一般的に美容外科・美容皮膚科で働く看護師は転職で働き始める人が多いです。ただ中には、学校を卒業した段階から美容クリニックを目指し、新卒採用で入社できないかと考える人もいます。
一般的な病院やクリニックとは異なり、美容クリニックでの勤務は特殊になりがちです。そのために病院勤務では実現できない優れた条件にて働くことができます。例えば、新卒看護師であっても夜勤なし・残業なしを実現でき、さらには高給料なのが美容クリニックです。
ただ美容外科・美容皮膚科は通常の病院と異なり、採用のハードルが非常に高いです。一般企業と同様に、平気で不採用となることがよくあるのです。そのため、事前に対策を練らなければいけません。
通常の就活生と同じように、それなりの対策をするからこそ美容外科・美容皮膚科に就職できるようになります。ここでは、新卒採用の段階から看護師が美容クリニックを目指す方法について解説していきます。
もくじ
新人から夜勤なし・残業なしが可能な美容クリニック
採血や点滴が少ないなど、医療としての美容医療は仕事の内容が特殊になりやすく、他の科へ転職するときは過去の経験が役に立たないことが多いです。これは眼科にも共通しますが、眼科で優れた看護技術を得たとしても、他の科ではまったく役に立ちません。これは美容医療も同様です。
それにも関わらず、なぜ多くの看護師が美容外科・美容皮膚科への就職・転職を目指すのでしょうか。これは、病院勤務よりも圧倒的にストレスのない環境で働けるにも関わらず、高い給料を実現できるからです。
美容外科ではオペはあるものの、どれも日帰り手術です。入院設備のある美容クリニックは世の中にほぼ存在しません。また完全予約制のため、残業なしが普通です。急な入院もある病院とは、職場環境がまったく異なるのです。
それでいて高年収です。夜勤ありの病院看護師に比べて、給料が同じまたはそれ以上となるのです。例えば、以下は横浜にある美容クリニックから出された採用募集です。
個人ノルマなしで経験不問であるにも関わらず、美容クリニックなので月30万円からのスタートです。新卒採用の段階から、こうした給料をもらえるのは美容クリニックだけです。
病院看護師の年収が高めなのは夜勤があるからです。夜勤手当や時間外労働手当などが加わることで高年収となるのです。ただそうした夜勤や残業がないにも関わらず、元々の収入が非常に高いため、結果として病院看護師に比べて同等またはそれ以上の高年収となるのです。
美容外科・美容皮膚科は新卒でも美容クリニックに就職可能
ただ新卒採用の看護学生が心配になる点として、「いま看護師として働いているわけでもないのに、美容クリニックへ就職できるのか」があります。
世の中に存在する美容外科・美容皮膚科の求人はほとんどが既卒者向けです。新卒採用向けではありません。ただ、看護学生向けの新卒就職であっても問題なく受け入れている美容クリニックがあるのです。そうした美容クリニックへ申し込めば、問題なく新卒の段階であっても就職できます。
例えば、以下は東京にある美容皮膚科クリニックの新卒採用募集です。
看護学生として資格を取得できる見込みがある場合、こうした美容外科・美容皮膚科の求人に新卒で申し込むことができます。新卒採用によって美容看護師を目指すことができるのです。
臨床経験のない新卒採用は不利になりやすい
ただ、看護学生が美容クリニックへの就職を考えるとき、事前に理解しておくべきポイントがあります。それは、臨床経験がないので不利になりやすいという事実です。
実際のところ、中途採用の看護師に比べて新卒採用では求人数がかなり少なくなります。これは新卒を採用したくないという意味ではなく、臨床経験のある看護師を迎え入れたいと考えている美容外科・美容皮膚科が非常に多いからです。
例えば、以下は脱毛を中心とした大手美容クリニックの公式サイトに記載されている募集要項です。
このように、看護師としての実務経験1年以上の人でなければ、この求人募集には申し込みできないようになっています。准看護師でも応募可能ですが、いずれにしても臨床経験が必要になるのです。
