていきます。これに加えて検査の実施なども行います。

その他にも、入院施設がある医療機関の外来看護師であれば、入院して加療が必要と診断された患者さんに対しては病棟への申し送りを行います。

実際の仕事内容は、「どのような科に勤めるのか」「どのような検査機器があるのか」「医師がどこまで診療を行うのか」などによって異なります。また来院する患者数によっても、看護師の仕事量や忙しさが違ってきます。

クリニックの外来看護師と病院の外来看護師の違い

そうしたとき、同じ外来でもクリニックと病院ではどのような違いがあるのでしょうか。病院の外来看護師とクリニックの外来看護師の違いは、病院の外来看護師だと「入院となれば病棟への申し送りがある点」です。

外来看護師によって伝える情報が異なると、申し送りを受けた病棟看護師は戸惑ってしまいます。勤め先によってはマニュアルがあるかもしれませんが、病棟看護師に伝えるべき基本事項についてはザックリと以下のようになります。

  • 救急搬送かどうか
  • 入院に至るまでの経過
  • 来院時のバイタル(血圧・酸素飽和度など)
  • 外来で実施した処置(採血・注射など)
  • 内服している薬・持参薬の有無
  • 既往歴の有無
  • 入院時の検査の有無
  • オペ日・インフォームドコンセント(説明と同意)の日時
  • 栄養課への食事連絡の有無

このとき入院加療の必要な患者さんがいる場合は申し送りの情報収集を行いながら、通常の診察補助にも入らなければいけません。そのため、その分だけ仕事が多くなります。

またクリニックの外来看護師であっても、患者さんが救急搬送となった場合、救急隊員に「上記の情報をさらに簡略化した申し送り」を短時間で行う必要があります。

外来看護師は楽?それとも忙しい

なお病棟看護師からすると、外来看護師は楽だと思われることが多いのです。ただ来院する患者数が多ければ、楽ではありません。

例えば私の勤めるクリニックだと、一日に150人以上の患者さんが来院します。その間をぬって、「4~5件の胃内視鏡検査・大腸検査」「5名ほどの精密検査」「市区町村が行う健康診断」を実施しています。レントゲン検査だけでなく、CT検査や動脈硬化検査、骨密度検査なども行います。

忙しい中でも、仕事に優先順位をつけスムーズに遂行していく必要があります。そうしたとき、複数の業務を抱えて仕事を行うのが苦手な人には向いていないといえます。事実、仕事の忙しさについていけないこともあり、数名の新人看護師が短期間で退職しています。

さらにはさまざまな症状を抱える患者さんが来院するため、短時間の間に重症度や緊急度を判断し、行動することが看護師に求められます。特に高齢患者さんだと、本人には自覚症状がなく健康そうにみえてもレントゲンを撮ると実は重度の肺炎になっており、救急搬送が必要だったことが過去にあります。

また何となく胸が痛いと訴える若い男性の患者さんが来院され、レントゲンを撮ってみると重度の気胸を発症しており、こちらもすぐに救急搬送となったケースがありました

それに加えて患者さんの数が非常に多いため、前述の通り複数の作業を同時並行で進めていく必要があります。そのため、私は外来看護を楽な職場だとは思っていません。

・患者数が少なければ非常に楽な職場

ただ一方で、私の友人の勤める内科クリニックの外来はとても楽なようです。患者数が1日30名以下であり、内視鏡検査なども実施していないため、あまり動き回ることはないそうです。診察の介助も検査も必要なく、ほとんど休憩室で時間を潰しているといっていました。

こうした求人を探せば忙しく動き回るのではなく、外来の中でも楽に働くことも可能です。例えば、以下は非常に患者数の少ないクリニックから出された外来看護師の求人です。

このように1日の平均患者数は40人であり、非常にゆったりと働くことができます。

どのような職場環境の中途採用にて外来看護師をしたいのかは人によって異なります。忙しい職場がいいのか、それとも楽な職場がいいのか、患者数や実施する検査内容などから考えてあなたにあった外来看護師を目指すといいです。

外来看護師で働く求人先の形態

そうしたとき、外来看護師へ転職するときはどのような求人で働くことができるのか、事前に確認する必要があります。外来看護師とはいっても種類があるため、前もって内容を理解しなければいけません。

