美容外科や美容皮膚科などの美容クリニックへの転職は、一般の医療機関と比べて高収入・高待遇であるため、看護師の間では人気です。

美容外科の中でも年収をさらに高く設定しているクリニックでは、「基本給+業績給(院内全体での売上)」に加えて、インセンティブを追加しているケースが多いです。このようなことから、美容クリニックは20代・30代といった若い年代の看護師が大部分を占めているにも関わらず、平均年収は500万円前後だとされています。

また、中には年収1000万円を越える凄腕の美容外科看護師も存在します。これらの高額年収を受け取る美容外科看護師の多くは営業ノルマのあるクリニックに勤務し、毎月の売上目標を達成しているのです。

しかし営業ノルマと聞くと、「私は人にものを勧めるような営業力がないから無理かもしれない」「ノルマが達成できないと職場に居づらくなるのではないか」「新人のうちは仕事に慣れていないから、営業ノルマ達成は難しいかもしれない」と不安になる人が多いです。

そこで今回、美容外科で勤務する看護師が営業ノルマを達成させるコツについて解説していきます。

看護師が営業ノルマを達成させる事前準備

看護師が営業ノルマを達成させるには、どのような準備が必要なのでしょうか。看護師は大学や看護学校で看護について勉強しますが、「何かを売る」といった営業の勉強はありません。

看護師の多くは営業経験がないため、「自分に向いているのか」「人にものを売ることはできるのか」など、分からないことだらけで不安になるでしょう。ただ営業は、コツを掴んで軌道に乗せることができれば、案外スムーズに進みます。

私自身、もともと社会人で看護大学に通い始めたのは33歳のときです。そのため仕事のかたわら、多くの営業マンを見てきました。営業といえば、経営学部出身などをイメージする方がいるかもしれません。

しかし経営学部や商学部出身の人のみ営業に長けているかといえば、そうではありません。文系に限らす理工学部、農学部出身の人でさえ、トップ営業マンになっている方がいます。

病院を見渡しても、よく製薬会社の方が営業に来ています。あの方たちを思い出してみると分かりますが、三者三様で自分のもち味を発揮して、自社の製品をアピールしています。

看護師であってもコツさえ掴めば、決して営業ノルマを達成させていくことは難しくないのです。

そこで次に「どのような人物であると営業ノルマを達成させやすいのか」について述べていきます。

自社商品・他社商品について理解する

商品理解は営業を実践する上で大切です。美容外科へ新規顧客を勧誘したり、既存の顧客に新しい施術や化粧品を勧めたりする上で重要なのは、施術や化粧品などについて幅広く理解していることです。もちろん自院だけでなく、他院や他社化粧品にまでアンテナを広げてみましょう。

来院したお客さんに「この看護師は幅広い専門的な知識をもっている」と思ってもらえれば、お客さんは「この看護師が勧めるのだから間違いはない」と納得するのです。

例を挙げてみましょう。まずは悪い例です。

この化粧品は、肌へのノリがよくて、キメが細かく見えます。私もずいぶん長く、この化粧品を使っています。

この言葉を聞いて、あなたはどう思うでしょうか。「そうなんだ」と感じるだけで購買意欲は沸かないのではないでしょうか。

あなたが何か商品を買うときの状況を思い出してみましょう。数多くある化粧品の中から、なぜ、その化粧品を選んだのでしょうか。「品質が良いから」「価格以上の価値を感じたから」「CMで有名だから」「効果を実感できたから」など、さまざまな理由が思い浮かぶはずです。

いま使っている化粧品よりも安くて品質が良い、もしくは同等ということが分かれば、お試しで一度は使ってみようとお客さんは考えるかもしれません。

ただ、美容外科で販売されている化粧品は多くの場合、一般の化粧品よりも割高であるケースが多いです。美容外科などにいくら化粧品のポスターが貼ってあっても、「この化粧品は良さそうだけれど、値段が高すぎるから長くは続けられない」と考え、多くのお客さんは敬遠します。

