美容クリニックは人気の看護師求人です。そのため、一つの採用枠に多くの応募者が殺到します。採用側は第一段階の書類選考で履歴書や職務経歴書に目を通し、面接に進む人を判別します。履歴書の中でも特に重視するのは、学歴や職歴よりも志望動機・自己PRです。
志望動機を重視する理由は、「看護技術や知識に長けている看護師よりも、仕事・美容に対する意欲や関心をもっている看護師のほうが、伸びしろがある」と感じ、一緒に働きたいと思うからです。
このとき美容クリニックでの履歴書の志望動機では、医療系の病院への志望動機とは異なり、特別な書き方が存在します。
美容クリニックの志望動機では「なぜ、この美容クリニックで働きたいのか」という具体的な理由を明確に述べなければ、他の応募者と差をつけて採用されることはありません。そこで美容外科・美容皮膚科で好印象を与えやすい志望動機の書き方や例文について解説していきます。
もくじ
美容クリニックの履歴書で考えるべき志望動機の書き方
まず、なぜあなたは美容クリニック業界へ転職したいと思ったのでしょうか。これについては、以下のように人によって理由はさまざまです。
- 高給与・好待遇
- 美容に興味がある
- お客さんだけでなく、自分もキレイになれそう
- 夜勤がなく、残業が少なめ
もちろん、志望理由の根底には「一般的な病院と異なり職場環境が良く、働きやすい」というメリットが挙げられるでしょう。
ただこのような正直すぎる内容を履歴書や職務経歴書で書いてしまうと、自分の都合ばかりを優先した志望動機とみなされてしまい、採用からは遠のきます。美容クリニックでの履歴書の志望動機では、仕事や美容に対する熱意を非常に重視するからです。
美容クリニックは大変人気がある求人先のため、場合によっては1つの採用枠に5~8人以上の応募者が集まることがあります。その応募者の中で誰よりも仕事へ対する熱意をアピールし、「この看護師は他の応募者とは異なり、意欲に満ち溢れている。未経験でも伸びしろが感じられるので、一緒に働いてみたい」と思わせることが大切なのです。
そこで、あなたの仕事への熱意をアピールできる志望動機の書き方について考えなければいけません。
希望する美容クリニックの特徴について知る
まずは、希望する美容クリニックの特徴について知ることから始めましょう。あなたの希望する美容クリニックはどのような特徴をもつのでしょうか。
一言で美容クリニックといっても様々な特徴があります。例えば、以下のようなものです。
- カウンセリングを重視している
- 数多くの施術を行い、顧客の幅広い悩みを解決している
- 最新技術・機器を取り入れ、最先端の美容施術を実践している
- 熟練した美容外科医が集結している
- 全国にチェーン展開をしている
- 自由診療だけでなく保険診療も取り入れている
都心部であれば、美容クリニックはビルの各所に所狭しと点在しており、それぞれ独自の特徴を出さなければ生き残りは難しいです。例えば以下は東京都内のビルの看板ですが、いたるところに美容外科や美容皮膚科といった美容クリニックが点在しています。
そのため多くの美容クリニックでは、他のクリニックとは異なる色々な特徴を備えて開業しています。希望する美容クリニックのホームページを検索して、どのような面に力を入れているのか確認してみましょう。
例えば、以下は東京都内にある美容クリニックのサイトからの引用です。
出典:自由が丘クリニック
美容外科の中でも、専門医が20名も在籍しています。「個人美容クリニックで一人の医師がすべての施術を行うのは不安。それぞれの専門医に任せたい」という要望をもっているお客さんであれば、こちらの美容クリニックを選ぶことでしょう。
一方、以下は東京都の新橋にある個人美容クリニックのホームページです。
出典:みやた形成外科・皮ふクリニック
同じ医師が施術し、手術前に金額を含めてすべてを開示するのが特徴です。「院長は指示を出すだけであり、施術を経験の少ない若手医師に任されるのは不安」「美容クリニックで受ける費用の額が不明確で後から高額請求されると困る」という要望のあるお客さんであれば、こちらのような美容クリニックを頼るでしょう。
このように美容クリニックのサイトを少し眺めただけでも、それぞれのクリニックによって特徴が異なります。待遇面以外について、あなたはどのようなところに魅かれて希望する美容クリニックで働いてみたいと考えたのでしょうか。
自分の考えを深く掘り下げるためにも、希望する美容クリニックの特徴を明確に捉えましょう。そのためには、いくつかの美容クリニックを比較しながら長所・短所を探ると分かりやすいです。
自分の強みをどう活かせるかを考える
