患者さんからみて看護師には、いつの時代も「白衣の天使」という常套句が使われています。

患者さんに対して、看護師はいつも微笑み、傷ついた人を優しく迎え、献身的に看護に当たります。さらに、どのように悲惨で緊迫した状況に遭遇したとしても、果敢に立ち向かい冷静でテキパキと処置を行い、心身ともに頼りがいのある存在です。これが、世間一般的に抱かれている看護師像といえます。

このような職業人になりたくて、「看護師になろう」と思い立った人も多くいるでしょう。

しかし、実際に看護師として働きだすと、このようなイメージとはかけ離れた上司や同僚、患者さん、そして「自分」と直面することになります。

病院では患者さんだけでなく看護師も様々な感情を抱いており、「看護師はいつも天使ではいられない」のが現状です。天使でいられない自分に落ち込み責め続け、「自分は看護師には向いていない」と考え、中には看護師を辞めてしまう人もいます。

看護師は天使ではありません。看護師も心と体をもった人間です。ときには周囲の人間の反応に対して不安に感じることも、恐れることも、傷つくことも、憎むこともあります。

今後あなたが看護師を続けていくためには、「職業としての看護の特質」を理解し、「看護を仕事とすることは、他の人間にどのような影響をもたらすのか」について知っておくことが重要です。

今回はそのことについてお話をした上で、「患者さんとの人間関係の悩みから抜け出す方法」について述べていきます。

職業としての看護の特質

「看護を職業とする」とはいったいどのようなことなのでしょうか。看護の仕事の特質についてお話ししていきます。

看護の仕事の特質は、患者さんと距離が近い

看護の仕事は、心身ともに弱った状態の患者さんの心身のケアを行うことが中心となります。そのため他の職業と比較すると看護師は、身体的にも心理的にも他人(患者さん)との距離が出会った当初から近い関係にあります。

距離が近いということは、看護師は患者さんから「さまざまな感情を転移されやすい存在」ということになります。ここでいう感情転移とは初対面の看護師に対しても、患者さんが過去に会った人に抱いた感情と同様の感情を重ね合わせることをいいます。

例えば、「あの看護師は私の母親のようだ。もっと甘えてわがままを言っても良いだろう」といった感情や「あの看護師は小学校のときの先生みたい。あのときの先生みたいに、どうしてもっと私のことを理解しようと努めてくれないんだろう」といった思いを患者さんが看護師にもつことです。

人間の感情には、信頼、感謝、尊敬などのプラスの感情もありますが、その一方で敵意、恨み、不信、攻撃性などのマイナスの感情もあります。

患者さんは距離の近い看護師だからこそ「自分は病気で参っている。だから看護師にはマイナスの感情をぶつけてもいい存在である」と思ったり、「看護師にはどのようなことを言っても許される、これも看護師の仕事のうちだ」と無意識に考えてしまったりしがちです。

マイナスの感情を一方的に向けられた看護師は仕事とはいえ、一個人では耐えきれなくなってしまうときがあります。看護師が「患者さんとの人間関係に疲れた」と思うのは、無意識とはいえこのように患者さんから感情を転移された場合だといえます。

看護の特質と自己防衛方法とは

このように看護の仕事の特質としては、患者さんとの距離の近さから、いわれもないマイナスの感情をぶつけられるかもしれない「不安」をもって看護にあたっていることがあげられます。このような不安から自分の身を守るために、誰しも「自己防衛」を取るようになります。

例えば、患者さんから身を守る以下のような自己防衛をとった経験が看護師ならあるのではないでしょうか。

それは、患者さんのことを名前ではなく、「305号室の人」「オペが終わった人」「肝臓の人」「すい臓がんの人」などと看護師間で呼び合うようなことです。

行ったケアに対して細かい批判を繰り返す患者さんであれば「あのうるさい人」、暴力をふるう患者さんであれば「殴ってくる怖い人」とも呼ぶかもしれません。

このように患者さんの名前ではなく、病室番号、行った処置、疾患臓器、疾患名、ひどい場合ですと起こすトラブルで伝えたほうが看護師同士では認識されやすいことが多々あります。