外来看護師として活躍できる求人には主に以下があります。

  • クリニック
  • 病院(外来のみ)
  • 「外来&他の仕事」を行う医療機関

それぞれの内容を確認していきます。

診療科を見定めたうえでクリニック求人へ申し込む

入院施設のないクリニックであれば、看護師が働くときは基本的に外来となります。そのためクリニック求人だと、外来ばかりとなります。

ただ、このときは診療科の中でどこに勤務したいのか考えるようにしましょう。例えば眼科だと検査内容が特殊であり、それまで過去の看護師経験が長かったとしても眼科ではまったく役に立たず、ゼロから覚えなおす必要があります。

一方でオペのない眼科や患者数の少ない皮膚科・耳鼻科だと、重症の患者さんが来院することはなく看護師としての仕事自体は楽になりやすいです。

他にも内科や整形外科、小児科と診療科は幅広いですし、科によってクリニック看護師の外来業務は大きく異なります。看護師がクリニックの外来の中途採用募集に申し込むとき、勤務先の給料や勤務条件だけでなく、診療科を見極める必要があります。

外来の募集をしている病院にて働く

またクリニックではなく、病院にて外来看護師をするという方法もあります。同じ病院勤務でも病棟看護師とは異なり、病院の外来看護師は夜勤なしにて働けることが大きな違いだといえます。

病院だと広く看護師を募集していますが、必ずしも病棟看護師の求人ばかり出ているとは限りません。病院の外来看護師の中途採用募集を出していることもよくあります。

例えば、以下は大阪にある急性期病院から出された外来看護師の常勤募集です。

求人にある通り、日勤の平日のみ働く看護師求人になります。病棟看護師だと夜勤ありは普通であるものの、外来看護師だと日勤のみであり、病棟看護師では難しい勤務方法であっても問題なく実現できます。

もちろん、将来的に病棟看護師への配置換えがあるかどうかは病院の方針次第のため、転職前に確認するようにしましょう。

外来業務に他の仕事も行う求人

また求人によっては、一般的な外来業務だけでなくその他の仕事が加わることがあります。よくあるのは、外来業務に加えて回診・往診が発生するケースです。メインは外来看護師であるものの、日によっては異なる仕事を行うというわけです。

例えば、以下は病院から出された外来看護師の中途採用募集ですが、巡回健診も実施する仕事内容になっています。

外来看護師の場合、この求人と同じように「外来メインではあっても、別の仕事が発生する」といったケースはよく起こります。

例えば私のクリニックでは、木曜の午後は医師が往診へ出かけます。このとき、担当の看護師は医師と同行するため、往診の準備をしなければいけません。

外来看護師へ転職するとはいっても、必ずしも外来業務だけを行うとは限りません。クリニックでも病院でも、外来勤務メインの求人へ申し込む場合、どこまでが仕事範囲なのか確認しなければいけません。

外来看護師の給料・年収はいくらか

それでは外来で勤務する看護師の収入はいくらなのでしょうか。これについて、外来看護師の給料は月収にすると20~25万円です。病棟で勤務している人なら、夜勤手当を引いた分のお金が月収になると考えるといいでしょう。

一般的に病棟勤務(夜勤あり)と外来看護師を比べると、年収が100万円ほど違うといわれています。これは、単純に夜勤がない分だけの収入差となるのです。

もちろん中には、外来で夜勤がないにもかかわらず月収30万ほどを目指せる求人も存在します。例えば給料を高めに設定している外来といえば、透析看護が知られています。基本給は他の科とあまり変わりませんが、手当などがついて多めに給料が支給されるケースが多いです。

例えば以下は透析看護の求人の一例です。

夜勤を行うときと同じ程度の手当が付くため、外来看護師で給料を下げたくない人であれば、こうした年収の高い科を選ぶといいでしょう。

また大規模病院の外来ではなく、クリニックの外来であれば給料や待遇は院長の裁量に大きく左右されます。要は、どれくらいの年収なのかはすべて院長次第だといえます。

例えば、以下のような内科・心療内科クリニックの外来看護の求人であれば、外来看護師の平均給与からすると高水準にあるといえます。

クリニックの医師は近隣にある同規模の医療機関と比較して、看護師の給与を決めている場合が多いです。そのため同じ市区町村であれば、必然的に看護師の基本給は同程度となっています。

しかし中には、基本給は近隣クリニックと同程度としながらも各種手当をつけて、スタッフをねぎらってくれるクリニックもあります。そのようなクリニックは、大体院長の人柄が良く働きやすい職場である場合が多いので狙い目だといえます。

医療を身近に学び、夜勤なしのメリット

そうしたとき外来看護師で働くメリットには何があるのでしょうか。外来看護師は診察内容を医師の間近で確認できるため、最新の医療情報を知ることができます。そのことを自分の私生活や家族の健康に役立てることもできます。