希望する美容クリニックの特徴について把握できた後は、その特徴があなたの強みによってどう活かせるのかを考えてみましょう。
中には「私は美容クリニック未経験であり、看護師としての臨床経験も少ないから、特に強みが無い」と不安になる人がいます。しかし、それでは採用からは遠くなってしまいます。
例えば美容クリニックのなかでも、特に美容外科へ転職希望の場合、外科や手術室経験のある看護師は有利です。例えば、以下のような求人です。こちらは東京港区にある美容クリニックの看護師求人です。
「外科またはオペ室経験者募集」と記載がありますが、同時に「未経験OK」ともあります。外科やオペ室での勤務経験がある人は、その経験を強みとして履歴書に記載するようにしましょう。
ただ、外科やオペ室での経験がなくても問題ない美容クリニックは非常に多いです。また、美容クリニック未経験や看護師としての臨床経験自体が少なかったとしても、誰しも他に強みはあるので心配ありません。
例えば、以下はあなたの強みとなる例です。
- 美容への興味・関心が高い
- 患者さんへの細かい配慮を行え、丁寧な看護を実践できる
- 接遇に自信がある
- 「アトピーなどで悩んでいる」「以前は太っていた」などのコンプレックスがあった
- 大学病院で最先端看護を身につけてきた
どれか当てはまるものがあれば、それらをより具体的に整理して履歴書の志望動機欄に記載すれば問題ありません。
他にも自分では弱み(コンプレックス)だと思っていたことが、裏を返せば強みであることがあります。例えば、「一つひとつの看護がゆっくりで時間がかかる」という弱みだったとしても、「丁寧な看護を実践している」ともいえるのです。
実際に自分の看護を振り返ってみたとき、「確かに仕事のスピードがゆっくりであるため、他の看護師に迷惑をかけてきたかもしれない。ただ冷静に考えてみると、私はヒヤリハットやインシデントなどを起こして患者さんに重大な迷惑をかけたことはない。長い目で見れば、これは自分の強みだ」と気づけます。
再度、自分の強みや良さについて考え、希望するクリニックでそれをどう活かしていけるのかを考えてみましょう。
・コピペ・簡単なアレンジは厳禁
このとき、Webサイトなどで美容クリニックの志望動機例が掲載されているのをそのままコピーして書き写す人がいます。これでは希望する美容クリニックへ入職したいという明確な独自内容になっていないため、当然ですが採用側の印象には残りにくくなります。
そうではなく、「あなたでなければ書けない志望動機を履歴書や職務経歴書に記すからこそ意味がある」と理解しましょう。
志望動機欄は200字前後で記載し、職務経歴書で詳しく書く
なお、実際の自己PRは端的に述べるようにしましょう。志望動機の欄は次のとおり、非常に狭いからです。
この欄に細かい字を書き、自分の伝えたい事柄を必死で伝えようとする人がいます。これは特に20代の女性看護師に多いです。ただ、細かい字で書き詰めることで採用へ熱意が伝わるかといえば、そうではありません。自分本位な人物だと捉えられてしまいます。
そこで、200字前後で簡潔に分かりやすく書きましょう。例えば、200字前後で志望動機を書いたとすると以下のような字の大きさになります。
こちらで191字になります。これ以上の小さな文字で志望動機を記載すると、採用側は何を伝えたいのかが分かりにくくなります。
・職務経歴書に志望動機を詳細に記せる
また履歴書だけでなく、職務経歴書を提出するケースもあります。職務経歴書については、フォーマットは決まっていませんが、以下のようにA4で2枚ほどにまとめるのが一般的です。
職務経歴書では志望動機や自己PRを多めに記載することができ、さらにはパソコンでの作成が基本です。テンプレートは「ここからダウンロード」できるようにしているため、これを美容クリニック用に改変して利用しましょう。
美容クリニックでの履歴書の志望動機例文
それではこれらのポイントを踏まえて、美容クリニックでの履歴書の志望動機例文について挙げていきます。美容クリニックは、大きく以下の4つの形態に分けることができます。
- 個人の美容クリニック
- 熟練医美容グループクリニック
- 医療系+美容クリニック
- 大手美容外科クリニック
さらに、それぞれのクリニックごとに特徴があります。履歴書の志望動機欄では、希望する美容クリニックの特徴について把握していることを記載し、さらにその特徴を活かせる自分の強みについて書き進めるようにしましょう。すると、説得力のある文章に仕上がります。
そこで美容クリニックの形態ごとに、志望動機の例文を挙げていきたいと思います。
個人の美容クリニックの志望動機例文