良い悪いは別にして、患者さんを名前で呼ばずに疾患名などで看護師が呼ぶ行為は、患者さんを「脱人格化」しているといえます。

看護師同士で患者さんのイメージに合った別の名前を付け「脱人格化」させることで、看護師間で「あの患者さんに対して、看護師の間では同じマイナスの感情をもっている」ということが把握できます。

そして「自分ひとりがあの患者さんに対して悩んでいるわけではない」と安心することができるのです。また「脱人格化」は、患者さんにマイナスの感情をぶつけられても、必要以上にその感情に流されず、自分の気持ちを平静に保て、看護の仕事を「業務化」することができるのです。

このように看護師が行う脱人格化は、患者さんから向けられる転移感情を遮断するために行っている自己防衛とも捉えることができます。

患者さんとの距離が近くても、仕事の効率は下がる

看護師は身体的にも心理的にも患者さんと近い関係にある職業です。そのため、個々の患者さんと心身ともに距離が近くなりすぎてしまうと、仕事を効率的にこなしていくことができなくなります。

看護師自身が患者さんのマイナスの感情にいちいち左右されてしまえば、与えられた業務を完了させることが難しくなってしまいます。

患者さんは、「あの人は丁寧にケアをしてくれ、自分の負の感情を受け入れてくれた看護師だ」と一旦認識してしまうと、さらに過度な期待をかけたり、甘えて怒りをぶつけてきたりする人もいます。

私が過去に受け持った患者さんで「あなたはシーツに髪の毛一本、落ちているのに気づいてくれない。これでは背中がもぞもぞして眠れない。以前の受け持ち看護師さんは気づいてくれたのに…」といわれたことがありました。そして自分で髪の毛を拾えるにも関わらず、何度もナースコールで呼び出された経験があります。

こうなってしまっては、他の業務に支障をきたしてしまうのはいうまでもありません。

フライトアテンダントのような接客サービスにつく職業の人は、無理難題を押し付ける不快なお客に対しても笑顔を絶やさず、緊急事態に対しても冷静に対処できるように繰り返し訓練されています。

しかし看護師はフライトアテンダントとは違い、必ずしも接客サービスは看護師の服務規程に書かれておらず、訓練もされていません。

看護学生時代に、患者さんの前で不機嫌な顔をしたり泣いたりすると、教員などからたしなめられ「顔を洗ってきなさい」と、自分の感情をコントロールするよう教えられた程度です。

患者さん一人ひとりとの距離が近すぎても、遠すぎても看護を行うことに支障が出てしまうのです。

共感、演技、笑顔のマイナス面を知っておく

共感や演技、笑顔など、常日頃の看護で実践していることですが、これらはあなたにストレスを与えることもあります。

患者さんにどこまで「共感」すれば良いのか

看護のなかで、よく「共感をしなさい」といわれますが、この共感という言葉ほど実態のつかめないものはありません。

看護師は、患者さんに対して「共感しなければならない」という一方で、「巻き込まれてはいけない」という矛盾する考えの両方をもっていなければならないからです。

共感するあまり、患者さんのマイナスの感情に巻き込まれて、看護師は自分の問題ではないのに、心苦しくなってしまうことがあります。また、患者さんに腹がたったり、嫌悪感を抱いたりしてしまうと、看護師は患者さんに優しくできない自分を責めたり、看護師失格だと落ち込んだりします。

さらに苦しむ患者さんをみて「どうにかしてあげたい」「ほうっておけない」と看護師が感じるプレッシャーは共感ストレスといいます。このプレッシャーは「なにもしてあげられない」という葛藤状態に陥りやすく、無力感や罪悪感につながっていきます。

共感ストレスに無力感や罪悪感が重なると共感疲労になっていきます。共感疲労とは、「自分の力ではどうすることもできない無力感・罪悪感・むなしさなどを感じる心理的疲弊状態」のことを言います。

共感疲労の陥ってしまうと、看護師は勤務時間外でも患者さんのことが気になり、夢にまで出てくることもあります。一方、患者さんとの関わりを無意識で避けようとして、業務的な用事以外では接触を断つことがあります。

そのうち、患者さんに関心をもてなくなり、仕事に対する意識がなくなることもあります。飲酒やパチンコ、買い物などでストレスを解消せずにはいられなくなったり、身体的な不調が出てきたりすることもあるでしょう。