美容外科・美容皮膚科の中では、こうした病院での勤務経験を応募条件に掲げているケースがよくあります。美容クリニックは接客業であるため、まったく社会人経験のない人ではなく、患者さんへの接し方を理解しており、医療の大変さを現場レベルで経験している人を欲しているのです。
また病院勤務に比べると夜勤なし・残業なしでストレスは少なく、以前の職場環境に比べると勤務条件が優れやすいため、既卒者は転職後に長く働いてくれやすいです。一方で新卒は一つの職場しか知らないため、一般的な新人と同様にすぐ辞めていく可能性があります。
こうしたさまざまな理由から、美容外科・美容皮膚科の看護師就職では看護学生よりも、病院での経験がある看護師を求める傾向が強いのです。
看護学生が美容クリニックの就職で落とされるのは普通
また新卒採用によって看護学生を広く募集している美容クリニックを探すことができたとしても、それだけで安心してはいけません。新卒募集に申し込んだとしても、落とされるケースが平気であるからです。
同じ新卒採用であっても、病院勤務を希望する場合は落とされることが少ないです。大病院であれば、若い看護師を積極的に採用します。またクリニックや施設を目指すにしても、看護師不足である実状もあり問題なく採用されます。
一方で美容外科・美容皮膚科は別です。勤務条件が優れているため、平気で不採用になることが多々あります。イメージとしては、一般企業に申し込むのと同じだと考えましょう。一般企業は広く就活生からの応募を待っていますが、優れた人材だけを選ぶため、多くの学生に不採用通知を出します。
美容クリニックについても、求人自体が人気になりやすいために多くの看護学生や既卒看護師を不採用にします。
採用を勝ち取るという意味では、美容クリニックを目指す看護師は通常の医療機関求人よりもハードルが高いことは理解するようにしましょう。
内定に必要なのは美容への興味
そうしたとき、看護学生が美容外科・美容皮膚科の内定をもらうためには何に注意するべきなのでしょうか。これについて、一番は美容に対する興味だといえます。
美容クリニックで採用される看護師像について、勘違いしている人は多いです。これには、「美人でなければ美容外科・美容皮膚科で勤務できない」と考えることがあげられます。ただこの点は、内定には関係ありません。一番は、あなたがどれだけ美容医療に興味をもっているかどうかといえます。
例えば見た目が普通でも、美容に興味があれば何とか自分を美しく保つための努力を惜しまないはずです。看護学生でお金がないながらも、肌の手入れや髪のケアなど、身体のメンテナンスについて普段から心がけているはずです。
一方で「脱毛をまったく興味がない」「エステに行きたいと思ったことがない」「髪がいつもボサボサ」という人では、お客さんに対して美容施術を勧めることはできません。美容クリニックを来院するお客さんは美容に興味があり、そういう美容意識の薄い人と会話がかみ合わないのです。
これが、看護学生にとって美容への興味が内定獲得に最も重要になる理由です。いまの容姿や体型ではなく、美容へどれだけ興味があるのかが新卒採用の内定にとって最重要だと理解しましょう。
志望動機・自己PRをしっかりと考えるべき
そうしたとき、当然ながら履歴書を提出して面接を受けなければいけません。当然、履歴書には志望動機を記載する必要があります。病院でも志望動機を考えて自己PRを実践する必要はありますが、これは美容外科・美容皮膚科でも同様です。
ただ他の医療機関とは異なり、前述の通り採用のハードルが高いため、どこでも通用する志望動機を述べたとしても高確率で落とされます。そこで、以下のポイントを記載するようにしましょう。
- 美容への興味
- 自分の体験談
- なぜ求人先の美容クリニックなのか
当たり前のようではあっても、これらの記載を実践できている人は非常に少ないのが現状です。そのため、履歴書・面接で志望動機を述べるのが面倒だと考えるのではなく、むしろチャンスと捉えるといいです。例えば、以下のように志望動機を考えましょう。
私と同様に美容コンプレックスをもっている人を救いたいと考え、貴社を志望しました。私は昔から一重まぶたにコンプレックスをもっており、この悩みを解決するために施術を受けたことがあります。その結果、毎日のアイプチ時間がなくなり、心の内面からも自信が湧き出るようになりました。 そうしたとき貴院は一般的な美容外科に限らず、再生医療を含めた最先端の美容医療を取り入れているとお聞きしております。そのため、より大きなコンプレックスをもったお客様に貢献できると考えています。 |