個人経営の美容クリニックは一番、個性や特徴の出やすい求人となります。院長の腕が良く、評判の良い美容クリニックかどうかは、口コミなどですぐに検索することが可能です。
個人クリニックの場合、お客様へのカウンセリングを重視します。そのため未経験でもOKとする求人が多く、応募者の技術やスキルよりも人間性を重視する傾向が高いです。
そこで個人クリニックの志望動機では、他の個人美容クリニックと比べてどのような特徴が応募先のクリニックにあるのかを提示し、自分の強みがその特徴に合っていることを伝えましょう。それでは実際に、個人の美容クリニックへの志望動機例文をみていきます。
貴院は、「症状に合った治療法の紹介によって患者様とじっくり話し合いながら、女性の美しさを提供している」ことを知りました。私は前職の精神科病棟で、メイク教室を開いたことがありました。そのときにメイクでキレイになった患者様の活き活きした表情から、美容の力を知りました。 これらの経験により、「一人ひとりの女性を美しく輝かせ、自信を取り戻して今後の人生に前向きになってもらえる仕事」に携わりたいと思うようになり、貴院を志望した次第です。 |
このような志望動機であれば、希望するクリニックの特徴だけでなく、自分の強みとマッチした部分を伝えることができています。
個人クリニックの場合、実施している施術や院長の方針はバラバラです。そのため、応募先のクリニックの特徴を盛り込んだ志望動機に仕上げるように工夫しましょう。
熟練医グループクリニックの志望動機例文
次に、熟練医グループクリニックの採用されやすい志望動機の書き方について考えていきます。熟練医グループクリニックとは、美容の中でもさらに特化した部門を持つ医師が複数在籍するクリニックになります。
それぞれの美容部門に特化した医師が3~5人程度集まり、治療や施術を行うクリニックです。この場合、東京・名古屋・大阪・神戸・福岡など主要都市に4~5ケ所の拠点を持っていることがあります。
これらのタイプの美容外科クリニックであれば、美容に特化した各医師が複数在籍しているため、腕がよく信頼の置ける医院が多いです。先ほど紹介した個人クリニックと異なる点は、各々得意分野をもつ複数の専門医が在籍しているため、高度で最先端の幅広い治療や施術を行える点です。
このような美容クリニックの看護師として働くと、熟達した技術をもつ複数の医師のもとで、幅広い分野の美容看護を専門的に学んでいくことができます。
この形態のクリニックを希望するときの志望動機では、「熟練した技術を持つ医師のもとで自分のスキルや強みをさらに磨いていける」などのアピールと共に、あなた自身の看護経験のアピール割合を多くするといいでしょう。以下に例文を挙げてみます。
貴院は熟練した医師が複数名在籍しており、看護師はそれぞれに特化したオペ手術の介助業務ができるとお聞きしております。私はオペ室に5年間勤務し、医師とのチームワークを発揮しながら手術介助へのやりがいを感じていました。 今回の部署異動を機に、もともと興味のあった美容分野に携わり、より高度で専門分野に特化した手術介助に携わっていきたいと考えました。お客様と同じ女性の目線に立ち、一人でも多くのお客様を笑顔に変えていきたいと思います。 |
熟練医グループクリニックへの志望動機の場合、興味をもった技術や専門性について掘り下げ、看護力を磨いていきたいと伝えると、採用に近づきます。
医療系+美容クリニックの志望動機例文
「医療系+美容クリニック」とは、内科や外科、皮膚科、産婦人科など美容とは違った診療科のクリニックが、このような専門の診療科に「美容外科」を加え、美容外科治療を併設しているクリニックになります。
こちらは医療系のクリニックのため、美容クリニックと比較すると基本給は低いのが一般的です。しかしノルマや業績給(月ごとに売上に応じて支払われる報酬)がないため、営業が苦手な人に向いています。
「医療系+美容クリニック」の志望動機には、あえて美容クリニックのことには触れずに、メインで実施している科について書くといいです。「美容診療をしているからこのクリニックを選んだ」と記すと、「中心となる科のことは興味がないのでは」と思われてしまうからです。
それでは例文を挙げてみましょう。
貴院には「患者様自身の自己治癒力を引き出し、サポートしていく」という方針があります。私は幼いころからアトピー性皮膚炎を患っており、ステロイド剤などを使っても改善はせず、つらい思いをしてきました。 そこで薬だけではなく、食習慣やスキンケアなどの実践で自己治癒力を高めることができ、肌質が改善しつつあります。私は皮膚疾患で悩む患者様の立場になり看護を行えると自負しております。 |