上の例で提示した看護師の言葉を振り返ってみましょう。「いま使っている化粧品よりも高額なものに変えてまで使ってみたい」と、お客さんに思わせるくらいの説得力はありません。

人は商品を購入するとき、費用対効果を考えます。このとき「値段は高くても、この商品は値段以上の価値がある」と判断したとき、初めて財布のひもが緩むのです。

そのため、あなたはお客さんに「この化粧品にお金を費やしても惜しくない理由」を伝える必要があるのです。そこで商品知識の詳しい場合の例を挙げてみます。

市販の化粧品には、防腐剤が入っていることが多いです。防腐剤は細菌を殺す作用のある薬剤を添加して、商品を長持ちさせるために用います。しかし防腐剤は、お肌に必要な健康な菌も殺してしまうため、負担がかかってしまいます。

その点、こちらの化粧品は、防腐剤を入れない代わりに真空になっているので腐る心配がなく、安心して使えます。こちらがこの化粧品を使った直後の肌です。

さらに、この化粧品にはAという成分が入っています。Aはお肌のキメを整える成分です。〇〇様はお肌のキメを気にされていらっしゃったので ……

このように伝えると、「なぜ他社製品ではなく、この美容クリニックの化粧品を使ったほうがいいのか」を説得する一つの材料となります。

さらに「他の防腐剤無添加の同じような商品と違い、どのような点で優れているのか」「値段は高いけど、他のお肌ケアが不必要になるから結果的に経済的」など、商品を使うメリットを伝えられると説得力が高まります。

このように「この化粧品はこの成分によって高い効果が得られるので、毎日の面倒くさいケアを省くことができる。だから、このくらいの金額なら払っても惜しくない」などと、お客さんを納得させることができれば、その化粧品を購入する可能性が高くなります。

そのためには常日頃から自社商品だけでなく、他社商品まで幅広くアンテナを張り巡らせて、深く商品知識を取り込んでおかなければいけません。

お客さんの悩みを聞いて、理解する

またお客さんはどういった悩みをもって、美容外科に来院しようと考えたのでしょうか。まずは、その点についてお客さんから話をじっくり聞かなければいけません。

中にはお客さんの悩みを聞く前に良かれと思って、お客さんの悩みを探り当てたり、指摘したりする美容外科の看護師がいます。これは、絶対に止めましょう。

短期的に見ればそれでノルマを達成できることはあっても、長い目でみると、「あなたから美容のことを教えてもらいたい」と思う人は減ってしまいます。そこで、実際に私が美容外科で体験したことを例に出して説明してみたいと思います。

私は以前、顔にできたシミが気になって、ある大手の美容外科でレーザー治療を受けることにしました。

カウンセリングルームに入ると、白衣を羽織って膝を組んだ若い看護師が座っていました。

このときカルテにさっと目を通した後、私の顔全体を見て「これくらいのシミなら簡単に取れます。カルテには他に悩みはないとのことですね。ただ私としては、この眉間のシワが気になりました。これくらいならヒアルロン酸を注入すれば、すぐに取れますよ。今日ついでにされますか」と私の眉間のシワを指しました。

当時、私は眉間のシワなど気にしたことは無かったのですが、いきなりそのことを指摘されてびっくりしました。さらにその看護師は「次に、足を見せてもらってもいいですか。そうですね、このすね毛の濃さなら、こちらは数回の施術で脱毛もできますよ」といってきました。

私のすね毛の濃さは「普通よりは、薄いほうだ」と思っていたので、この看護師の指摘にさらに不愉快になりました。この看護師に相談すると、体の欠点ばかりを指摘されて嫌な思いをしたため、この美容クリニックでの施術は丁重にお断りしました。

この美容クリニックの看護師は営業ノルマを達成するために、私の欠点を指摘して施術を受けさせたかったのでしょう。しかし、私の悩んでいる内容は「この美容外科クリニックで、私の顔にあるシミをきれいに取ってもらえるか」という一点だけでした。