このように看護師の職業上の特質でもある「共感」は、看護師のストレスになるともいえるのです。

「演技」は疲れる

看護師はどのように自分が疲れていても、体調が悪くても、気に食わないことがあっても、一旦ナース服に着替えると、明るく元気に振る舞い、優しい看護師の顔になろうとします。

患者さんの前で不機嫌になったり、怒ったりすることはタブーです。初めて遭遇するような不測の事態にも、周囲の患者さんを不安にさせないように、冷静沈着に行動し、あたかも自信があるように振る舞います。

このような感情のコントロールを行い表面的に取り繕うことを「表層演技」といいます。

この表層演技は看護師が業務を行う上で必要であると同時に、実は自分の本来の感情とかけ離れた演技を強いられれば強いられるほど、苦痛を感じてしまうことがあります。

例えば、このような経験です。

プライベートで恋人と別れて落ち込んでいるとします。それは職場にも知られてしまいました。

しかし一歩病棟にでると、いつも以上に気を配り、患者さんをみると笑顔で挨拶をするようにしました。周囲の看護師も今日の自分の行動に注目していると感じたからです。

すると、お昼過ぎになって、なぜか頭が痛くなって、顔もこわばり、息苦しくなって涙が出そうになった、というような経験です。

このように、「自分が本来表出したい感情と全く異なる感情」を演ぜざるを得ないとき、人は心にも体にも無理が生じてしまうことがあるのです。

看護師に作りものの「笑顔」は認められない

先に挙げたフライトアテンダントなどの接客サービスを行う労働は、笑顔を求められているものが多いです。しかし、それは「営業スマイル」として公然と認められています。

しかし看護師の場合、作り物の笑顔をしてはかえって評判を落としかねません。看護師は笑顔とともに「まごころ」が必要だとされているからです。

そのため、看護師は自分の感情を看護師として適切とされる自然で心からの感情になるよう、表面上の不適切な感情を押し殺します。この自分の感じ方そのものを変えようとすることを「深層演技」と言います。

例えば、恋人と別れたとしても、こみ上げる怒りや涙を押しとどめ、「看護師なのだからしっかりしよう」と自分を励まし、気持ちを切り替えます。これも自分の感情を加工し、内面から看護師として適切な状態を保とうとする深層演技となります。

自分自身に今自分が置かれている状況を前向きに捉えさせ、考え方そのものを変えようとする方法です。この方法でうまくいく人もいます。

「看護師の自分」と「本来の自分」は別物

さらに深層演技のなかには、「看護師の自分」と「本来の自分」とに区別して、看護師でいるときだけ別人格のように振る舞おうとすることがあります。なかば意識的に解離しているのです。

意識的にこの二つを解離することによって、患者さんに怒鳴られたとしても、患者さんが怒っているのは私自身ではなく、看護師としての私にぶつけているのだと割り切ることができます。

看護師が白衣に着替えるのは、「自分の身を守る鎧」にもなりますし、「看護師としての自分」という別人格への気持ちの切り替えという捉え方もできます。

しかし、職場で理想的な看護師として振る舞えば振る舞うほど、「看護師としての自分」は「本来の自分」とはかけ離れた存在という意識が強くなる人がいます。このような人が「いつわりの自分」に気づいてしまうと「自分は患者さんや同僚をあざむいているのではないか」と感じることがあるのです。

このような苦しみから逃れるため、目先の快楽であるアルコールやタバコに依存したり、パチンコや高額な買い物をしたりすることで、「頭を空っぽにしたい」という欲求をもつ看護師も多いです。

しかしいくら「看護師としての自分」と「本来の自分」を分けようとしても、本来、人間がもっている感情は一つなのです。

いくら深層演技をおこないプラス思考でいようとしたり、意識的に解離をしたりしても、患者さんから怒鳴られれば傷つき、否定されれば怒りも悲しみも生じてしまうのです。

これらの怒りや悲しみを感じないフリをすることは、自分の傷ついた感情を抑圧し、無視してしまうことになります。そしてどこかで短絡的に癒しを求めるようになってしまうのです。

