看護師が転職時にアピールできる有利な資格には、どのようなものがあるのでしょうか。看護師資格を保有しているのは当然として、その他の資格を有していれば、履歴書や面接などでアピールできる材料になります。

今後の自分の看護師人生を有利に進めたいと考えたとき、資格を利用するのは重要です。転職を後押ししてくれるだけでなく、さらには転職成功に導いてくれる資格をもっていれば、求人先の目に留まりやすくなります。

ただ資格が転職に有利とはいっても、給料面などの待遇が良くなるとは限りません。何も考えずに中途採用に応募しても、優れた条件で働けるようにはならないのです。さらには、どのような種類の資格を取得しているのかも重要です。

そこで、「もっていると評価されやすく、転職に有利に働く資格」についてまとめました。なお「資格取得を支援してくれる求人先」へ転職して勉強するのも優れているため、この理由についても解説していきます。

転職時にアピールできる看護師の資格とは

転職のとき、アピールできる資格にはどのようなものがあるでしょうか。また、長い看護師人生のなかで、どのような資格にターゲットを絞って取得すると転職で有利に働くのでしょうか。

・看護師資格の代表は看護協会の資格

転職時にアピールできる看護師資格の最たるものは次の資格です。

  • 認定看護師(CN)
  • 専門看護師(CNS)

看護協会が認定するこれらの資格を取得していれば、世間的な認知度が高く、転職時にどこの医療機関でも通用します。もちろん専門看護師のように、実際には圧倒的に取得のハードルが高い資格もあるため、これらについては「本当に目指すかどうか」を決めなければいけません。

・保健師は特定の求人にて有利に働く

また看護系の大学を卒業した人であれば、保健師資格を取得した人もいるでしょう。看護師求人に応募する場合でも、保健師資格を保有していれば、転職時にアピールできます。

  • 保健師

保健師でなければ申し込みできない求人は多く、産業保健師や学校保健師などがこれに該当します。

・在宅や施設への転職で有利な資格

一方、在宅や施設の看護活動を視野に入れている看護師であれば、認知症や介護に関する資格をもっていれば転職時のアピール材料となります。

  • 認知症ケア専門士
  • ケアマネージャー(介護支援専門員)

それぞれの資格について、中身がどうなっているのか確認していきます。

認定看護師(CN)は最も一般的な資格

いまでは認定看護師の活躍が認められ、認定看護師資格を保有している看護師は多いです。認定看護師育成に積極的な病院では、各分野の認定看護師が4~5人以上在籍しているところもあるくらい、認定看護師は医療機関で働く看護師にとって一般的になっていることが分かります。

ただ、認定看護師資格は日本看護協会が独自に定めた資格です。看護師や保健師のように、「この資格がなければ職に就けない」というわけではありません。そのため認定看護師資格を取得したにも関わらず、医療機関からは能力に応じた待遇を得られていない現実があります。

次のグラフを参照してください。

出典:病院勤務の看護職の賃金に関する調査 日本看護協会

こちらは認定看護師の賃金処遇のグラフです。認定看護師手当を支給する医療機関は全体の3割弱しかなく、資格が評価されるとしても月3,000~5,000円のところがほとんどです。

ちなみに「訪問看護認定看護師」「脳卒中リハビリテーション看護認定看護師」「認知症看護認定看護師」は他の認定看護師分野と比較すると1,000~2,000円ほど平均手当が高い傾向にあります。反対に「小児救急看護認定看護師」は平均手当が1,000円ほど低いとされています。

ただ中には認定看護師資格を評価し、高額な手当を支給する下記のような医療機関があるので、そのような求人を中心にチェックしてみるといいでしょう。例えば、以下は認定看護師加算として月1万円が加わる病院の募集です。

実際のところ、こうした中途採用は少ないです。ただ探せば、認定看護師資格を評価してくれる医療機関は存在します。

認定看護師の支援制度のある求人へ転職する

なお、既に認定看護師を保有している人でなく、「これから認定看護師の資格を取得したい」と考えている場合、資格取得を支援してくれる職場へ転職すると優れているといえます。または、他の資格を取得したいと考えている人にとっても資格取得支援の制度はありがたいです。

特に認定看護師の資格を得る場合、専門教育機関での認定看護師教育課程の受講期間は6ケ月以上を要します。そのため通常はいったん現職を休職、もしくは退職しなければなりません。もちろん、高額な費用も必要です。