このように自分の経験や美容への興味、さらには求人先の美容クリニックでなければならない理由を述べることが新卒採用の内定につながります。
なお履歴書については、記載する欄が非常に狭いです。以下のような感じです。
このため、今回の例のようにできるだけ短く、それでいて端的に志望動機を述べるようにしましょう。
これが面接になると、履歴書に記載した志望動機をさらに発展させて述べることになります。必ず面接で聞かれる項目が志望動機・自己PRのため、事前にオリジナルの志望動機を述べられるようにしましょう。
看護学生の新卒就職でも転職サイトの活用は普通
ただ看護学生が美容外科・美容皮膚科に就職することを考えたとき、どのようにして求人先を探せばいいのか分からない人が大半です。
看護学生を対象にした就職サイトはいくつか存在します。ただ、どの就職サイトも病院やクリニック、施設など一般的な医療機関の求人しか掲載していません。美容外科・美容皮膚科の求人を探そうとしても、まったく発見できないのが一般的です。
しかも前述の通り、臨床経験1年以上でなければ申し込みできない美容クリニックは多いです。そのため、自力で「新卒であっても応募可能な求人」を見つけるのは非常に大変です。また運よく発見できたとしても、どのように面接対策をすればいいのか見当がつきません。
そうしたとき、最も効果的な方法は転職エージェントの活用です。「転職サイトは既に看護師として働いている人が利用する」と考える学生もいますが、看護学生であっても問題なく活用できるようになっています。
例えば、以下は美容クリニック求人に特化している転職サイトの募集欄です。
このように看護資格を取得予定の学生であっても、問題なく転職エージェントを利用できることが分かります。
残念ながら、一般的な看護師の就活サイトを利用しても美容外科・美容皮膚科の求人を見つけることはできません。そうではなく、美容クリニックの求人に広く精通している転職サイトを利用するようにしましょう。複数の転職サイトを利用しつつ、希少な美容クリニック求人へ申し込むのです。
新卒採用でも看護学生は美容クリニックへ就職可能
どうしても既卒者向けの求人が多くなってしまうのが美容外科・美容皮膚科の採用募集だといえます。臨床経験のある看護師を求めている場合が多いです。
ただ、中には新卒採用であっても広く募集している美容クリニックが存在します。申し込む美容外科・美容皮膚科を選べば、新卒・既卒に関係なく採用を受け入れてくれるのです。そうして、夜勤なし・残業なしにて高年収を実現できます。
しかし、一般的な看護学生用の就活サイトを利用しても求人は見つかりません。そうではなく、転職サイトを活用するのが基本です。
美容外科・美容皮膚科の存在自体が特殊なため、新卒としてエントリーする方法も、一般的な医療機関向けとは異なることを理解しましょう。そうして独自の志望動機を考え、申し込むことで将来の美容看護師として活躍できるようになります。
看護師が求人を探すとき、多くの人が転職サイト(転職エージェント)を活用します。特に美容クリニックは求人自体が特殊であり、自分だけの力で探すのは現実的ではありません。
個々の美容外科・美容皮膚科によって「ノルマの有無」「取り扱う施術」「年齢制限」など基準はバラバラです。また、大手と個人クリニックでも特徴が異なります。そこで、美容クリニックの求人を広く取り扱う転職サイトを利用しましょう。
ただ通常、看護師の転職エージェントは「一般的な医療機関の求人」がメインです。そこで、どの転職サイトを利用すれば美容外科への転職が可能になるのか理解しなければいけません。さらには、転職サイトごとに「対応エリア(応募地域)」「非常勤(パート)まで対応しているか」などの違いもあります。
これらを理解したうえで専門の転職エージェントを活用しましょう。以下のページにて転職サイトの特徴を解説しているため、転職サイトごとの違いを学ぶことで、転職での失敗を防ぐことができます。