看護師として、むずかしい患者さんに対応していくには

では看護師として、このような難しい患者さんに対応していくには、どのようにすればいいのでしょうか。

むずかしい患者さんとは

看護のやりがいが生まれるのは、自分が看護を行ってきた患者さんの容態が改善し、患者さんもご家族も喜んでくれる場合です。

しかし反対に、一生懸命看護を行ってきたとしても、容態が改善しないばかりか亡くなってしまったり、良かれと思って行った看護が患者さんは気に入らず、暴言を吐かれてしまったりすることがあります。

そのような場合、看護師なら誰しも「自分は看護師に向いていない」と考えます。

また、治療のために必要な薬や処置であっても、患者さんに苦痛を与えることがあります。このとき、そのような苦しみの中にある患者さんの中には、「人から優しくされて当然」と考えている人もいます。

さらに、入院生活は我慢を強いられることのほうが多く、そのような状況になった場合、患者さんは「自分がおろそかにされた」と感じてしまいます。そしてその怒りは一番身近な存在である看護師に向けられるのです。

怒りのなかでも特に、大声で威嚇したり、暴力をふるったりするような患者さんは看護師のなかでは最も「むずかしい患者さん」となります。このほかにも、医師の指示に従わない患者さん、治療意欲の低い患者さん、自己中心的な患者さん、飲酒や喫煙が止められない患者さんなども「むずかしい患者さん」に該当します。

上記のような患者さんを看護していると、「病気になったのも病気が治らないのも自業自得ではないか、なぜこのような人に看護を行わなければならないのであろう」と思いたくなってしまいます。

さらに、どのような痛止めを処方しても、痛みが治まらず痛みを訴え続ける患者さんなどもいます。他にも2~3日便秘が続いただけで耐えられないから救急搬送をお願いする患者さん、自殺を何度も繰り返す患者さん、生活保護を受けるための詐病(自己利益の目的のために病気を偽る)を行う人もいます。

そのような患者さんに出会うと、看護師はやりがいを得られないどころが、「自分は何のために看護をおこなっているのか」と徒労感と空虚感でいっぱいになってしまうことがあります。

このような心理的状況にもかかわらず、患者さんから必要以上に頼られ、理想化され、好意を寄せられてしまうことも、看護師にとって負担になります。

どちらにせよ、むずかしい患者さんとは、「自然な感情のギブアンドテイクがうまく行えず、人一倍トラブルに巻き込む力が強い人」だといえるでしょう。

心に負担があれば、言葉にして周囲に伝える

看護師が患者さんとの関わりの中で心に負担を感じるようであれば、それを言葉にして、周囲に伝えるようにしましょう。決してあなたの看護能力が低いからではありません。苦しむことはないのです。

そのむずかしい患者さんを受け持った看護師であれば、誰しもあなたと同じ心の負担を感じてしまうことでしょう。それをどのように取り除いていっているのか、信頼できる先輩方に乗り切り方を教えてもらうのです。

もしかすると、あなたと同じ苦しみを抱え、悩んでいる看護師が他にいるかもしれません。あなたが「苦しんでいる」ことを周囲に分かってもらえれば、一人で抱えこむ必要は無くなります。

少なくとも「自分が抱いたマイナスの感情を同僚や先輩と分かち合う」ことが求められています。先輩や同僚にあなたの苦しみを分かってもらうことができれば、随分楽になります。

もしあなたの心の苦しみを理解してくれる先輩や同僚がいないようであれば、違う職場に転職してしまうことも視野にいれましょう。あなたの心が壊れてしまうことが一番恐ろしいことです。あなたが壊れてしまう前に対処しなければなりません。

自分の気持ちを患者さんに伝える

看護師がむずかしい患者さんとの関係に困って窮地に陥った場合、それをうまく周囲にも患者さんにも言葉で表現しなければなりません。逆に言葉にしなければ、周囲が気づくことも対処することもできないのです。

また、決しておススメしているわけではないですが、「我慢の限界を超えたとき、患者さんへの率直な感情を言葉に出す」ことで、思いがけず事態が好転する場合もあります。コンフロンテーションという考え方です。

コンフロンテーションとは、「互いに正直な感想をぶつけ合うことで、自分の問題や現実に直面することができる」という方法です。

看護師の率直な反応を患者さんに返すことで、看護師―患者間の関係性において、「保守的で受容的にしか関わり合わないわけではない」ということを、患者さんに分かってもらえることがあります。