また同じような症状の方が身近にいると、外来看護の体験から緊急性が分かってくるため、ある程度の判断を行うことができます。

私自身、外来看護の経験を活かして、近所で脳梗塞になった方の救急搬送をしたり、道で熱中症になって倒れていた高齢女性の応急処置をしたりしたことがあります。どちらも迅速に行動できたため、救急隊員に「重症に至らずに済んだ」と感謝されました。

また勤務条件の面でいうと、既に理解していると思いますが日勤のみとなります。そのため、特に子育て世代のママ看護師に喜ばれやすい勤務方法だといえます。

さらには病棟と比較すると、外来に来る患者さんは重症者が少ない(または症状が安定している)ので、ある程度余裕をもって仕事を行うことができます。顔なじみの患者さんも多く、看護師としての成長ぶりを褒めてもらえることもあります。

クレーム対応が多く、広い知識が必要となる

一方で外来だからこそ起こるデメリットもあります。その中でも外来では待ち時間が長く、患者さんからのクレームを受けやすいのが特徴です。私はクリニックで働き始めるまでクレーム対応をした経験がなかったので、最初はクレームをする患者さんへの対応に戸惑っていました。

ただ外来看護師を経験して何年かクレーム対応をしているうちに、徐々に対応法が分かるようになりました。クレームを付けるほとんどの患者さんは、冷静に理由を説明すれば納得してくれます。

またクレームをいう患者さんのほうが、丁寧な対応をすれば、最後は笑顔で帰ってくれることが多くなり、最終的には親しくなります。そのため、クレーム対応についてあまり心配する必要はありません。

・複数の診療科があれば幅広い知識が必要

また総合病院の外来だと、看護師は複数の科を回ることがあります。そうなれば、外科や内科だけでなく、さまざまな知識が必要となります。例えば外科ではその場で処置をする場合があるため、処置に必要な手順を身につけておかなければなりません。

また待合室の患者さんの容態は変化していないか、どのくらいの緊急性を要するのかなども科によって異なります。

慣れないうちは大変ですが、そのうちやり方は分かってきます。最初は焦らずに、一つ一つの作業を丁寧に覚えるよう心がけましょう。

履歴書や面接で外来勤務の志望動機・自己PRを考える

ここまでのポイントを理解したうえで、外来看護師として転職するのであれば、実際に求人を探して申し込むようになります。そうしたとき必須になるのが履歴書や面接での志望動機・自己PRです。これらは必ず聞かれる質問になります。

そこで、外来看護師として活躍したいと考えた理由を述べるようにしましょう。

もちろんネガティブな理由を述べるのではなく、「対象の診療科にて外来勤務を実現したい」と考えた志望動機を述べるのです。このときは正直な実情を述べて志望動機・自己PRを考えても問題ありません。例えば、以下のような志望動機になります。

総合病院で病棟勤務していましたが、育児の関係でクリニック勤務を考えています。その中でも貴院は単なる外来業務に限らず、内視鏡検査から往診まで実施しており、病棟で学んだ経験をそのまま活かせると考えています。

看護師として高度な医療技術を学び続けられる貴院にて、患者様へ貢献していきたいと思っております。

こうした志望動機・自己PRになります。もちろん「患者数が少ない楽なクリニック」「病院の外来募集」などへ応募する場合、内容を変えなければいけません。また、診療科によって志望動機の中身は違ってくるのが当然です。

ただいずれにしても、こうした志望動機・自己PRを履歴書や面接にて述べることで採用されるよう内容を考えましょう。

外来看護師への転職を成功させる

スタッフや院長との人間関係が良好であり、仕事のスピードなどが自分に合えば、外来看護師は夜勤がなく家族との時間を合わせやすい職場といえます。

病棟勤務は年収が高い傾向にあるものの、その分だけ夜勤ありの勤務となり、どうしても体力を使ってしまいます。特に育児中の女性だと夜勤なしを希望する看護師が多く、その場合は外来にて勤務したいと考える傾向が強いです。

ただ外来とはいっても職場によって忙しさは違いますし、活用する医療機器も異なります。また診療科で仕事内容は変わりますし、クリニックに限らず病院でも外来募集が存在します。そこで、どのような職場がいいのか事前に考えなければいけません。

そこで可能な限り多くの情報を入手して、「自分は看護師としてどうありたいのか」「何を実現していきたいのか」を見つめ直し、外来看護師としての転職を成功させましょう。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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