それなのに、シワやすね毛といった他の美容的な問題点を指摘されても、「いまはそのことで悩んでいない」と不愉快な思いをしてしまいました。

先にお客さんから悩みをしっかり聞き出し、そのあとで「他にも追加で、このような施術をすると改善がみられますが、いかがなさいますか」といった提案を行う必要があります。聞いてもいないのに、勝手に悩みを作り出されるとお客さんは不快になり、困惑するだけです。

人間性を磨き、女性があこがれる女性を目指す

次に実践してほしいことは、人間性や女性らしさを磨き「この人から買いたい」と思わせるようにすることです。「人間性・女性らしさを磨く」というと、中には「私は美人ではないから、女性があこがれる女性にはなれない」と思う人もいるでしょう。

ただ美容外科に転職するとき、モデルのように容姿端麗でなければならないことはありません。

例えば、モデルのような容姿端麗の看護師から「あなたも頑張れば私のようになれますよ」といわれても何も響かないでしょう。きっと「もとが良かったからだろう」と考えてしまいます。

ただ、お世辞にもキレイとはいえない人の写真を見せられ、その後に「実は3年前の私はこのような姿でした」という言葉を投げかけられるとどうでしょうか。

そこに立っているのが普通の顔立ちの看護師でありつつも、雰囲気の良い人であれば、お客さんは「自分もこの人のように変われるかもしれない」と考えるのです。

美人は顔立ちやスタイルだけで作られるのではありません。みんなに愛される「雰囲気美人」は、あなたの努力次第で、すぐにも手に入れられるのです。あなたの周りにも、このような雰囲気美人が数多くいるのではないでしょうか。そのような人を真似してみましょう。

美容外科で営業ノルマを達成させる具体的な方法

次に、美容クリニックで営業ノルマを達成させる具体的な方法についてお伝えします。

まずはあなたに課せられた営業ノルマに対して、細かく具体化した目標を立てていくことが大切です。設定された大きな月単位の営業ノルマへやみくもに取り組んでも、なかなかゴールが見えません。つまり、いきなり大きな目標に取り掛かるのではなく、営業ノルマを細かく分けて具体的に行動に移しましょう

例えば、あなたに月80万円の営業ノルマが設定されているとします。この金額は一週間にすると20万円です。週休2日ですと、一日4万円の売上が必要になることが分かります。

一日4万円の売上を確実に達成していくことを考えると、どのように行動すればいいのか具体的に見えてきます。目標を細分化することで、自然と営業ノルマを達成するために実践するべきことが分かってきます。

今日一日の目標を確認できるよう、手帳などにメモを取って細かな目標を立ててみましょう。

小さい目標を設定するほうが、一日一日の達成感を味わうことができ、営業ノルマを達成するモチベーションアップにもつながっていきます。

営業ノルマを達成している先輩の真似をする

ちなみに非常に効果的な手法として、営業ノルマを達成している先輩の真似をすることが挙げられます。これは一般企業の営業方法でも同じです。

「真似はしたくない。最初から自己流で行いたい」と考える人がいます。ただ、それでは多くの時間と労力がかかってしまい、1年や2年という短期間で営業能力は伸びません。そこで、そのクリニックに合った営業方法でノルマを達成している先輩の真似をするのが、一番効率が良く、手っ取り早い方法だといえます。

先輩の営業方法をマスターしたあとで、自分なりに改善していけば、さらに営業能力を発揮していくことができます。

営業ノルマを達成することができれば、自然と営業のコツを掴めていきます。そうなれば、「仕事にやりがいを感じて楽しい」などと思えてくる美容クリニックの看護師は多いです。あなたの実力がすぐに給料に反映される事実は、ノルマがある美容クリニックならではの喜びといってもいいでしょう。

もちろん、すべて順調に進んでいくとは限りません。最初は営業がうまくいかずノルマを達成できないで、行き詰まりを感じてしまう場面が出てくるかもしれません。

ただ、どのようなトップ営業マンも最初は先輩の真似をしつつ、自分なりに試行錯誤を繰り返して自分に合った方法を見つけ、ノルマを達成していくケースが多いです。努力なくして、報酬を手に入れているわけではなく、何らかの工夫や思考を凝らしているからこそ、トップに昇りつめたのです。