例えば、患者さんからの身体的暴力をただ我慢するのではなく、「私は痛い」「私はあなたの看護をするのが辛い」「この傷を見た私の母親が泣いた。私はその母親をみて泣いた」と患者さんに伝えることで「自分の行為は非道なことであった」と理解してもらうのです。

ただ、高度な方法になるので、コンフロンテーションを実践するときは慎重を期するようにしましょう。

看護師は患者さんの感情の容器

また看護師の仕事をしていることは、共感疲労やバーンアウト(燃え尽き症候群)の状態に陥る可能性があることを知っておくことが大切です。

「患者さんに共感しなければ」と無理に思う必要はありません。また共感しようと思っていなくても、自分が気付かぬうちに患者さんと共感してしまうこともあります。

看護師は意識していてもいなくても、「患者さんの感情の容器となってしまう」という考え方を理解しておけば、客観的に自分を見ることができます。そしてその考えは患者さんに抱く感情を受け入れやすくし、看護師自身の傷を軽減してくれます。

疲れたときのサインを見逃さない

また、患者さんに対して無力感や罪悪感を覚えてしまう共感疲労に陥った際は、自分の身体や精神にどのような症状が表れるのかを知っておくと、早めに対処することができます。

自分の身体や行動に表出される疲労の徴候としては以下のようなものがあります。

・風邪症状

・不眠

・耳鳴り

・イライラ

・重度の疲労感

・意欲がわかない

・皮膚症状

・過食

・飲酒

・ギャンブルへの渇望 など

このようないつもとは違う症状が表れたときは、「自分は疲れているのかもしれない。休息を取ろう」と事前に対処することができます。このときに、「どのような方法をとれば自分は復活することができるのか」など、健康的な対処法を身に付けておくとよいです。

またあなたの周囲で「いつものあなたと違う」と気づいて、教えてくれる同僚や友人とのつながりも大切です。

患者さんは暴言を吐く人を選んでいる

一部の精神的な患者さんを除いて、「病気が暴言を吐かせている」患者さんだとしても、しっかり相手を選んで暴言を吐いています。誰にでも暴言を吐いているわけではありません。

もし会社の上司がお見舞いに来たらどうでしょう。暴言を吐くでしょうか。怒らせたら怖いことで有名な医師に、暴言を吐いているでしょうか。自分より強い立場の人間には、一般的に暴言を吐くことはないのです。

心身ともに弱っていたとしても、患者さんはしっかり暴言を吐いていい相手を選んでいるのです。

私が受け持った患者さんで、私には暴言を吐くけれど、男性看護師にはまったく暴言を吐かない高齢者の女性がいました。ミーティングでそのことを伝えると、看護師長は受持ち担当を男性看護師に変えてくれました。

受持ちが変わるということは「自分には看護能力がない」と周囲に言っているようで、新人のうちは自分の心の中に収めて我慢していました。

しかし、人間には性格で「合う合わない」があります。

あとで分かったことなのですが、その高齢の女性患者さんは、両親から厳しく育てられた名残から自分の抱える複雑な感情を個々の看護師に分けてぶつけていたようです。

そして新人の看護師であった私を幼いころの自分に投影し、「言い返せない弱い存在」として入院のストレスを発散させていたことが分かりました。

たとえ相手が患者さんであっても「看護師だからといって、このような暴言は吐いていけない」と思ってもらうための時間と距離を置くことが大切です。それをまた周囲に分かってもらうよう働きかけ、「必要以上の暴言を吐かれ、ひとりで受け止めて心が傷つく」ことがないようにしましょう。

それでも苦しい場合は

以上、「患者さんとの人間関係」から楽になる方法についてお話ししてきました。

それでもまだ苦しい場合は、一度その職場から離れて、心と身体を休ませることが大切です。少しの休息で自分のことを冷静に見直すことができ、思い詰めて苦しくなることも減るでしょう。

看護師免許をもっているなら、「転職」という方法もあります。職場が変われば、また患者さんも変わり、心機一転、頑張れることもあります。

一つの職場にしがみついて、心も身体もボロボロになってしまう前に、そこから抜け出るための力を残しておくことが大切です。とりあえず、ここまで頑張りぬいたのです。この経験は無駄ではありません。今後のあなたの看護活動にプラスに働きます。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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