しかし認定看護師資格の取得支援に関する制度が整っている医療機関へ転職すれば給与保障があるだけでなく、教育機関で必要となる入学金、授業料・実習日宿泊費など必要な費用を支援してくれます。例えば、次のような医療機関です。

事前にこうした医療機関へ転職しておくだけで、金銭面の負担は大幅に軽減されるようになります。全面的なバックアップ体制を敷いてくれる医療機関は存在するため、認定看護師になってキャリアアップを狙うのであれば、このような求人を探して転職するといいです。

専門看護師(CNS)は非常にハイレベルの資格

なお専門看護師資格だと、看護師資格の中でもハイレベルな資格となり、相当の覚悟と信念、費用、時間がなければ取得できません。大学院に2年通い、さらには認定審査に合格しなければいけません。

この資格を取得しているのであれば、もちろん転職時には有利になります。しかし専門看護師資格も認定看護師資格と同じであり、看護協会が独自に定めた資格であるため、転職時には有利であったとしても、給与も待遇も変わらない医療機関が多いです。次のグラフを確認してください。

出典:病院勤務の看護職の賃金に関する調査 日本看護協会

専門看護師資格を取得した2割程度の専門看護師は、手当が5,000円程度アップするものの、残りの8割に至っては「資格を取得しても職位や給与に変化がない」との報告があります。これは認定看護師よりも処遇が悪いことを意味します。

実際のところ専門看護師資格については、取得が非常に難しいものの、報われない資格となっています。もちろん医療機関によって判断は異なりますが、転職に有利でも年収に反映されにくいことから、取得するかどうかは慎重に考えたほうがいいです。

夜勤なしで働ける保健師の職業

他には保健師の資格もあります。4年間を通う必要のある大学だと、看護師だけでなく保健師の資格を有する人が非常に多いです。ただ、せっかく保健師資格を取得しても、看護師として働いているのであれば、保健師資格は棚に埋もれたままになってしまいます。

私自身、看護師資格だけでなく一緒に保健師資格も取得しています。以下が私の看護師免許と保健師免許の写真です。

このとき分かりやすいのは、産業保健師や行政などでの勤務です。ただ医療現場にも継続して関わりつつ保健師資格を活かして転職をしたいのであれば、「看護師業務を行いながら、保健師の仕事を行う健診クリニック」などもお勧めです。

例えば、以下のような求人がこれに該当します。

ダブル国家資格保有者であるため、看護師資格だけ必要という求人よりも高い給与が設定されているところが多いです。先ほどの求人については、給与は以下の通りです。

健診クリニックのため夜勤はありません。日勤のみで、看護師としても保健師としても働くことができるのであれば、このような求人は大変魅力的です。

認知症ケア専門士で病院・高齢者施設に転職する

ただ認定看護師や専門看護師資格には厳しい関門があり、保健師は大卒の人が基本となります。そのため、より手軽に取得できて転職に有利な資格として何があるのか知りたい看護師は多いです。そうしたとき、認知症ケア専門士を視野に入れるといいです。

認知症ケア専門士を有していると、認定看護師や専門看護師と同じくらいの待遇を得られる求人があるので、老年看護に興味のある看護師は取得しておいて損はありません。

実際のところ、認知症ケア専門士を有することによって優遇してくれる職場が存在するため、こうした職場への転職だと有利になります。例えば、以下は一般病棟の看護師募集ですが、認知症ケア専門士の資格を有することで月2,000円の資格手当が付与されることが分かります。

鹿児島の病院であり、地方の医療機関のため、高齢の入院患者さんが占めています。そのため、認知症ケアへの知識を有する看護師はそうした病院や施設で重宝されるのです。

もちろん認知症ケア専門士について、この資格をもっていたとしても「転職には有利だが給料には反映されない」というケースもよくあります。

ただ認知症看護認定看護師とは異なり、認知症ケア専門士は取得条件がゆるやかです。認定看護師より費用も時間もかからないため、転職時のアピール材料に使いやすいです。

ちなみに認知症ケア専門士は看護師の間ではあまり知られていませんが、介護や福祉業界からは大変知名度が高く、人気のある資格です。主に介護保険施設・有料老人ホーム・グループホームなどの高齢者福祉施設がメインの働き先となっています。

ケアマネージャー(介護支援専門員)で施設求人を目指す

他には高齢者施設などに転職希望の看護師であれば、ケアマネージャーの資格は有利に働きます。在宅や介護施設において、ケアマネージャーは非常に重要なポジションといえます。