それまでは修行の時間だと考え、営業ノルマを達成している先輩たちの手法を真似しつつ、コツコツと自分なりの方法を確立していくように心がけましょう。

営業ノルマなしの美容外科への転職も可能

なお、上記に挙げた様々な方法を試したとしてもノルマ達成を改善できず、職場にいづらさを感じるようであれば、営業ノルマのない美容外科への転職を視野に入れるといいでしょう。例えば、以下は東京にある美容外科クリニックの看護師求人になります。

給料はノルマありの美容外科よりも若干低めに設定されているケースが多いです。しかしそれでも、一般的な病棟で夜勤を行うのと同等かそれ以上の給与が設定されています。

中には、人にモノを勧める営業はどうしても苦手という人がいます。このような方は、営業ノルマのない美容クリニックにて、ストレスなく働くことをおすすめします。

営業ノルマありが自分に合っているかを見極めるなら紹介予定派遣

また営業ノルマありの美容外科クリニックに勤めるとき、「本当に自分は営業という仕事に向いているのか」と不安を抱えているのであれば、紹介予定派遣のある求人を選ぶことをおすすめします。例えば、以下のような東京にある美容クリニックの看護師求人が該当します。

紹介予定派遣とは、人材派遣会社に登録をして1~6ケ月(多くは3ケ月)といった期間、派遣看護師として働いてみて、双方の合意があれば正社員に移行できるという雇用形態です。派遣看護師として実際に美容外科で働いてみれば、「営業ノルマあり」がどういうことなのか、自分で体験して把握できます。

またその他の利点として、職場内の人間関係や院長の方針、実際の営業対象の商品なども自分の目で事細かに確かめることができます。

特に人間関係は、その人にとって「合う合わない」があります。「人間関係が大変」と噂されている職場でも、実際に入職してみると自分には合っていた場合もあるのです。

そして万が一、その美容外科クリニックがあなたには合わずに、正社員になることを辞退したとしても、正規職員のように退職という形にはなりません。派遣雇用の期間が終了しただけになります。そのため、履歴書に退職というキズが付かず、再転職でのリスクが減ります。

もちろん、紹介予定派遣ではノルマなしの美容クリニックの求人募集も存在します。そこで、まずはお試し勤務をしてみても問題ありません。

大変な営業ノルマの達成法を考える

通常、看護師だと営業ノルマは存在しません。ただ美容外科看護師の場合、例外的にノルマを課せられるケースがあります。

そうしたとき営業をしなければいけないため、どうしても仕事内容は大変になりがちです。ただ、何も考えずに接客をしても営業成績が上がることはありません。営業のポイントを理解したうえで、ノルマ達成を実現する必要があります。

そこで商品の内容を理解し、お客さんの悩みを把握したうえで、優れた先輩の真似をしながら業務内容を改善させて、ノルマ達成を目指しましょう。ただそれでも営業の仕事が大変な場合、ノルマなしの職場への転職を考えてみても問題ありません。

こうしたポイントを理解し、美容で悩むお客さんにアプローチしてみましょう。やり方を変えていき、改善を重ねることで営業成績が向上していくはずです。


看護師が求人を探すとき、多くの人が転職サイト(転職エージェント)を活用します。特に美容クリニックは求人自体が特殊であり、自分だけの力で探すのは現実的ではありません。

個々の美容外科・美容皮膚科によって「ノルマの有無」「取り扱う施術」「年齢制限」など基準はバラバラです。また、大手と個人クリニックでも特徴が異なります。そこで、美容クリニックの求人を広く取り扱う転職サイトを利用しましょう。

ただ通常、看護師の転職エージェントは「一般的な医療機関の求人」がメインです。そこで、どの転職サイトを利用すれば美容外科への転職が可能になるのか理解しなければいけません。さらには、転職サイトごとに「対応エリア(応募地域)」「非常勤(パート)まで対応しているか」などの違いもあります。

これらを理解したうえで専門の転職エージェントを活用しましょう。以下のページにて転職サイトの特徴を解説しているため、転職サイトごとの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。