例文のように、あなたが実際に希望するクリニックで体験した話をいれると、採用側に「他の病院(クリニック)ではなく、どうしてもここで働きたい」という熱意が伝わりやすくなります。
大手美容クリニックの志望動機例文
次に、大手美容クリニックの採用されるための志望動機の書き方を考えていきます。
大手美容クリニックはテレビCMやネット・雑誌などで大々的な広告を展開し、全国に分院が20以上あるケースが多いです。東京などの主要都市に出向かなくても、自宅の近くでさまざまな最新の美容外科の治療を受けられることが特徴です。
ただ、毎日のようにCMやネットでの広告が出ているため、売上に厳しく、スタッフにノルマや業績給などを課しているケースが多いです。例えば、以下は東京にある大手美容クリニックの求人広告です。
この業績目標は看護師だけでなく医師にも設定されています。そのため得意・不得意に関わらず、医師一人が一日に5~8件以上の大小さまざまな施術のノルマを抱えて美容手術を実施していることがあります。その負担は看護師にも回ってきます。
個人経営の美容クリニックの手術では一日に1~3件が限度であることを考えると、大手美容クリニックの施術数のこなし方が並大抵の労働力ではないことが分かります。
新しい分院を次々に設立しているため、看護師が在籍する人数は多いですが、常に求人が出ているので応募しやすいといえます。このような大手美容クリニックへ転職するメリットとして、ノルマや業績給を達成した場合、個人クリニックよりも報奨金がプラスされて給料が多くもらえる仕組みが挙げられます。
多くのお客さんと出会うことで経験を増やしていきたい人や、多くの美容治療を幅広く勉強していきたい人に向いています。個人クリニックと比較すると、さまざまな悩みを抱えたお客さんと接することができます。そこで、以下に志望動機・自己PRの例文を載せます。
貴院は全国に数多くの分院を持っており、幅広い施術を実施していることで有名です。来院されるお客さん数が多く、様々な悩みを解決できることに大変魅力を感じております。 以前の勤務先では、患者様への丁寧な接遇を心がけており、担当となった患者様から「ありがとうございます」と感謝の声を頂けるのが何よりのやりがいでした。今後もお客さんの目線に立ち、医師との間で橋渡しを行えるよう努力していきたいと考えています。 |
大手美容クリニックだと、スタッフの出入りの激しい職場が多いです。人気求人の美容クリニックであるにも関わらず、常に求人が出ているところがあります。
このようなクリニックであると、転職しやすい反面、厳しいノルマが設定されるケースが多いため長続きできないといった側面もあります。転職前に待遇面だけでなく、ノルマの有無や人間関係、職場環境、院長の方針、看護師の離職率、平均年齢などの事前に詳しい内部情報を得ておきましょう。
履歴書や職務経歴書で正しく自己PRを行う
どのような面接であっても、履歴書を必ず書かなければいけません。また求人先によっては、職務経歴書の提出が必要になることがあります。このとき、どうしても困ってしまうのが志望動機や自己PRの内容です。
医療機関へ申し込みする一般的な看護師転職とは異なり、美容外科や美容皮膚科への転職では普通に不採用となることがあります。
そのためどのような志望動機を記載しなければいけないのか、事前に理解しておきましょう。ただ美容クリニックによって規模や経営理念が大きく違ってくるため、それに合わせて志望動機を考える必要があります。
これらを事前に学んだうえで美容外科・美容皮膚科の志望動機を考えるからこそ、採用に近づくようになります。何を考えて志望動機を考えなければいけないのか理解したうえで、履歴書を作成するようにしましょう。
看護師が求人を探すとき、多くの人が転職サイト(転職エージェント)を活用します。特に美容クリニックは求人自体が特殊であり、自分だけの力で探すのは現実的ではありません。
個々の美容外科・美容皮膚科によって「ノルマの有無」「取り扱う施術」「年齢制限」など基準はバラバラです。また、大手と個人クリニックでも特徴が異なります。そこで、美容クリニックの求人を広く取り扱う転職サイトを利用しましょう。
ただ通常、看護師の転職エージェントは「一般的な医療機関の求人」がメインです。そこで、どの転職サイトを利用すれば美容外科への転職が可能になるのか理解しなければいけません。さらには、転職サイトごとに「対応エリア(応募地域)」「非常勤(パート)まで対応しているか」などの違いもあります。
これらを理解したうえで専門の転職エージェントを活用しましょう。以下のページにて転職サイトの特徴を解説しているため、転職サイトごとの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。