そうしたとき看護師として働く場合でも、ケアマネージャーの資格をもっていると資格手当が出る求人先があります。例えば、次のような求人です。

こちらは有料老人ホームの看護師求人です。ケアマネ―ジャーであれば10,000〜15,000円も月々の手当が加算されるため、専門看護師や認定看護師よりも平均手当が多く、優遇されていることが分かります。

介護職員に比べると、看護師のほうが圧倒的に給料は優れるため、ケアマネージャー資格を有していたとしても介護職員として転職する人はほぼいません。ただ看護師とケアマネージャーのダブル資格であれば、介護施設において「より優れた看護師として活躍しやすい」といえます。

なおケアマネージャー資格取得には実務経験が必要になるため、いま介護施設で勤務していない場合、まずは転職が必要です。そうしてケアマネージャー資格を優遇してくれる施設の求人に申し込むことで、将来の昇給を目指すことも可能です。

取得した資格を最大限有利に働かせて転職するコツ

それでは、「苦労して取得した資格を活かして有利に転職したい」「これから資格取得をしたいので、資格取得を支援してくれる求人に申し込みたい」と考える場合、どのように行動すればいいのでしょうか。

これについて、素人が一つずつ求人先に問い合わせるのは現実的に無理です。「御院は認定看護師資格について手当として反映してくれるでしょうか?」などのように、一つずつ電話で確認していくのは面倒ですし現実的ではありません。

そこで資格を活用できたり、今後の資格取得を支援してくれたりする中途採用募集は転職サイトを利用して見つけるのが大原則になります。これは、転職サイトの利用であるほど求人の内容を細かく分析でき、どのような看護師を欲しているのか分かるからです。

例えば、以下は転職サイトに存在する「糖尿病認定看護師を欲している看護師の中途採用募集」です。

このように特定の資格を掲載しているため、それに応じて待遇は良くなります。先ほど「認定看護師資格はあまり給料に反映されない」と述べましたが、これは世間一般的な傾向であり、ピンポイントで資格を欲している求人だと年収にも反映されます。

参考までに、先ほどの求人の給与体系は以下の通りです。

このように看護師としての給料だけでなく、諸手当として糖尿病認定看護師の資格を有することで高額な手当が付きます。

ただ当然ですが、病院やクリニック、施設の公式サイトでこうした細かい内容が掲載されているケースはほぼありません。求人票はみずものですが、転職エージェントであれば「この資格を有する看護師が欲しい!」とピンポイントで求人が出されます。そうした求人に素早く申し込めば、資格を活かして有利に転職できます。

「資格を活用して有利に転職したい」「資格取得を支援してくれる募集に申し込みたい」というのは、看護師転職だとかなりの特殊求人に該当します。こうした特殊な求人票を自分で見つけるのは不可能に近いため、転職サイトを利用するのが一般的というわけです。

資格でスキルアップ・キャリアアップを目指す

看護師としての資格を保有していれば、それだけで特に転職で困ることはありません。稀に「保健師資格が必須」などの求人はあるものの、多くは看護師資格だけであらゆる医療機関に転職できてしまいます。

そのため実際のところ看護師免許さえ保有していれば問題なく、その他の資格を有していたとしても待遇で優遇されることは少ないです。転職では有利になるものの、給料には反映されにくいというわけです。看護師のように、対象の資格がなければ業務を行えないわけではないからです。

ただここまで述べた通り、少数ながらもその他の資格手当を出してくれる医療機関は存在します。またいま資格を保有していなくても、資格取得支援によってスキルアップ・キャリアアップを目指せる医療機関もあります。

こうした求人を自分で探すのは無理ですが、転職サイトを利用すれば問題なく見つけることができます。資格を保有するだけに留まらず、苦労して手に入れた資格を活かせる環境で活躍するようにしましょう。


看護師転職での失敗を避け、理想の求人を探すには

求人を探すとき、看護師の多くが転職サイト(転職エージェント)を活用します。自分一人では頑張っても1~2社へのアプローチであり、さらに労働条件や年収の交渉までしなければいけません。

一方で専門のコンサルタントに頼めば、100社ほどの求人から最適の条件を選択できます。このとき、病院やクリニック、その他企業との年収・労働条件の交渉まですべて行ってくれます。

ただ、転職サイトによって「対応エリア(応募地域)」「取り扱う仕事内容」「非常勤(パート)まで対応しているか」など、それぞれ違いがあります。

これらを理解したうえで専門のコンサルタントを活用するようにしましょう。以下のページでは転職サイトの特徴を解説しているため、それぞれの転職サイトの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。

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